んがお工房の桜めぐり
2024年桜追いA
猪苗代周辺の桜たち
4月20日といえば、例年であれば我々が住む新潟や南東北の福島などの桜が満開になる頃である。 しかし、今年はかなり早く見ごろになってしまい、新潟からドライブで行ける範囲に見ごろの桜がない。 4月20日で見ごろの桜が無いだと? あり得ない。 というか、ちっとも桜を満喫した感じがしない。 とにかくどこかで満開の桜を見たいと、ネットを検索しまくった。 実は、このあたりで満開なのが山形県の置賜桜回廊だったのだが、釜の越桜が枯死してしまって以来イマイチ行く気がしない。 他の場所をあたっていたら、あった。 福島県だ。 有名な三春滝桜を初めとして、ほぼ散り始めている福島県ではあったが、たった一か所だけ今見ごろの場所があった。 猪苗代である。 嘘だろう、と思った。 近くの会津若松市にある石部桜は、開花情報があるが、すでに散ってしまっている。 なのに、なぜ猪苗代の桜は満開なのだ。 しかも、ソメイヨシノで桜の種類も同じなのだ。 頭の中に疑問符が回転していたのだが、とにかく、その情報を信じて福島県猪苗代町に向かった。 |
観音寺川桜並木 現地の看板に桜のデータとあるのだが、 これが「ソメイヨシノ他」 と書かれているだけで、他の品種や 樹齢もさっぱり分からない。 かなり太い桜が多いので、 少なくとも樹齢は50年以上と思う。 下流方向から撮影。 段々になって流れる川。 以下、並木の写真をどうぞ。 今回の私のベストショットはこの木。 けっこうな老木で、 数ある桜の中で唯一私を呼んだ木です。 |
4月20日 せっかく福島県に行くので、より山の奥である奥会津の桜も下調べしておいた。さすがに尾瀬にも近い奥会津では、例年なら5月上旬に見ごろになる桜も多いのだ。 今年の桜の開花が早いとして、5月上旬に咲く桜であれば、今頃が見ごろになるんじゃないか、という目論見があった。 我が家からだと奥会津はローカル線で有名な只見線沿いに行くのが一番早いルートになる。 新潟福島間の国道は春も遅くなってからの開通になる冬季閉鎖の国道が多いので、警戒してダンナに通れるかどうか調べてもらった。 大丈夫みたいだ、というので魚沼市がわに向かう。 向かって、途中の道の駅いりひろせで愕然とすることになる。 まだ閉鎖中だった。 いったい何だったんだ、事前に調べた情報は。 とにかく、国道252号では福島に入れない。 ということは、352号でも無理だ。 福島に行くとしたら、選択肢は関越道に出てとんでもない大廻で東北自動車道を利用して福島入りするか、もしくは北上して磐越道で福島入りするか。 いや待て、国道290号を丸々北上すれば、長岡市、三条市、加茂市、五泉市を経由して、磐越道の安田インターの少し先に出る。 それで福島に入ろう。 多少早起きしたのが、すっかり消費されてしまい、むしろ朝寝坊したくらいの時刻になってしまった。 予定していた奥会津の桜たちは全部割愛せざるを得ない。 残念だ。 そんなこんなで、福島県入りして、猪苗代磐梯インターで下りる。 観音寺川の桜並木は有名だし、前にも行ったことがあるので、とりあえずそこに向かおう。 この、前にも行ったことがある、というのがポイントだ。 実は前も一番下流から歩いている。 偶然ぽっかり開いたとても近い駐車スペースに入れることができたのだ。 今回もてっきり一番下流が入り口だと思っているので、そちらに向かう。 駐車場は・・・ 駅前のおじさんは、ここにおいてはダメだと言う。 そういえば、少し手前の踏切あたりに自動車が続々と入って行ったぞ。 その踏切手前の空地が暗黙の駐車スペースになっているらしく、またしてもぽっかりと1台分空いていた場所に入れることができた。 これが線路わきの踏切近くの駐車場。駅近。 実は、この有名桜スポットの駐車場は上流のほうにある。 