んがお工房の桜めぐり
2023年桜追い@
桜川のさくら、笠間の桜たち、大戸の桜
2023年の春は、思った以上に早くやって来た。 東京がまず史上タイの速さで開花し、各地方もぞくぞくと最速の開花を更新した。 桜といえば4月も半ばとイメージしている新潟県でさえ、夜桜で有名な高田公園が3月末で満開になってしまった。 これは大変だ。 今年の桜追いは、例年以上に駆け足になりそうだぞ。 とはいえ、3月最後の日曜日である26日に桜が見ごろの場所はそう多くなかった。 我々は主に1本桜をメインに桜めぐりをしているので、都内の桜は基本的にパスである。 それではどこがいいだろう。 さんざん迷った末に、茨城県に国の天然記念物の桜があるのを発見した。 大戸の桜。 国指定天然記念物の桜は全国で40あるかないか。 そのうちの一つが茨城にある。 調べていくうちに、さらにもう一つあることが判明。 桜川のさくら。 そうなるともう、多少遠くても行く気満々になってしまった。 もっとも、国指定天然記念物の桜が豪勢で見栄えのある桜とは限らない、というのは、新潟県の国指定の桜たちで十分承知している。 それでも、なんか、見てみたくなるのである。 直前まで開花状況を睨み、情報のある近隣の桜たちがもうすぐ見ごろになっているのを確認して、今年最初の桜追いの場所を茨城にした。 さて、大戸の桜と桜川のさくらを見るのはいいとして、その2つでは桜めぐりにならない。 調べてみると、地味ではあるが、笠間市にはいい具合のしだれ桜の1本桜がいくつかある。 これをぐるっと見て回ってみよう。 |
桜川のさくら 国指定天然記念物。 1本の桜の木を差すのではなく、 景観全体を桜川のさくらと言う。 「西の吉野、東の桜川」と称された。 紀貫之の歌や能の謡曲にもなった 古くからの名勝である。 古そうな石碑があった。 庚申塔なのか、供養塔なのか、よくわからない。 こんな感じでヤマザクラが咲いている。 種類は多いようだ。 これは赤い葉っぱが出ている。 これはソメイヨシノかも。 雨に濡れている。 |
3月26日 今回は茨城県、ということで、群馬、栃木を飛び越えての遠征になる。 ということで、午前6時少し前に自宅を出発。 前々からの予報通り、新潟は雨。 トンネルを抜けた群馬も雨。 北関東自動車道の栃木も雨。 茨城も雨。 しかも、茨城の雨が一番強く降っている感じだ。 雨の降る桜川筑西インターを下り、ナビの案内する通りに国道50号を走る。 9時半頃に桜川公園に到着した。 そこここに桜まつりののぼりが立っていて、なにかイベントでもあるのかしら、といった感じだったが、道路は閑散としている。 最初にこっちが駐車場だと係員さんが手招きした場所があまりにも民家っぽくて、私設の駐車場に招き入れられそうな気がして、素通りしたら、さらに奥の小さい駐車場に入れることになった。 最初に手招きされた場所がちゃんとした公園の駐車場の場所でしたとさ。 とにもかくにも、駐車した場所から徒歩で歩き出す。 さくら公園は大きな斜面の公園で、我々はその一番高い場所から歩くことになった。 すぐに国の天然記念物を示す石碑があり、説明看板も現れた。 ふむふむ、昔々はこの場所は奈良の吉野に匹敵する桜の名所だったのか。 今は、なんというか、住宅地に作られた桜の多い公園、という感じでしかない。 あとでよく調べてみたが、吉野の桜のような山に咲く桜たちを見たいのであれば、桜川上流の高峯や雨巻山で自生の山桜が見られるらしい。 公園内を歩きながら見ると、色々な種類の山桜があるのが分かる。 赤い葉っぱの出た、いかにも山桜の中を歩くと、ソメイヨシノのピンク一色の桜並木より、なんだか楚々とした気分になる。雨だし。 一番下の駐車スペースまで歩いてみたが、結局イベントなどはやっていなかった。 公園内は整備されていて、歩きやすい。 でも、桜を撮るために道をはずれると、ぬかるんでいた。 |
