2018年氷瀑を求めてB
中止の滝、早滝



中止の滝
明治の地勢調査の時に
この滝を見た役人があまりの美しさに
作業は中止じゃ、と言ったのが
名前の由来だとか。
夏場のことだろうけど、
冬に見ても、中止じゃ、と言っただろうなぁ。



大きさ比較。
先客が立っています。


見事なクラゲの連続。


完全には凍りついていなくて、
落ち口には流れがある。


氷って、青いんだね、と、
ため息が出る。


見事な晴天でした。


左側の落ち葉の斜面に先客がいるのが
わかりますか?
やる気満々で撮影中。




早滝
こうやって見ると、中止の滝と似て見える。
日陰になった時間帯なので、
ちょっと暗い。


すぐそばまでよって見上げることができる。


これが見上げている図。


見上げた先にはオバケクラゲ。


岩盤にもちっさい氷が。


これが直下から見た落ち口。
ギリギリまで凍っているように見えるけど。


ちょっと離れて見るとこんなくらい凍っていない。
落ち口付近の氷は脆そうだった。


ちょっと下流から撮影。
下流の流れも凍っているのよ。

2018/2/10  中止の滝(40M) 群馬県上野村
            早滝(40M)  群馬県神流町

2018年の冬はとんでもない寒波が日本列島を覆った。
我々の住む新潟県では、第一波でJRが15時間立ち往生し、第二波で佐渡で半数以上が水道管凍結で断水した。そして、2月の三連休の直前、第三波がやってきた。
実は私たちの生活にはこの第三波が一番影響した。とにかく毎日毎日大雪だったのだ。通常30分は絶対にかからない通勤に一時間半かかった。それでもマシな部類だ。場所によっては3時間の渋滞に毎日ハマり続けた人もいる。
出勤しても帰宅しても除雪の毎日。もうヘトヘトだった。
そんな折の三連休、実は滝どころじゃないだろう、と思っていた。どうせ家を出ても交通マヒが続いているから、渋滞にハマるのがオチである。おとなしく家にいて、雪を処理しているほうがいいんじゃないか。
でも、しかし。
我が家が2月に遠くの滝を見に行けるのはこの三連休くらいしかないのである。
これを逃すと趣味に使える休日は三月まで無い。
そして、三月になってしまったら、氷瀑は見られないだろう。
肉体的にも精神的にも雪にやられて疲れている。が、むしろ雪から脱出したほうが気持ちが晴れるんじゃなかろうか。
三日もあるんだから、残りの2日で雪と戦えばいいじゃないか。
と、いうことで、出かけてしまいましたとさ。
2月10日は連日大雪だった我々の地元も晴れ間が見える日だった。休日だけあって交通渋滞も発生していない通勤時間に高速道路に乗る。
市内はあちこち雪のために道路はデコボコでスピードも出せない、すれ違いもできない状態なのに、あらまあ、高速道路のきれいなこと。アスファルトが出ていて、スリップの危険がまったくない。さすがだぞ、NEXCO。これなら高い高速代も惜しくないぞ。
懸念した交通渋滞は全くなく、魚沼に近づくにつれ、むしろ雪は少なくなっているような状況だった。いや、魚沼は平年並みなのだろう。新潟の平野部に今回は大量の雪が降ってしまったために大渋滞が起こったのだろう。
除雪慣れした関越国境の高速道路はまったくストレスなく、カラっと晴れた群馬に出ることができた。
天気予報では曇りだったはずの群馬は青空。なんか、久しぶりに晴れた空を見たなぁ。
いつも群馬の氷瀑を見に行く時には藤岡インターから神流川をさかのぼって行くコースをとるのだが、こいつがめちゃくちゃ長い。国道462号を行けども進めども目的地に着かない印象が強かった。
だから、早滝はとてつもなく遠い滝である、と思い込んでいる。
今回は早滝と中止の滝を見るつもりなので、行く順路を別方向から組み立てた。
上信越自動車道の下仁田インターでおりて、県道45号を南下。湯の沢トンネルを経て上野村に入るルートである。
このルートだと高速道路が多少長くなり、トンネルもあるので、意外と苦労せずに群馬と長野の境目にたどり着くことができる。距離的には長いかもしれないが、気持ちが楽だ。国道299号に出たらすぐに神流川を遡る県道124号になるので、もう中止の滝に着いてしまった気になる。
いや、実際はこの先はけっこう長い。道は細く、トンネルだらけだ。ただ、積雪があると、むしろトンネルはありがたい。スピードを落とさずに進むことができる。
ほぼ自動車の通らないトンネルを御巣鷹の尾根方向に向かって自動車を走らせる。途中、御巣鷹山には登れない旨の看板はあったが、道路が冬季通行止めになっていないのが不思議なくらいだ。
ループ状のトンネルなどを抜け、通り過ぎちゃったんじゃないのと思うくらい走ると右手の川に張り出す形で作業用のプレハブ小屋があり、その向かいに「中止の滝」と看板があった。
2005年の12月にオフで来た時の記憶がよみがえる。そうだ、こんな感じだったよ。(2005年のレポはこちら
先客がいるらしく、自動車が一台とまっている。上野村のホームページで氷瀑の情報がアップされているので、もう少し人がいるかと思っていたが、一台きりか。

