2019年秋の福島、花の滝
大滝、長滝





大滝
これは一番上の段。
水しぶきを浴びるくらい近くまで行ける。



大きさ比較。
ど真ん中で私が手を振っているのが
わかるだろうか。
ほぼ滝つぼの縁にいる。
目立つ赤い衣服にすればよかったな。



三段に落ちる姿。
これが見られるのは、
遊歩道の最後の急坂をよじ登って
滝前に行くまでの途中だけだ。



滝と遊歩道の関係はこんなもん。
写真の左上が遊歩道を歩くダンナ。



二段目。
小さい流れに見えるかもしれないが、
上の写真を見ると
この二段目だけでも
けっこうな滝だとわかる。



一段目の滝前より。



一段目の滝つぼ。
それほど深くはない。



滝前はチョウジギクとダイモジソウだらけ。
岩の隙間からたくさん顔を出している。



分かりづらいが、一段目の滝つぼから
下を見下ろした。
ダンナが立っているのがわかるかな。
そのあたりで昼食にしました。



で、昼食を食べた場所から
下を見下ろしてみた。
すんごく危険な場所に見えるが、
安心して昼食できる場所だ。





長滝
遊歩道の途中からしか見下ろせない。
名前のとおり長い滝なのだが、
秋のこの日は草丈が長く、
滝を隠してしまっている。



きゅっと狭まるあたりのアップ。
滝下まで行って見上げたら
どんなふうに見えるかしらん。



遊歩道と滝の関係はこんなもん。
左下に滝が見える。

2019/9/23  大滝(50M) 長滝 福島県喜多方市

秋になってふと気がついた。
なんだかここしばらくマトモに滝を見ていない。
そもそもわがサイトは滝のサイトなのに、最近は山に行って花を見ましたよ、という報告ばかりしている気がする。これはいけない。滝が足りない。
そうダンナに言ったら、では9月の連休にどこか見ごたえのある滝に行こうということになった。
どこがいいだろう。体力も根性もお金もない我々が行ける滝は。
そうだ、飯豊の大滝に行こうとダンナが言った。
おお、あの大滝か。三段の滝の一番上の段の滝つぼあたりでお昼が食べられるあの大滝か。かなり久しぶりだし、またあの気持ちいいお昼が味わいたい。すぐさま決定。
ところが、行く予定だった9月の後半の連休に台風が来てしまった。
どうやら日本海方向に来そうである。それはマズい。
日月の連休の日曜日に行くつもりだったが、天気予報とにらめっこして、どちらかといえば雨の確率の低い月曜日に変更。
飯豊の大滝は前に2回行っているが、そんなに大変だった記憶がないので、翌日からお仕事でも大丈夫だろうと踏んだ。
えーと、大変でした。
完全に記憶が欠落してました。
前のレポを読んでみたら、ひいひいぜいぜい言いながら滝にたどり着いていた。よくもまあ、そんなに大変だった道のりをすっかり忘れてしまっていたものだ。
それも、私のみならず、ダンナもきれいに忘れていたらしい。うーむ。お気楽すぎるぞ、我々夫婦。
当日は台風が近づいていて、新潟にはフェーン現象のため35度近くなるという予報が出ていた。家を出る時もかなり強い風と雨模様の雲があった。
だが、内陸の会津地方に近づくにつれ、風もなくなり、空も明るくなってきた。こちらを選んだのは正解だったようだ。
ともあれ、午前11時半過ぎに起点である御沢野営場に到着。ここに至るのに一番近くて目標にできる「いいでの湯」という日帰り温泉施設をナビに入れたのだが、そこから先が問題だった。
過去、2回来た時にはまだ工事中だった道がすっかり出来上がっていて、なんだか様子が変わっていたのだ。
あやうく川入の民宿場に行く道をパスしてしまうところだった。
気をつけて見ていれば、御沢野営場へ行く道案内はちゃんとあるので、迷うことはないはずなんだけど。
ともあれ、なんとか民宿場の細い道を通って御沢野営場にたどり着く。三連休の最終日、しかも午前11時過ぎなのでさすがに駐車している自動車は数えるくらいだった。
トイレに行って、管理棟でパンフレットなどを入手している間に大きなザックを担いだ女性二人があー疲れたやっと着いたと戻って来た。飯豊の山々を歩いて来たのだろう。すごいなぁ。
我々は気楽なハイキングという感じで出発。
最初は自動車も通れるくらいの広い道を進み、飯豊の登山口との分岐まで進む。その先も堰堤までは広い道だ。

