2021年氷瀑を求めてB
庵滝氷瀑




庵滝
落差20メートルの直瀑が凍結する。
右側の氷の真ん中にまだ水流があった。



極近くまで行くことができる。
見上げてみる。



すごい氷の壁だ。



その壁の裏側に行ける。
目ではもっと青く見えた。
ガリガリ君のソータ゜みたいだ。



左側の氷の壁。
裏側にユキさんが行っている。
実は足元も氷。
アイゼンが大活躍である。



左側にポッキリ折れた氷柱。
誰かが蹴とばしたんじゃない、とか。
いや、危ないから、そんなことしたら。



大きさ比較。
アップの写真よりずっとデカい滝だと分かる。
わがパーティーの3人です。



クラゲもいましたよ。



雪が多くて、足場が分からずに、
下流の沢からの撮影は
思ったような場所に行けないようだった。





華厳の滝
2021年の華厳様。
ご機嫌麗しいようです。



風が強くて、水流が流されていた。



十二神さまたちも凍っている。



岸壁にも氷がくっついていた。





2021/2/11  庵滝(20M)  栃木県日光市

前もってお断りする。一応庵滝と紹介するが、実は地図上の庵滝の下流の滝である。
地図上の庵滝は我々が行った滝の上流にあるが、一般的には我々が行った滝を庵滝というらしい。
この滝がかかる外山沢の支流庵沢にはいくつか滝があり、我々が訪れたのはF1。地図上の庵滝はF5であるという記事もあった。F5に至るまではザイルを使用しなければ行けないような道のりではあるが、最大のF5地図上の庵滝(F1を庵滝と呼ぶ場合は区別するために外山滝ということもあるらしい)は、落差60メートルの滑状の大滝であるという。上級者か沢屋さんの領域である。


さて、この滝を知ったのは、登山の人たちが集まるYAMAPというサイトの活動日記からである。氷瀑というカテゴリーでいうと、実は滝好きよりも山好きの人たちのほうが意外な滝を知っている。
我々は全く知らなかったこの滝も、山好き、トレッキング好きの人たちにはよく知られていて、人気のあるコースらしかった。
何度かこのトレッキングコースを歩いたことのあるダンナのYAMAP仲間であるYutaさんとユキさんに案内していただく約束をとりつけ、2月11日の休日に日光を目指すことになった。
2月11日にしたのは、翌日が平日の飛び石の休日なので、人気のコースでも人出が少ないんじゃないか、という算段があった。
なにせ、新潟から行くので、時間がかかる。駐車も一苦労というから、少しでも人が少ない日を選びたい。
金精峠が冬期閉鎖のため、足尾から日光入りして、いろは坂を登って中禅寺湖を通り抜け戦場ヶ原入りする必要がある。氷瀑を見るには冬に来るしかないのだが、冬であるがためにぐるっと遠回りしなくてはならない。
そんなこんなで、午前5時過ぎに自宅を出発。比較的走りやすい高速道路だが、除雪後の雪壁を処理するためなのか、除雪隊が出ていて、多少の足止めがある。さらに、珍しいことに関越トンネルを通って群馬入りしても降雪積雪があり、ここでも多少の時間ロス。予定より30分遅れて午前9時半に集合場所の赤沼茶屋に到着した。
駐車スペースを確保するために早めに日光入りしてくれた群馬組のYutaさんユキさんと合流。軽自動車の利点を発揮して小さいスペースに無理やり駐車させてもらうことができた。
赤沼茶屋。寒い。
空は青いのに、なんか真っ白な風が吹く。
新潟で言えば地吹雪というやつだと思う。もう地面の雪が舞っているのか、雲からの雪が落ちてきているのかさっぱり分からない。
支度を整え、トイレに行って出発。
赤沼茶屋や駐車場は冬期閉鎖されているが、トイレは使用可能でありがたい。
我々が支度をしている間に10人ほどのトレッキングツアーの団体が出発して行った。他にも何組も出て行く。
駐車場が閉鎖されているために、赤沼茶屋の脇の道路にたくさん路駐している自動車があったが、あれが全部庵滝に向かっているとしたら、ホントにすごいことだ。真冬の滝にそんなに人が向かうのか。ちょっとびっくりである。
トイレ近くのあずまやの向こう側が遊歩道の入り口。
幅の広いよく踏み固められた道が続く。
右側の小川を眺めながら進むと、太鼓橋が見えた。
これを渡り、さらに進む。
私とダンナはスパイク付きの長靴。Yutaさんとユキさんは軽アイゼン。スノーシューでないとダメかなと思ったが、まったく心配はないほど道はしっかりついていた。
ただ、気温が低くて雪がサラサラなので、ひとたび踏み跡から外れるとスポっと潜ってしまう。この微細な砂のような雪は新潟ではなかなかお目にかかれない。さすがに標高が高い。
それにしても風が強い。
ゴウゴウと音が遠くから近づいて来て、頭上の木々の枝をゆらし、雪を巻き上げて、その雪が我々に襲い掛かって来る。上空の空が青いのが分かるのがなんだか悔しい。こんなに雪だらけになるはずじゃないのに。
ほぼ真っ白な世界。
樹木と雪だけである。それが魅力でもあるのだが。
以下、写真にて順を追って行程を記します。

