んがお工房の桜めぐり
2017年桜追い@
渋川の桜たち
2017年の春は、さまざまな事情が重なって私が全く使い物にならなかった。 2月の段階から母と姉をバスツアーで桜のお花見に連れて行くのだとあれこれ画策し、あちこち探しまわり、そのことで頭がいっぱいだった。 そういった事情もあって、というか、ここしばらく花めぐりの企画のほぼすべてをダンナが受け持ってくれていた。 2017年は我々の住む新潟県の中央、平野のど真ん中の地域はそれほど雪も多くなく、比較的暖かい冬で、きっと今年も春は早いと考えていた。あとで振り返れば、それは完全に思い違いで、北海道や山間部は例年以上の降雪があり、あちこちで雪の被害が出ているくらい厳しい冬だったのである。つまり、全国的に見れば、春は遅い。 この春は早いという勘違いは、この春の桜追いにけっこう思い影を落とすことになった。 特に私の頭から離れなかった母娘バスツアー、見事なまでの惨敗を味わうことになる。 ともあれ、2017年の桜追いは始まった。 4月初めに桜が咲いている地域はどこだ?ダンナがあちこち調べて、意外な場所をみつけてくれていた。 なんと、群馬県渋川市である。 群馬県渋川市といえば、あの伊香保温泉のある地域だ。 つまり、標高も比較的高い場所で、しかも空っ風の吹く群馬県。それで、4月の初めに桜が咲いているのかしらん。 連れて行かれるままの私は半信半疑ではあった。 |
真龍寺のしだれ桜 樹齢約130年のシダレサクラ。 特にいわれなどの説明看板はなかった。 この木だけでなく、 若いシダレサクラが何本も境内にある。 また、桜だけではなく、 たくさんの花に彩られたお寺だ。 桜の後ろに見えるのは、 ずっと下の方を流れる吾妻川。 たぶん、ベニシダレなんだろうな。 濃い色のつぼみがついている。 入口にあったシダレザクラ。 これが一番樹勢がよくて、 華やかに咲いていた。 階段の途中にあった赤い花。 なんていう花かなぁ。 バラ科ではあるんだけど。 境内の裏にあった桜の林。 もう少し育ったら、桜の名所になりそう。 |
4月9日 関越自動車道赤城ICを降りて、私の疑いは晴れた。なんと、降りてすぐの道沿いの桜が咲いていたのである。さすがに満開とは言えなかったが、きれいなピンク色になっている。 どういう気温の具合なのか、渋川の桜は標高のわりに早い。 とりあえず、まず目指すのは、道の駅小野湖。その近くに真龍寺というお寺があり、樹齢130年のシダレサクラがあるという。 道の駅で情報収集を、と思ったが、特に情報らしい情報もなく、トイレだけ借りて、ナビで検索。あった。道の駅から少しだけインター方面に戻り、国道353号から少しはずれたあたりに名前が書いてある。 しかし、道、ないじゃないか。 ここだろう、たぶん、という小道に入る。坂道でだんだんと登って行く細い道だが、ナビの地図にある真龍寺の文字の回りをぐる〜っと回って、国道に出てしまった。あれれ。 もう一度チャレンジ。 坂の途中に農道のようなとても細い細い道を発見して、対向車が来ないように祈りながら進めて、坂をぐんぐん上って行くとたどり着けた、真龍寺。その細い細い道と寺の間にかろうじて自動車一台くらいとめられるスペースをみつけて、そこに駐車。 やあ、もう桜のピンクが見えるぞ。ちょっと期待する。 門のところに若い樹勢のあるしだれ桜がふんわりと咲いている。そこから先は階段になっていて、両側に何種類かの桜が植えられていて、公園のように整備されて咲いていた。 最初の広場に、あ、これだな、とわかる古木があった。ほかの木とは違って年老いた感じのこぶのある幹をしている。花はまだつぼみが多く、そのため、いっそう年老いて見える。 いや、桜にしてみれば樹齢130年というのは若いほうなんだけどね。 お寺はさらに上に続く階段を登った先にある。その階段から老木を見下ろすと、下流では利根川になる吾妻川が遠景の背景になり、青い川面の色にピンクが際立つ。 階段をさらに登る。小さなお寺だが、斜面を利用して本当にたくさんの花が植えられている。とてもきれいなお寺だ。 さらに裏側にはコヒガン系の桜の植樹がされていて、桜の林になっている。ちょっと雨がちな日だったのだが、これだけきれいに咲いている桜たちを見に来る人がまったくいないのがもったいないくらいのお寺だ。 階段を下って、自動車に戻るときに、さらにたくさんの桜が咲いている小路をみつけた。お地蔵さんがたたずんでいて、なんだか昔話の世界に紛れ込んだような風景だ。 目的の古木はちょっと残念な感じだったが、寺全体が来てよかったと思わせられる花の寺だった。 お寺の手前にある小径。スミレにお地蔵さんに桜。のどか。 自動車は通れない道なので、散歩にちょうどいい。 |
金蔵寺の桜 群馬県指定天然記念物。 樹齢約190年のシダレザクラ。 紅色と白色の二色ある桜だそうで、 枝によって色味が違うのは 珍しいらしい。 この桜が咲き始める頃に 里いもの種を取り出して 植え付けを始めることから 「いも種さくら」と呼ばれているらしい。 |
