んがお工房の桜めぐり


2012年置賜桜回廊

2012年の春は遅かった。
とにかく雪が多くてなかなかとけない。気温もなかなか上がらない。
そんなこんなで、例年ならもう散っているかもというゴールデンウィークが北日本の桜の見ごろになってしまった。
ところが、神様は実に意地悪で、我々が滝遠征で南紀に行っているGWの前半、4月の三連休に真夏日を東北にぶち込んでくれた。これで満開だった桜はあっという間に散り急いでしまったのだ。
5月に入った後半に東北の桜のどこかに行くつもりだったのに、裏切られてしまった。
しかも、5月のGWは、連日雨。とても花見のお天気ではない。あーあ、今年の桜追いは終わったかなぁ。
でも、ちょっとあがいてみましょうか。花吹雪の桜もいいではないか。置賜桜回廊の桜であれば、どれか一つは咲いていてくれるんじゃないかしらん。
予報では雨模様だったが、5月5日に行ってみることにした。
朝、予報どおり雨。しかもかなり激しく降っている。こりゃホントに今年の桜は外してしまったか?



伊佐沢の久保桜
樹齢約1200年のエドヒガンザクラ。
国指定天然記念物。
ほんの3日前まで満開だったそうだが、
ほぼ散り終えていた。


すっかり葉桜に見えるが
実は少し咲き残っている。
5月5日
新潟県を出るまで、雨は激しく降っていた。
国道113号で山形入りした時も雨だった。
県境の町はまだまだ春に入ったばかりで、残雪の中に桜と新緑が混在している。それにつけても、雨、なんとかならんかな。
雪解けの山肌に滝と言ってもいいくらいの流れを何本もみつけながら進み、長井市に入る。
まだ空は重い雲に覆われているが、なんとか雨は上がった。
まず桜回廊でご挨拶しなくてはならないのは、伊佐沢の久保桜だ。
学校の脇の道から入って行くと、駐車場はガラガラ。あらら〜?これは、もしかして、もう散ってしまった?
駐車場から桜までの入り口のところで協力金をつのっている。観光客がまばらで、無視するわけにもいかなかったし、桜回廊のパンフレットもほしかったし。何よりも千年の歴史を持つ久保桜を保護してほしかったので協力金を入れる。お金を入れると、釜の越桜のカードをくれた。こんなもん印刷するくらいなら、桜に使ってくれ。
さて、久保桜はというと、あらまあ、ほとんど散ってしまっていた。
2005年に見たときには満開で、とても豊かな桜に見えたのだが、散ったあとではなにかしら貧相に見えた。
こんなだったっけ、久保桜。枝、切ったんじゃないだろうか。
桜の周りには、出店などがまだ出ていて、観光協会の方が観光客に色々と説明していた。
100年近く前の久保桜の写真も展示されていて、その時のほうがやはりふっくらとしていたように見えた。
ちょっと残念だったが、桜ばかりは時期をはずすと見栄えがしない。またの機会を楽しみにするしかない。
  
  
どれかきれいに咲いている桜に出会えますように、と祈りながら久保桜をあとにした。

このまま国道287号線、置賜桜回廊を北上してもよかったのだが、せっかく来たのだから、滝も見てみようと山のほうに足を延ばした。
桜回廊の近くにあるのは、三階滝という滝で、2005年に来た時も雪解けの水を集めて大爆発状態だったが、今年もものすごかった。
あの時よりも雪が残っていて、かなり手前で自動車を止めて、徒歩で滝に向かう。
途中に早春の花々が咲いていて、けっこう楽しめた。
  
  

  
  二度目の訪問の三階滝だが、どっちも雪解け時期だったので、本来の姿を知らない。
  とにかく、ものすごい水量だ。


      
  ニリンソウ、カタクリ、キクザキイチゲ。
滝を見終わる頃には雲がきれて、太陽が顔を見せた。
滝から桜回廊に戻る途中に、長井市を見下ろせる広場のような場所があったので、そこで昼食にした。
山のほうからは小雨が風にとばされて降ってきたが、市内のほうはすっかり晴れているようだった。



