2019年氷瀑を求めてA
番所大滝善五郎の滝





番所大滝
申し訳程度に両脇の氷のフリルがついている。
もっとも、この滝がカッチリと凍ることは
まずないとは思うが。


水流がやや激しい感じかしらん。


滝見台のあずまやは
あったかいお日様が当たっている。


氷のオブジェも少ないなぁ。


左岸のファルコン。


右岸のイーグル。


滝つぼも広く見える。



善五郎の滝
オバケみたいな善五郎の滝。
この姿は氷瀑の末期といった感じだ。


スノーシューの二人が立っている。
滝前も危なくないくらいには
一応凍っているんだけど。


流れの見える部分。
ちょっと怖くて近づけない。


小さいクラゲがたくさんついている。
どいつもこいつも、もっさりと凍っている。


こんな感じで春の氷のようにザラザラ。


アイスクライマーが登るあたりの氷も
ゆるゆるとしている。


2019/2/23  番所大滝(40M) 
           善五郎の滝(22M)  長野県松本市

氷瀑を求めて@に引き続き、今回もピンポイントの滝訪問である。
2月の頭でも暖冬でやたら暖かい日が続いていたが、まさかこのまま暖冬で終了するわけではないだろうと思っていた。2月も半ばを過ぎれば厳冬期に入り、きっとと滝もカチっと凍るはずだ。
そう信じていたのだが、ずっと暖冬だった。
こうなったら、もう、今年の氷瀑は標高の高い滝を狙う以外に手はない。
となると、我々には一か所しか思い浮かばなかった。
乗鞍高原の滝である。
氷瀑のスタンダードだ。
も、こんな暖冬の年は定番を行くのが一番無難である。
ただ、乗鞍高原はさすがに我が家からは遠いので、あちこちと見て回るわけにはいかない。善五郎の滝と番所大滝だけに絞ろう。
相変わらず早起きが苦手でそんなに早くもなく自宅を出発。この日の高速道路も実に快適で、豪雪地帯の妙高あたりでも路面はカラっと乾いていた。県境あたりはいつも濃霧で、前回この道を通った時には濃霧の上に除雪車というとても危険な目にあったが、今回はそんなこともない。路肩の高く積み上げられていた雪も除雪の甲斐あってほぼなくなっている。
まだ2月なのになぁ、すっかり早春の趣だ。
松本インターで降りて、ひたすら乗鞍を目指す。工事中だったトンネルが開通していたりして、多少通りやすくなってはいるが、まだまだ乗鞍高原は遠い。
正午少しまわって、番所大滝の駐車場に到着した。
げ、これがあの番所大滝の駐車場か。見たこともない感じだった。いつもの冬であれば、この駐車場には除雪された雪が高く積まれていて、数台とめられる程度の場所があるだけ。その雪の上を行かないと番所大滝の遊歩道には行けないのだ。
今年ときたら。雪がほぼ無い。からっからしている。
乗鞍も小雪だったんだ。

  
雪のほとんどない駐車場。

それにまあ、空気があったかいこと。2月なのに。
身支度をして歩き出す。遊歩道の階段は石の部分が露出しているが、日陰は氷だ。雪が積もっているよりもむしろ怖い。スパイク長靴をガッチリ効かせて歩く。ただ、ありがたいことに、いつもの冬だと鉄製の手すりは手袋が貼りつくくらい冷たく凍っているのだが、ことしは素手でも大丈夫。すがりつくのに困らない。
  
遊歩道も土が見えてるし。

  
階段もうっすら氷があるくらい。

  
日差しのあったかいあずまや。

番所大滝が見えて、周りを彩っているはずの氷のオブジェも少ないことがわかった。暖冬でもあるわけだ。
それでも、あつたかい日差しのなか、いつものあずまやでランチをとることができた。あったかいとはいえ、滝前なので、水しぶきが飛んでくる。じっとしていると寒い。おにぎりを片手に日の当たる場所まで出てうろうろしながら食べた。
番所大滝がこれくらいだと、果たして善五郎の滝はどうなっているだろう。まさか凍っていないなんてことはないだろうか。
多少心配になりながら駐車場まで戻り、暖房付のトイレをありがたく利用させていただいてから、善五郎の滝を目指した。
どんどんと標高を上げて行っても真冬っぽくない。晴天である分、空気がカラカラで景色もカラカラに見える。
あまりにも雪が少ないので、善五郎の滝の遊歩道に行く駐車スペースを見落とすところだった。ここの景色、こんなんだったっけ。
数台駐車している駐車スペースに自動車をとめ、身支度する。とてもよく晴れているので、サングラス装着だ。
遠くに乗鞍岳が美しく見える。なんて青い空、なんて穏やかな空気。

