2008年秋の磐梯吾妻スカイライン@
一切経山 (つばくろ谷の滝) そのA高湯大滝へ

2008/10/13 一切経山 福島県福島市  (山のレポをとばしてつばくろ谷の写真を見たい方はこちらへ
2008年秋、私はとにかく疲れていた。と、いうのも、会社がどういうワケかものすごく忙しく、連休になるはずの土曜日は出勤、世の中が三連休の10月11日から13日までももちろん土曜が出勤なのでただの連休。ところが、その連休も1日が出勤でつぶれて、一週間に7日働くことになってしまった。
世の中が行楽で浮かれているこの3日間、ただ仕事をして疲労回復のために家でぼーっとしているだけでは、いくらなんでも私が可哀想すぎる。
しかも、ものすごくお天気がいいのだ。
夏以来、とにかく晴天に恵まれていない我々は青空に飢えていた。
こうなれば、例え一週間に七日働いていたって、どこかに出かけてストレスを発散しなくては気がすまない。青空のもと、秋を捕まえなくては、きっと秋を知らずに今年が通り過ぎてしまうに決まっている。
そんなこんなで、10月13日に紅葉の一番よさそうな場所をチョイスした。
とはいえ、日帰りなのでそれほど遠くにも行けない。遠くなくて、紅葉がいいとしたら、標高の高い場所である。しかし、さすがに登山するほどの体力は私にはない。自動車で標高の高い場所まで行けるところが一番いい。
で、決まったのが福島県の磐梯吾妻スカイラインだった。
有料道路ではあるが、自動車で標高1600メートルほどまで行けてしまう。ついでながら、9月にその入り口付近の幕滝に行っているので、場所の不安もなかった。
で、せっかく行くのであれば、小一時間程度の登山くらいはしよう。山頂からすんごく綺麗な湖が見られる山があるらしいし。さらに、磐梯吾妻スカイラインの福島市側には高湯温泉というお湯のいい温泉があり、その近くには高湯不動滝という滝もある。よし、これでドライブのコースは決まったぞ。
秋を捕まえに行くぞ。もう、ある意味、強迫観念に迫られた決定であった。
そんなわけで、滝のレポートのページになっているが、その@については概ね登山記録である。最後のほうに無名の滝がチラっと出てくるので、お許しいただきたい。
   (写真の数が多いために今回は写真のサイズを小さくしています。ご了承ください。)
見事に晴れた青空のもと、磐梯山が我々を迎えてくれた。いや、実は高速道路上では磐梯山は霧の中だったが、国道151号に乗ったあたりで霧が晴れて姿を現してくれた。
磐梯吾妻スカイラインの入り口で1キロほどの渋滞に出会う。よもや渋滞しているとは考えてもいなかったので、ちょっとびっくり。
11時少し前に浄土平の手前の駐車場に入るが、そこにはトイレが無かったので、2キロほど先の浄土平の有料駐車場まで行く。
有料駐車場はすでにほぼ満車状態。バスや自家用車がびっしりで人も多い。
大半が右写真の吾妻小富士に登るようだ。
我々は単に火口を一周できるだけの吾妻小富士に登るつもりはなく、反対方向の一切経山をめざす。
長蛇の列のトイレをすませ、ビジターセンター裏の駐車場の奥にある登山道入り口へ。
なんのこたない、我々の駐車した場所から木道がすぐにあって、その木道を使えば気持ちよく登山道入り口に行けたのだが、よくわからなかったので、少し遠回り。
意外にも家族連れなどけっこうな数の人がこちらの登山道にもやって来ている。
11時10分、駐車場はずれの登山道入り口を出発。
11時14分 鎌沼と一切経山の分岐到着。
ビジターセンターから、まさかあれがこれから登る山なのかなぁと信じられなかった方向に矢印が向いている。
なんで信じられなかったかというと、ただの瓦礫の山にしか見えないのだ、一切経山。
ほとんど草木の生えていない、赤茶けたガレガレした山である。
荒涼とした風景の中、歩き出す。
うえ、前方に山の稜線が見えるのだ゛か、その斜面に点々と人の姿が見てとれた。
青空にくっきりと一列になって人が斜面にへばりついている。
あれ、これから私達が登る道ですか?
