2007年秋の尾瀬国立公園
渋沢大滝、不動大滝
2007/10/7 渋沢大滝 (落差50m) 不動大滝 (落差5m?) 福島県桧枝岐村 (レポをとばして渋沢大滝の写真を見たい方はこちらへ) 今年の8月以降は、とにかくダンナの足のリハビリを兼ねて往復2時間から3時間程度の歩きで済む場所ばかりを歩いていた。 だが、もうそろそろリハビリの集大成、というか、終了宣言をするべき場所に歩いたほうがいいんじゃなかろうか、と(勝手に私が)考えていた。ちょうど10月の始めに連休がある。その時に往復4時間程度の山か滝に行こうではないか。 そんなこんなで「10月の連休、どこに行く?」というダンナの問いかけに「渋沢大滝」と答えたのだった。 この尾瀬の端っこに位置する滝は、尾瀬の代名詞である湿原をほとんど通らずに只見川沿いに歩き、渋沢温泉小屋からはシボ沢沿いに登って行く場所にある。ざっと調べたところ、片道2時間弱(ただし、ここで勘違いしている。滝までは健脚で片道きっちり2時間必要である。私が見たのは、滝と天神田代への分岐点までの時間だった)。とすると、多少の登りもいい材料として、リハビリ終了行程には丁度いいんじゃなかろうか。 ダンナも「それはいい」と答えてくれたので、すんなりと決定。 ページのトップと掲示板で細々と告知したところ、「だりこっぺの部屋」の金さんと「身近にディスカバー!」のYouさんがご一緒してくれることになり、いきなりオフの形になった。 さて、当日。週間予報では週末は雨のはずだったのに、とてもよい天気になった。 午前7時半に道の駅ゆのたにに待ち合わせだが7時過ぎには到着。すでに前夜から来ていた金さんと再会のあいさつをかわした。そこで金さんからの提案。只見川沿いに歩いて行くルートは登りなので、1台を只見川の入り口(小沢平)において、もう1台で御池まで行ってそこから下る形で滝をめざし、帰りは只見川沿いに下るというのはどうだろう、とのこと。 ほぼ下りばかりになるというのは、魅力的な提案だ。ちょっと時間は長くなるが、御池から行くと、天神田代などの湿原もあり、尾瀬らしい風景も味わえる。けっこう乗り気になっていたところにYouさんが到着。 その案を持ちかけると、やめたほうがいい、とのこと。事前に調べてあったデータを開き、御池からも登りがかなりキツイ箇所がある。それに、長い。さらに、滝までの最後の登りの一番キツイ場所はどっちから行っても一緒だと説明してくれた。 どっちみち登るのであれば、時間の短いほうがいいに決まっているし、分岐までだと只見川沿いのほうがはるかになだらかな登りなのである。即刻只見川沿いを往復することに決定。 そんなわけで、自動車3台で道の駅ゆのたにから出発地点である小沢平(こぞうだいら)に向かった。まだ7時半になっていない時間だったと思う。 長い長いトンネルばかりのシルバーラインをぬけて、奥只見湖の長い長いうねうねとうねった道を延々走って小沢平についたのは9時少し前だった。 (写真の数が多いために今回は写真のサイズを小さくしています。ご了承ください。) |
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小沢平のバス停には「尾瀬口山荘」というのがあって、その向かいに15台ほどとめられる駐車スペースがある。とりあえず帰りに何かしら食べるつもりで自動車をおかせてくださいと声をかけようと尾瀬口山荘に行ったが誰もいない様子だった。もう営業もしていないのかもしれないようなたたずまいだった。 駐車スペースにはすでに7,8台ほどの自動車が駐車していた。意外にこんなマイナーなコースから尾瀬を目指す人がいるものだ。簡単な男女別トイレ(女性はちょっと怖いかもな〜)もあるので出発の準備には困らない。 |
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8時55分、出発。 入り口には遊漁についての看板とツキノワグマが多く出没していることの警告があった。 入り口を入ると笹と雑木の下り坂だ。 |
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5分ほどして、角材の立派な橋で小さな沢を渡る。たぶんトクサ沢を渡っているのだ。 そこから先は太いブナの木の森になる。 |
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ブナの森は続く。花はほとんど無く、時々ぎょっとするようなキノコの造形に出会う。 紅葉はこれから、と言った感じで、森はほとんど緑だ。 |
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9時8分。角材とアルミ板の橋を渡る。これが恐らく高石沢。水量が豊富な沢で、水がとても綺麗だ。それに急流でもある。 アルミ板が滑りそうでちょっと怖い。 |
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その橋を渡るとすぐに木を階段状に並べた急坂になる。なだらかなコースだったんじゃなかったのか〜、と文句を言う。 その後も、けっこう急な登りが続く。 |