草岡の大明神桜
樹齢約1200年のエドヒガンザクラ。
国指定天然記念物。
こちらも満開はすぎて、
葉っぱが出ていたが、
青空に救われてピンクが見える。



次に向かったのは、草岡の大明神桜。
駐車場に入ると、自動車は数台しかとまっていない。
売店も開いていない。
それでも、タクシーで乗り付ける観光客もいた。
この桜し農家の庭先といった感じの場所に立っているので、それほどロケーション的に魅力的とは思われないのか、あまりカメラマンもいない。
しかし、実はこの桜も樹齢1200年以上の国指定天然記念物だ。
私としては、実は色々な草花に囲まれてのどかに立っているこの桜樹かけっこう好きである。
桜の前には、巨樹日本の桜ベスト10なる看板が設置されていて、大明神桜は、鹿児島県伊佐市のエドヒガンに次ぐ2位の幹回りの桜だそうだ。
  

  

  
実際見てみると、それほど太い幹にも見えないが、10.9メートルあるそうだ。ちなみに、三春滝桜は番外で、根回りで11メートルだそうです。




白兎のしだれ桜
樹齢120年から150年のシダレザクラ。
もう少し早ければ、
たぶん2本の幹の上のほうも
咲いていたと思う。



小さくてかわいいピンクの花たち。
今回は、置賜桜回廊でも大雑把に有名桜だけ見るつもりだったが、白兎のしだれ桜は道すがらにある。ついでに立ち寄れる場所なので行ってみた。
白兎というのは、てっきり桜が白っぽくて、耳が2本立っているように見えるからついた名前だと思っていたら、実は地名だった。
桜の花もふんわりとしたピンク色だ。
2本立った枝は、花の咲く部分が切られてしまったのか、もう咲き終わってしまったのか、まったく花の姿がなかったのだが、下のほうにきれいに枝垂れた花が咲いていた。
手にとれるほどそばにあって、やっと咲いている桜に会えた気分だ。
  
ちゃんと駐車場が確保されていて、お土産なども売っている。大明神桜よりかなりやる気が入っている感じだ。
葉山神社の大きな杉の木も健在で、かわいいウサギの狛犬(書いてて妙だと思ったんですが、狛ウサギってのもヘンだし・・・)も観光客を迎えてくれる。
  


  



釜の越桜
樹齢約800年のエドヒガン。
すっかり花も散って、葉桜になりかかっている。





左;二世桜、右;勝彌桜。


2本の子孫を従えた釜の越桜。
置賜桜回廊に来たからにははずせない桜が釜の越桜だ。
とはいえ、この桜は特に国指定の天然記念物というわけではない。樹齢800年ともなれば、立派に古木なのだが、1000年以上の木がたくさんある桜回廊では筆頭というには若い木なのだ。
だが、背後に雪山が来るロケーションのよさから、とにかくカメラマンがたくさんいる桜でもある。
この日ももしかしたら伊佐沢の久保桜よりも人がいたかもしれない。
駐車場に入ると、あれ、前回はなかったよな〜という協力金の箱があった。これはもう、古木の保存代である。
ほかの桜たちと違って、釜の越桜は整備された公園のような場所に立っている。トイレもきちんとしたきれいなトイレがあるし、売店や食堂もある。
観光客の受け入れ態勢ばっちりの桜だ。
さて、桜自体は、こんなだったっけ〜というくらいさみしい状態だった。花が咲いていないと、桜というのはなんだか痩せて見える。
2005年の時の写真とじっくり見比べてみたが、どうやら左に張り出している枝から出ている枝が1、2本なくなっているようだ。樹勢回復のための措置なのか、桜回廊の古木たちはけっこう枝が切られている桜が多い。
さすがに満開の時期が過ぎているので、緑が目立ったが、背後に立つ濃いピンク色の勝彌桜のピンクがまだまだ綺麗だったので、なんとか桜っぽさが残っていた。
今回ちょうどボランティアの説明する人がバスで来た団体さんに説明するのを聞くことができたのだが、濃いピンクの勝彌桜は勝手に芽が出て生えてきたとのこと。一方の二代目は釜の越桜のひこ生えを植えて育てたとのこと。
確か、説明の碑には勝彌桜は釜の越桜の実を勝彌という人が植えたと書かれていたけど、花の色からして赤の他人だよなぁ。ホントは勝手に出てきたのかなぁ。ホントのところはよくわからないけど。
勝手に出てきたほうがきれいだよ〜。などというのは、私個人の感想ですぅ。