大きな宿泊施設であるリステル猪苗代と川の間くらいにかなり大きな駐車場があり、そこに至る道は大渋滞していた。 結果的にその渋滞にもハマらなかったのだが、この近隣にある桜を歩いて巡るには遠い場所になってしまった。 さて、ようやくたどり着いたのは、正午少し回ってから。 どうせ昼食難民すると思っていたので、お昼はサービスエリアで済ませてしまっている。 サクサク歩いて、桜を拾っていくぞ。 観音寺川の桜並木は、本当に満開だった。 どうしてこのあたりだけ桜の開花が遅いのか、不思議に思いながら歩く。 たくさんの人がそぞろ歩いていて、出店もたくさん出ている。 実にのどかなお花見である。 途中の公民館のような施設ではキッチンカーが集合していて、美味しそうな匂いを漂わせていた。 たくさんの花見客にまじって、一番下流からほぼ一番上流まで歩く。 我々の目当ては、満開の桜ではあるが、並木というわけではないのだ。 一本桜か古木の桜が見たい。 と、いうことで、かなり上流のほうにある観音寺を目指しているのである。 とはいえ、ここの桜並木は本当に気持ちがいい。 水の流れがきれいだし、近い。 両岸の緑も心地いい。 歩くのが苦にならない。 しばらくは写真を撮りながらゆっくり歩こう。 こぼれ落ちるような満開。 水のきらめきに映える。 種類は様々で、ピンクの濃いのもしだれもある。 数か国語の案内看板もある。 |
観音寺のしだれ桜 樹齢約130年のシダレザクラ。 これは桜のすぐそばまで行って撮影。 後ろに見えているのが 観音寺の本堂である。 花はこんな感じ。 桜としての姿のよさは本堂越しだろう。 あ、この子たち越しもいいかも。 見上げる。 背の高い桜である。 みっしりと花をつけていた。 |
この観音寺川での我々の目的は、観音寺にあるしだれ桜である。 てっきり途中にある川桁大山祇神社が観音寺であると勘違いしていたので、川桁駅の近くから歩いてもそんなに距離はないと思っていたら、ずっとずっと上流のほうに観音寺はあった。 おお、なんて風情のある山門だろう。 茅葺の山門の向こうに境内があり、その裏手から大きなしだれ桜の木が豊かなピンク色を揺らしていた。 山門。詳細は不明ながら、江戸初期のものかも、とのこと。 茅葺の向こうにしだれ桜。 参道。 その途中にこの子たち。 山門をくぐり、参道を歩くと、あらまあ、かわいらしい石像が並んでいる。 なんか、これだけでポイントが高くなる。 桜は、本堂よりもずっと高い位置から花をたらしている。 向かって右手の奥に立っているようなので、そちらに向かって歩いてみた。 すでに何人かが桜のもとにいた。 桜のもと、つまり、本堂の右側なのだが、そこから見ると、意外にもふっくらとしたしだれ桜ではなく、ほっそりした背の高い桜なのだと分かった。 あれれ、これはちょっと見栄えがしないなぁ。 どうやら、この桜はちゃんと本堂越しから見たほうが姿がいい桜のようだ。 本堂がわから見ると、ほんとうにふっくらとして見える。 以前来た時にはこの桜のことを調べていなくて、見ないままでいた。 もし観音寺川の桜並木に観光などで来られたら、可愛い石像と茅葺の山門としだれ桜のある観音寺にも足をのばしてみて欲しい。 境内にはほかにも桜がある。 観音寺を出て、小さな橋を渡って坂を登る感じで歩いて行くともうすぐにリステル猪苗代である。 ここにもホテルの駐車場があり、ここに駐車して観音寺川の桜並木に行く人も多いようだ。 我々がなぜ川桁駅近くの駐車場に戻らずにここまで歩いて来たかというのには、理由がある。 このあたりに白津のしだれ桜というのがあるはずなのだ。 ざっくりと観音寺川の近くで、リステル猪苗代よりちょっと下、という実に曖昧な場所しか分からない。 ので、面倒くさいから歩いて探そうということになったのである。 けっこうな距離でしたよ。 しかし、リステルの前の道も桜並木になっていたり、さらには菜の花畑になった場所にこいのぼりが泳いでいたり、楽しい道のりではありましたよ。 リステル猪苗代前の桜並木。 菜の花畑とこいのぼり。 |
