2011年夏の滝めぐり
(高瀬峡の滝たち)
 




陰の滝
水量はかなり少ない時期だと思う。
落差は10メートルあるかないか。
特徴的なのは滝つぼの広さ。
その綺麗な水の青さを見ると
夏場は飛び込んで泳ぎたくなる。



大きさ比較。
右下にダンナの上半身。
手前の白飛びしているのは、
曲がりくねった流木。
滝つぼの広さがわかると思う。





上の滝
えーと、滝です。
主人公のいない滝です(笑)
つまり、陰の滝の水量が
上の写真くらいの時は、
上の滝は涸れていると思ったほうがよい。



でも、滝つぼには水があった。
で、魚が泳いでいたりした。
しかも、とても綺麗な水で飲めそうだった。





婆様ケ淵の下流の滝を
落ち口から見下ろした図。
婆様ケ淵の写真はいいのがなかったです。



上の滝を遊歩道から覗き込む。
木が邪魔して見えない〜っ。





剱龍の滝
これは滝の一部。
恐らく岩盤が全部湧水で濡れていると思う。
だが、緑が濃くてよく見えない。
一番水流の多い部分だ。



婆様ケ淵からの坂道の途中から見る。
よく分からないかもしれないが、
大きく2条になって落ちている。



分岐して落ちる綺麗な滝だ。


滝はそのまま川に流れ込んでいる。


滝の落ち口を見上げてみた。
写真ではちょっと分かりづらいが、
岩盤が大きくせり出している。
その下から水が湧いて出ているのだ。





高瀬大滝
別名「安楽坊滝」
剱龍神社の修験者の修験の場だったとか。
落差20メートル。
実に素直な直瀑だ。
しかし、滝前の堆積した石を見ると、
雨後などはけっこう暴れる滝かも、と思う。



綺麗に研がれたような岩盤にぶつかり、
美しく変化する滝つぼ付近。



大きさ比較。
と言っても、滝からは遠い。
赤丸のダンナの前の石積みの向こうが滝つぼ。
滝の落ち口が木の枝で見えないので
滝の落差が伝わらずにすみません〜。



意外に滝つぼは浅くて狭かった。
水は左岸がわにほぼ直角に曲がって、
下流に下って行く。










2011/8/15 高瀬峡 山形県遊佐町

2011年の夏休みは4日しかないので、とりあえず山と滝でリフレッシュしようと決めていた。で、初日に山で汗を流し、3日目で滝で涼む。
どうせ行くなら見たことのない滝がいいと思ったのだが、近場の滝はほとんど見つくしてしまった。3日めの天気の具合などを考慮して、北に向かうことにして、隣県の山形県を探してみると、あらまあ、滝がごっそり見られる場所があるじゃありませんか。
高瀬峡。
よくよく調べてみたら、何度か行っている一の滝や二の滝のごく近くで、どうして今までこの滝たちをついでに見ようと思わなかったのかしらん、と思うくらいの場所である。
山形の遊佐町のあたりだと、見落としている滝もいくつかあることだし、よし、今年の夏は高瀬峡に行こう。
実に簡単に考えて、とりたてて早起きするでもなく午前7時頃に家を出発。無料化実験の終了した日本海東北自動車道で北を目指した。

山形県に行くのに、実は新潟県内がかなり長い。特に海岸に出て日本海沿いを走るあたりがとにかく長い。山形県に入って、県の北がわに位置する遊佐町までは実はそれほどの時間は必要ないのだ。新潟、とにかく長い。
だいたいの場所をナビに入れたら、どんどん行ったことのある二の滝の道へと誘導する。ホントに大丈夫なのかしらん、と進んで行ったら、ちゃんと道沿いに高瀬峡と案内が出ていた。
案内どおりに進んで行ったら、「四季の森 しらい自然館」という公共の施設に出た。ここに地図看板があったので、高瀬峡への道を確認。なんのこたない、自然館からほんのちょっと進んだ先に右折する道があり、そこが高瀬峡への林道の入り口だった。
この林道はちょっとすれ違いに困難な場所もあるので、運転には注意が必要だ。未舗装の部分と舗装の部分がまざっている。少し走ると、行き止まりが広い駐車スペースになっていた。
ざっと20台はとまれそうなスペースに、なんと10台近くの自動車が駐車中。林道が狭くて寂しかったので、ちょっと意外だった。
  駐車場。自動車の向かい側にトイレもある。