下市毛八坂神社の しだれ桜 市指定天然記念物。 樹齢250年のしだれ桜。 もともとは、宝蔵院というお寺があり、 その中にあった八坂神社だけが残っている。 市の天然記念物である石碑。 ほかに供養塔や庚申塔などが 足元に立っていた。 道の行き止まり側から撮影。 大きな木であることが分かる。 |
とりあえず、最初の国の天然記念物を撮影し終えたので、次は今回のメインにしているもう一つの国指定天然記念物の大戸の桜に向かって自動車を進めながら、途中にある桜の木を拾っていくことにする。 。 今回は笠間市の桜を拾うつもりなので、桜川公園から一番近い本戸地区の桜を探しに向かった。 ところが、である。 行ってみてもさっぱり分からない。 一応住所などが分かっているのだが、本戸のその番地は山の上のほうを指示していて、個人宅の私有道路くらいしかないのだ。 本戸地区の一番奥っぽくて、見渡してみても桜のピンクは全くない。 2周ほどぐるぐる回ったが、ついに見つけられずに、諦めた。 どうやら、ここの桜を我々を呼んでいないらしい。 仕方がないので、次の桜に向かった。 次の桜は分かりやすい。 下市毛神社を探せばいいのだ。 ナビの案内通りにすぐにみつかった。 見つかったが、うーむ、ここも実に狭い道を通った先にある。 しかも、公民館らしい建物の横に立っていて、その公民館で何やら集まりがあるらしく、駐車スペースが埋まってしまっていた。 道が細い上に行き止まりになっていて、先に進んでUターンするのも大変だった。 なんとか狭いスペースに自動車をとめて、八坂神社のしだれ桜を見上げる。 八坂神社、実は公民館らしき建物よりも小さい。 赤い鳥居は目立つが、社がどこにあるのかよく分からないくらいだ。 しだれ桜は実に優美に咲く背の高い桜で、青空であれば、濃いめのピンクの花が赤い鳥居とあいまって、とても映えるだろう桜だった。 足元には市の指定天然記念物の碑があり、一目置かれる櫻木であることが分かる。 雨だし、駐車場所もギリギリだし、とにかく速攻で撮影して、自動車に戻った。 この公民館らしき建物(googlマップによると下市毛会館となっている。)の駐車スペースにも大きな桜の木が立っていて、これも見事である。 でも、雨がひどくて近づけなかった。 さらに、この近くの涸沼川の河畔に夢千本桜という並木があるらしいのだが、これも雨のため車窓より、となった。 雨、恨めしいなぁ。 下市毛会館の駐車スペースの桜。 車窓より。涸沼川の桜並木。 |
金剛寺のしだれ桜 樹齢300年のしだれ桜。 花の寺第2番にふさわしい美しい桜だ。 ほぼ満開。 樹齢300年とは思えない、 細い幹。 散っている花も多く、 雨で花びらがはりついていた。 |
国道355号線に出て、北上。 次に行くのは金剛寺だ。 金剛寺は茨城県の8つのお寺からなる「開運 花の寺めぐり」HPはこちらのうちの花の寺第2番で、駐車スペースからすでに桜の花が迎えてくれる花のお寺だ。 8つのお寺の御朱印を集めている人もいるようで、こんにな雨の日でも、我々のほかにもやって来る人がいた。 ちょっと階段を登って境内に入るのだが、その脇に巨大なツバキの木があり、綺麗な花をつけていた。 さすが花のお寺である。 その花を踏まないように階段を登ると、しだれ桜はすぐに目に入った。 なんて形のいい桜だろう。 それほど大きな木ではないが、ふんわりと枝を広げて、優美に揺らしている。 小砂利が敷き詰められた境内に、まるで見事に世話をされた盆栽みたいに見える。 さんざん写真を撮り、御朱印を求める他の参拝者を横目に見ながら退散。 我々は御朱印を集める趣味はないのだ。 さて、次は市内に切り込むぞ。 左手の丸い緑が椿の木。大きな銀杏の木も見える。 鐘楼がわから見た図。墓守の桜だ。 |
正福寺、母のさくら 樹齢不明のヤマザクラ。 上の写真は階段を登って 見下ろした形で撮影している。 足元に母のさくらと書かれた石碑がある。 ヤマザクラなので、葉っぱも一緒。 正福寺、父のさくら 樹齢不明のヤマザクラ。 上の写真は小さく写ってしまったが、 とにかく巨樹である。 手前左下あたりに傘を差したダンナがいる。 桜の大きさが分かるかな。 こちらも足元に父のさくらと石碑がある。 雨に濡れた花たち。 |