白津八幡神社の桜 樹齢不明のしだれ桜やエドヒガンザクラ。 どの木というのではなく、 参道から全体が見事である。 桜の参道だ。 でも、実はこの神社の桜は 遠くから見たほうが綺麗かも。 背後の山の緑と手前の菜の花。 こんもりと桜の山。 |
リステル猪苗代は山の中腹にある。 その前を通って、山を下って行く。 と、右手の山っぽい緑が途切れたあたりで、前方にピンクの塊が見えた。 お、あれか? 小走り気味で確認すると、八幡神社だった。 よし。 ここの桜も実は見る予定に入っていた。 どの桜というものでもないが、何種類かの桜が神社の参道を彩っている。 白津の桜が近いので、この神社を見つけられれば、目標にかなり近づいていると言える。 ちょうど道しるべのように角に神社がある。 神社は右も左も桜に囲まれている。 さて、ではどこに白津の桜があるのだろう。 あれか? と、ちょっと先にある桜の木に向かってみた。 個人宅の枝垂桜。姿がいい。 違った。 かなり姿のいい枝垂桜ではあるが、民家の庭にある個人所有の桜だった。 すごいなぁ。普通の家にこんな枝垂桜があるんだ。 しかし、そっちに向かって歩いたおかげで白津の桜が分かった。 田んぼの向こう側にいやでも目立つピンクの塊があるのである。 あれだよ、間違いない。 しかし、どうやって行くのだろう。 |
白津の桜 樹齢約100年のシダレ桜4本と カスミ桜2本。 しだれ桜は日露戦争凱旋記念に 長瀬小学校に植えられたと 伝えられている。 カスミサクラは樹齢不明。 しかし、ぱっと見、どれがカスミサクラ なのやら分からない。 みんなしだれて見えた。 これは裏手から見た桜たち。 何本あるんだろうなぁ。 説明看板にあった白津の桜である4本 とは、また別物かもしれない。 やっぱりこの図なんだろうな、この桜は。 白津の桜と磐梯山。 これはたぶん裏手の桜。 これも裏手の桜。 ガッシリとした幹である。 見上げる。花が降って来る。 1本のように見えるが もはや何本なのか分からない。 幹。太くて短い。 この小屋の前にあるのが白津の桜だと思う。 |
目標ははっきり視認できるので、あとは道を探るだけである。 徒歩のいい所は、農道でも気にせずに歩いて行けるところ。 なので、自動車ではまず走るのを躊躇する細い農道がまっすぐピンクの塊に向かっていたので、そこを通らせてもらうことにした。 おお、本当にこんもりと咲いている。 むむ、3本あるのか? いやいや、4本か? 別の種類の桜も咲いているな。 ああ、お墓だ。墓守の桜だ。 敷地内に入り、写真を撮っていると、あら、自動車が何台かとまっている。 我々が入った農道とは違った細い舗装道路があるようだ。 カメラマンが何人が桜を撮影していた。 そーだよなー、徒歩じゃ来ないよなー。 見ると、裏手から来てしまった我々とは別の桜をみんな撮影している。 おお、こっちにも大きな桜の木が何本かあるじゃないか。 しかも、失礼ながらお墓のそばまで行くと、向こう側に会津磐梯山が見えるじゃないか。 なんて背景のいい桜なんだ。 小屋の前には石碑があったが、文字は判読できなかった。 細い舗装道路の近くに説明看板がある。 この周辺にある桜は以上だ。 さあ、駐車場に戻らなくちゃ。 また坂を登ってリステル猪苗代の前を通って、というのはバカバカしい。 なんとか直線で下流方向に戻れる道はないかしらん。 見ると、水路の脇に人間が通れる広さの道があった。 この水路沿いに行けば、観音寺川に合流するんじゃないだろうか。 と、いうことで歩き出す。 自動車が通る心配のない、快適な遊歩道、といった感じだ。 遠くに菜の花ごしのリステル猪苗代が見え、さらに振り返ると会津磐梯山が我々を見下ろしている。 