んがお工房の桜めぐり
2008年福島の桜めぐり@
2008年4月20日(日) 日本三大桜のひとつ、三春滝桜がある福島県は、本当に桜の名木が多い。特に滝桜を中心とした三春町、郡山市、田村市、二本松市には特に有名な木だけでも片手の指では足らないだけ挙げられる。 そんなわけで、2007年に三春の滝桜を中心に桜めぐりをしてみた。 ところが、1日で自動車で回れる範囲だというのに、このあたりは、桜の開花の時期がかなり異なる。 滝桜が三分咲きの時に訪れて、田村市の桜はまだつぼみ、ところが三春郊外の桜は8分咲きのものもあった。 この地方は全部をいっぺんに見ようと思ってはだめだと痛感。 そんなわけで、今年は昨年蕾ばかりで見ることができなかった桜にターゲットを絞ってめぐってみることにした。 郡山桜物語(郡山市観光協会桜のパンフレット) 田村市観光ガイド 二本松市 二本松観光協会 岩代観光協会 |
紅枝垂地蔵桜 樹齢約400年の紅枝垂桜。 三春滝桜の娘と言われている。 根元にお地蔵様の社がある。 三春滝桜よりも開花が少し遅い。 30台ほどとめられる駐車場があり、 売店なども出ている 三分咲きながら、濃いピンクのきれいな桜だ。 花の時期には、滝桜のそばから看板が出ていて、 訪問に苦労はしない。 |
ところが、である。またしても今年もまた早かったのだ。 というか、週末に桜の満開が合わなかった、と言ってもよい。 いや、実はきっちり週末に満開が揃った桜がある。 三春滝桜である。 我々は午前9時かなり前に東北自動車道三春インターチェンジに到着した。昨年の三分咲きの時にやはり同じ時間に到着して、それほど渋滞していなかったので、午前も早い時間なら滝桜さまにご挨拶くらいはできるだろうと思っていた。が、満開の滝桜さまの威力はものすごいものがあった。 インターの料金所までは全く渋滞していなかったが、料金所でまずピタっと止まってしまった。 さては、料金所渋滞だな、と簡単に考えていたが、その先もアクセルが踏める場所がないくらいノロノロの渋滞だった。 インターから滝桜まではかなり距離がある。ずっとこの状態だとすると、気が遠くなるくらい時間がかかるにちがいない。 枝道に入って少しは進んでみたものの、どうにも渋滞から脱出できず、ついに滝桜さまを諦める結論を出した。 この時点で今回の滝めぐりの周り順がぐずぐずになってしまった。 もはやどこからどう回っていいものやら、さっぱりわからなくなった。 と、とにかく、今回一番メインに考えていた紅枝垂地蔵桜に行こうではないか。 ところが、枝道に入ってしまったので、どう行けば地蔵桜にたどり着けるかわからない。なにせ地蔵桜は郡山市にあるのだ。 一番最短で行き着く道は、滝桜の前を通る道。そんな道をナビに案内されても行けるかーー。 仕方がないので地図を広げ、滝桜をぐるっと迂回して地蔵桜にたどり着ける道を探した。 なんとか滝桜の渋滞に戻ることもなく、途中で地蔵桜の案内看板を見つけることができた。 やっとたどり着いたよ〜、といった気持ちで駐車場に自動車を入れる。 なんとなく小雨まじりの天候だったが、駐車場ほぼ一杯の自動車だ。出店まで出ている。が、しかし、当の主役の桜は、まだ三分咲きといった感じの開き具合だった。 カメラマンが多いわりに桜が今ひとつといった感じだ。 こりゃあ、また来年も見に来ないとならないか、紅枝垂地蔵桜。 桜のジャストタイミングは本当に難しい。 |
とりあえず、本日のメインと考えていた紅枝垂地蔵桜を見ることができたので、ホっとした。が、予定がぐずぐずになってしまっているのには変わりが無い。この先どう回ればいいか、悩んでしまった。 地蔵桜がまだ三分咲きということは、つまり、田村市の桜はほぼ全部咲いていない、と言ってもいいはずだ。もちろん、インターネットで調べ済みの小沢の桜はまだつぼみも固い状態である。 となると、田村市がわ、つまり、国道349号を南下するのは切り捨てたほうがよかろう。では、北上するしか無い。 国道349号を北に。二本松市方面である。 二本松の桜の名木と言えば、言うまでも無い、合戦場の桜だろう。 次のターゲットは合戦場の桜に決まった。 |
