んがお工房の桜めぐり
2025年桜追いC
新潟県の桜たち
今年の桜の開花は、ここしばらく続いていた早めの開花から一転して遅めの開花になった。 東京では遅く開花して、しばらく満開が続いて、お花見がずっと楽しめた年だった。 ところが、新潟はどういうワケか開花してすぐに満開になり、週末を待たずに雨と寒気に当たってしまい見ごろを過ぎてしまった。 一番いい週末を他県に行ってしまった我々は、ついに近所の桜の満開を撮影することもできない年だったのである。 そして、新潟の平地の桜がほぼ葉桜になった頃、我々はこの時くらいしか行けないだろうという、大切な桜を見に佐渡に行くことにした。 ちょうど佐渡汽船の新潟両津間のフェリー代が自動車1台、人2人で3万円を切るお得チケットを売り出していて、それに乗った。 4月26日。GWの直前の週末、ただ1本の桜を見るためだけに佐渡に行くことにした。 |
小木の御所桜 国指定天然記念物。 お寺の説明看板によると、 承久3年(1221)に佐渡に配流となった 順徳上皇が都より数種類の桜を取り寄せて 黒木御所に植えたところ、 土壌に合わないものがあったため、 この地を選定して移植された、とのこと。 すると、樹齢は約800年の桜ということになる。 この桜の珍しいのは、 1本の木に一重と八重が混じって咲き、 花びらの先端が不規則に細裂すること。 上の写真で分かるかなぁ。 これは一重なのだが、 花芯がピンクのものと、緑のものがある。 こんなふうに、右と左に2つある。 右は咲いていたけど、 左は小さく、緑の葉っぱだけになっていた。 2つの桜の周りは木道になっていて、 保護されている。 左。 咲いていないし、小さい。 その幹。 右。 なんとか咲いていてくれた。 幹。 細いんだよね。 石の柵で見えないし。 |
4月26日 2人で3万円かけて見に行ったたった1本の桜。 それは小木の御所桜である。 巨木ではない。 さらに、たぶん古木でもない。 だが、この桜だけは見ておかなければならない桜だった。 国指定の天然記念物なのである。 日本における国指定の天然記念物の中で、桜は39件。 そのうちなんと5件が新潟県にある。 小山田桜樹林(五泉市) 橡平桜樹林(新発田市) 梅護寺 数珠掛け桜(阿賀野市) 極楽寺 野中桜(阿賀町) そして、 小木の御所桜(佐渡市) 小山田と橡平の桜はヤマザクラの樹林なので、1本桜ではない。 数珠掛け桜は現在ひこばえが育成中で、見るかげもない。 野中桜は突然変異種でこれも主幹が失われてしまっている。 これらの桜たちはすでに見に行っている。 ところが小木の御所桜だけは、さすがに離島だけあってなかなか行くことができなかった。 しかも、この桜、他の桜よりも遅い開花なのだ。 今までの例からすると、だいたいGWの直前に見ごろになる。 さすがに佐渡に行くとなると身構えて、忙しい計画を立てられないでいた。 だが、今年、なぜか弾丸で行ってしまえ、ということになったのだ。 たった1本だけを見る予定であれば、日帰りで十分だ。 魅力的な佐渡ではあるが、他の魅力は全部そぎ落としてしまおう。 桜追いの我々が自県の国指定天然記念物の桜を見ていないわけにはいかないではないか。 だけどさ。 ちょっとは佐渡を味わいたいじゃないの。 でもさ。 もうトシなのよ。 早朝出発も深夜到着もちょっとしんどいのよ。 で、ホントに半日くらいしか佐渡に滞在できないフェリーを予約しちまいましたとさ。 ああ、もうちょっとがんばればよかったなぁ。 早朝出発でも船で寝ればいいんだし、深夜到着でも翌日が日曜日なんだから、なんとか回復できただろうに。 ま、とにかく半日滞在になってしまった。 当日、おけさ丸に乗り込み、首尾よく2等船室で横になり貸し毛布も手にいれ、私はすっかり寝てしまいましたよ。到着まで。はい。 これは実は大失態だった。 半日しか時間がないのに、島内でお昼を食べる場所を探さなくてはならなくなった。 フェリーの中で食事もできたので、時間の節約はできたはずなのだ。 もう、何してんだ、この私。 ナビに小木の御所桜のある海潮寺を入れて案内してもらう。 小木に行くには佐渡のど真ん中の細い場所を横断する国道350号を利用するものだと思い込んでいた。その道に出れば、簡単にお昼を食べる場所がみつかるはずだ。 