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小沢をいくつか渡って、それまでまったく案内が無かったのに、木に無造作にくくりつけられた渋沢温泉小屋への矢印看板をみつける。せめてあと何分とかあと何キロとか書いておいてくれ、とここでも文句を言う。(ちなみに、この看板からは休憩を含めて40分で渋沢温泉小屋に着いた) 看板から10分弱で右のようなカップがくくりつけられている小さな沢がある。飲用オッケーの水らしいが味見はしなかった。 |
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9時48分、丸木をくくりつけた橋の沢に到着。大きな岩が積み重なった渓流状の沢だ。 ここで7分ほど小休止。 |
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10時ちょうど。木の根元に不動大滝と書いた杭を発見。隣を流れている只見川を見下ろしてみると、木々の間に本流がそのまま落ちているらしい流れを発見。 おお、これは大きいぞ。けっこうな規模の滝だぞ。 だが、木に阻まれて見えないし、川まで下りるには少し危険らしい。これは帰りにもう少し下流がわから川に下りられるか調査してみる必要がある。 この場ではあきらめて、先を急ぐ。 |
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10時5分、赤い矢印の看板発見。 真ん中に渋沢温泉小屋と書かれていて、右の矢印には下の橋、左の矢印には上の橋、とある。 道が二手に分かれているという情報は聞いたことがないのでどっちか迷う。 仕方が無いので右にダンナが行き、左に金さんが行って偵察。すぐに金さんが上の橋はやめたほうがいいと戻って来た。 |
上の橋はやめたほうがいいというのは、どういうこと? この坂を登ると目の前にシボ沢の白く濁った流れがあり、すぐに答えもわかった。 |
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左の図が上の橋。右の図が下の橋。 写真で見るとなんてことはないように見えるだろうが、上の橋はものすごく高い場所を渡されている。丸木ではないが、手すりも無い角材のみの橋である。 同じ橋なら高度感のない下の橋のほうがずっと怖くない。 ちなみに、Youさんだけ上の橋を渡りましたとさ。 |
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シボ沢は本当に白くにごっている。それがまた、この橋のあたりで急流になっていて、白い滝状になっているのだ。 乳の川かもしれないという幻想も抱く。 |
これから先シボ沢を遡って行くのだが、かなり上流まで白い水が流れていた。これだけの水量が白くなるのだから、流れ込んでいる源泉も大量だろう。 |
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10時14分、渋沢温泉小屋とウサギ田代へ向かう道との分岐に到着。正面にデカデカと渋沢大滝落差50M!とある。 渋沢温泉小屋を経てここから30分だそうだ。あとで分かるがかなり健脚のはじき出した数字である。 |
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10時15分、つまり分岐からすぐに渋沢温泉小屋になる。 滝はどっちかしらんと思いながら小屋を見ていると、中から小屋の人が出て来たので聞いてみた。ここから40分くらいで滝だという。小屋の正面をそのまま通り過ぎて、シボ沢を左に見る感じで歩いて行く。 小屋は、泊り客も帰って、いいお天気のなか洗濯のさいちゅうだった。 |
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小屋を通り抜けるとすぐに下る感じの道になる。この坂を下って行くと、右手になにやら水溜りが。 右の写真のとおりの「せせらぎの湯」と書かれた露天風呂があった。無料で利用できるらしい。 ためしに手を入れてみたら、ぬるいどころか冷たい。しかも、川の水は透明感のある白に対してここの水は泥っぽい色をしている。 いくらなんでもつかるつもりにはならない。 (しっかり小屋の人が後ろできいていて苦笑されていた) |
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「せせらぎの湯」を通り過ぎると、道は橋を渡るようになっていて、シボ沢の右岸に出る。上流へと歩いて行くと、げっ、あれに見えるは、階段っていうよりも、ハシゴじゃないですか? そこらへんの枝を手すりかわりにむりやりしばりつけてあって、その手すりにしがみついてなんとか登ることができる。下は水の染み出ている大きな岩で、もちろんこのハシゴが無いと登れない。 |