ああ、ここも福島だなぁ。あちこちに桜のピンクが見える。 会津の春である。 あの台形がリステル猪苗代。 桜に彩られた会津磐梯山。 首尾よく観音寺川のかなり下流に出ることができた。 ちょっとだけまた観音寺川の桜並木を見ながらそぞろ歩き、駐車場に到着。 駐車してから、1時間半、ぐるっと歩きましたとさ。 ところで、歩いてみて分かったのだが、猪苗代湖畔ってば、寒い。 湖からの風が吹き上がる感じで吹いて来る。 我々かが行った日がたまたまそうだったのが、それともずっとこんな感じなのか。 他の地域がとても暖かだった晴天のこの日、肌寒さを感じながら歩いた。 もしかしたら、桜の開花がほかの地域より遅いのは、この風のせいなのかもな、と思った。 |
天鏡閣の桜 樹齢不明のソメイヨシノ。 建物の建設時に植えられたとしたら、 樹齢は100年は超えている。 太くてゴツゴツとした幹。 花はこんな感じ。 ほぼ満開だった。 洋館に桜が似合う。 ロケーションは抜群かも。 |
猪苗代湖畔には観音寺川周辺ではなくてもう一つ見るべき桜がある。 あ、大鹿桜ではありません。 会津五桜の大鹿桜もこの時見ごろだったとは思うが、今回はパス。 何回も猪苗代湖の周辺には来ているのだが、全く知らなかった観光スポットがある。 天鏡閣という、国指定の重要文化財の建物だ。 明治に建てられた有栖川宮威仁親王殿下の別邸だそうで。 行ってみたら、うーむ、外壁のペンキがペロベロとはがれていて、せっかくの洋風建築がものすごくみすぼらしく見えた。 国指定の重文だっていうのに、これではなぁ。 駐車場から正門へ。 これが天鏡閣。 で、左手に桜。 お庭には有栖川公の像も立っている。 内部を見るには入場料が必要なのだが、庭の桜を見る分にはお金はいらない。 その桜はどこだろう。 建物の左手に桜の老木は立っていた。 芝生のはられた庭のよく目立つ場所に、きれいに囲われて花をつけていた。 鳥や蝶などが遊びに来ていて、白い洋館と合わさってまるでおとぎ話の中のようだった。 ただ、老木のため、ところどころ枝が折れたりしている。 樹木医などと相談しつつ、ずっと長い間洋館とともにあって欲しいと思う。 天鏡閣駐車場にある石碑とそれを守る小さな桜。 これは、駐車場から正門へ向かう坂の下にある桜の老木。 建物の裏手はもう猪苗代湖。 |
細越の種まき桜 樹齢400年のエドヒガンザクラ。 すでに枯死していると思われる。 同じような写真しかなくて すみません。 400年の幹です。 葉っぱは出ているが、 桜ではないかもしれない。 |
そのまま家に戻ってもよかったのだが、時刻はまだ午後2時だった。 このあと、予定していた奥会津の桜を見に行くにはちょっと時間が足りないが、磐越道近くの桜であれば見ることができるだろう。 山奥であれば、咲き残っていてくれるかもしれない。 と、いうことで、会津坂下インターで磐越道を下りる。 実はここには樹齢400年の桜があるはずなのである。 いや、あった、というのが正しい。 もはや主幹は朽ち果てていて、その中央から若いひこばえが芽吹き始めている、というのを桜のサイトでみつけた。 それって、どういうことだろう。 400年の命が継がれたということだろうか。 この木に関しては、花が咲いていなくても見てみたいと思っていた。 だが、苦労しましたよ、見つけ出すのに。 なにせ、咲いていない。 さらに、幹もない。 つまり、目視で見つけ出すのは無理なのだ。 一応、住所や道のりは調べておいた。 それらしい場所に行ってウロウロする。 これがまた、山の中の集落で道は狭いし、しまいに無くなってしまうし。 道かと思えば民家の庭に入り込むし。 もう、みつけられない、と思って、一度道の駅柳津に立ち寄り、周辺の地図でもないか探すことにした。 ついでに名物の蒸したての粟餅も買った。 