    
  
野営場から大滝遊歩道に入る。

    
  小さい橋を渡って、飯豊山の登山道との分岐。大滝は左側を進む。

    
  少しすると堰堤が見える。堰堤を超える端に進む。

堰堤を超えると、あれ、見たことある風景なんだけど、なんか違うなぁ。
この時点ではよく分かっていなかったが、実は堰堤から先の遊歩道、大きく崩落していた。土がむき出しになっていて、エスケープルートが作られているが、ロープを頼らなければならない場所も多い。
左手を流れる川や河原の風景は記憶にあるのだが、遊歩道ってば、こんなにひどかったっけなぁ。相変わらず気楽に考えている。

  風景には見覚えがある。

    
  でも、道はなんか違う。どうやら崩れてしまったらしい

その先、歩いて行くと、げ、アルミの橋が見える。
ええーーー、飯豊の大滝ってば、渡渉があったっけーーーー。
と、ここでもまだ思い出していない。己の脳みそながら恐れ入る。
このアルミの橋が怖いんだ。ガタガタしているうえに滑りそう。どこか橋を使わずに飛び石で行ける場所でもないかとウロウロしたが無理。
意を決してよたよた渡る。泣きそうだ。
その先を進んで行くと、またもや出てきましたよ、アルミの橋。こっちのほうがガタガタがひどい。ぶるぶる震えながら渡ろうとするが、途中で足がすくんでさらに怖い目にあう羽目になってしまう。だからさ、私はこの手の橋はホントーに苦手なんだわよ。きっと前世で一本橋から突き落とされて死んだんだわよ。
それにつけても、前回もびいびい泣きながら渡っているのに、それを完全に忘れてしまえる私の脳内はどうなっているんだろう。つくづくハッピーだ。
渡渉があったっけ、こんなに長く歩いたっけ。
とか言いながら花を見ては撮影に立ち止まりながら歩いて行くと、長滝がようやく姿を見せた。
秋の草が長く育っていて、遊歩道の下がわに落ちている滝のすべてを見ることができない。
長滝と滝名を記している杭も倒れて草の中にあった。

    
  一つ目のアルミ橋。赤いペンキの目印の対岸へと渡る。

    
  二つ目のアルミ橋。ガタガタして怖いのなんのって。

    
  遊歩道の回りにはゴマナがどっさり、カメバヒキオコシがみっしり。。

    
  大滝、と赤ペンキで書かれた大岩に根を張る木。 遊歩道には倒木もあった。

  長滝を示す杭。倒れてしまっている。

さらに上流に進むと、今度は橋もないのに渡渉しろと赤いペンキのマークが告げる。ベンキのマークの場所はどう見ても渡れない。
上流下流をウロウロして、ここならなんとか、という場所を見つけて飛び石で渡る。アルミの橋より実は私としてはマシだと思っている。
こんな道だったかなぁとぜいぜい言いながら歩いて行く。

    
  目印はハツキリしているんだけどね。そこが渡渉できる場所とは限らない。

    
  滝下に行くにはまっすぐ。上段に行くには左に行く。一応ペンキの目印はある。

さらに、滝下に行くのと滝の上段の滝つぼに行く分岐になり、上に進む道を見上げて絶句する。え、こんな場所登ったっけ。記憶がない。
登るというより、よじ登るというのがぴったりのロープ頼りの崖である。
やっと登って、平坦になった道から、大滝を見下ろすことができた。やっぱり見事な滝だなぁ。
だが、その先でまたロープ出現。これを登らないと上段の滝つぼには出られない。
どこに足をかけたらいいんだよ、といった感じの岩をロープにしがみついて登って、なんとか目的地にたどり着いた。

