2013年氷瀑を求めて
辺尾の滝、琵琶滝、不動滝、八坂大滝




辺尾の滝
へびのたき、と読む。
上段と下段、二段になっている氷瀑だ。
どちらも完全に凍れば、
ウェディングケーキのような姿に
なるんじゃなかろうか。


大きさ比較。
赤丸の中にダンナがいる。
ダンナと滝の距離は30メートルくらい
あると思う。


上段。
こちらは1本。


下段。
上段で水が分散されて
下段に落ちるので、
何本も氷柱ができている。
完全結氷したら、かなり楽しい滝だ。



琵琶滝
えーと、土の壁ではありません。
磨崖仏の左側に白い筋が見えますか〜?
それが一応、滝なんですけど。
少なくとも二段になって落ちている。
真冬は水の量が少ない。


磨崖仏の右側にも
土壁に刷毛で描いたような
氷の芸術があった。
撮影場所は橋の上。



不動滝
橋のバス停よりのたもとから
かなりのズームで撮影した不動滝。
なんのこたない、
遊歩道を行くよりもこの場所が
一番滝がよく見えた。


上の写真と大差ないが、
氷部分のアップ。
この時はどうやら
滝水が元気に落ちていて、
筒状になっているらしい。


実際の見た目。
中央の谷の白いあたりが
不動滝。遠い。



不動滝(下流)
上の滝から沢になって流れて、
当信川に落ち込む部分だ。
県道からは屏風状に尾根が張り出ているので
見下ろせないと思う。
この部分を見たければ、
遊歩道を歩こう。


見上げてみても、
上流の滝は見えない。




八坂大滝
この日の八坂大滝。
今一つ、氷柱らしさがない。


よく晴れていて、滝の水が光っている。
風であちこちに散っていた。


この青空です。


で、凍っている部分は、こんなもん。
まだほんの土台っぽい。


旧道の橋の上から見た八坂大滝。
って、滝がわからんっ。
大滝の落ちる岩盤。
2013/2/10 辺尾の滝、八坂大滝(50M)   長野県大町市
          琵琶滝、不動滝          長野県長野市
2013年の冬は、新潟では寒い冬という印象が強かった。山間部では大雪になり、平野部では氷点下の真冬日が何日もあった。
ところが、である。2月7日に春一番が吹いた。新潟では例年よりも1か月以上早いとかで、いきなり春っぽい陽気になってしまった。
日本全国どうやら2月の春になったようで、名前の通っている氷瀑が小さくなっちゃったりとけて流れたりしてしまうことになった。
えー、今年は氷瀑の当たり年だと思っていたのに。
そんなこんなで氷瀑を見るのだと決めていた三連休、ほかに変更をするつもりにもなれず、予定通りに自動車を走らせることにした。期待できないのは仕方ない。
さて、仕事がたてこんでいて、かなり疲労困憊していたので、三連休の1日目は休息にあててしまったら、翌日の2日目は天気予報も警戒を促す大雪の予報になっていた。あれ〜、ここでもハズしちゃうのか、私たち。
それでも、ここしばらく大雪の予報がでても晴れ間がみえたりする天候が続いたので、行ってみればなんとかなるだろう、と出かけてしまった。
実は、この日の一番の目的は糸魚川市の駒ケ岳に出現するという氷柱だった。新潟に住んでいながら、その巨大な氷柱を見ずに氷瀑を語れないでしょう、というワケである。
そこから組み立てて、国道148号線を南下して長野県に入れば、いくつか手近な氷瀑を見ることができる。
問題はこのメインの氷柱で、シーサイドバレイスキー場から見られるという情報があった。スキー場ということは、雪が多いワケで。
大雪で前も見えないくらいの高速道路を北陸道に入ってのろのろと進んで行くと、奇跡的に上越インターあたりで雪はやみ、青空も見えてきた。おお、ラッキー。我々はついている。きっと氷柱も見られるにちがいない。
そのまま糸魚川インターで高速を降り、国道148号線に乗る。
え、前方、雲が黒くないか?
根知谷入り口から県道に入り、スキー場が近づくにつれ、前方に見えるはずの山々が雪と雲の中にかすみ、ファミリーで賑わうスキー場の駐車場では、ほとんど視界がなくなってしまった。
おーい、上越のあの青空はなに〜?
駒ケ岳の氷柱は遠望なので、駒ケ岳自体が見えなくなってしまったら、手も足も出ない。これはもう、諦める以外に手はない。
我々はついていない。
仕方がなく国道148号線に戻り、長野県に向かった。
さすがにスキー場がずらりと並ぶ場所である。長野県に入るまでずっと雪。入ってからも雪。とにかく雪。これは、氷瀑めぐりも無理なんじゃないか、と思うくらい雪。
しかし、大町市に入り、目的の滝に近づくにつれ、空が明るくなってきた。ああよかった、吹雪にでもなったら、滝どころではなかったが、とりあえず滝めぐりはできそうだ。
さて、最初の滝は辺尾の滝。ダンナがネットで見つけた凍りつく滝である。
詳しい場所もよく分からないが、だいたいこのあたりなんじゃないか、という場所の緯度経度をナビに入れて、ナビの案内のままに自動車を走らせた。
ナビが入り込んだのは、県道394号線。おいおい、こんなに細い道、冬季閉鎖になってやしないか。いや、氷瀑を撮影した人がいるんだから通れるだろう。
右手に金熊川を見ながら、国道19号線方面に向かって走る。
右手の金熊川には時々つららなどが下がっていて、気温の低い場所なのだと分かる。が、左手は崖で、落石防止のフェンスが続いていて、全く見通せない。
滝がどっちにあるかもわからないし、緯度経度はざっくりした指標にすぎないので、ゆっくり走りながらあちこちに注意を払って走る。
と、左側のフェンスにほんの数メートルの切れ目があり、そこから崖が見てとれた。
あ、あれだ〜。
ダンナからチラリと見せてもらっていたネットの写真。それはもっと凍っていた姿だったのだが、かなり氷が崩れてしまった状態の辺尾の滝の姿が見えた。
予想より小さく見えた。フェンスからの距離もいまいちよく分からない。
細い県道だが、そのフェンスの手前にちょっとだけ広くなっている場所があって、自動車をとめることができた。
  