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そこから先は太いブナの林の中をかなりハードに登る。 10時28分、渋沢大滝分岐に到着。 看板に渋沢大滝までは20分、天神田代までは1時間20分とあるが、上の大きな渋沢大滝、と書かれた看板の下に手書きでちいさく30分と書き込まれている。30分かかった人の声である。 ここで10分ほど小休止。 |
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最初は下って行く。右手に沢を見ながらの下りだ。 それにしてもこの道はトチの実が多い。そこいらじゅぅに綺麗なこげ茶色のトチの実が落ちている。栗の実によく似ている。 この実はアクが強くて何度もアク抜きしないと食べられないそうである。 |
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右手に見えるシボ沢は、このあたりになるとそれほど白くはない。途中に温泉状の白っぽい小さな沢が流れ込んでいたが、それが源泉なんだろうか。 急流になっているシボ沢わきを登って行く(赤い矢印にオフ一行) |
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だんだんと大きな岩が多くなってきて、急登というより岩登りのような様相になってくる。 しかし手を使わないと登れないというほどの段差は無い。 右はからのついたトチの実。アクが強いので栗のようなイガではない。 11時3分、木々の間の遠くに渋沢大滝の頭が見え隠れする。 |
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11時5分、ついに渋沢大滝の手前に到着。 ここから見える滝はものすごく大きい。 ここからシボ沢を渡らないと滝下には行けない。右が渡渉の図。 長靴なら難なく渡れるが、登山靴だと飛び石を利用して行くしかない。それが怖くて、私はしばし停止。 ああだこうだと指示を受け、しまいにYouさんからストックを借りてダブルストック状態でそれでもきゃーきゃー騒ぎながらなんとか渡渉。 浅く見えるけど、ハマるとスネくらいまで浸かりそうな深さなんだってば〜。 秋の水の少ない時期で助かった。 |
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渋沢大滝の滝下に行く手前に簾状の滝が対岸に見える。 ちょうど直射と日陰の最悪のコントラストだったためにうまく撮影できなかった。 |
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水量も少なくて、簾なんだかただの染み出しなんだかわからない状態だった。 水量の多い時期はかなり綺麗になるかも。 |
渡渉直後に撮影した渋沢大滝。 シボ沢の滝なので、しぼさわおおたき、と読むのが正しいのだろう。 |
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紅葉直前の木々がかぶさって、なんともいえず美しい。 これほどきれいな滝とは思っていなかった。 |
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渋沢大滝 燧ケ岳から流れる水を集めて50メートル落下する。 それが柱状節理の磨かれた黒い岩盤にぶつかって美しく分岐する。 時折、水の塊が岩盤に体当たりするのか、低い音でゴウンゴウンと唸る感じがする。この音だけは現場でなければわからないだろう。 ちょうど日陰になっていたせいか、滝だけが見た目にも青白く光っていて、水の冷たさを物語っていた。 |
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左は正面からとらえた滝。落差は感じられなくなるが、水の分かれる様子が綺麗だ。 右は滝を含めた空間。 右の岩盤は今にも崩れ落ちそうな柱状節理。上が屋根のように張り出していて落ちて来たら命がない。 |
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左はやや下流から。 右は滝に向かって右手の崩れ落ちてきた瓦礫の上に登って撮影。 それぞれ表情が違う。 |
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滝つぼはごくごく浅い。しかし分岐する分水しぶきは激しく、風向きによってはびしょびしょになる。 右は落ち口。 意外と岩盤が角ばっている。 |
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![]() あちこちで写真撮影する人々。 右は空を見上げる形で撮影した張り出した柱状節理。この下で食事をすべくシートを広げたら、Youさんにそこはやめたほうがいいんじゃないか、と言われて移動。 いや、何か落ちて来たら、全部危険な場所ですってば。 それにしても、滝前は寒かった。 登る際に汗まみれになったが、それが冷えてさらに寒くなる。 |