    
  ロープ頼りに崖を登ると、大滝が見えてくる。。

    
  滝の岩盤に突き当り、その岩盤をよじ登る。右写真、真ん中にダンナが張り付いている。

ここだよ。気持ちのいいテラスは。
この風景だけはよく覚えている。後ろに滝をしょって、前方はすっかり何もない滝の落ち口。高度感満点のこの場所は滝好きには最高のランチテラスだ。
滝前にはたくさんのチョウジギクとダイモンジソウが咲いていて、さらにテラスを彩ってくれている。
ちょっと遅くなったが、カップラーメンとおにぎりのランチ。粗食でもごちそうになる。
花を撮影し、滝を撮影し、でも明日からお仕事なので、早めに戻ることにした。とはいえ、もう午後2時30分なので、早めというワケでもない。
9月の後半であるこの時期のこの場所ではありえないだろうモヤっとした暑さで、多少疲労した。
帰り道は、いったいどこを渡渉したっけか、と迷う場所もあったが、とりあえず登山靴の中をぬらさずにすんだ。アルミの橋もびいびい言いながらクリアできた。

    
  戻り道、長滝の上の遊歩道。この遊歩道には巨樹もたくさんある。

  倒木もありけっこう荒れていた。

午後4時過ぎに野営場にたどり着いた時には、もう来ないぞ、と心に誓った。
でも、きっと5年もたつと苦しいことはすっかり忘れて、花いっぱいの気持ちいいテラスでお昼が食べられる場所として思いだすのだ、この飯豊の大滝は。
それはそれで、なかなか貴重な場所なのだ、と思うことにしよう。

交通
  大滝  最寄ICは磐越自動車道会津坂下IC。インターを下りたら、国道49号線を少し会津坂下市街に向かって走り、左折で県道43号に入る。北上し、山都駅前を通り、国道459号に合流。国道を喜多方市街方面に走って行き、相川温泉の手前あたりで県道385号線へと左折する。ここからは一ノ戸川を左に見ながら進む。
民家を離れ、左側に日帰り温泉施設の「いいでのゆ」を通り過ぎると、道は極端に細くなる。
以前来た時には道は工事中だったが、今回はすでに開通していて、まっすぐに進むと川入の民宿場を通り過ぎてしまう箇所がある。
とにかく、目的地は御沢のキャンプ場(野営場)なので、注意深く標識を見ているか、ナビに任せてしまおう。
川入の民宿が並んでいる場所で、いったいどれが道でどれが民宿の庭に入る私道なのか分からなくなる場所がある。とにかく、これが道なんじゃないか、というものすごく細い家と家の間の道を通り抜けると正面に川が出てくる。
この川を右手に見ながらちょっと進むことになるが、果たして道があるんだろうか、というくらい細い。
だが、それが道なのだ。
橋を渡り、ちゃんと進んで行くと道らしくなるので心配はない。
ただし、すれ違いは難しい。
ここからしばらく走ると、御沢キャンプ場の広い駐車場になる。
そこに駐車。
管理棟に大滝遊歩道の案内パンフレットがあるので、手に入れると安心だ。

大滝遊歩道は、飯豊山への登山口と同じ方向に進み、少し歩いた分岐で飯豊山の登山道と分かれて左側に進む。
本文中にも書いたが、遊歩道はかなり崩れていて、気楽に歩ける場所ではなくなっている。サバイバルの覚悟をしていったほうがよい。
渡渉も何度もあり、飛び石ではいかんともしがたい場所もある。長靴のほうがよいが、増水時やアルミの橋が流されている時などは渡渉は困難だ。
素晴らしい滝ではあるが、万全の装備と覚悟をもって訪問することをオススメする。
 
 大滝遊歩道の花たち
  秋の大滝遊歩道は意外なほどたくさんの花が咲いていた。
  なんだか我が家のホームグラウンドである新潟県魚沼市の本城の滝へ行く万年雪遊歩道の花たちに似ている。違うのは滝前の植相で、本城の滝は雪と雪崩がもたらした高山植物が咲くが、こちらはチョウジギクとダイモンジソウのパラダイスになっている。
面白い色のツリフネソウも咲いているので、興味のある人は一度歩いてみるといいだろう。

      
  アザミの仲間、アキノキリンソウ、ジャコウソウ。

      
  サラシナショウマ、カメバヒキオコシ、降るようなゴマナの群生。

      
  ツリフネソウ、キツリフネ、右は珍しいツートンカラーのツリフネソウ。名前があるのかしらん。

      
  クロバナヒキオコシ、ミゾソバの白花、オニシオガマ。

      
  ダイモンジソウとチョウジギク。

      
  カニコウモリ、遠くにあったトリカブト、ソバナ。

      
  きのこもたくさんあった。左は生のキクラゲかな〜。真ん中はナメコかな〜。ホコリタケ。きのこは怖いので収穫しませんよ。


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