否応なく道はその斜面に向かっている。
乾ききった斜面にとりつく。
振り返ると、浄土平の有料駐車場にびっしりと並んでいる自動車と、その向こう側にそびえる吾妻小富士が見えた。
火山の火口なのだが、なんだかクレーターのように見える。
日本じゃないみたいな風景だ。
吾妻小富士の火口壁と駐車場の間にジグザグの遊歩道が見える。あそこにも人が一列になって登っている。
駐車場から火口壁まで15分。噴火口一周約一時間だそうだ。
さて、我々は荒涼とした斜面をひた登る。
ものすごい角度で標高を稼ぐ。
斜面が全部登山道で、きっちりとした踏み跡は決まっていない。
登りやすい場所を自分で探して登れ、と放り出されている。
見上げるとものすごく青い空と、乾いた斜面しか見えない。
これ、下るとしたら、とんでもなく怖い。今から帰りを考えて足がすくんでしまう。
連日の肉体労働で疲労物質の溜まりきった私の足には過酷な登りが続く。くじけそうだ〜っ。
あ、前方にケルンのようなものを発見。
山頂か?
いやいや、ここからも鎌沼に下って行ける道があり、その分岐点だった。
なるほど、今までの急登のコースとは別のコースもあるのか。帰りはそっちから帰ろう。
今来た道はあまりにも急で怖すぎる。
11時50分、分岐通過。
左下方に鎌沼と湿原が広がる。
なんとも言えず雄大な景色だ。
今登って来た乾いた斜面とは別世界のようである。
沼に向かって木道が伸びているのが見える。
季節によっては手軽にお花畑が見られそうだ。
分岐から先はそれほどきつくない登りだ。
どちらかと言えば平らな道と言ってもいいくらいだ。
分岐の付近に少しだけ緑があるものの、すぐにガレた乾いた風景になる。
乾いた風景が広々と広がっていて、いったいどこまで行ったら終わるのかわからない。
右は振り返ったら見える吾妻小富士。珍しく私が写っている。
ちなみに、このあたりで、下山する人たちに次から次に「がんばって」「もう少しよ」と声をかけられた。
他にも登っている人がいるのに、どーして私だけ励ます?そんなにヘロヘロに登っていたのか、この私。
12時10分、山頂到着。
実は左の山頂標識よりももっと目立つ布がはためくものが立っていたが、ちょっぴり宗教っぽいのでここでは山頂標識と三角点だけ。
なぜかダンナと私が交互に捕まって記念写真のカメラマンをさせられてしまう。
山頂がまた、きわめて広くて、行けばすぐに見られると思っていた「魔女の瞳」こと五色沼がどこにあるのかさっぱりわからない。
小さな学校のグラウンドほどもある山頂の端っこまで行って、はじめて眼下に五色沼を見下ろせた。
うわぁぁぁ、本当に青い。
山頂から五色沼まで行く道もある。
行って来た人の話だと、沼まで30分だそうだ。帰りの登りを考えると、とても無理なので、我々はパス。
紅葉はちょっと早いのか微妙なところ。
ただ、沼の青さはとにかくすごかった。
これを見るために乾いた急斜面をよじ登って来たのだ。
感無量。
ちなみに、沼を見る場所はその先がほぼ崖状態。
あ、沼だ綺麗だ、と駆け寄ると、ストンと落ちかねない。
実際にその場所でガレた地面に滑ってスッ転んだ人を見て冷や汗をかいた。
広い山頂の一角、福島市街を見下ろす場所で昼食。
12時55分下山開始。
今度は鎌沼に向かって下って行く。
ところがこの道もけっこうな急斜面。ただ、両側に潅木が生えているので、崖から落ちそうな恐怖は無い。
どういうワケか下る人がみんな駆け足で下るので、私も駆け足になってしまった。
ものすごく怖い。
ストックがあってよかった。
右の写真の赤矢印が下って来たルート。ほぼ一気に鎌沼まで下ってしまう。
ガレた道からブッシュが濃くなると、トイレの建物になる。
急斜面は10分かからないくらいで下りきってしまうのだ。
13時20分、鎌沼と浄土平の分岐に到着。
鎌沼まで行こうか、とも思ったが、この先の予定もあるので浄土平に戻ることにする。
一切経山からも見えた木道を浄土平に向かって歩く。