      
  中禅寺湖脇の道路はこれくらいの積雪。帰りにはすっかりなくなっていた。9時26分、赤沼茶屋到着。
  茶屋の向かい側にトイレがある。

      
  あずまやはトイレの隣。あずまやをくぐって遊歩道へ。9時33分。小川の脇を通って、橋になる。9時41分。

      
  橋を渡って林の中へ。時折猛烈な地吹雪が吹く。10時03分、先行していた団体さんに追いつく。
  踏み跡が不明瞭になり、団体さんはスノーシューを装着しているようだ。
  追い越して、歩いて行く。よく見れば踏み跡はちゃんとあり、吹き溜まりでなければ長靴でも大丈夫だ。
  時々道標が出現する。小田代ケ原0.3キロ道標、10時12分。

      
  これは何の目印なのか、木に緯度経度の印があった。サラッサラの雪なので風紋がついている。

    
  目の前になにやらゲートが。鹿よけのゲートだそうだ。その手前の切り株にだれがつけたかニコマーク。10時18分。

      
  小田代ケ原まで0.1キロの道標。すぐに鹿よけゲートで網の外に出る。すると、車道に飛び出したが、あまりに真っ白。
  すぐにそこが車道だとは気がつかなかった。10時25分。

      
  うわっ、ブリザード。雪が猛烈に襲い掛かり、チリチリと当たって痛いくらいだ。
  車道を歩いて行くと、左手にトイレとあずまや。10時36分。
  右手が小田代ケ原展望台。冬期はここのトイレは使用不可だ。
  さらに車道を歩く。いくつかカーブを曲がったあとに右手に異様な風景が出現。
  木の苗を網状の筒で鹿から保護したものがズラっと並んでいる。ものすごく多い。
  しかし、ここが庵滝へ行く道の入り口だ。とてもいい目印になっている。10時50分。

      
  この保護網が、まあ、見事に直線に並んでいるのだ。キッチリと。その間を歩いて行く。
  すれ違いができないので、網筒の向こうにもう一本踏み跡ができている。二車線。

      
  11時01分に網筒の最後を通り過ぎ、あとは雪に覆われた山道だ。
  沢のすぐそばを通っているので、注意が必要である。
  スノーシューだから自由に歩けると、踏み跡を外れると、沢に落ちてずぶ濡れになりかねない。

      
  車道から山に入ってからが思いのほか登りがキツい。雪の中で寒いはずなのに、暑くなってくる。
  さすがに疲れが溜まったあたりで遠くに水色の氷の塊が見えた。
  11時42分、庵滝到着。予想以上にたくさんの人が滝前にいる。
  一番長かっただろう中央のつららが半分になって落ちていた。右写真のダンナの指先にその先っぽが落ちている。
  それほど雪が被っていなかったので、最近のことだな。
  たくさんの人が滝に近づき、思い思いの写真を撮影している。我々も裏から見られる氷の向こう側に行ったりした。
  滝前が混雑しているし、昼食をとれるようなスペースもないので、戻って、小田代ケ原のあずまやで昼食にすることに。
  12時05分頃、庵滝をあとにする。

    
  ところで、雪の上にあちこち黄色いゴミが。てっきりィキャンディーの包み紙をポイ捨てする人がいると思った。
  それにしては同じ色だし。グループでポイ捨てしてるのか?いやいや、実は樹木の皮。右の木がその皮の主。

    
  途中、平らで広い場所に出たので、ちょっと小腹を満たすことに。
  ユキさんが持ってきてくれた生クリーム大福をいただきました。美味でしたよ。12時19分。
  それを食べている間に下のほうから真っ白いモンスターが湧き上がって来た。
  風が雪を巻き上げて迫って来るが、我々の場所に来る前に消えてしまった。あれに襲われたら痛かっただろうな。
  12時35分、最後の網筒。 12時45分、車道に出る。

