んがお工房の桜めぐり
2022年桜追い@
大田原の桜たち(西行桜、梅曽しだれ桜、青木のしだれ桜
北野上小学校跡の桜、)、戸津辺の桜
2022年も桜追いの春が始まった。 今年の春は、早いのか遅いのかさっぱり分からない状況だった。 なにせ、3月の下旬には3月にあるまじき20度近い気温まで上がり、次の日にはコロっと雪が降りそうな気温に逆戻り。三寒四温のメリハリつけ過ぎの早春だったのだ。 しかし、3月に入って今年の桜追いはどこに行こうかと思案して、おおざっぱには福島方面と決めていた。中通りから浜通りの方面だ。 ところが、そう決めて少しずつ桜を調べ始めたところでその地域に大きな地震 があった。 さすがに被害の大きな場所に桜を見に来ましたというワケにはいかない状況である。 さて、困った。福島の桜はまたの機会だ。 では、どこの桜を追う? 物事を決めるのは、我が家ではいつも適当である。 今回のキーワードはスナネコだった。 スナネコという動物の赤ちゃんが公開されるというニュースを見たので、よし、スナネコを見に行こう。那須に行こう、というこになったのである。 スナネコありきで那須方面の桜を探し、桜を決定したあとで、スナネコのいる那須動物王国の入場料を調べたら想定よりもかなりお高かった。 速攻でスナネコを諦め、では、かねてから気になっていた「八溝山」という山に登山しよう、ということになってしまった。 スナネコ、どこに行った。 ともあれ、スナネコは消え去り、栃木県の桜を巡るというのだけは残った。 今年の桜追いのトップバッターは、栃木県大田原市の桜である。 |
西行桜 大田原市天然記念物。 とちぎ名木百選。 樹齢800年。 ただし、現在の木はひこばえらしい。 西行法師が奥州行脚の際に 「盛りには などか若葉は今とても こころひかるる糸桜かな」 と詠んだことから西行桜の名があるとか。 しかし、老木であることには変わりない。 幹には補修の跡がある。 花はこんな感じ。 西行の詠んだ「いと桜」っぽくはないなぁ。 しだれ具合は弱いけど、 一応しだれ桜ではあるのよ。 花の咲きぶりは見事で、ふっくらとしている。 和傘の演出つき。 琴の音も流れている。 でも、むしろ鐘撞堂とのショットのほうが、 老木には似合っている気がする。 |
4月2日 それほど早い時間でもなく自宅を出発し、途中磐越道から見事なまでの会津磐梯山を見ながら栃木県入りした。 栃木県内には一般道で入るのだが、新潟県の桜はまだ蕾も固い感じで咲いていないのに、自動車を栃木に向かって進めるうちに、梅が咲いたり、桜がほころんだりと、どんどん季節が進んで行った。 いつもは留守して見えなことが多い磐梯山。今日はご在宅。 さすがに隣県というわけにはいかないロングドライブである。 11時半頃に最初の目的地の法輪寺に到着。 大きなお寺なので、迷わないですんだ。 駐車スペースに行くと、おや、なんだかお祭りみたいに出店が出ているぞ。 駐車場の一角に出店があり、その向こうにしだれ桜が見える。 お寺の境内に入って行くと、琴の音が流れていて、和傘が苔の緑の庭にいくつか並べられているのがまず目に入った。 おお、桜が咲くのに合わせて演出がついているぞ。 何人かの三脚をしつらえたカメラマンが演出込みの写真を撮影している。 桜は門から出ると右手にあり、大きな木が2本。さて、西行桜はどれだ? 西行桜は奥の鐘撞堂の前の桜で、案内看板があるのでわかった。 古木ではあるが、花のつきが見事で、古さを感じさせない。 本堂の前の緑の苔むした庭を見て、桜を堪能しつつ鐘撞堂の裏側に出て、駐車スペースに戻ることができる。 駐車スペースのそばにはミスバショウが植えられた場所もあり、春を満喫できるお寺だった。 山門をくぐる。 と、右側に桜の木が見える。 苔の庭に和傘が並んでいる。ちょっとした絵画のように見える。 駐車スペースのそばのミズバショウ。 |