    
  
プレハブ小屋と左手の青い看板が中止の滝の看板。
  入口には中止の滝の表示とストック代わりの木の枝。

  
11時半頃、身支度して出発。
記憶がよみがえる、と言っても細部はきれいに忘れている。意外に登りがキツい遊歩道にぜいぜいと息がきれる。
確かここは、ロープを使って下ったはずなんだけどなぁ、こんな道だったっけなぁ。
やがて、しっかりとした手すりが出現し、崖に張り出したような箇所にはちゃんとした足場が作られていた。この滝を見に来てほしい上野村の意欲が感じられる。とはいえ、道はキツい。

    
  
最初はなたらかに杉の間を登って行くが、

    
  
手すりが出現すると、登る角度が急になる。
  
    
  
崖にへばりつくような道や、はしごみたいな足場もある。
  
  
  
分かりづらいが、滝前から鑑瀑台を振り返ってみた。はしご状の階段も設置されている。

ひいひい言いながら坂を上って行くと、あら、鑑瀑台に着いちゃった。
おわわわわわわ、ものすごくきれいに凍っている。
ここしばらくお目にかかっていない、水色を抱いたクラゲがたくさん張り付いているじゃないか。きれい、きれい、きれい。思わず声を上げる。
鑑瀑台は、滝の正面から見る感じで、高さとしては滝のまんなかくらいの高さだと思う。ちょうどよく滝全体を見ることができる。
2005年の時はなんだかもっさりした姿だったが、今年の氷瀑はとても美しい。見事な松笠状になっている。
鑑瀑台から滝に向かってちゃんとした作りの階段がつけられていて、安全に滝前に行くことができる。たしか前に来た時は細いロープが頼りだったはずだ。15年近くたっているんだものね。滝の環境も変わるわね。
先客の姿はすぐにわかった。なにせ、赤い。赤いジャケットに黄色いヘルメットを装着している。うーむ、本格的にやる気の人だ。いや、単独で秘境の滝に行く際には、氷瀑であってもなくても、ヘルメットは必要かもしれない。氷が崩れたり、落石があったり、危険が皆無というわけではないのだから。
はしご状の階段を下って、先客とあいさつ。きれいに凍っていますね、というと、もうちょっと凍ってくれているかと思っていた、との返答。
我々にしてみれば十分な凍り方だが、落ち口から数メートルほどがまだ凍りついていないので、完全結氷ではない。
それにしても、真っ青な空と太陽の光を受けて、その凍っていない水のほとばしりさえきれいに輝いている。
いやあ、大雪に負けて来るのをやめなくてよかった。本当に来てよかった。
我々が写真を撮影している間に本気の男性は右岸の斜面に登ってさらに撮影。じっくり滝と向き合うようだ。
我々は早滝にも行くので、それほど長居はできない。
男性に早滝には行きましたかと尋ねると、今日行って来た。完全に凍ってはいなかった。気温が上がると凍っていない部分が溶けて崩れてしまうかもしれない。との答え。あら、マズい。午後も遅くなったら氷が少なくなってしまう。急がなくちゃ。
男性にあいさつして中止の滝をあとにする。
途中、川の駅上野で下仁田のコンビニで買ったおにぎりとカップラーメンで昼食。とても気持ちのいいテラスのテーブルがあって、人が少なくて、なかなかよい自前ランチの場所でした。

早滝の林道入り口に着いたのは13時半過ぎ。看板前には自動車はなく、少し先の空地に1台駐車中だった。ここにも先客は一組か。
前にオフで来た時には、もう少し先まで自動車で行けたはずだが、入口の先の道のうっすらと積もった雪には轍の跡はなかった。それほど距離はないはずなので、歩き出す。なるほど、道は自動車が通れる状態ではないようだった。前はこのあたりに駐車したよね、という空地を通り、少し歩くといよいよ遊歩道になる。何度か来ている道なので迷わない。けっこう歩いたよな、という記憶ははっきりとある。
ゆるやかに登って、やや下り、沢を渡ると急登になるが、ここで一人とすれ違う。あ、先行者だ。とすると、滝前にはもうだれもいないな。
急登をヘロヘロと登り、こんな場所に鎖あった〜?と恨み言を言いながらよじ登る。

    
 
 早滝への道は分かりやすく案内がある。前は自動車が通れたはずの堰堤の脇の道は自動車通行は無理な状態。

  
林道から登山道になる。

    
  
とにかく、案内は分かりやすい。最初はなだらかだ。

    
  
左に見える川も凍っているが、ややとけ加減かしらん。
  小さな沢を渡って案内通りに仕事道に入らないように登って行く。ここから急登になにる。


    
  