      
  12時58分、小田代ケ原のあずまやに到着。
  写真では暖かそうだが、ここがまあ、とんでもなく寒かった。
  湿原から風がダイレクトに吹き付けるのだ。冷凍庫の中みたいだった。
  実際、洗って放置しておいたマグカップの底がものの数分で凍ってしまった。
  そんな中でもしっかりYutaさんの手挽きのコーヒーをいただく。あったかさが身に染みます。
  ここでは色々な人がなにがしかを食べて、食べ屑を落としていくらしい。
  ゴジュウカラがその食べ屑をくわえては飛び去り、くわえては飛び去りを繰り返していた。
  我々をちっとも怖がらない。というか、この極寒ではまず食糧確保のほうが大切なのだろう。
  このゴジュウカラはとてもよいエサ場を知っているということだ。

    
  あまりに寒くて箸を持つ手もかじかむので手袋をしてカップラーメンを食べる羽目に。
  じっとしているとホントに凍死しそうで、向かいの小田代ケ原から男体山を撮影しに走る。
  動いていないと凍る。
  いつもならもう少しのんびりとするところだが、急いで片づけて急いで歩き出す。13時40分。
  13時50分、鹿よけネット入り口。13時55分、出口。14時24分、橋。
  14時35分、赤沼茶屋到着。ご苦労様でした。

あまりに寒くて、自動車に戻り、もう少しYutaさんユキさんと話したかったが、とにかく体が凍えていて、外で立ち話は無理だった。また春にどこかで、と早々に分かれる。
暖房の効いた自動車の中でもしばらくビリビリした手の凍えがとれなかった。
いやぁ、久しぶりにガクガク震える寒さにあった。冬のトレッキングが盛んな場所であれば、せめてあの小田代ケ原のトイレのあたりに小屋がないと、そのうち取り返しのつかない事故が起きるかもなぁと思った。まず歩く人たちが身を守るのが大前提だけどね。

まだ3時前だったので、帰り道に華厳の滝さまだけにはご挨拶に伺った。
実は竜頭の滝の真ん前も通るのだが、そのあたりではまだ体が寒いのがイヤだと言ったのでパス。
華厳の滝の駐車場で見事な青空のもとの男体山を見て、あの向こう側で凍えたんだと思う。

  華厳の滝駐車場からの男体山。0

ただでさえ人の少ない真冬の華厳の滝、それでも数台駐車場には自動車がとまっていて、展望台にも人がいたが、やっぱり寒くて短時間しかいられないようだ。我々も数枚写真を撮影して撤収。あとは4時間かけて新潟に戻るだけである。
それにしても、奥日光がこんなに寒くなるなんて予想してなかった。さすがに滝が凍るだけはある。
今度は、もうちょっと暖かくて、もうちょっと花なんか咲いているような季節に来てみたいものである。
凍っていない庵滝も見事な直瀑だというから、それも見てみたいものだ。
交通
  庵滝  我々は新潟から向かうので、関越自動車道赤城ICで下りて、国道353号から国道122号に乗り足尾を経て栃木入りした。夏場であれば、金精峠を通って戦場ヶ原がわから日光に入れるのだが、冬期閉鎖中なので致し方ない。
国道120号に左折で合流。中禅寺湖方面に向かう。
いろは坂を上り詰め、中禅寺湖を左に見ながら進み、竜頭の滝を通り過ぎ、少し走ると右側に赤沼茶屋、反対側にトイレのある場所に出る。ここが冬場の出発地点。
自動車は赤沼茶屋に駐車できる場合があるが、できない時は路駐になる。赤沼自然情報センター側の道にたくさん路駐している。除雪の重機が入る場合があるので、国道には駐車しないように。
トイレがわのあずまや付近から遊歩道になる。
写真を撮影しつつ、スパイク長靴の我々で2時間強で滝前に着く。
人気のスノーシュートレッキングのコースなので踏み跡ははっきりとしているが、それを外れると見事に埋まるサラサラの雪なので注意が必要。また、途中車道から再び山に入ったあとは沢沿いを歩くことになる。踏み外すと川にハマる恐れがあるので、スノーシューでも踏み跡をはずれないほうが無難。
車道から山に入る後半は、完全に雪山登山である。
風が吹くと好天でもかなり寒い。防寒はしっかりしておかないと、凍える。

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