  高瀬峡入り口。「うだるなごみと道徳心」。
未就学の子供をつれた家族連れなどが、気楽なハイキングのいでたちで出発しようとしているところだった。
なんだ、あんな子供でも楽々歩ける道なんだ〜。
時刻はちょうど11時。大滝まで行って戻って来ると、お昼からかなり時間がたってしまうので、駐車場にちょっとしたスペースがあったので、そこにシートを広げて昼食にした。
その間に子供づれや年配のご夫婦などざっと10人以上は高瀬峡に向かって歩き出して行った。
我々が出発したのは11時40分。
歩き出して、すぐに小川を渡る。渡ってすぐ右手に湧き水が汲める場所がある。もっとも小川自体も湧き水の川らしい。さすが鳥海山の周辺だ。水が豊かである。
  すぐに川。湧き水の川だそうだ。

    
  冷たくて美味しい湧き水。
それから3分くらいで「笙ケ岳(長坂道)」と書かれた道を右に分けるが、我々は山に登るつもりはさらさらないので真っ直ぐ進む。
杉やブナの林の中をまた5分も歩かずに今度は吊り橋になった。それほど大きくない吊り橋で、左がわに「屏風岩」と案内があったが、どれが屏風岩なのやら、ちょっと分かり辛かった。
    
   長坂道分岐と渡戸の吊り橋。
    
   杉林を通って行くと、陰の滝の分岐。
  
   これまた湧き水の「二ツ沢」を渡る。
  木に手書きの小さな案内フレートがつけられている。
吊り橋の先も杉の林で右側に川を見ながら進む。さらに5分も歩かずに右側に進むと陰の滝であるという案内があった。先に陰の滝を見てしまおう、ということにになり、右折。これまた5分も歩かずに滝つぼの大きな陰の滝の前に来た。先客が7,8名いたが、すぐにすれ違って戻って行く。おかげで滝を独占できた。
陰の滝は、岩盤をくの字に削ってそのくぼみを滑り落ちるような滝だ。滝の規模に比べて滝つぼが大きく、格別に澄んでいてとても綺麗だ。
真夏に来たものだから、よくまあ、このプールみたいに綺麗な滝つぼで泳いでいる子供がいないもんだ、などと思ったりして。それほど綺麗な滝つぼです。
さて、この先が実は問題だ。
この上流に上の滝という滝があるというのを前もってプリントアウトしておいた高瀬峡の地図で知っていた。ちょうど陰の滝に来る道に左に曲がる作業道らしきものがあり、そっちに曲がれば陰の滝の上流に行けそうだったのだ。
せっかくなので上の滝も見ましょう、というのが滝好きの性というもんでしょう。
遊歩道をはずれて、作業道らしき道に踏み入った。
これがまあ、予想以上に長い道だった。なだらかに登る感じの道が杉林の中続いていて、15分ほど歩くとなにやら分岐になった。今までの作業道よりは太い道で、ちゃんとした遊歩道のように見えた。方向的に右折すると陰の滝の上流になるので、右折。すると2分ほどで石のごろごろした川に出た。
ところが、川と言っても水が全く無い。かなり川幅は広くて、大きな石だらけの場所なのだが、とにかく水が無い。
ここで判断すりゃあいいものを、せっかく来たのだから、と上流に向かって石の上を歩き出した。
  やっと河原に出た。