蛇塚の桜 曇り空だったので、 見上げるとシルエットになってしまう。 樹齢約120年の枝垂桜。 蛇塚というのは、西暦830年頃に行われた 水路工事の際にこの土地にいた大蛇を退治して その頭をここに葬ったという言い伝えから。 開花時期にはライトアップもされるという。 こちらは国道349号からズームで撮影。 高い位置にあるので、ライトアップされたら さぞ目立つだろう。 |
と、いうことで紅枝垂地蔵桜を出発して、県道57号経由で国道349号を目指した。 途中、壁須の枝垂桜、下山田の桜があったはずだが、よくわからなかった。 いや、しっかりと立派な桜の木があり、それにカメラマンが群がっていた。路上に三脚を広げたり、無理やり道路を横断したりと少し目にあまる撮影振りだったので、近づくのがイヤになったのだ。 できれば我々も撮影したかったのだが、そんな状態では見物もおぼつかない。今回は目的の木だけにしようと通り過ぎた。 あとで地図で調べたら、たぶん壁須の枝垂桜と下山田の桜であろう、とわかった。ちょっと惜しかったと思ったが、あのカメラマンたちと同列になりたくはなかった。 県道57号から国道349号に飛び出るとすぐに小沢の桜になる。 昨年も見ているので見落とさないが、この日はまだ蕾が固い状態で、撮影する人もいなかった。 そんなわけで、小沢の桜は写真も撮らずにそのまま通り過ぎて、もちろん、同じだけ蕾が固い小沢宮の枝垂桜もパス。そのまま二本松市の境まで国道を北上して、ちょうど右側にあったセブンイレブン自動車を入れて昼食を購入した。 これでお昼は確保した、と店を出て目をふと上げるとあら、見事な桜の木があるじゃないか。そういえば、ここは、蛇塚の桜のすぐそば。ということは、あの小高い丘の上にある桜の木が蛇塚の桜か。 蛇塚の桜には昨年行っているので、入り口はわかっている。 セブンイレブンの真向かいの道に昨年はなかったはずの蛇塚の桜に行く看板が立っていたのには少しびっくりした。 道路わきの駐車できるスペースにはすでに先客の自動車があり、我々が駐車しているさいちゅうにも別の自動車が入って来た。桜めぐりは過熱している。 とにかく、塚まで登ってみると、あまりに近すぎて、桜が咲いているんだかなんだかわからない状態だった。 仕方がないので、そのまま反対側、つまり国道側に下りて、下から撮影した。 こんなことなら、セブンイレブンに自動車をとめたまま、国道を歩いて先に進んで撮影したほうがずっとお手軽だった。ただし、通行量が多いうえに歩道がないので、自動車の邪魔にならないようにしなくてはならないが。 通りがけの駄賃ということで、あっさりと桜をあとにした。 |
曲山の愛姫桜 まがりやまのめごひめさくら。 伊達政宗に愛姫が嫁ぐさいに 植えたという桜なので、 樹齢は約430年。 ちょうど菜の花も咲いていた。 さすが400年を越えた幹は、 がっしりとした重さがある。 |
そのまま合戦場の桜に直行するつもりで自動車を国道349号に戻し、北上を始める。が、またしても通りがけの駄賃を見つけてしまった。 愛姫桜、という看板をみつけてしまったのだ。 この愛姫桜は、昨年さんざん探しまくってついに見つけられなかった桜なのだ。つまり、昨年はそんな看板はなかった。 いや、手書きのごく小さな看板だったので、もしかしたら花の見ごろの時だけ出現する看板なのかもしれない。 とにかく、通り過ぎたあとにダンナに「看板があった」と教えられ、すぐに戻れ、ということになった。 瀬川曲山バス停のすぐそばの小さな雑貨店(うろ覚えだが、○○百貨店という名まえだったと思う)の前に二本松方向を向いて走っている場合、左側にごく細い道がある。そこに入って行く。 道なりに進むと、桜に至るまで小さいながら看板が立っている。 ところが、この道、本当に狭い。