鎖出現。鎖の次は岩場に放り出されるが遠くに早滝が見えてくる。

    
  
でも、滝に近づくにはもうちょっと登る。鎖が便りの道もある。
  
岩を回り込むと、おお、遠くに早滝の姿が見えた。
と、同時にそのそばにわらわらと人の影。え、貸切だったはずじゃないの?
いや、待て、そういえば我々が止めた林道の先には一台自動車があったが、そのさらに向こう側にも空地のような場所があり、2台くらい自動車があった。その人たちか〜っ。だが、彼らはもう撮影を終えたようで、滝を背にこちら側に歩いてくる。すれ違う時にあいさつをしたら、貸切ですよ、と言ってくれた。
それにつけても、雪の上を歩くのがものすごく危なっかしかったけど、大丈夫かなぁ。あのへっぴり腰で氷瀑撮影は怖かっただろうなぁ。
晴れて貸切となった早滝と向かい合う。
確かに、中止の滝で会った男性の言っていた通り、上のほうはなんだか脆い氷がなんとか張り付いているような感じだった。が、まだ崩れていない。
かなり近寄ってしまったので、落ち口からどれほど凍らずに水で落ちているかよく分からなかったが、2、3メートルは凍っていないようだった。
午後になって、谷が日陰になってしまって、中止の滝で見たような輝きはなかったが、たくさんのクラゲが何段にも重なってシャンデリア・・・いや、違うな、強いて言えばシャンパンタワーのようになっている。
ガチゴチの凍った流芯に抱き着くこともできるので、とにかく近く感じる。近すぎて、むしろ大きく感じない。
高い場所から見ることができた中止の滝と比べるとこんなに小さかったっけ、と思うくらい早滝のほうが小さく見えてしまった。
あとで調べたら落差は同じ40メートルだそうだ。
日陰になっているだけ寒い。右に左に滝を撮影したが、やっぱり氷瀑前は長くいられない。あとは温泉にでも入って雪の新潟に戻ろう。
滝を後に戻りかけたときに、カメラマンたちがつけた足跡を発見。滝のちょっとだけ下流から滝を見上げる場所があり、そこにたくさんの足跡があった。あそこから見るといいのね、と分かるのが雪のいいところだ。
そこもお土産で撮影して、滝に別れを告げる。
帰り道は、国道462号で藤岡インターに向かう。その途中の温泉に入るつもりでいたら、見事に見落としてしまった。仕方がないので、ナビについている機能で近くの日帰り温泉を探したら、高崎市のさくらの湯がヒット。源泉100パーセントのものすごくあったまるよい温泉だったけど、ちょっと駐車場の数が少なくてわかりづらかったよん。
結局温泉を探しながら下道を走ったので、多少時間が遅くなってしまった。新潟に戻ったのは、午後8時過ぎ。懸念していた積雪はなく、交通障害もなく家に戻ることができた。翌日からのお休み2日はとんでもない吹雪でしたとさ。
連休初日に出かけて、本当によかったです。
交通
中止の滝  我々は新潟からなので、上信越道下仁田ICを利用。国道254号で長野方面に向かって進み、下仁田交差点で国道45号と左折。そのまま湯の沢トンネルを抜けて国道299号に出る。ここは左折。それほど走らずに右手に県道124号を分ける。角に郵便局があるので目印になる。また、御巣鷹の尾根の案内もある。
この先、県道124号は長野県北相木村に通じているが、途中で浜平温泉のある場所で左折。ここにも御巣鷹の尾根への案内がある。
左手に上野ダムを見ながらトンネルの連続の道になる。ダムが途切れたあたりで、注意深く左側を見ていると、青い看板で中止の滝とある。
とにかく、中止の滝は御巣鷹の尾根を目指せば、その途中にある。
自動車は看板のあたりに2台ほど、小さな橋の向こう側に数台とめられる。
滝へはほぼ急登の道ではあるが、手すりや足場などきちんとされているので、困難なく行ける。我々の足で15分かからずに滝前まで行けた。

早滝 今回は中止の滝から行ったので、国道299号から462号を埼玉県方面に向かって戻っている。
早滝だけが目標であれば、関越道本庄児玉ICからひたすら国道462号を西に進む、神流町役場を過ぎて右に県道46号が分かれる。こちらに進む。角に八幡神社があるので目印になる。また、はっきり早滝と案内もあるので、間違わないと思う。万が一道の駅「万葉の里」に出てしまったら行き過ぎ。
あとは案内のとおりに進んでいけば大丈夫。
自動車は林道から先には入れない。「赤久縄山登山道のご案内」という地図のある場所に2台ほど駐車できる。林道のその先にも空地があるので、数台駐車できそうだ。
案内地図から我々の足で30分で滝前。遊歩道は整備されているが、鎖をつかんで岩を進む場所があるので、凍結時などは注意が必要だ。

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