恥ずかしい話だが、実は笠間市に日本三大稲荷である笠間稲荷というのがあるのを現地に行くまで全く知らなかった。 ナビに次の目的のお寺を案内させたところ、ものすごく賑やかなお土産屋や飲食店の並ぶ道を通された。 なんじゃ、ここは。 と、思ってみたら、「笠間稲荷」の鳥居前町だった。 ついでに言えば、陶器市の開かれる町、というのも今調べて知った。 うーむ、もしかして、偏ったし好だけでつき動いていては、大事なものも見落としてしまうかもしれない。 いや、とにかく我々は桜を追う。 いくつもの獲物を追っていては、ひとつも手に入れられないことになりかねないではないか。 と、いうことで、笠間稲荷を通り越し、観光案内書のある佐白山麓公園の駐車場に自動車を入れる。 観光案内で笠間市のイラストマップを手に入れ、次の目的地、正福寺の位置を確認する。 と、ほぼお向かいじゃないの。 でも、あれ?なんだかお寺っぽくない門があるぞ。 その門の向こうには、いきなり御朱印受付なんて書いてある場所があるぞ。 お寺がなくて、いきなり社務所なのか。 いや〜、入りづらい。 しかも、見える範囲に桜っぽい木がないし。 ここでいいのか? と、ダンナが、行けるぞ階段があるぞ、と言った。 おお、社務所っぽい建物の横をすり抜けて進むとその向こうに階段がある。 御朱印は欲しくない我々なので、とても通りづらいが、ペコペコお辞儀しながら横を通り抜けた。 傘をさして、風情のある、しかしけっこう長い階段を登る。 そして、右にきゅっと曲がるあたりで、背の高い桜の木をみつけた。 母のさくら、と石碑が教えてくれた。 三分咲きくらいだろうか。 雨のしずくを花びらが集めている。 満開になれば、さぞ見ごたえするだろう巨木である。 階段はさらに上に続いている。 椿の花が縁取る階段を登ると、お寺の本堂になった。 けっこう派手な彩の布がたなびき、そばにはアマビエのイラストも飾られている。可愛い系のお寺さんみたいだ。 建物を正面にして、左手にまだ階段が続いているので、さらに登る。 と、一番高い広場に父のさくらが腕を広げていた。 いや〜、とんでもなく大きな木だぞ。 まだやはり三分咲きくらいなのだが、それにしても大きい。 母のさくら同様、葉っぱも同時に出るヤマザクラなのだが、これが満開になるのを想像すると圧巻だ。 どちらの木も背が高いだけ青空がきっと似合うに違いない。 どういういわれで父のさくら、母のさくらと名前がついたのかは不明だが、夫婦桜というよりもなんだかあったかい気がした。 ちょっと入りづらい入り口。小さな門をぬけ、正面の社務所の左がわの通路から階段に行くことができる。 風情ある階段。足元注意。雨だと泥になる。 本堂。右のピンクはアマビエ様。 本堂の左がわの階段を登って、父のさくらに行く。 本堂の手水にはなぜだかアヒルのおもちゃが並んでいた。 実は笠間稲荷周辺にもう一つ見たい桜があったのだが、駐車した場所より遠く、しかも門前町の辺りにある桜だったので、他に駐車する場所もないとのことで諦めて、次の目的地に向かった。 |
如意輪寺のやまさくら 樹齢不明のヤマザクラ。 写真では大きさがはっきりしないが、 枝を広く伸ばした大きな木だ。 全体はこんな感じ。 如意輪寺の山門左手にある 小さな社の前にある。 絵になるのは、お寺の山門にかかる枝。 実に優美に山門を彩る。 花はこんな感じ。 白っぽい楚々とした花だった。 三嶋神社のしだれさくら 樹齢不明の紅しだれ桜。 背の高い桜で、花を見るためには かなり首を上に見上げなくてはならない。 花は白っぽいピンク。 写真右下に傘を差したダンナがいるのが分かるかな。 こんな感じの背の高い木だ。 静かな境内で、ひっそりと咲いている。 |