いよいよお昼近くになって手持ちのおにぎりを食べる場所に困った。 が、道すがらの案内に「なかがわ水遊園」というのがあったので、河川公園だろうと思いそちらに自動車を進めた。 行ってみてびっくり。かなり広い公園ではあったが、実は水族館で、その周りに釣り堀だとか芝生広場とかがあるのだった。 広い広い水族館メインの公園。 さすがに水族館に立ち寄る時間はなかったが、おにぎりを食べられる場所は豊富にあったので、そこで昼食。 トイレも借りられて、午後からのエネルギー補給をできた。 |
梅曽しだれ桜 吉田観音寺のしだれ桜の根上がりを 氏子がもらい受けて 昭和51年に植樹したもの、 と説明看板に書かれていた。 樹齢にして100年にもなっていないと思うが、 姿形が見事な桜である。 花はこんな感じ。 あふれんばかりに咲き誇っていて、 見ていて嬉しくなってくる。 |
次に向かうのは、Googlマップで見つけた桜である。 西行桜の咲く法輪寺の位置を調べている際にみつけることができた。 樹齢が若いので、古木一本桜好きのサイトには載っていなかったものである。 マップからの情報なので、位置は特定できている。 なかがわ遊水園から国道294号に出て、箒川を渡り、県道285号が出てきたら、そちらへ右折する。 やや走ると、満開時はいやでも目立つ姿美しい桜がY字に分かれた道の真ん中部分に立っている。 どうやらこの辺りには古墳などが多いらしく、古代文化の故郷小川という看板もあり、桜のあたりがその史跡めぐりの駐車スペースになっているらしかった。 この曲がり角からさらに奥に行くと、ふるさとの森公園というのもあり、桜を探すには、その公園を目指すのが一番手っ取り早いと思う。 とにかく枝ぶりが見事な枝垂れ桜で、咲いている枝が目の高さにある。 枝の中に入ると、降るような花のシャワーを浴びている気分にさせてくれる。 出会えてよかった桜である。 ちなみに、この桜の親である吉田観音寺のしだれ桜は、下調べを全くしていなかったので、探す手立てがなく、見ていない。 ちょっと残念。 公園に行く道と県道が分かれる又の部分に立っている。 |
青木のしだれ桜 大田原市天然記念物。 樹齢約200年のしだれ桜。 まだ咲き始めたばかりだった。 足元に説明看板が立っている。 なんとか気の早い数輪が開いていてくれた。 満開の姿が見られなくて、残念。 |
続いては国道294号を大きく北上して、中野内という地域の龍念寺を目指す。 ここには西行桜の子孫と言われている桜があるのだ。 ナビに案内してもらい、龍念寺に行ってみると、県道からほぼ農道みたいな細い道の向こう側にあった。 おかしいな、桜が咲いていれば、すぐにあそこだと分かるはずなんだが、ナビが案内する方向には桜のピンク色がない。 だが、お寺に着いてしまったぞ。 あららら、咲いていない。 まだ蕾の状態だ。 境内というよりは、駐車スペースから見上げる場所に桜はあるのだが、見事に咲いていなかった。 自動車で30分ないくらいの北上なのに。標高が高いのかしらん。 資料ではとても豊かに花をつける枝垂れ桜のはずだったので、残念でならない。 龍念寺は桜より奥に本堂がある。手前が桜。 椿の花が落ちている階段をのぼって、桜のもとへ。 椿の花と桜のコラボ。 しだれ桜ではなくて、駐車スペースの桜の足元に石仏があった。 |
北野上小学校跡の桜 樹齢は不明のしだれ桜。 学校だった建物の風情がものすごくよい。 これくらいの高台に桜はある。 手前の小屋のそばに私が立っている。 まさに満開。 びっしりと花をつけている。 下に入り込むと、桜の傘を差したようだ。 |
