布滝
(早稲沢・デコ平ふれあい探勝路) 






布滝
これは、遊歩道よりやや上に
よじ登ってダンナが撮影したもの。
一番上の段の直瀑から
大きな岩によって水があちこちに分岐。
かなり分散して流れ落ちる滝だ。



遊歩道より撮影した図。
一番上の写真は、この写真の右端にある
木の根元に立って撮影した。
遊歩道から見ると、
斜面が全部滝に見える。



大きさが分かりづらいと思うが、
左下手前にハイカーがいる。
このレベルより下も急流になっていて、
全部合わせたら、落差は、
30メートル以上と思う。



一番上の段。
これがあるから、滝らしい。



滝の上は燃えるような紅葉だ。



ちなみに、この写真にダンナがいる。
右の大きな岩の上に立つ
二股の木の根元に青いものが見えるかな。
それがダンナのリュック。




探勝路のそばの渓流は、
とてもきれいな流れだ。



滝近くにはこんな紅葉も。



探勝路は大きなブナの木が
たくさんあった。
ねじれて天に向かっている。



2014/10/4  布滝(30M?)  福島県北塩原村

秋の台風シーズンになってしまった。台風18号という非常に強い台風が沖縄あたりをうろうろしている。
この日は前々から県内の山に登る予定だったのだが、大気が不安定で山どころではなさそうなのだ。
しかし、せっかくの連休がもったいない。登る気満々だった気分ももったいない。
雨マークがついていなくて、天候が不安定でもなんとかなりそうな場所はないもんだろうか。
さんざん探して福島県の裏磐梯にある探勝路はどうだろうか、ということになった。
裏磐梯にはいくつも自然を散策できる探勝路があり、そのなかの一つ、雄国沼探勝路には今年の6月のキスゲのシーズンに行っている。(レポはこちら
自然探勝路というだけあって、それほどひどいアップダウンもなく、ほとんど林の中という印象があった。
であれば、ちょっと雨が降っても風が吹いても危険なことはないだろう。
しかも、早稲沢・デコ平探勝路には、布滝という滝がある。滝好きとしては、行っておかなければならない道なのである。
とかなんとか理由をつけて、相変わらず早起きもしないで高速道路に乗り、相変わらずどこかにお出かけ中(いつも雲で見えないんです)の会津磐梯山の脇を通り過ぎて磐梯山ゴールドラインに乗った。
台風の予報が出ているのにゴールドラインの中ほどにある磐梯山の登山口駐車場はあふれるくらいの満車。そこを通り過ぎて、檜原湖方面に下って行く途中が紅葉も真っ盛りで晴れていれば最高の登山日和だろうと思われた。
さて、我々は「早稲沢・デコ平探勝路」を早稲沢の下流方面から攻めるつもりでいるので、檜原湖畔をどんどんと北上していく。そういえばこっち方面にはドライブしたことがなかったが、とてもきれいな場所でただのドライブでも気持ちがよかった。
「早稲沢・デコ平探勝路」のさらに下流は、「吾妻川渓流探勝路」につながっているのだが、そっちは自動車で通れる林道が並行しているのでパス。けっこう荒れた林道をゆっくりと通り、終点の駐車場に着いたのは、午前10時をかなり回ったころだった。
    
  
駐車場はトイレがあり、20台くらいはとめられる。すぐそばに入り口があり、イラスト地図がある。
入り口には見事にいいかげんな尺度のイラスト地図がある。
とりあえず、我々の目標は布滝なのだが、その先まで歩くと、百貫清水という名水百選の水がある。体力にもよるが、そこまでは行ってみようよ、ということになった。出発10時40分。
道は広くてなだらかに登っている。落ち葉が敷き詰められていて気持ちがいい。時々甘い香りがするのは、カツラの木の香りなのだとあとで調べて知った。
最初、右手に渓流を見ながら進み、小さな橋を渡ると布滝まで0.7キロの道標だ。10時55分。
やや登りがキツくなり、いくつも小さな橋を渡る。紅葉がどんどんと深まって行くようだ。
    