次に向かったのは、花の寺と紹介されている「如意輪寺」である。 なんで花の寺というのか、と思って調べてみたら、冬に冬牡丹が見られるお寺さんなのだそうだ。アジサイや紅葉も美しいとのこと。 しかし、惜しいかな、HPには桜の紹介はなかった。 国道50号線を水戸方面に進んで行くと、市原観音としても有名な如意輪寺はすぐにみつけることができる。 そんなお寺なので、桜を見に来ている人もいるかと思いきや、やっぱり雨のせいか、だれもいなくて、むしろ静かな感じのお寺だった。 我々は駐車スペースから行ったので、本堂の横から入ってしまった。 最初に目にとまったのは、境内に咲いている木瓜や椿。 他にも常に花が咲いているのだと思われる。 本堂を背に、山門がわを見ると、おお、桜の花が見えるぞ。 山門を額縁にして、目的の山桜の花が開いているのが見えた。 小さな山門をくぐって、けっこう急な石段を下る。 すぐ左側に桜の木が見える。 手前に小さな祠と池かな、というスペースがあり、それを覆うように枝を大きく広げている。 色もやや濃いピンクで、実に見栄えする。 ただ、お寺さんなので、門前にずらっとお墓があるのである。 墓守桜の宿命で、常にお墓を守ってらっしゃるので、写真撮影するのに、多少気を使わなくてはならない。 門前をお墓の間を通り抜けるように小路に向かって歩いて行くと、おや、鳥居がある。 その鳥居の脇に立っているのも、桜木らしかった。 如意輪寺の境内。 木瓜が綺麗に咲いていた。 石のベンチに椿が落ちている。 山門の向こうに桜の花が見える。 鳥居に向かって歩いて行く。 まだその桜は咲いていないようだ。 次の目的の桜は、実は如意輪の隣にある三嶋神社の桜なのだ。 この木がその桜かな。 咲いていないとは、惜しいな。 と思いながら、とにかく境内に行ってみよう、と、鳥居から続く道を境内に向かって歩いた。 ちょうど如意輪寺に向かって平行する道を戻る形になるので、反対側からも如意輪寺のヤマザクラを見ることができる。 ヤマザクラの足元から丸々上まで階段で登って行く。 と、あらまあ、素敵な風景。 三嶋神社の鳥居の向こうにしだれ桜の枝が見える。 ピンクの花をつけた枝が揺れている。 これが三嶋神社のしだれ桜か。 鳥居をくぐると、おお、思った以上に背の高い桜の木が迎えてくれた。 花で飾られた如意輪寺の雰囲気とはまったく違って、木立の深い緑と静かな境内。 たぶん、訪れる人はあまりないだろうその場所に静かに桜木は立っている。 雨も加わって、なんとも幽玄な感じがした。 こちら、小路にある鳥居脇の桜。 背が高く、つぼみもたくさんつけていたが、まだ固い状態。 写真は鳥居をくぐったあとに振り返って撮影。 鳥居下階段から見上げる。 |
唯信寺のしだれさくら 樹齢200年のシダレザクラ。 この木を見るには、道路まで出て、 鐘楼を見上げる場所に行くしかない。 主幹が途中で切られているが、 鐘楼側の枝をのばして咲いている。 この鐘楼のちょうど裏に木は立っている。 見事に鐘楼に隠れている。 花はみっしり咲いている。 桜の生命力を感じる。 |
笠間市の桜追いの旅もいよいよ終盤である。 JR常磐線の宍戸駅近くにお寺さんが3つある。 このお寺、宍戸の桜三ケ寺といい、それぞれに桜の古木があるのだ。 如意輪寺から自動車を南下して、とりあえず宍戸駅を目指す。 目指しているうちに、するっと唯信寺の駐車場に入ることができた。 ちゃんとしだれ桜臨時駐車場、とまで書かれている札があったので、遠慮なく駐車することができた。 桜追いにとってみると、こういう配慮はとてもありがたいのだ。 特にお寺の桜については、檀家でもないのにお寺や墓地に侵入するわけなので、なんとなく罪悪感もあるのである。 駐車スペースからは唯信寺の裏から行くことになるらしい。 スロープがあるので、そちらから向かう。 と、いうか、すでに駐車スペースから見事なしだれ桜が見えているのだ。 あれに向かって行けばいいんだな。 歩いて行くと、これがまた見事にかわいらしいしだれ桜だらけのお寺だった。 今、この開花する時に来て本当によかったと思う。 参道の両脇を濃いピンクのしだれ桜たちが並んでお出迎えしてくれる感じだ。 古木がみつからなくたって、この若いきゃぴきゃぴした桜たちでいいや、と思えるくらいハッピーな気分にさせてくれる風景である。 