  水の無い川をさかのぼる。
石を登ったりジャンプしたりして歩くこと5分、あれ?なんか段差があるぞ。その前にとても綺麗な水溜りがあるぞ。
そーです、たぶん間違いないと思うが、これが上の滝だと思います。
つまり、渇水期には水が落ちていないのだ。滝つぼにだけ水が残っていて、取り残された魚がゆらゆらと泳いでいた。
5メートルほどの落差があるので、それ以上上流には上って行けない。滝は見られなかったが、めったに見れない面白いものを見れたなぁ、という感じだった。ここまで見事に涸れているのは、岐阜のあかがねとよの滝以来だ。
仕方がないので、また石ゴロゴロの上を戻り、来た道に復帰。
見ると、道の先の川には水が出ている。支流の水が流れ込んで川になり、陰の滝になっているらしかった。
  ピンクのリボンを目印に道に復帰。
ようやく普通の道に来た。しかし、ここから先がまたマズい。さっきの分岐で来た道どおりに陰の滝方向に戻ればいいものを、方角的に戻らずに太い道を真っ直ぐに進んだほうが近道になる、と思ってしまった。
とんでもない大タワケでした〜。こっぱずかしいので割愛しますが、プチ遭難しかけました。どうも完全に筋の違う道だったらしく、気がつけば小一時間ゆるやかに登り続け、突き当たった先に高瀬峡という道案内が。完全に長坂道に迷い込んだらしく、その道案内どおりにすすんで、またしても沢にぶつかって行く先を見失い、戻って、案内の矢印とはちょっと違う方向の道に入って、ようやく遊歩道に復帰したのは上の滝を出て1時間半後のこと。みなさん、遊歩道以外の道には入らないようにしましょう。もし入り込んでも、戻る勇気を持ちましょう〜。
さて、気をとりなおして(笑)
復帰したのは、第二の吊り橋(婆々沢橋)を渡った先だったので、陰の滝から第二の吊り橋までの時間はわかりません〜。(お土産としては、婆様ケ淵の上流かなり先にも滝、あります。幅広の滝で、長坂道から見下ろせるが、緑の濃い季節にはチラとしか見えない。)
すぐそばに「婆様ケ淵」と矢印があり、「急斜面注意」とある。滝好きにとってはそれほど急でもない斜面を下って川に近づく。
  やっと遊歩道に復帰だよ〜。

  急坂を注意する婆様ケ淵の案内。

  ここから一応滝は見下ろせる。この先真っ直ぐは侵入禁止。
綺麗な滑た流れが見え、その下流は滝になっているようだったが、滝下に行く道はなかった。どれが婆様ケ淵なのかもよくわからない。淵といえば、陰の滝の滝つぼみたいに深い場所を連想するんだけど、そんな感じのない場所だった。
「急斜面」を登って戻り、少し先の手すりのある場所から下を見下ろしてみる。滝の姿は見えることは見えるのだが、木々に阻まれてよく見えない。ちょっとストレス。
遊歩道は真っ直ぐにも進めた跡があったのだが、閉鎖されて今は行けない。行けば婆様ケ淵の滝の姿を見られる場所があったのかもしれないが、余計に1時間半歩いた身には無理な運動をする気力がなかった。
後々、よく調べてみたら、この閉鎖された道を進んでいくと、薬師滝という滝になったらしいが、あとの祭り。もっとも、閉鎖されているからには理由があるはずなので、できるだけ遊歩道をはずれることは避けましょう。遭難します。
手すりのある場所から先はちょっと下る。
その下っている道から対岸に滝が見える。
濃い緑の中を水流が2条、滑り落ちている。
坂を下りきった場所に「剱龍の滝」と書かれていた。
大滝への遊歩道は右に曲がって行くが、剱龍の滝の滝へはちょっとだけ左に進むと滝前に出ることができる。
真夏のことゆえ、ちょっと緑が強すぎて、繊細に落ちる滝が隠れがちになっている。
見上げると、滝の上の岩盤は少し張り出していて、岩盤と岩盤の間から湧き水が滝になって落ちているのだとわかった。こんなに水が湧いて出ているんだ。本当に鳥海山は水が豊富だ。
ひとしきり撮影して、大滝に向かう。けっこう大きな木が崩れて横たわり、その上を階段をつけて遊歩道が続いていたりする。横たわりながらもまだ生きている木を切って遊歩道を開けるわけにもいかなかったのか、階段で上を歩かせるとはだいぶ思い切っている。
  倒木の上に階段が設置されている。