赤い矢印の先に辺尾の滝がある。

  
下流には氷のレース編み。
それにつけても、おもしろい姿だ。
上下二段で、上にも氷、下にも数本の氷。もっと凍りついていれば、上1本と下数本のまるでウェディングケーキのような姿になるだろう。
左岸に踏み跡があったので、近寄ってみたが、少し登ってその先はまた下る。足場が凍りついて悪いので30メートルほど距離があったが、そこで近づくのをやめた。
小さく見えたが、もっと近寄れば大きかったかもしれない。落差は上下合わせて30メートルないくらいと思う。
このころになると、空は青く広がり、やっぱり長野の冬は青空よね〜という気持ちにさせてくれる。
ここから国道19号線に出る手前でちょっと北上すると地図に不動滝という滝マークがある。次の滝はそこだ。
この滝は地図に書いてあるんだから見つけやすいでしょう、と思っていたら、その北上する393号が工事のため通行止めとある。しかし、その看板の向こうから自動車が来るから、きっと通れるんだろうと行くことにした。特に不動滝は山の向こう側に行くわけではなくて、分岐から近い場所にあるはずなのだ。
確かに工事はしていたが、休工中で問題なく通れた。
不動滝はどこだろう。地図のマークは道の左側のちょっと離れた場所にあるんだけど。と、言っている間に道の右側にあずまや発見。なんか、滝という文字が見えるぞ。きっと不動滝だぞ。
と、橋を渡った先の路肩の広い場所に自動車をとめて徒歩で橋を渡りあずまやに行く。
  
目印。長野市営バス「琵琶滝」バス停。
たしかに滝の文字はあった。長野市営バス「琵琶滝」あら、不動滝じゃないのね、でも、滝なのね。
よくよく見ると不動滝の文字もあった。「祖室渓谷、不動滝、遊歩道があります。」おお、ここから遊歩道が出ているんじゃないの。
じゃ、ここから行けばいいのね。
ということで、まず琵琶滝をよく見てみることにした。
最初、橋の上から見える磨崖仏のすぐ右横の細かい氷の造形が琵琶滝かと思っていたのだが、左側にこれは、沢?いや、シミ?という程度の水流があることにちょっとしてから気がついた。これが琵琶滝らしい。
よくよく見ると、けっこう上のほうから落ちていて、水の凍る水量の少ない時期なので見栄えがしないが、もっと水量が多くなれば細長く落ちる多段の滝になるんじゃないか、と思われた。
磨崖仏の説明も書かれていて、戦没者の慰霊のためのものだとか。
問題の不動滝は実は橋の上からはるか向こうの山の中腹に見えていた。白いまっすぐな水の流れと下のだんごみたいな氷の塊が見える。
遊歩道を歩いて行けばあの塊を間近に見られるはずだ。
  