いや、待て。 我々は古木、一本桜を追っている身。若い桜に浮気している場合ではない。 しかし、駐車スペースから見えたこんもりとした桜はどうも唯信寺の桜ではないらしい。 となると、ここのお寺の古木はどこだろう。 境内を見て回る。 おや、若いしだれ桜のピンクに囲まれた鐘楼の裏に、どっしりとした幹が見えるぞ。 ちょうど鐘楼で隠れている感じになる。 どうやら、裏から来てしまった我々には見つけづらい場所に桜木があるらしい。 仕方がないので、お寺を出て、道路がわから撮影した。 このお寺の境内には、スダシイという背は高くないが幹のぶっとい古木があり、市の天然記念物に指定されていてる。 この木の実は食べられるんだってさ。 石の山門から見た図。 山門を通って境内に。若い枝垂桜が迎えてくれる。 市の天然記念物のスダシイ。 |
光明寺のしだれ桜 樹齢不明のしだれ桜。 光明寺には桜の古木が3本あるが、 これはそのうちの一本。 とりあえず、一番形が美しいものを 代表にした。 お椀を伏せたような枝ぶりの桜だ。 ただ、墓守桜なので、 撮影には配慮が必要だ。 本堂の屋根とあいまって、優美。 ピンクが濃くて華やかである。 |
気になるのは、唯信寺の駐車場から見えた、こんもりとしたしだれ桜である。 あれが唯信寺の桜でないとしたら、隣の光明寺ということになる。 本当にすぐ隣なので、歩いて行ける。 唯信寺の門を出で、首を左に向けたらもう光明寺の山門なのだ。 そして、首を左に向けた瞬間に目にはもう古木が飛び込んでくる。 光明寺には三本の枝垂桜の古木がある。 その一本目が山門脇の枝垂桜だ。 かなり大胆に枝を落とす施術が行われたらしく、ちょっと痛々しく見える。 それでも、花は多くつけていて、まだまだ元気よ、と言っているようだった。 山門をくぐる。 と、本堂右にまた古木が現れた。 この木も古いなぁ。 あちこちを支柱で支えられている。 足元に観音様なのか菩薩様なのか、仏像がすっくと立っている。 細い木なので、山門脇の桜よりも優しい感じがする。 優しい分枝を支える力が頼りないのか、支柱の数が多い。 それでも、下にくぐったりして、あちこちから表情を楽しめる。 さて、一番気になってていた、唯信寺の駐車場から見えていた桜だ。 その姿も美しい桜は、本堂の左側にふんわりと立っていた。 この日、何かの行事か何かの教室があったのか、本堂からは聞いたことがないが心の休まる音曲が流れていて、それがまたこの桜にとてもよく合っていた。 雨じゃなかったらなぁ、青空だったらなぁ、という思いもあったが、そうだとしたら、かなりの人がこの桜を見に来ていたに違いない。 だとしたら、静かに音楽を聞きながら見上げるることができたのは、かなりラッキーだったのかもしれない。 桜はお椀を伏せたような綺麗な形をしていて、中に入って見上げてもよし、遠くから見てもよし、申し分のない枝垂桜だった。 山門脇の桜。太い幹が力強い。 本堂前の桜を山門がわから見る。 本堂前の桜。支柱と仏像が魅力的。 本堂前の桜の花。みっしり咲いてます。 |
完全寺のしだれさくら 樹齢120年のしだれ桜。 かなり大胆に枝が切られているが、 それでも四方に枝をのばしている。 大きく伸びた枝には支柱が立てられて 守られている。 まだつぼみの多い花たち。 |
宍戸桜三ケ寺の中の一つ、完全寺なのだが、このお寺の古木は近寄ってみることができない、というのは知っていた。 以前、桜の木の枝を心無い人が折ってしまったので、近寄れないようにしたとのこと。 確かに、そんなことされたら怒るでしょう。 ほんの一部の人のせいで、桜を楽しめなくなってしまうのは、本当に悲しいことだ。 完全寺の場所はよく分からなかったので、自動車に戻り、ナビで確認したら、光明寺の裏手になるらしい。 というとで、唯信寺の駐車場から徒歩で行ってみることに。 光明寺の裏手ということは、こっちかな、と光明寺の山門がわではない方から歩いて行こうとしたら、結局墓地が続くだけでお寺にはたどり着けなかった。 