  看板の向こうはシミ。滝が無い〜。
階段を下りるとすぐに「白糸の滝」と看板があったが、対岸に見えるのは、ただのシミ。うーむ、ここもどうやら湧き水が落ちる滝らしいのだが、今は全く水流はなかった。
そこから5分ほどで大滝の滝前になるのだが、あらら、ここでもさっきほどの大木ではないが木が横たわり、遊歩道をつぶしている。ここには新しい階段も設置されていないので、自力でよじ登って、左手の川を渡って滝前に行くしかない。
ということで、そういうことには慣れているので、最後の詰めが甘いなぁ、などと思いながら進む。
目の前に姿を現した高瀬大滝は、とても素直な直瀑だった。
滝から落ちた水は滝前でくいっと方向を変えているので、滝前に石がテラスのようにたまっている。
そのために近づいた段階では滝つぼが見えない。石のテラスはそれほど高いものではないので上に登ると滝つぼを見ることができる。
右岸から近づくと、剣らしいものを祀っている場所があった。
そのまま石づたいに滝に近づけば岩盤を触れる位置まで行けそうだったが、他の観光客が来たので危ないまねはやめておいた。
午後3時少し前の日差しは滝全体を照らしていなかったが、もう少し早い時刻であれば滝を日光が照らして、きっと虹を見ることができるだろう。
赤っぽく鋭角にとがった岩盤も素直な滝水の白さを引き立てていて、本当に清々しい滝である。
もう少しのんびりとしたいところではあるが、余計な時間を使ってしまっているので、戻らなければならない。
ちょうど一緒に滝を見ることになったおじいちゃんと孫らしい3人組のあとを追う。と、あれれ、さっきむりやりよじ登って対岸に出た倒木じゃない方向に進むぞ。よくよく見ると、あらまあ、ちゃんと1枚板ではあるが橋があるじゃないの。私達、あれを見落として、面倒くさいルートを選んだ?
いや、よくよく見たら、橋は可動式で、水量が増えると片方だけ流れて片方だけ固定されているという形のものだった。つまり、我々は外された状態の時に通って橋の存在に気がつかなかったわけだ。
  赤い矢印が可動式の橋のある道。我々は黄色い古い遊歩道を進んでちょっと苦労した。
剱龍の滝から先の登りのキツかったこと。3人組は我々のあとから登りつき、ヘロヘロで休憩している我々を追い越して、仙人のようにずっと先に行ってしまった。
いや、私達だって、余計に歩いていなけりゃ、これくらいの遊歩道は楽勝なんですよ。だぶん。
婆ケ沢橋から杉の林の中をなんとなーく登る感じで進んで、なんとたったの10分で陰の滝の分岐に来てしまった。あーーーー、我々、余計なことして、10分の道のりを1時間半かけてしまいました〜。
駐車スペースに戻りついたのは、3時半少し前。3人組も帰って、あれほど駐車していた自動車も我々の自動車1台きりになっていましたとさ。とほほ。
せっかくなので、入り口ちかくの湧き水で水を汲み、ついでに誰もいないのをいいことに湧き水で体を拭いて着替えてしまった。ものすごく気持ちよかった。
その後、ゆるゆると帰路に着き、自宅に帰りついたのは午後9時前でしたとさ。ああ、長い高瀬峡だった。
悪いのは高瀬峡ではないけれど。
誤解のないように書いておくが、高瀬峡は、充分に注意すれば未就学児でも気楽にハイキングできるお手軽滝である。
ただし、枝道に入り込んだり、閉鎖された道に入り込んだりしたら、意外にも複雑に仕事道や登山道が入り組んでいるので、迷う確率が高い。ゆめゆめ、遊歩道をはずれないように。

交通
  高瀬峡  最寄ICは、山形自動車道酒田みなとIC。途中までは二の滝と同じく県道60号を進む。白井新田に入り、案内標識に注意していると高瀬峡という案内が出ているので左折。「四季の森しらい自然館」(tel:0234-72-2069)という公共施設が道の右がわにあり、それを通り越すと案内標識があるのでその通りに右折。林道になる。林道はすれ違いが困難な場所がある未舗装の道なので、運転に注意が必要。
突き当たりが駐車場で20台以上駐車できる。トイレも紙は無いが一応使える。
大滝までは写真を撮りつつゆっくり歩いてたぶん1時間くらい。陰の滝の上流の上の滝へは行けないこともないが、よほどの滝好きでない限り労力ほどの収穫はない。
遊歩道はとてもよく整備されているので、スニーカーでも充分だ。
ただし、蚊やアブが多い。防虫対策や虫刺され薬は必携。


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