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寒い寒いと言いながらけっこう粘って、 12時10分、滝前を出発。 行く時には見つけられなかったキノコなどを撮影しながら同じ道を戻る。 12時35分、渋沢大滝分岐に到着。 12時49分、渋沢温泉小屋到着。 ここで不動大滝には下って行けるか訊ねると、いけるけど危険だとの答え。そうだろう、そうだろう。 |
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12時55分、シボ沢の橋に到着。 帰りは上の橋にチャレンジ。そこで橋の支え(矢印のところ)が実に不安定に宙に浮いているのを発見。こ、怖〜い。 でも、ダンナの次にちゃんと私も渡りました。 もんのすごく怖かった。途中で足がすくんだ。 |
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13時5分頃、不動大滝の場所まで来る。 ここで金さんが踏み跡を発見。ここからザイルを使えば下りられるかも。 だが、Youさんが付近の藪をかきわけて偵察したところ、下りた先も崖になっていてこの場所は危険だと判断。 さらに下に行って、涸れ沢を渡る場所の手前から2人はずんずん藪に入って行ってしまった。 |
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おいおい、行けるのか?という疑問もなにもなく、どんどん藪をこいで先に進む2人。仕方が無く我々もあとを追う。 涸れ沢は段差があって危険なので、結局藪を選択してなんとか只見川まで下りた。 しかし、上から見た時に期待した大きな滝はどこにもない。 見えたのは段差くらい。 この上流がカーブして滝になっているのか? |
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![]() 不動大滝 ということで、川の岩をよじ登り、藪を巻いて少しでも上流に行ったのが右の写真。 結局不動大滝というのは、この段差だと分かった。 上の道からはもっと落差がある滝に見えたのに、本当にチラっと見えた部分が全体だったのだ。 ああ、きゃーきゃー言って藪コギした労力は何だったの。 この不動大滝のために約30分ついやす。 |
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行った甲斐のないただの段差不動大滝の藪コギの疲労も重なって、それから先の長いこと長いこと。なにせ、下りがほとんどのはずの帰り道でもかなり登り部分か多いのである。疲労が溜まっている身には登りはキツイ。 そんななか、一人するすると金さんは先に行ってしまう。うーむ、逃げ足の金さん健在。 長い長い只見川沿いの道をだらだらと歩いて、ようやく駐車スペースに着いたのは14時30分だった。 皆さん、本当にご苦労さまでした。 ものすごくよく晴れた一日だったのだが、ほとんど森や林の中を歩いていたので、太陽を拝めなかった。滝前では凍え死ぬかと思うくらい寒かったし。 でも、本当に行ってよかった渋沢大滝。 滝好きの皆さんにもオススメの滝です。 |
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交通 我々は、関越自動車道小出ICから向かうルートをとった。 インターを出ると「尾瀬」と書かれた大きな看板があるので、その示す方向に進めばよい。 まずインターを出て右折。すると高速道路をくぐってT字に当たる。そこを左。道の駅ゆのたにのある交差点のもう一つ先の交差点が国道352号の交差点だ。そこを右折。あとはシルバーラインの標示が出てくるまで国道352号を走る。 シルバーラインに入り、しばらくトンネルの中を走り、銀山平の分岐になったら、右折してトンネルから出る。 橋を渡って左折。そこから先は延々と奥只見湖の縁を縁取る形でぐねぐねと細い道を走って行く。時折すれ違いが困難で見通しの悪いカーブもあるので、運転には最新の注意を払って欲しい。 気が遠くなるくらい奥只見湖の周りを走り、定期船発着所を通り、トイレなどのある鷹ノ巣を通り過ぎると、道は樹海ラインになる。新潟福島県境を越え、やや走ると、本文の写真のような尾瀬口山荘が左手に見える。その向かいが駐車場である。 滝は、駐車スペースから長時間歩く。 まず、渋沢温泉小屋を目指す。約1時間強で着く。 そこから渋沢大滝の分岐までかなり急な坂で15分ほどかかる。 そこから滝下までは30分。 滝下に行くにはシボ沢を渡渉しなければならない。水の多い時期は飛び石で渡るのも難しくなるかもしれない。 不動大滝は、渋沢温泉小屋の15分ほど手前にある。木の根元に名まえの書いた杭があるのでわかると思う。ただし、滝前まで行くほどの滝ではない。 概ね整備された登山コースなのだが、渋沢温泉小屋から先は手袋などが必要なハードな登りになることを念頭において装備を整えてほしい。 |