ところが、ナビったら、そっちの道を案内せずに、県道65号を案内してくれた。地図を見たら、確かにその道のほうがずっと近い。 しかし、地元民のための生活道路の感じが強い道で、飲食店は時々あることはあるのだが、駐車できそうな場所がほとんどないのだ。 こりゃ、コンビニおにぎりですませなくちゃならないか、と、思ったところで佐渡警察署の前にファミリーレストランの文字を発見した。 あー、あそこ。あそこなら駐車スペースもあるっ。 少し通り過ぎてしまったが、ここを逃すともう昼食をくいっばぐれると思ったので、戻った。 「ファミリーレストランたいがぁ」さん。 いや〜、地元に愛されているレストランで、しかも警察署の前にあるレストランらしく、とんでもなく盛りのいい、美味しいレストランでしたよ。 助かった、助かった。 あとは桜だ。 ところが、小木。 フェリーの到着する両津からするとものすごく遠い。 佐渡、デカい。 午前8時40分に新潟港からフェリーに乗り、海を渡り、佐渡に上陸し、昼食に困り、延々と走って、ようやく午後1時過ぎに小木に入り、海潮寺にたどり着いた。 これ、乗り込む時のおけさ丸。爆睡したため、内部の写真が無い。 海潮寺は地図上では海岸沿いにあるみたいに見えるが、とても静かな山の中といった印象の場所だった。 山門のすぐそばに駐車スペースもある。 他の自動車はない。 実はこの日に小木の御所桜が開花しているかどうか、佐渡市に問い合わせている。 数日前に見ごろである、という回答を得てここに来ている。 なのに、4、5台くらいとめられそうなスペースには1台も自動車が止まっていない。 さて、桜。 山門をくぐる。 緑の苔むした地面の向こうにこじんまりとした緑の塊が2つあった。 ああ。 まず溜息が出た。 葉桜だった。 数日前には見ごろだったが、その後天候が乱高下していた。 暑くなったり、暴風雨があったり。 そりゃ、桜も散るわ。 だが、右側の桜はいくばくかの花はついていた。 誰もいない静かな境内でじっくりと桜を見る。 それにしても、思ったより小さなお寺だった。 今まで海潮寺の写真を見ていたのだが、もうちょっと大きなお寺だと思っていた。 お寺は国の天然記念物を守っているような感じはしなかった。 すぐ隣にたぶん住職の住んでいる家らしいのがあって、めちゃくちゃ生活臭がただよっていたし。 しまいに、桜の周りをぐるっと取り囲んでいる木道に、たぶんお寺の子供、もしくは近所の子供が自転車で乗り上げて、ぐるぐる回って遊んでいた。 うーむ、のどかすぎる。 でも、まあ、それくらいが佐渡の土地には似つかわしいような気もする。 だからこそこの桜が守られたのかもしれない。 しかし、そんなことを考えつつ、説明看板までちゃんと読んでおきながら、私は花の八重と一重、色の違いばかりが気になって、匂い桜であることをすっかり失念してしまった。 ああ、これも失態。 手にとれるくらいのそばに桜の花があったのだから、クンクンと鼻を近づけて、どんな匂いがするのか嗅いでみればよかった。 満開なら、木のそばに行っただけで匂ったのかなぁ。 返す返すも惜しいことばかりしている今回の佐渡である。 山門。小木から向かうとカーブした後ろ側になるので、見落としがち。 境内。苔がいい感じ。 本堂前に2本の御所桜。 |
法乗坊のエドヒガン 樹齢約250年以上のエドヒガンサクラ。 佐渡市指定天然記念物。 すでに葉桜になっていた。 江戸中期、法乗坊に隠居した宮本坊の老僧が 吉野詣の際に桜の苗を買い求め、 この地に植えた、とのこと。 満開時はライトアップもするとか。 近寄って、なんとか咲いていないかと 目をこらした末に見つけた花。 満開時を見てみたいものだ。 幹。 すっかり痛んでしまっている 上部の枝分かれした部分。 主幹はとても太くて 堂々としている。 調べると、かなり樹勢が弱ってきているとのこと。 地域の人も色々と手をつくしているらしい。 ずっとこの木が健在でありますように。 |