つづいて向かったのは、金蔵寺のしだれ桜だ。 この桜は群馬県の天然記念物に指定されている桜なので、比較的見つけやすいと思っていた。 実際、県道35号線を渋川市街に向けて走っていたら、本当に簡単に見つけられた。 あ、金蔵寺。ここだよ。 もっと県道から奥に入った場所にひっそりあるかと思っていたら、県道沿いのお寺さんだった。 金蔵寺よりも、実は金井りんご村のこの看板が目印。看板のすぐ横が駐車場だ。 県道からはこんなふうに桜は見える。 広い駐車場もあるので、楽々駐車。 桜もすぐに分かった。 山門の向こうにきれいに咲いているシダレサクラがもう見えている。 木の本体は山門の向こう側なのだが、枝がこっちにもあふれてきている感じだ。 山門をくぐって見上げる。 見事に満開だった。 足元を見ると、稲わらを束ねたものを敷き詰めてあって、そばにも入れないように柵も設けてある。 とても大切にされている桜なのだと分かる。 根本には稲わらが敷き詰められている。 このお寺も花がたくさん咲いていて、とてもきれいだった。 |
真光寺の桜 たくさんの桜が植えられている真光寺。 なかでも、このシダレザクラが 一番樹勢もあり、立派だった。 樹齢は不明。 駐車場がわから見るとこんな感じ。 濃いピンク色がかわいらしい。 古い山門とその向こうに続く 桜並木の参道。 桜好きにオススメの道だ。 |
渋川の桜めぐりはお寺巡りと言っても過言ではない。 次に行くのは、真光寺。 こちらは、本当に市街地にあるお寺で、ざっくりとした地図にも載っているようなお寺である。 ところが、こっちのお寺のほうが思いっきり住宅街にあり、実はわかりづらかった。ただ、道案内が随所にある。それを見落とさなければ、細い道を曲がりついでたどり着くことができる。 最初とても細い参道の前を通ったが、そこには止まらずに案内通りに進むと大きな門の入口に到着する。 この門はいわゆる裏門だと思う。駐車はここにできる。本堂の横がわになる。 予想していたよりかなり大きなお寺で多少びっくりする。 あとあと調べてみたら、あじさい寺として有名なお寺らしく、むしろ桜のほうではそれほど有名ではないらしい。 そりゃ、もったいないです。 駐車場から境内に向かう道に、もう桜が咲いている。 境内に足を踏み入れなくても、見事なまでに咲き誇っているシダレサクラをみつけることができる。 わあ、すごい。 たくさんの支柱で支えられているが、それでも枝を四方に伸ばして、これでもか、と言わんばかりの樹勢の豊かさで咲き誇っているシダレザクラだ。 さすがに大きなお寺だけあって、この桜を目当てに来る人が何人か見上げていた。特に樹齢や品種の説明はなかったが、そんな説明はどうでもいい感じだった。 それにしても大きなお寺だ。 それに、あちこちに桜が咲いているぞ。 本堂の真ん前まで行くと、見るからに古木の桜がかろうじて残った枝先にピンクの花をつけていた。こいつこそ樹齢を教えてほしい感じの桜である。 ぐりぐりとねじれた幹はなんだかとてつもない年代を感じるのだが。 本堂とその前に立つ古い桜の木。 一度焼けたんじゃないかとくらい思わせられる樹皮をしている。 本堂を通り過ぎると、これまだ趣のある仁王像に守られた建物がある。そこにも桜。仁王様に桜って、意外と似合うなぁ。 本堂の前にある赤い扉の門と両脇に立つ仁王様。 そこから延びる参道は、さっき自動車で通り過ぎた細い参道だ。 ここに古い山門があり、そこまでの道は両側見事なまでの桜並木になっている。渋川のお寺、すごいなぁ。どこもかしこも花だらけだなぁ。 しっかりとした装備の女性カメラマンも古い山門と桜並木の写真を狙って構えていた。 そうだよね、この風景は誰かに見せたくなるよね。 綺麗に咲いてますね、などとあいさつを交わして、素晴らしい春を共有した。 |
桜森のヒガンザクラ 樹齢約400年のベニタチヒガンサクラ。 咲けば濃いピンクの花になる。 この時はまだ咲いていなかったが、 たくさんのつぼみをつけていたので、 きっときれいなピンクになるだろう。 背の高い桜の木だ。 ほんのちょっとだけ咲いていたのよ。 ほらね。 |
最後に訪れたのは、桜森のヒガンザクラ。 実はこの桜が私的には一番見たい桜だった。 というのも、樹齢400年。古木には古木にしか出せない風格がある。 新潟への戻り道、赤城インター近くの赤城北中学校のごく近くの八幡宮にその桜はあるという。 もう夕暮れも近くなって、その場所に行ってみて、あららら、残念。桜は全く咲いていなかった。 とてもさみしい道にあるとてもさみしい八幡宮に、細いうえに空洞になった幹に樹脂を埋められた痛々しい感じの老木が立っている。 咲いていれば多少はきれいだったんだろうけど、とにかくさみしく見えた。 説明によれば、その昔は八幡宮のまわりにはたくさんの桜が咲いていたので、桜森という名前がついたのだそうだ。 この木はその生き残りだとか。 ヒガンザクラであれば、長生きできる品種なのに、どうしてほかの木はなくなってしまったのかなぁ。 なんだかとってもさみしい気分にさせられる渋川の桜追いの締めくくりだった。 すぐ目の前は学校なので、子供たちの遊び場かもしれない。 ところで、この八幡宮には国の指定天然記念物のキンメイチクがある。 細い竹の節の一部が金色になるもので、ほんの一握りの竹林が大切にされていた。桜もキンメイチクもなくなってしまわないように、あたたかく守ってほしい。 これがキンメイチク。国の天然記念物。 |