  
公園には桜の花びらがたくさん敷き詰められていた。花びらを踏みながら桜を見る。
  
満開ではなかったけれど、これくらいは咲いていたのよ。




薬師桜
樹齢1200年のエドヒガンサクラ。
県指定天然記念物。
坂上田村麻呂が奥州遠征の時に手植えした
と、伝えられている。


すぐ前が県道11号なので、
見る角度が限られている。
同じような写真しかなくてスミマセン。
前回に来たときに、釜の越桜と薬師桜はほんの隣だと知っていたはずなのに、綺麗に忘れて自動車に乗り込み、あー、ここだっと何分もしないで降りるハメに。しかも、駐車スペースがほとんどないので、路駐になってしまった。
スミマセン、ダッシュで撮影します。
それにつけても、薬師堂の小さな敷地に立つこの桜は、むちゃくちゃ狭苦しく感じるのに、写真にするとけっこう開けた感じに写るのはなぜでしょう。
ホントに両脇が民家で、すぐ前が県道。
薬師堂自体も小っちゃくて、なんだかぎゅうぎゅうにおしこめられたような場所にあるのである。
それでも樹齢1200年。こうなると、盆栽に見えてくる。
交通の迷惑になるので、とにかく慌てて写真撮影だけして、次の桜に向かった。



子守堂の桜
樹齢1020年のエドヒガンサクラ。
小高い場所に立っているので、
見上げての撮影。



下に回り込んで見ることもできる。


反対側からだと、やや上から見ることができる。
なんだか、町を見守っているように見えた。


時刻は午後1時くらいだったのだが、これまでの桜の咲き具合からいって、ほかの桜もそれほど期待できないな、と思われた。やっぱり桜は満開でないとさみしい。
十二の桜や山口奨学桜などきれいな桜も県道沿いにあったのだが、通り過ぎ、残る千年の古木、子守堂の桜を見て今回の桜めぐりを締めくくることにした。
前回に引き続き、少し手前にある施設に自動車をとめさせてもらい、桜に向かって歩く。やっぱり葉っぱが目立って、満開からは少し遅れてしまったようだ。
だが、その分、桜の根元にはたくさんの草花が咲いていた。
  
  
前回、桜のそばにひっそりとあるように見えた子守堂も、今回はなんだか派手になっていたし。
この子守堂のには、パンフレットに書いてあったのだが、なんでも、病弱な城主の子供を無事に育てたあと姿を消した賤しい身なりの童女の伝説があるらしい。
 
  

  
ややねじれた幹からは千年の歴史が感じられる。
  

桜回廊の桜はまだまだたくさんあるのだが、今回は古木だけできりあげることにした。
それにつけても桜回廊は本当にすごい。
たった半日で千年の古木が何本も見ることができる。
これからも桜を大切にして、ずっと残してほしいものである。
雨の予報の中だったが、幸いなことに青空にも恵まれたし、5月に入ってある程度咲いている桜を見ることができたのは、むしろラッキーだったかもしれない。
帰り道は、飯豊のふもとの山々の新緑と桜を車窓から見ながら2012年の桜追いを終了した。
  


置賜桜回廊の情報はさくら回廊観光推進会議のHPに詳しいので、こちらでどうぞ。


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