せっかく小木に来たので、比較的小木から近い羽茂にある桜の巨木に行こう、とダンナは計画していた。 立ち寄れるのはそこくらいだ、とのこと。 しかし、自動車のナビにはその桜は無い。 ダンナのスマホで検索して、道案内してもらうことにした。 いや、びっくりしましたよ。 佐渡。どこまで行っても山だった。 ここ、本当に離島か、と思うくらい、山また山の道路を道案内された。 ほど近い場所のはずなのに、どんどん山奥に行ってしまう。 まずいぞ。 フェリーに乗り遅れるやもしれないぞ。という心配が頭をよぎる。 フェリーに戻る道すがらに立ち寄れるトキの森に行くつもりだったのだが、それどころではなくなっているかもしれない。 今回たった半日の滞在だったが、心底実感したのは、佐渡は山の島だということだ。 海岸一周する大きな道路から一歩内側に踏み込むと、完全に山奥になる。いや、ホント、いきなり山奥になってしまうのだ。 おいおい、どこに連れて行かれるのだ、と不安になりながら進む。 もはや、どの道をどう走ったのかさっぱり分からない。 ナビは、羽茂川を左に見る県道81号を進む。 進んで、進んで、げ、何もない場所で案内を終了してしまった。 桜ないじゃん〜っ、ただの道じゃん〜っ。 焦った。 この先には絶対何もないと自動車のナビの地図も示している。 なんとか自動車を返す。 ダンナのスマホの案内を終了してしまったナビの画面を見ると、あら、あるじゃないの、法乗坊のエドヒガン。 なんと、隣を流れる羽茂川の対岸だった。 こらこら。 戻るとほどなく橋があった。 その橋を渡ると、ちゃんと案内があった。 右に曲がると法乗坊の桜だと書いてある。 いや、しかし、この道、本当に民家に通じるだけみたいに見えるぞ。 しかし、案内があるので、そちらに自動車を進める。 民家の犬に吠えられながら、そろそろと進むと羽茂川に突き当たって、道は終わっていた。 ええーー、桜はどこよ。 見えない。 しかも、道、無い。 左に曲がる感じの轍の跡はあるがそっちに進んで自動車をUターンできる場所がある確信がない。 仕方がないので、民家の敷地を借りて自動車を返して、橋を渡って戻り、橋のたもとにあるJAの前にある駐車できるスペースに止めさせてもらった。 実はこのJA佐渡大崎営業所の向かいには「おいしいドーナツたがやす堂」という小さなカフェがあり、そこのお客さんもJA前に駐車している。 ドーナツには心惹かれたが、なにせ時間が無い。 徒歩で、案内の道に入って行く。 羽茂川に突き当り、左に曲がると、そんなに歩かずに巨木が見えた。 法乗坊のエドヒガン。 想像していたより、ずっと大きな木だった。 これは、たぶん、新潟県では一番の巨木桜かもしれない。 すっかり葉桜にはなっていたが、その姿に来てよかった、と感動した。 徒歩でここまで来たが、実は羽茂川に突き当たったあとに轍にそって左折して行けば自動車を止められるちょっとしたスペースがある。 ここでUターンもできた。 JAのそばの橋を渡ると見える案内。右の民家方向に進む。 羽茂川沿いに少し歩くと見える光景。桜、デカい。 さあ、桜だ。 桜はちょっと小高くなった場所にある。 その奥に「法乗坊」と呼ばれる茅葺の建物がある。 ひいき目に言っても小屋である。 そこまでの道が実は無い。 え、どうやってあそこまで行くんだ? 仕方がないので、雑草が踏まれているような場所を選んで、斜面を登った。 これは現代かなぁと思うような空間が小高くなった場所にあった。 大きな桜と茅葺の小屋。 石塔がいくつか立っている。 これはもう、満開時にもう一回ここに来るしかないなぁ、と思った。 かなり痛んだ幹を見ると、もしかしたらちゃんと見ておかないと見られなくなってしまう桜かもしれない、と思う。 よし、佐渡にまた来る理由ができた。 今度はゆっくりできる計画をたてて、佐渡に来るぞ。 帰りのフェリーは、なんと午後4時。 桜を見終わった時点で午後2時。 この場所がいったいどれほど両津港から離れているのかさっぱり分からないので、すぐに港に戻る必要がある。 フェリーは飛び乗ることはできないので、少なくとも30分前にはつかないといけない。 ちょっと慌てて自動車を走らせた。 にしても、山だった。 どの道を走ったのか、相変わらずさっぱり分からないのだが、かなりずっと山の中を走った。 そして、いつの間にか、お昼を食べる場所を探して走った県道65号に乗っていた。 この道は時間があれば立ち寄る予定だったトキの森公園のそばを通る。 入り口の案内があったのだが、そこを通ったのは、すでに午後3時。 うーむ、観光地でバタバタして乗船時間を気にするよりは、手続きをしたあとに両津港でお土産でも見ていたほうが安心する。 