  
渓流沿いのなだらかな道を歩く。
    
  
幾度も小さな橋を渡る。
    
  
分岐には道標が立っている。
    
11時15分、デコ平方面と布滝の分岐。ここから布滝はすぐ近くだ。
橋を渡って一つ曲がればもう布滝が見えた。
    
  
橋を渡って、右に曲がると突き当りに滝が現れる。
おお、ものすごい滝だ。
布滝はそれほど期待していなかった。どうせ小さな沢がストンと落ちている落差5メートルくらいの滝なんだろうと思っていた。
すみません、裏磐梯ナメてました。
目の前の崖、ほぼ全部滝だった。
もはや、どこからどこまでが滝で、どこまでが沢なのか崖なのか、さっぱり分からないくらい上の方から水がどんどんと分岐して幾筋にもなって落ちてきている。
遊歩道の到着場所がすでに滝の真ん中くらいなんじゃないかと思うくらい、下流も急な流れになって下に向かっている。
ただ、あまりに分岐が激しすぎて、全部をとらえようとすると、岩盤のほうが多く見えてしまう。水量が多い時はさぞとんでもないことになるだろうと思われた。
滝の一番上の部分は綺麗な直瀑になっていて、その上は見事なまでの紅葉が彩っていた。
無人であれば、岩をよじ登り、その部分に近づいたのだが、意外にも人気のある探勝路らしく、すでに数組の人たちが滝前で休んでいた。
さすがにおてんばできる雰囲気ではない。
ダンナは一つ上の岩までよじ登っていい具合に見える場所を探して撮影。
それまでなんとなく曇っていた空が、滝を撮影中にいきなり晴れて、太陽が紅葉を照らしてくれた。
なんて綺麗なんだろう。
これ、写真にするには難しいあちこちに散らばりすぎた水流を持つ滝だが、人間の目でみたらとてつもなく綺麗な滝だぞ。自分の目で見ることができて、幸せだなぁ、などと思った。
途中で追い越した単独の女性が記念写真を撮ってくれと言ったので、シャッターを押してあげた。この時間をここにいたのだと記録できるのも幸せだ。
ただし、どういうワケか滝前は羽虫が多かった。幸せと思う一方で羽虫の存在にえーい、うっとおしい、と思っている。自然は色々な面をもっています。
さて、この先、百貫清水まで行くつもりなので、名残惜しいが滝をあとにした。10時27分。
で、さっきの分岐から清水がわに進んでみると、どひゃ〜っ。おいおいおいおい、これはなんだ。
まるで天国に連れていかれそうなほど長い長い階段が目の前にあった。
    
  
長い長〜い階段。
これ登るのかよ〜。
体力を使うつもりはさらさらなかったので、一挙に気がなえてしまう。
しかし、決めたからには進むのだ。
ってか、お昼までにはもうちょっと時間があったので、どこかいい場所を探して歩くつもりだった。きっと百貫清水のあたりにはベンチとかあって、綺麗な水でコーヒーなんか沸かして飲めるに違いない。
そんな腹事情でぶーぶー言いながら階段を登った。
いや、ホントにひどい階段でした。終わったかなと思ったらまだ続いていて、なんと5分えんえんと階段を登り続けた。そこからも登りは続いてほぼ登山道状態になってしまった。えーん、探勝路もナメてました。
しかし、標高が上がった分、紅葉はいや美しく、見事に輝いている。秋を大満喫である。
    
