んがお工房の桜めぐり
2010年新潟の桜めぐり
2010年、どういうわけか天候が安定しない春だ。 関西以西では春が早くて、かなり早めに桜が開花したというニュースが届いて来たのだが、こちらの桜が咲く前に寒の戻りがあった。関東で雪が降ったり、咲きかけた福島の桜が雪の帽子を被ったりしている映像が流れた。 そんなこんなで、我が地元の桜も予想よりも数日遅く開花、開花後の気温の低さでかなり長い間満開を楽しめることになった。 あまりの気温の低さで春が来たと実感できないまま、桜の季節がのろのろと通り過ぎている感じである。 今年はターゲットを地元の桜に絞ったのだが、さて、うまく捕まえることができるだろうか。 |
所山田の大桜 推定樹齢300年ほどの ヤマザクラらしいが、 詳細は不明。 周囲に対象になる桜が無いので、 それほど大きく見えないが、 実はかなり大きな桜だ。 この重圧感のある幹を見よ。 太い枝が何本も分かれているが、 根元は1本でかなりの太さである。 その幹の重々しさに反して、 花は濃いピンクで小ぶり。 しかもけっこう密生している。 根元近くに立って見上げると、 空いっぱいに枝と花が広がる。 |
新潟の桜めぐりその@ 2010年4月18日 実は、新潟市の桜の開花予想日はこの一週間ほど前だった。新潟の桜を巡るのであれば1週間前から行動を開始していなくてはならない。 しかし、その一週間前は、私が母娘旅行で関西方面に行っていた。奇跡的にまだ咲いていてくれた姫路城の桜を楽しんだりしていたのである。 そんなワケで出遅れた感のある新潟の桜めぐりのスタートだった。 とはいえ、前述したとおり、今年は気温が上がらずに桜が咲き始めから散るまでの時間が長かった。 この日行く予定の上越市三和区の桜も、咲いているのかどうなのか、さっぱり分からない状態だった。こうなったら、現地に行くしかもう手はない。 北陸自動車道上越ICを下りて、県道13号経由で三和区所山田に行く。 観光施設の米と酒の謎蔵の案内版に向かって進み、最後の曲がり角はそちらの施設に行かずに県道13号をそのまま走ると所山田地区になる。所山田の集落の文字看板がある道を右に曲がるとT字にあたりそこを左に曲がると小さな神社がある。朽ちかけた鳥居と県の指定文化財の説明看板があるだけにしか見えない神社だ。説明看板には「金銅虚空蔵菩薩懸仏」五十君神社蔵と書かれている。 集落の道路から見た感じは、上の写真の通り。倒れた石灯籠と鳥居しかない神社に見える。桜は鳥居の向こう側に続く道のさらに先にある。自動車で進むこともできそうな道ではあるが、確実にすれ違いはできないので注意が必要だ。 近くに駐車スペースがないので、我々は鳥居の裏側のごく小さなスペースに駐車して歩き出した。上写真の自動車が我々の自動車である。 道を歩いて行くと、右手に貯水池が現れる。ここまでは道は固くて舗装もされているのだが、この先は工事現場のようなぐずぐすの泥道になる。どうやらこの先が工事されているらしく、重機のキャタピラの跡しかない。今後道路状況も変わる可能性がある道である。 前もってダンナが調べていてくれたので、迷うことなく桜へ通じる仮づけのような橋を渡る。この橋を渡りそこなって先に進んでしまうと、桜ではなくて堰堤の工事現場に出てしまうらしい。 左側の用水を渡る橋は1つしかないので間違わないと思う。 この橋を渡って、右に大きくカーブしつつ坂を登ると前方に所山田の大桜が現れる。 坂の途中からはえているので、見上げるような高さに見える。 咲いていてくれるかと心配だったが、ちょうど見ごろの咲き具合だった。 確かに大きな桜だ。 青空いっぱいに枝が広がっている。 しかも、年輪を感じさせる太い幹も見てとれる。 坂を登って行くと、小さい田んぼに出て、桜の上から見下ろすこともできる。 上手くすれば田んぼに写る桜を撮影できるかと思ったが、手前に雑木があって、桜が綺麗に見える場所が無かった。 だが、桜の向こう側はるか遠方に日本海を見ることができた。 あの雑木を切ってくれたらなぁ、田んぼにもうちょっと綺麗な水を張ってくれたらなぁ、なんて思うのは撮影するがわの勝手である。 雑木も含めて桜を彩る環境だし、農家の人たちは季節や気温に合わせて作業しているのだ。 花を見せてもらうがわは、そのままを受け入れよう。 なーんて思っていたら、農家の人がつれてきたらしい犬に吠えられちゃった。畔道に勝手に入ってスミマセン〜。 |