こんな場所を自動車で行っていいんか、というくらい狭い。 狭いついでに、行き着いた先が民家である。 しかも、その民家が桜の時期だけご好意で駐車スペースを貸してくださっている状態らしい。ちゃんと桜見物用駐車場と書かれた貼り紙がある。ただし、がんばって3台くらいしかとめられない。 よそ様の家に無断駐車するような気分で自動車をとめて、あれか、という桜に向かって歩いた。 これが愛姫桜か。なんて見事に咲いているんだろう。 しかも、なんていいロケーションなんだろう。 その細い道の先にある畑の真ん中に1本だけすくっと立っている。他に立ち木は無い。 畑もこの季節は特に何を作っている風でもなく、菜の花が自然に咲いているだけである。 伊達政宗に嫁ぐ際に愛姫が一里ごとに桜を植えたものの一本だというこの桜、こんな場所にあるばっかりに見学者が一人もいない。 あの蛇塚の桜にも何組から人がいたっていうのに。 しだれ桜でない分、ちょっと派手さはないかもしれないが、畑の真ん中ということといい、菜の花といい、本当に気持ちのいい一本桜なのに。 こういう桜が見られるから、桜めぐりはやめられないよなぁ、と、ついさっきのカメラマンたちの桜に対する過熱ぶりにちょっとうんざりして、桜めぐりもやめようかな、と思っていた気持ちがあっさりふっとんだ。 よーし、次々と桜の名木に出会いに行くぞー。 と、意気込んで自動車に戻ったが、この民家の駐車場から国道に戻る道もまた細かった。あまりに細い道なので、一方通行にしてあるのだが、その道に出るのに切り返してもこすってしまうような場所がある。こ、こんな場所に自動車を導くくらいなら、徒歩5分と書いて国道脇に駐車スペースを確保してくれ〜。 びいびい言いながら国道に復帰して、今度こそ二本松の合戦場の桜を目指した。 |
合戦場の桜 高台の駐車場から見下ろした姿。 樹齢約150年の紅枝垂桜。 三春滝桜の孫と言われている。 国道がわから見た姿。 菜の花ナメの姿。 ようやくこの時間になって、 青空が少し覗いてくれた。 |
寄り道を繰り返して合戦場の枝垂桜に着いたのが午前10時20分頃である。 合戦場の桜のすぐそばの駐車場は身障者マークの自動車専用になっていて、一般車は桜を見下ろす高台の駐車場か向かいがわにある公共施設に駐車することになる。 まだ時間が早かったので、高台の駐車場は満車にはなっていず、うまく駐車することができたが、我々が自動車を降りた瞬間にあっという間に満車になるような状態だった。 桜を探して何度か合戦場の桜の前を通ったのだが、時間が下るたびに周辺の自動車の数が増え、しまいに路上駐車が延々と続く状態になって渋滞を引き起こしていた。 さて、高台にある駐車場からは遊歩道で坂道を下って合戦場の枝垂桜に近づくことになる。 この駐車場からは桜を見下ろすのだが、その風景もまた格別だ。 特にこの日は朝からの小雨で空は白っぽい曇り空。見上げる形よりも見下ろす桜のほうが背景が濃い緑になって綺麗に浮き上がる。 ちょっと歩くが、ぐるっと桜の木を楽しむことができる。 桜の前には菜の花が植えられていて、菜の花ごしの桜の写真を撮影しようとたくさんのカメラマンが並んでいた。 うーむ、この三脚の波を乗り越えて桜に到達するのはなかなか大変なことだ。 だが、楽しいのは、一段上になっている桜のすぐ前の広場にはやっぱり観光客たちが桜を見上げているのでカメラマンたちの望むような人の入らない写真を撮影するのもまた至難の技になってしまっているということ。 桜を写真に残したい気持ちもわからないではないが、被写体として扱うよりは、よく咲いたときっちりと目で見て褒め称えてあげたいと思う。 そういう意味では、アングルがどうの、背景がどうのと言わずにただぼーっと桜を見上げている観光客たちのほうに私は共感するのだが。 合戦場の桜は本当に1本だけちょっと丘になっている場所の斜面に咲いているので、ぐるっと半周して立体的に見ることができる。 見る方向によって桜の表情が変わるのが面白い。 しかし、実のところ、私は菜の花のニオイが苦手なので、15分足らずで合戦場の桜をあとにしてしまった。 八分咲きとのことだったが、充分に美しい見ごたえのある有名桜だった。 |