11時50分、デコ湿原まで2キロの道標。
なにせ、イラスト看板があまりにもざっくりしていて、百貫清水までいったいどれほど歩くのかよく分かっていない。百貫清水はデコ平よりかなり手前のはずなので、もうそろそろだろう。
12時ちょうど、やっと百貫清水への分岐の道標出現。布滝から1時間半もかかっているじゃないか。
その道標からかなり下った場所に百貫清水はあった。12時5分。
ええー、これが百貫清水ぅ〜。と、思うくらいあまり綺麗に見えない小さな小さな池が百貫清水だった。とりたてて、広場とかベンチとかもない。看板が立っていて、なんだかでっかいひしゃくが立てかけてあった。
この池が清水ぅ?飲めるのぉ〜?
と、覗き込んでみると、それほど深くない底は砂になっていて、その砂がいくつもの場所でふわふわと舞い上がっている。底から水が湧き出しているのだ。
ああ、ホントに清水なんだなぁ。でも、池全体はホントに綺麗に見えないんだよなぁ。あんなにふつふつと湧いているのに、池そのものから水が流れ出ている場所はチョロっとしか流れていない。
つまり、水を汲むのは、あのひしゃくで湧き出ている場所からじかに汲むしかないわけである。
    
  
この池が百貫清水です。看板に立てられたひしゃくのでかいこと。
    
  
ふつふつ湧いているのがわかるかしらん。
広場もベンチもないので、お昼を食べる場所もない。
仕方がない、もう少し先に進んでいいところがないか探してみよう。
遊歩道に復帰する分岐まで行ったが、細い道だけでいい場所がない。そこから布滝方面に戻って清水に行く途中にベンチがあるのをみつけていた場所に行くことにした。
さっき通った時にはハイカーが休憩していたが、ちょうど今はベンチがあいていた。
木々に囲まれたベンチのあるだけの場所だが、贅沢は言っていられない。
ややすると、さっき滝前でシャッターを押してあげた女性がやってきて、私もここで、とあいたベンチに座って昼食にしていた。地元の人らしくて、この道は混まなくて静かに散策できていいと言っていた。
さらに大学の研究サークルみたいな一団が来て別の場所で休む。なかなか休めるいい場所のない探勝路なので、この小さな広場は恰好の休憩場所らしかった。学生さんたちの話によると、デコ平の湿原ではキキョウなどたくさん花が咲いていたとのことだが、お昼を食べている間に空の様子が違ってきた。
なんだか真っ暗くなってしまった。
ブナ林の中の探勝路なので、降り出してもひどい目には合わないとは思うが、この先のデコ平までは行かないほうがよさそうである。
12時50分に昼食を終えて、下り始めた。
  
  
下りは、目の高さが紅葉でいっぱい。
なんとなく雨が降り始めてしまったので、帰りに布滝には寄らずにそのまま駐車場に向かう。
13時45分駐車場到着。
ひどい降りにはなっていないが、雨だ。滝前であんなに晴れていたのに、やっぱり台風の影響かしらん。
その後、また磐梯山ゴールドラインを通って、道からじかに見ることができる滑滝ととび滝を写真に収めようと思っていたが、緑に阻まれてほとんど滝の姿が見えなかった。あの滝たちは、春先か冬に見る滝だわね。
そんなこんなで、台風の予報が出ていたわりに十分に歩いて、十分に素晴らしい滝を見ることができた。
秋も満喫できて、拾い物の休日だった。
交通
  布滝  最寄インターは、磐越自動車道猪苗代磐梯高原IC。国道115号、国道459号で桧原湖方面を目指す。
磐梯山ゴールドラインを利用する場合は磐梯河東ICが近い。
国道459号裏磐梯交差点で県道2号に入り、檜原湖を左に見ながらどんどん北上する。檜原湖のほぼ北端で右に農協の建物があるほぼT字の交差点になる。そこを右折。
ちょっと走ると農産物の直売所などが数件並んでいる場所があり、そこを過ぎてちょっと下ると右側に細いがまっすぐに山に向かっている舗装道がある。入り口に地味に探勝路の看板があるので、見落とさないようにするといい。そこから入り、道路が未舗装になり、デコボコになってもひるまずにどんどんと突端まで進むと、本文中の駐車場になる。
とにかく、早稲沢温泉や農産物の直売所を過ぎたら、ゆっくり右側を注意していること。見落とすと、白布峠に行っちゃいます。
布滝は、駐車場から徒歩1時間強。布滝まではほぼ平らな、なだらかな登りで、道も広い。



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