バス停から橋ごしの不動滝。矢印の下に滝。
遊歩道は橋をくぐって、県道393号の左手を流れている当信川に下って行く。川に突き当たると吊り橋がかかっていて、渡ることができた。下がスケスケのけっこう怖い吊り橋だ。
  
遊歩道を橋をくぐって行く。

    
  
吊り橋は頑丈だが、下が丸見え。
吊り橋を渡るとすぐに案内版があり、不動滝上流への道はバツ印がついていた。下流方向には行けるらしい。
  
案内看板。
それでは、下流のほうに行ってみよう。
うっすら雪が積もっていたが、長靴で歩くのに問題はない。
途中、あずまやがあったり凍った小さな沢を渡ったりしながら、5分ほどで下流の滝についた。
  
すぐにあずまやがあり、下流の滝へは右。

  
当信川右岸を歩く。

  
渡る小沢は凍っていた。
ち、近い。壁が間近にあるといった感じだ。
一応凍ってはいるのだが、完全に凍りついているわけではなく、黒い岩盤に水流が見える。それにしても、氷が茶色い。あまりきれいな水ではなかったんだなぁ。
不動滝下流と看板には書かれていたが、同じ沢が当信川に落ち込む場所であって、段瀑の最下段という感じではない。
橋の上から見えた直瀑でもない。そこからあのだんごみたいな氷の塊が見えるわけでもない。
こりゃ、行ける場所まで行ってみますか、とバツ印のついていた上のほうに向かうことにした。
    
  
途中の小沢で寄り道。ちょっとした氷の芸術もあった。

  
上流に向かう。
あずまやまで戻り、分岐を上に向かう。ほどなく、赤い顔をした不動明王像が出現。その裏にかなり大きな看板で不動滝と出ていた。不動明王像の裏から見えるのかしらん。
期待して裏に回って見てみても、雑木ばかりで先がほとんど見えない。なんか、沢みたいなのが見えるんだけど、滝らしくないし。
    
  
不動明王とバツ印のついた道標。右は滝を探して不動様の裏に行ったダンナ。

  
そこから見えるのは雑木とちょっとした水流だけ。
まだ遊歩道は先に続いているので、歩き出す。が、不動様のすぐ上でロープが張ってあって、行ってはならない、という。いや、でも、雪に踏み跡あるし。と、ロープをまたいでさらに進むと、またしてもロープが張ってあって、「この橋は渡れません」という。橋?
あっさりロープをまたいで橋らしいものがある場所に。小さな沢を小さな木で組んだ橋が渡されていて、その橋の橋脚にあたり土壌が緩んでいるらしかった。が、渡るのに問題はなさそうだし。ってことで、渡ってしまう。落ちても1メートルくらい下の水のない沢なので、怖くない。
    
  
ロープをまたいで先へ。崩れかかった橋を渡る。
なーんだ、渡れるじゃん、とその先の雑木が道をふさいでいる道をくぐったり跨いだりしながら進むと、ハタ、と止まらざるを得ない場所に出た。
う、崖だ。
眼下に沢。1メートルくらい下に今までの小さな沢とはちょっと格が違う水の流れている沢がある。かなり広くて、沢を渡った向こう側も断崖になっている。あっちは2メートル以上あるかしらん。その先に手すりがあって、かつてここに吊り橋か何かが渡されていたんだと推測された。が、今はない。
とりあえず藪漕ぎだの沢だのある程度滝に近づく経験を積んでいる我々だが、立ち尽くすしかなかった。
沢までは楽に降りられるだろう。沢も渡れる。しかし、その先の断崖を登るすべが皆無だった。どう見ても手掛かりらしいものがない。上流も下流もかなり長く断崖が続いているので、対岸にとりつく場所がみつけられない。
渡れない橋って、これかよ〜っ。
橋を渡ればすぐそばに不動滝とだんごのような氷の塊があるのはわかっていた。なんとか、どこかから見通せる場所は無いかとうろうろもしてみた。
しかし、雑木の向こう側にある姿しか見えなかった。
    