ここからすぐに浄土平かと思ったら、意外に下る。
よく整備された道だが、だらだらと続く下りだ。
右の写真、左がわに吾妻小富士、その隣に桶沼も見えている。
標高が下るにつれ、紅葉が綺麗になってきた。色づいた木々の間を下って行く。
途中、ほぼ平行して一切経山の登山道を見ることができる場所があるのだが(右写真)、とんでもない角度にあらためてよく登ったもんだと思う。
吾妻小富士も見上げる位置まで下って来た。
それにしても、いくら秋とはいえ、花が全くなかった。
せいぜいシラタマノキの白い実がこのあたりで目立ったくらいである。
紅葉の季節にはもう花は終わっているのかしらん。
13時45分、一切経山との分岐に到着。5分ほどで駐車場に到着。 下山途中、磐梯吾妻スカイラインが見えるのだが、どちらの方向からも浄土平目指して自動車が大渋滞していた。
我々はこれから下山するので、その渋滞には巻き込まれない。
だが、浄土平自体が大混雑していたので、トイレにも寄らずにさっさと退散することにした。
事前に磐梯吾妻スカイラインの名所をネットで調べて、つばくろ谷という場所に滝らしいものがあると分かっていたので、そこまで下る。
下るまで、反対車線はずっとびっしりと渋滞していた。この渋滞が解消されて浄土平に着くころには、夕暮れ時になってしまうんじゃなかろうか。
つばくろ谷も登る人たちがトイレに立ち寄るためにやや混雑していた。トイレには長蛇の列。我々は一番奥の展望所まで行って、滝を探す。
しかし、展望所の展望は、不動沢橋がよく見える場所であって、沢がよく見える場所ではなかった。

つばくろ谷の滝
と、いうことで、ひたすら水音を頼りに沢が見えそうな場所をフェンス沿いに探してみたところ、奥の突き当たりよりもややトイレ寄りからなんとか滝らしき存在が見ることができた。
右の写真の赤い矢印が滝の位置で、不動沢橋のかなり下である。
もしかしたら不動沢橋の上からなら角度によってはよく見えた場所があるのかもしれないが、そこまで歩いて確認はしなかった。
ずっと昔にあった橋の名残が下のほうに見えたが、そこまで下る道があったらもう少しまともに見えたかもしれない。
その後、まだ浄土平に向かおうとしている自動車の列を見ながら、磐梯吾妻スカイラインの福島市がわの出口に向かった。
その出口近くには高湯不動滝があるのだ。
今回の滝のメインは高湯不動滝、温泉のメインは高湯温泉、ということで、先を急いだ。
                                      2008年秋の磐梯吾妻スカイラインAへ

交通
磐梯吾妻スカイライン  最寄ICは磐越自動車道猪苗代磐梯高原IC。国道115号に出てひたすら北上。母成グリーンラインの入り口を右に通り過ぎ、磐梯吾妻レークラインへの道県道70号を左に通り過ぎ、とにかく進むと、立体交差でちょっとややこしいが、県道30号に下りる道になる。磐梯吾妻スカイラインの案内があるので、それに従って進むようにする。
県道30号に入り、横向温泉を通り過ぎて標高をどんどん上げて行くと、磐梯吾妻スカイラインの入り口が左側に見える。
ちなみに、紅葉シーズンの週末はめちゃくちゃ混雑する。午前10時頃で入り口の渋滞が1キロほど。かろうじて、このくらいだと浄土平の駐車場渋滞は無かった。午後になると、浄土平に向かう方向はどちらも大渋滞でほぼ動かないと覚悟したほうがよい。
普通車は1570円。プラス、浄土平の駐車場を利用する場合は420円が必要だ。
一切経山  浄土平駐車場からビジターセンターの裏手の登山口に進み、そこから本当に約1時間で山頂に到着する。しかし、ものすごい急登を覚悟したほうがよい。鎌沼方面からアプローチする手もあるが、鎌沼のトイレから先の登りもとんでもなくキツいと思う。

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