次は大田原市の桜については、上の3本の桜だけ見る予定だった。 他にも何本かこの市にはよい桜木があるのだが、時期や地域からこの日見られるのはこれくらい、と思っていたのだ。 なので、次の目標である八溝山に向かって自動車を走りはじめた。 しかし、桜の木は人とともにあり、満開に咲いた時に自ら人を呼ぶ、というのを桜追いを初めて毎回実感している事が今回も起こった。 何の期待もせずにただボーっと助手席に座っている私の目にこの桜が飛び込んで来た。 止まって、止まって、この桜は絶対に見なくちゃならないよ、と自動車を止めることを要求。 いつであれば、止められない国道沿いであると拒否されたり、自分でも無理なら止まらなくていいというところなのだが、この桜はすぐそばに空き地があった。 通行の妨げにならずに誰の文句もなく自動車をとめて桜を見ることができる。 桜は高台にあり、何やら建物のそばに立っているようだった。 高台にあるので、背景の青空にふっくら咲いている枝垂れ桜が赤い建物に似合って、本当に美しかった。 学校かしら、あの建物は。 見ると、自動車を入れた空き地に石碑があった。 「旧北野上小学校跡」 そうか、ここは小学校だったのか。 現在は北野上南区の集会所になっている。 桜そのものは樹齢も若いだろうので古木というわけではないが、建物との相性が本当によい。 絵になる桜と言っていい。 よくぞ私を呼んでくれた。 今年の桜のなかで、一番の拾い物の桜になった。 場所は国道461号線で茨城方面に向かって左側にある。 いきなり見つけたので、場所はよく分からないのだが、目印は那須黒羽ゴルフクラブの入り口を通り過ぎたあたりの高台。細い道が手前とちょっと過ぎた所にあって、坂を少々上がるとグラウンド的な空き地になる。桜はさらに上の高台にある。 たぶん、北野上南区集会所で検索すればナビで行けると思う。 自動車を入れたのは学校のグラウンドだったのかな。 |
桜めぐりのはずだったのだが、前述したとおり、スナネコから転じて八溝山になった経緯がある。 八溝山に登るつもりで自動車を進めた。 しかし。 ナビに八溝山と入れて案内された道はどんどん険しくなり、しまいに林道になった。 いや、山だから登山口が林道というのはよくある。 その林道が、とんでもなく林道だった。 ガードレールがない崖にへばりつくような道で左側がスコーンと開けている。 開通したばかりなのか、落石や枝がたくさん落ちている。 この道でいいのか、あの山なのか、いつまで続くのか、どこまで行くのか。 先行する自動車があったのだが、その自動車も不安になったのか、脇にそれて我々を先に行かせる始末である。 不安になりながらそれでも駐車場に到着。 よし、登山、と思いきや、なんと5分も歩かずに展望台らしき建物が出現し、そのすぐそばに三角点があった。 八溝山って、ドライブコースだったのか。 1022メートルの標高があるだけあって、寒い。 だが、遠くの山並みがよく見えた。 しばらくしたら我々に道を譲った自動車も到着して、孫連れの夫婦がやって来た。 展望台は凍っているので気をつけてください、と挨拶した。 八溝峰神社。展望台。駐車場から徒歩5分。 展望台には方位盤があり、その周りは凍り付いていた。さすが標高が高い。遠い山々もまだ白い。 三角点。ちょっと下った場所にある神社の鳥居には馬の像があった。 とりあえず登頂はした。 帰り道は茨城県がわに下る。来た道よりもかなり楽だった。 |
戸津辺の桜 福島県指定天然記念物。 樹齢600年の江戸彼岸桜。 青空を背景に今年も豊かに咲いている。 支柱は新しいのが増えたかな 八分咲きなので、支柱が目立つ。 |
八溝山を来た道とは別方向に進むと、茨城県側に出る。 実は来る途中に福島県側に出る道もあったのだが、そちらはまだ冬期通行止めだった。 茨城県側に出ると、我々はよく通ったことのある国道118号になる。 この道は、さらに南下すると袋田の滝に向かう道なのである。 家からは遠いが、何度も通ったことのある道なので、知らない林道よりはかなりほっとした。 この道を使って家に戻るとなると、必ず通る桜がある。 戸津辺の桜。 2020年に初めて見に来た、東北で一番最初に咲くんじゃないかな、という桜の古木だ。 まだ早いかな、と思っていたが、ちゃんと咲いていてくれましたよ。 八分咲きくらいだろうか。 それでもたくさんの人が桜を見に来ていた。 あとは国道118号を北上して東北道磐越道と乗り継ぎ新潟に帰るだけである。 ぐるっと三県走り抜けたドライブになってしまったが、今年もいい桜を発見して、幸先のいい桜追いの旅になった。 |