仕方がないので、自動車に戻り、今度はナビで完全寺を案内してもらった。 結局光明寺の山門を通り過ぎてすぐ隣に完全寺はありましたとさ。 完全寺の駐車場に自動車を入れて、少し奥まった本堂に向かう参道を歩く。 あ、あれが桜だな、とすぐに分かった。 これ以上は関係者以外入らないように、と書かれた立札とポールがあり、その向こうの本堂の前に古い桜木が立っていた。 思ったよりも近い位置だった。 桜好きにはこれだけで満足である。ちゃんと桜全体が見られるじゃないの。 ぐねぐねとした枝をあちこちに広げている桜だ。 まだ八分も咲いていない感じだったが、もっと咲き進めればきれいな紅しだれのピンク色で本堂を彩るだろう。 立ち入るなかれ、との意思表示が明らか。 花はピンクが濃くてたくさんつぼみがついていた。 |
大戸のさくら 国指定天然記念物。 樹齢500年の白山桜。 かつては水戸光圀公も鑑賞したと言われる 巨木であったらしい。 しかし、現在は、主幹はなくなってしまい、 周りの木々がなんとか残っている程度である。 で、つぼみも固い状態でしたとさ。 これほど他の桜と開花時期が違うとは 思っていなかった。 正面側から見た幹。 太く見えるけど。 横から見た幹。 と、いうか、何本かの集合体に見える。 主幹がなくなって、この姿だ。 巨木だった頃はどんなだったか、 想像もできない。 |
あとに残るのは、この日茨城に向けて桜追いをする決意をさせた桜である。 大戸のさくら。 国の指定天然記念物だ。 この桜が笠間市などの周辺の桜よりも多少遅い開花であることは、事前に調べていて承知していた。 しかし、これまでに見てきた桜たちがほぼ八分咲きだったので、少なくとも三分咲きくらいには咲いていてくれるだろう、と思っていた。 しかし。 その期待は見事に裏切られた。 いや勝手に期待していたほうがもちろん悪いのだけど。 国の指定天然記念物のわりに、ごく近くまで行っても案内もなく、小さな案内看板でやっとこのあたりだと分かった。 その案内看板で大戸小学校前のやや大きな道から左折して進入すると、いきなり道は細くなり、林の中の暗い林道みたいな道になった。 ゆっくり進んで行くと、また右手に小さな看板があり、右折するようになっている。 ホントにここを曲がっていいのか、といった感じの民家の庭に入り込んでいくような道である。 でも、そう案内があるし。 入って行く。 道なりに進めば駐車スペースがあるんだろう、と思っていたら、真正面に大戸の桜があった。 やられたよ。 と、頭を抱えた。 いや、民家の庭に入り込んだ、というワケではなく、ちゃんと大戸の桜にたどり着けた。 やられた、というのは、その桜の姿である。 まったく咲いていない。 枝しか見えない。 つまり、つぼみも固い状態だったのである。 自動車の中で、呆然としてしまった。 話をもとに戻す。 小さな案内看板は間違ってはいなくて、きちんと桜のもとに自動車を案内してくれたが、我々が想像していたような大きな公園でもなく、ちゃんとした駐車スペースがあるような場所でもなく、普通の広場に柵で囲まれた山桜の木があるだけの場所だった。 そして、咲いていなかった。 一輪も、である。 なんとか一つくらいは咲いていてくれないか、と自動車を下りて、柵にそってぐるりと見てみた。 なかった。 柵の周りを一周はできないが、ほぼ回ることはできる。 日当たりのいい枝なら咲いていてくれてもいいんじゃないか、と思ったが、ホントーに無かった。 もういっぺんここに来いというのだな。 そう思って諦めざるを得なかった。 枝を広げると300坪にもなると言われた大木だったらしい。 説明看板に巨木だった頃の古い写真があった。 最後の最後、しかもメインにおいていた桜が咲いていないという結果になってしまって、本当に残念だ。 だが、また茨城県に来なくてはならない理由ができた。 笠間市のみならず、茨城にも立派な桜がたくさんある。 その桜たちと、大戸の桜の咲き誇った姿に必ず会いに来るぞ、と桜追いは誓うのであった。 |