地図は手に入れられたが、どうも桜のある集落はさっきぐるっと回った場所に間違いないらしかった。 見つけられないのかな。 とにかく、もう一度行ってみよう、ということに。 目印のガソリンスタンドから入って坂を登り、集落の端っこに突入する。 左手の杉林の手前にあるはずなのだ、その桜は。 とにかく左手の杉林を見つけよう。 かなり遠くに杉があるけど、民家が前になって、よく分からない。 けど、あれ、墓があるぞ。 墓があるってことは、もしかしたら。 桜は墓守である。 古い桜は必ずと言っていいほど墓を守っている。 あの墓のところに行ってみよう。 なんか、呼ばれている。 民家のそばの細い農道のような道に入り込み、田んぼの間を進む。 墓を目指して行くと、墓の真ん中に異様に見える塊があった。 ああ、そこにいたんだね。 古い古い株だった。 もはや朽ちている株だ。 田んぼ一枚挟んだ距離でも分かる不思議な空気を発して存在を示していた。 近づく。自動車を下りて、その株を見る。 若いひこばえが株から出ているとあったが、どうやらそれは無いようだった。 花の時期であれば、花が咲いてその存在を示してくれるのだが、なにやら細い枝がぴょんぴょんと出ていて、葉っぱをつけている。 どうも、それは桜ではないように見えた。 桜ではないにしても、この400年の株は、次の命を育てているのだ。 気づくと入り口に説明看板が立ててあった。 よくこの看板を外したり、株を撤去したりしないでいると思う。 この墓の持ち主の気持ちなのか、それはよく分からない。 卒塔婆なんかを立てかけているから、大事にしているとは思えないし。 それでも、種まき桜は残されている。 桜の一生を終えた姿を見た。 次の生命を育む姿を見た。 なんだか、感無量だった。 |
杉の糸桜 樹齢200年のしだれ桜。 会津坂下町指定天然記念物。 会津五桜。 葉桜になってしまっている。 が、くねって踊っているような姿が 妖艶である。 下から見上げてみる。 枝がまるで絡んでいるようだ。 かろうしで残っていてくれた花。 |
最後に向かうのは、会津五桜の杉の糸桜である。 他の桜はもう散ってしまっていると予想できたが、この桜は山間にあるので、もしかしたら咲き残ってくれているんじゃないか、と思ったのだ。 ものすごく久しぶりだが、行った覚えがあるし、会津五桜だし、迷わないだろう、と思っていた。 迷った。 住所でナビに入れたら、とんでもなく込み入った集落に案内された。 たしかに、杉という集落である。 しかし細い道には糸桜の案内も痕跡もない。 うーむ。 ここで、実はマズい思い違いを私はしていた。 杉の糸桜は、田んぼの真ん中にある桜だと思って探していたのだ。 それは、杉の糸桜ではなく、米沢の千歳桜だった。 すっかり混同してしまっていた。 杉の糸桜はお寺さんの境内にある。 そんな記憶ぶっ飛んでいる。 とにかく大きい道に出よう。 そうすれば、何か案内があるはずだ、と、集落の細い道と平行している道に出た。 出たら、すぐにみつかりましたとさ。 県道365号沿いに杉の糸桜前というバス停があり、駐車場もあった。 薬王寺というお寺さんの境内に桜はある。 古びた山門をくぐり、階段を登ると、左手にすっかり葉桜になったしだれ桜があった。 バス停の向かいの薬王寺。 山門。 その先には階段。 花びらが敷き詰められた境内。糸桜は本堂の左がわ。 山門を振り返る。 まだかろうじて花がいくつか残っている状態だ。 背は低いが、黒々とした幹がうねり、枝が絡むように伸びている。 こんな桜だったっけ。 見事に記憶がない。 見たことがあるはずなんだけどなぁ。 でも、まあ、花が残っていてくれてよかった。 時刻は午後4時を過ぎている。 これから家まで戻ることを考えると、今回の桜めぐりはこれにて終了だ。 今年の桜追いもこれで終わり。 なかなか悪あがきした年になってしまった。 |