合戦場の枝垂桜のある地区を岩代地区という。 この地区には桜の名木が何本もあるが、実はあまり知られていない。 というのも、合戦場の枝垂桜が有名すぎるのである。 合戦場の枝垂桜の先に「さくらの郷」という道の駅に似た農産物直売所があるのだが、ここに立派な桜回廊案内図なるイラスト看板が立っている。ここに桜の紹介が3つしか無い(合戦場の枝垂桜、福田寺の糸桜、新殿神社の桜)。これがそもそもの間違いなんじゃないかと思う。この看板は合戦場の枝垂桜からさくらの郷に至るハイキングコースのさくらウォークの案内なので、仕方がないのは分かるが、とりあえず岩代の桜の代表たる合戦場の桜を見に来た人はここに間違いなく寄るだろうので、この場所に岩代が本当に桜の名木が揃っている土地なのだと知らせる別のイラスト看板が必要だと思う。 さくらの郷と名乗っておきながら、甚だ宣伝下手といわざるを得ない。 ただし、そのおかげで大混雑を免れているとも言えるのだけれども。 |
新殿神社のいわ桜 樹齢250年の江戸彼岸。 1本の木ではなく、4本の木が一つになっている。 これは、向かい側の消防署のそばから撮影。 |
と、いうことで、「さくらの郷」に自動車を入れて、徒歩で新殿神社と福田寺に行くことにした。 ハイキングロードである「さくらウォーク」の一番端っこの道なので、歩きやすくできている。 「さくらの郷」から新殿神社まではすぐに見えているくらいで徒歩5分とかからない。 昨年来た時にはつぼみだった新殿神社の桜は見事に開いていて、予想したとおりにこんもりと山のようになっていた。 岩代のホームページで石割桜と紹介されていたので、根元まで階段を登って見に行ってみたが、別段石を割ったようではなかった。 ただ、この4本の桜が生えている、ちょっと高くなっている場所自体がどうも岩っぽい。つまりゴロンとした岩の前に鳥居があって、ゴロンとした岩の上に桜が生えているようなのだ。 鳥居の前には杭が立っていて、「新殿神社のいわ桜」と書かれていた。 鳥居をくぐって、さらに階段を登って小山の上のほうまで行くと神社の社があるらしいのだが、とりあえず桜めぐりだけが目的なのでそちらのほうには行かなかった。 向かいの消防署わきには名水とかかれた湧き水もあり、この日は水を汲みに来ている人もいた。 「さくらの郷」方向から。 |
福田寺の糸桜 樹齢300年の枝垂桜。 糸という名まえがついているが、 それほど派手には枝垂れていない。 お寺の赤い屋根がポイント。 |
新殿神社から歩いて5分とかからずに福田寺に着く。 糸桜は、まだちょっと満開には遠い感じで、おとなりのいわ桜に比べるとちょっと貧弱に見えてしまう。 だが、赤いお寺の屋根と合わさると、実に素朴でいい感じの風景になる。大人の桜、といった感じなのだ。 足元にはイチゲの花が咲くというのは昨年確認済みだが、今年はそれほど咲いていなかった。 ものすごく賑わっている「さくらの郷」や合戦場の桜に比べると、見学者も少ない。 少しくらい歩いて、この風情ある桜を見てやってよ、などと心の中で思ったが、どうも、お寺の国道を挟んだ向かいがわの民家の桜のほうが立派に見えてしまったりするから、仕方がない。 古木っていうのは、こういうものなのよ。 |
徒歩で「さくらの郷」まで戻り、これからはちょっと探すのに困難なあまり手がかりのない岩代の一本桜を探すことにした。 とりあえず、場所をだいたいこのあたりなんじゃなかろうか、と特定できた十石畑の桜から探してみることにする。 と、途中で、岩代のイラストマップの看板を発見。ここに何本かの桜の位置が記されていた。 イラストマップはここから。 これでいくつかの目安はつけられる。とりあえずデジカメで撮影して、参考にすることにした。 福島の桜Aにつづく |