  
茫然として対岸を見るダンナ。崖なのが分かると思う。そこからは雑木に阻まれた団子状の氷の塊と不動滝がチラリと見えた。
だーーーーーーっ、悔しい。
近くで見たら、かなり面白い氷瀑だと思うのに。
傷心のまま琵琶滝まで戻り、琵琶滝前のあずまやで昼食にした。
かなり遠くになるが、不動滝を完全に見通せる場所があるとしたら、琵琶滝前の橋の上だ。雑木が前をふさがない位置をさぐりながら移動して撮影するしかない。
ああ、近くに行ってみたい。
もったいないですってば、長野市の方。ぜひ橋をなんとかしてください。ダメなら、崖にハシゴをつけて登れるようにしてください。滝好きなら、ハシゴ、登りますから。
なんとも無残な結果の午前中になってしまった。
このあとは、国道19号に出て、県道55号に入り、おなじみの八坂大滝に行くだけだ。八坂大滝の凍り具合はどうかなぁ。
過去、タコ坊主姿を見せてくれたり、ドロドロのクラゲ入道になってみたりした八坂大滝、時々その前を通ることがあったが、厳冬期でも凍っていない時があったりした。今日はちょっと気温が高いし、春一番もあったし、凍っているかどうか不安である。
金熊川沿いの駐車場には自動車は止まっていなかったが、滝に向かう旧道の入り口に3台ほど駐車していた。
  
りっぱな看板がありました。
歩いて行くと、旧道の橋から三脚で滝を狙っている人たちが数組いる。そこからが滝の落差と氷を表現するには一番の場所かもしれない。が、遠い。
我々は迷うことなく遊歩道を登って行き、滝の直下に行った。
あわわ、あんまり凍っていないや。やっぱり暖気があったんだろうか。こんもりとしたタコ坊主にもなっていないし、ドロドロと盛り上がったクラゲ入道にもなっていない。ちょっとした雪の土台くらいのものだ。つまんないな〜。
しかも、直射日光で光ってしまって、滝の水がよく見えない。
風が吹いてはさわさわと落ちる水があっちこっちに揺られて、土台の上どころか外れた場所まで水を振らせている。落差が50メートルもあるおかげで、かえって水が分散する感じだ。しかし、この落差と風のおかげで、よく太陽の当たるこの場所でも氷瀑になるのだろう。今年は成長するにはちょっと暖気が邪魔をしたようだ。
ざっと見るかんじで今年の八坂大滝を終了した。
この後は長野道に出て高速道路で直接戻るつもりだったが、まだ時間も早いし、一番の目的だった糸魚川の氷柱が午後になったら見られるお天気になっているかもしれないので、もう一度国道143号線まで戻って行ってみることにした。
しかし、ダメでした〜。
来る時と同じで、白馬あたりから雪になり、シーサイドバレイスキー場のあたりに行くまでもなく駒ケ岳は厚い雲の中に隠れていた。
ま、その存在を知ってすでに5年以上たっていて見られていない氷柱である。今年絶対に見なくてはならないものでもないか。お楽しみは来年にとっておこう。
そのままだらだらと一般道で自宅に戻りついたのは、午後6時過ぎ。なんだか、晴れてたんだか大雪だったんだか、収穫があったんだか無かったんだかわからない一日だったなぁ。
交通
琵琶滝、不動滝、辺尾の滝  最寄ICは、たぶん、長野道豊科IC。我々は新潟出発なので、実は麻績ICのほうが近い。ただ、道路的には国道19号線に出て、北上して長野市に向かうルートなので、豊科のほうが走りやすいと思う。
不動滝は、道の駅大岡村を過ぎて、川口交差点で県道393号に入る。すぐに県道394号を左に分けるが、不動滝はそのまま当信川を左に見ながら斜面を登って行く。
やや走ると右側にあずまやのあるバス停「琵琶滝」があるので、そこに駐車。駐車しづらい場合は、橋を渡ってすぐの場所が路肩が広いのでそこに駐車しよう。
琵琶滝は橋からすぐそこに見える。磨崖仏の隣だ。
不動滝は橋から当信川ごしに山を見ると中腹に落ちているのがわかる。そこから見える滝の滝下に行く遊歩道は現在橋が落ちているために途中までしか行けない。滝の下流の当信川にそそぐ部分は遊歩道で間近まで行くことができる。
遊歩道は「琵琶滝」バス停から橋の下をくぐって伸びている。下流の滝までは10分ほどだ。
辺尾の滝は、さっき通り過ぎた県道393号のほうに入る。眼下右手に当信川を見ながらかなりの角度で山を登って行く。しばらく進むと、左手に金熊川が沿って流れるようになる。このあたりから気をつけて右側のフェンスを見ていて、途切れたら奥を確認するようにする。特に目印はないので、フェンスの途切れだけに注意。そばの路肩に駐車するが、道が狭いので注意が必要だ。ちなみに、右欄のフェンスの写真は国道19号線に向かって進んでいるので、金熊川が右手になっている。

八坂大滝2006年のレポが詳しい。



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