トキの森公園は諦めて、そのまま両津港に行くことにした。 あとで調べたが、トキの森公園で見られるトキはケージの中のトキで、我々のよく行く長岡市寺泊にある「トキみ〜て」というトキの分散飼育の施設よりもしかしたら見られるトキの数は少ない感じだ。 佐渡の大空を飛ぶトキはラッキーがないと見られないらしいが、少し離れた「トキのテラス」という田んぼを見晴らせる展望台のほうがよいらしい。 ともかく、両津港にたどり着き、お土産店などをぶらぶら。 ついでに港前の公園をぶらぶら。 あっという間に佐渡の半日は終わってしまった。 帰りのフェリーはときわ丸。 どうやら、行きに使ったおけさ丸より大きな船らしい。 ヘンな時間のフェリーだったため、行きのフェリーのようにすし詰め状態ではなく、どこでどう過ごそうと大丈夫な感じだった。 この船には2等のチケットでも椅子席が使えて、我々は椅子席にした。 横にならなかったので、爆睡することもなく、船の中を歩いて回ることもできた。 ちょうど夕日の美しい時間で、こんな時間に戻ってしまうことを少し後悔していたが、これはこれでよい船旅ができていると思った。 午後7時前には新潟港に到着。 帰り道に晩御飯を食べて、家に戻ったのは午後8時過ぎ。 ああ、ホントに我々佐渡に行ったのかしらん。 半日って、ホント印象に残らない時間なんだな。 またそのうち、のんびりゆっくり佐渡に行くことを誓い、今回の「ただ1本の国指定天然記念物の桜を見るだけの弾丸旅行」は終わった。 これ、帰りのときわ丸。全然揺れずに快適な船旅だった。 出港時に見えた、たぶん金北山。いつか登りたい。 一番最上階のデッキ。夕日に赤く染まっている。 そして、日本海に落ちる夕日。 雲が出たので、海に落ちる瞬間は見られなかった。 白い波はフェリーのおこす波です。 |
雪上桜 昨年は雪が少なくて、雪のない開花だったとか。 今年は雪が多くて、 さらに開花も遅れた。 |
4月20日 近隣の桜の見ごろを逃してしまった我々。 ほそぼそと新潟の桜を見てますよ。 私は所用で行けなかったが、ダンナが行った魚沼市福山峠の雪上桜。 昨年は雪が少なくて、桜が開花する頃には雪がなかったそうで、今年は2年ぶりの雪上桜なのだそうだ。 あいにく曇り空だったが、白い雪に桜のピンクが美しい。 ホームページによると、今年の開場する期間は4月14日から25日だったのだが、見ごろを迎えたのが21日。たった5日間の見ごろになってしまった。 なお、入場するには300円の協力金が必要である。 さらに、雪が多いので、滑り止めや長靴などの用意も必要だ。 せっかく満開だったが、キャンプ場のため、雪上桜としての開場の週末はこの日かぎり。たぶん、次の週まで咲いていたと思うけど。もったいない。 |
坂戸城址の桜 何より、カタクリとの競演が素晴らしい。 城址には横に並んだ桜とカタクリが見られる。 雪国の春を満喫できる。 |
4月27日 佐渡の翌日なんですが。 あまりにお天気がいいので、定番の春の山に登ってきた。 ま、飛び石連休で翌日お仕事をすればまたお休みになる。 せっかく佐渡を半日で終わらせて体力温存したので、登山したっていいでしょう、と、言い訳をしてみる。 魚沼市の坂戸山。 この山も例年桜のいい時期に登っているのだが、何の間違いか、ダンナは今年はもう坂戸山の麓の銭淵公園の桜も散っているってよ、と言っていた。 そうなんだ。 雪の多い少ないの関係かしらね。 と、言いながら、新潟市の我が家から一般道で魚沼市を目指す。 途中、わあ、あの桜がいい、おお、あの桜と雪山がすごい、と車窓からいい感じの桜たちを眺めながら走る。 今年は本当に雪が多く、山々の雪がたくさん残っている。 魚沼に入ると、どの桜の背景にも雪山が入り、青い空と桜のピンクと雪山の白、どこをどう切り取っても絵になる感じだ。 桜追いの気分なら立ち止まって写真撮影するところだが、いやいや、今日は登山の日。 それでも、情報間違いで、本日満開の銭淵公園近くの桜並木を通り大喜びし、薬師尾根の山桜に小躍りし、下山コースの坂戸城址の桜を見て歓喜する。 坂戸山は、桜追いにもいい山ですよ。 銭淵公園近くの桜並木。遠くに雪山が見える。 薬師尾根の山桜はそろそろ散り際。 薬師尾根にもカタクリと山桜の競演がある。 |