  
乗鞍岳が真っ白に見える。

  
空の青いことったら。

それにつけても、本当に空気が穏やかだ。いつもの冬なら肺がチリチリするくらい冷たいのに。冷たい空気に弱い私はマスク持参だったが、今年は必要なさそうだ。なにせ、サングラスにマスクでは、怪しすぎる。
遊歩道の積雪は確かに少なかった。暖冬でぐずぐずではないかと心配だったが、よく踏まれているのか、まったく長靴がもぐってしまう心配はなかった。
ただ、積雪が゛少ないせいか、アップダウンが余計にあった感じがする。雪が斜面をなだらかにしてくれていたんだな、今までは。
こんなに登ったり下ったりした〜?と文句を言いながら、川のそばの下りにとりかかる。すぐ前をスノーシューを履いた男女が歩いていたが、固い雪に階段状の斜面ではかえってスノーシューは歩きづらいらしかった。目の前で転びそうになっていて、川に落ちるんじゃないかとひやひやした。
滝の下流の橋を渡る。橋の上はやっぱり雪でいっぱい。川の中にマカロンみたいな雪をのっけた岩があるぞ。
このあたりの川もまったく凍っていない。凍っていて登るのに苦労する鉄製の階段も今年は楽々だ。


  
雪、少ないせいで登り下りが多い感じ。

  
いつもの橋も欄干が見える。

  
あ、白いマカロン。

階段を登ると、善五郎の滝が見えた。
あらららら。
凍ってはいる。
しかし、これは善五郎さんかしら。
見たことのない善五郎の滝が目の前にあった。
なんというか、もっさりと積もった雪、みたいな感じだ。ぐずぐずのざらめをなんとか盛ったみたいに見える。
残念という感情ではないが、うきうきするような感情でもない。
このもっさりとした善五郎さんを見て、唖然としている、としか言いようがない。
説明すれば「珍しいもん見たなぁ」というのが一番適格なその時の感想である。
暖冬でも善五郎の滝は凍る。でも、もっさり凍る。
小さいクラゲがたくさん貼りついていて、とけては凍り、崩れては凍りを繰り返したんだと分かる。きっと氷壁自体も脆いだろう。
よく見かけていたアイスクライマーも今年はいない。そりゃそうだ、これでは危ない。
スノーシューの男女はそれでもかなり感動しているらしく、何枚も写真を自撮りしていた。それから、近づいたダンナにもシャッターを頼んでいた。私達も撮りましょうかと言ってくれたが、丁寧にお断り。我々にとって大事なのは自分の姿ではなくて、滝の姿だから。
それでも、スノーシューの二人りも早く善五郎の滝を離れた。
今年の氷瀑はこれまでだな。
より暖冬であったという印象を深くした善五郎の滝の姿だった。
帰り道、夏に乗鞍岳に登った時に入った温泉(竜島温泉せせらぎの湯)に立ち寄って冷えた体を温めた。ここは、乗鞍に行った時にはオススメの日帰り温泉ですよん。
交通
善五郎の滝  長野自動車道松本ICをおりて、国道158号線で上高地方面に進む。スイカの名産地波田町を通り過ぎると、道の駅「風穴の里」があるので、そこで情報収集をするとよい。
途中、トンネルとトンネルの間で左折して乗鞍高原に向かう道に入る。県道84号である。乗鞍高原、と必ず道案内があるので、見落とさないようにすれば間違わない。
国道158号線がわから行くと、最初に番所大滝に出る。JAなどがある建物が立ち並んだ場所であるが、看板があるのですぐにわかる。一応有料駐車場になっているが、管理人などはいない。トイレはとても綺麗で、暖房が入っているので、冬場はありがたい。ぜひ利用したい。県道84号をさらに進み、いくつかのカーブを曲がったあたりに右側に善五郎の滝の駐車スペースがある。ここから行くと滝前に出られる。もう少し進んで、すずらん橋の手前左がわにもかなり広い駐車スペースがある。ここのすずらん橋がわからも善五郎の滝に行ける。こちらからはかなり高い位置にある滝見台に行くことができる。
冬場は休暇村までしか除雪されていない

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