藤基神社の桜 午前中の光を浴びて、 神々しいまでに美しい桜たち。 乙桜 きのとざくら、と読む。 旧中条町指定天然記念物。 本殿のすぐ隣にある。 ぽこんと丸い蕾が愛らしい。 咲いた姿を見てみたい。 城東窟の桜 徳川家光が寄進したという桜。 樹齢380年の枝垂桜だ。 新発田市指定天然記念物。 無数の支柱に支えられている。 花は散りかげんなので薄く見えるが、 満開の時はもっとふっくらしているらしい。 威厳ある幹。 お寺や神社の庭の桜ってば、 どういうワケか古木でも巨木にはならない。 盆栽的な妙がある。 宝光寺山門脇の桜 いつごろ植えられたかは定かではないが、 かなり若い桜らしい。 紅八重枝垂桜。 山門と実によく合っている。 花のアップ。 フリルのような繊細な花びらの八重が とても可愛らしい。 宝光寺は、 新発田市にお越しの際は、 ぜひにも見に来て欲しい桜スポットだ。 |
新潟の桜めぐりそのA 2010年4月25日 前の週に咲き始めた近隣の桜が満開になり、まだ見ごろが続いている。ならば、県北の桜はいいころあいではないだろうか。 前もって調べておいた地区の天然記念物になっている桜を巡ってみることにした。 まずは最も北の村上市である。ここには樹齢300年を超える枝垂桜があるのだ。藤基神社という神社の中にあるというから、探すのには苦労しないはずである。 税務署裏の藤基神社にあっさり到着して、門をくぐると、満開のソメイヨシノの並木が迎えてくれた。こんなに綺麗なのに、桜を見に来る人が全くいないのが不思議なくらいだった。 これは、枝垂桜も期待できるぞ、と思って境内をあちこちと探してみたのだが、枝垂桜が無い。どこにも無い。いや、あることはあるのだが、昨年植えたばっかりみたいな1メートルにもならないような苗木が社の前にあったきりだ。 おかしい。どこか別の藤基神社なのか。しかし、この文字の神社は珍しいだろう。ついに社務所まで行って聞いてみた。すると、衝撃的な返答が戻って来た。 なんと、昨年にその枝垂桜は枯れてしまったので、伐採してしまったそうなのだ。 ええーーーっ。枯れた〜っ?しかも、昨年〜っ? かなりショックだった。 樹齢300年とたった1年違いで出会うことができなかったのである。 境内のソメイヨシノが溢れんばかりの満開なのが、むしろ悲しく見えてしまった。 気を取り直して、県内を南下する。 次は胎内市旧中条町の乙宝寺の境内にある乙(きのと)桜である。ただ、この桜については、まだ開花していないだろう、という情報はあった。他の桜よりも遅いのだ。 それでも、参道のソメイヨシノが綺麗に咲いていて、目を楽しませてくれる。 さて、乙桜とはどんな桜だろう。 指定天然記念物の桜なので大きいだろう、と思って境内を探してみたが無い。あれれ〜、目立つと思っていたのに。 よーーーく見てみたら、本殿の向かって左側に石碑があって、「きのとざくら」と書かれてあった。石碑はあるが、桜は? なんともか細い、弱々しい感じの桜だった。なんでこれが文化財なのかなぁ。なんか種類が違うのかなぁ。 まだ蕾も固い状態だったので他との違いもよくわからない。とにかく、こいつは咲いてからのお楽しみということだ。 この日の桜めぐりの最後は、新発田市の桜である。 新発田市の桜といえば、新発田城址の桜が有名なのだが、こちらはすでに散ってしまった状態。 我々が目指すのは、市の指定天然記念物である城東窟の桜だ。 城東窟とは、ヘンな名まえである。 場所は宝光寺にあるというので、ナビに案内してもらって、宝光寺まで行く。 駐車スペースが分からなかったので、入り口の前に路駐したが、門のすぐ隣から山門前まで自動車で入れて、そこに駐車できる。 さて、城東窟とは何ぞや。宝光寺のHPをざっと斜め読みしてみてもよく分からないが、入り口の門に大きく「城東窟」と書かれている。ようするに新発田藩主溝口家の菩提寺という意味なんじゃなかろうか。 入り口の門をくぐると、さらに正面に山門があり、その右側にとても綺麗なピンクを誇っている枝垂桜が咲いていた。 本当に見事な桜で、この日の桜の空振りを全て忘れさせてくれるような咲きっぷりだった。 不勉強な私はてっきりこの桜こそ城東窟の桜だと思ってしまった。山門の赤との相性もよろしく、ぐるりとまわって気分よく撮影できる。 しかし、地元のご夫婦らしい人がやってきて、「あら、まあ、この桜、もうこんなに大きくなっちゃって。早いわね。それで本家はどうかしら」などと話ながら山門の向こうに行ってしまった。 え、本家? つうことは、この綺麗な桜は城東窟の桜じゃないのか。 「そうだよ」 とあっさりダンナは言い放ち、山門の奥に進む。 山門の向こう側には数本の桜の木があり、桜吹雪の状態だった。蕊桜になってしまっていて、地面が桜の花びらで彩られている。 その中の1本が無数の支柱に支えられて風格ある姿を見せていた。 これこそが城東窟の桜である。 ほとんど散ってしまっているので、花のボリュウムが無いように見えるが、樹齢380年の幹は威厳のようなものがにじみ出ている。 山門前の若い桜と対照的ではあるが、また別の美しさがある。 出だしでちょっと悲しい思いをしたが、最後に新旧合わせた桜の美しさを見せてもらって、満足できた春の一日だった。 |