2008年夏の御岳@そのA新滝、清滝へ
百間滝群
(百間滝、雄蝶の滝、雌蝶の滝、大正滝)
 




百間滝
百間滝小屋よりの遠望である。
ストンと落ちる潔い直瀑だ。
背後の岩壁が大きくえぐられている。
この滝に打たれる行があるらしく、
滝つぼまで行く道もあるらしい。
ただし、百間小屋からの道は崩落のため
立ち入り禁止。
今回は滝つぼまでの道の入り口を
特定できなかった。


見た目の滝は上の写真のとおり。
かなりの遠望ではあるが、
滝の規模がすごいので、
それほど遠いとは思えない。
水音もよく聞こえる。


この滝つぼに人が立っている写真を見た。
さらに、この滝に人が打たれている
写真も見た。
いくら修行でも、この滝行は痛いだろうなぁ。



百間滝小屋から少し展望台のほうに向かうと、
下流の滝が見えてくる。
この滝は無名だそうだ。


下流の滝のアップ。
百間滝の落差と比較すると
小さく見えてしまうが、
この滝だって落差10メートルくらいは
楽にありそうである。
滝つぼもこっちのほうが深そうだ。



滝見台から見ると、
百間滝、下流の無名滝の下にさらに
滝が見える。
これが雄蝶の滝だ。
同じ沢なので水量に変わりはないはずだが、
雄蝶の滝のほうが水量が多く見える。


雄蝶の滝
真ん中に大きな岩があって、
水流が2条に分かれているが、
それがすぐに一緒になる。
我々が行った夏では
下草の勢いがすごくて、
滝つぼまでは見ることができなかった。



雌蝶の滝
百間滝の沢から目を左に移すと、
岩盤を斜めに切り裂くような
勢いのいい水流が見える。
落ち口は岩に隠れているし、
滝つぼは土砂に埋もれている。


土砂だと思うのだが。
この土砂がなければ、
落差はもう少しあったかもしれない。


百間滝との位置関係は上の通り。
黄色い矢印が雌蝶の滝。
赤い矢印の上が百間滝、下が雄蝶の滝だ。
真ん中にデンとある尾根のために、
雌蝶の滝が見える場所では
百間滝を上から下までは
見ることはできない。



大正滝
雌蝶の滝からさらに目を左に移すと、
大正滝がある。
左に水平に、というのではなく、
左下に移す感じである。
末広がりの分岐瀑は、他の滝と趣が違い、
とても優美に見えるのだが、
いかんせん、木の葉っぱがひどくて
全貌を見通せない。


大正滝は、他の滝と水平位置にないので、
一緒の写真に撮影するのは難しい。
上の写真の立ち木の間に雌蝶の滝が見えるが、
ダンナが撮影している左下のほうに
大正滝がある。



油木美林遊歩道の花











2008/8/15 百間滝(落差40m)、雄蝶の滝(落差35m)、
            雌蝶の滝(落差30m)、大正滝(落差25m)
                     長野県木曽町

[注:このレポの中では、調べた範囲で一番多かったために滝名は左欄のようにしていますが、実際のところ百間滝以外の滝については、どれがどの滝かまちまちなので特定できません。百間滝の下流の滝を大正滝、中沢の滝を雄蝶の滝、一番左の末広がりの滝を雌蝶の滝として紹介しているサイトもあります。]

長い前置き
2008年の夏休みは4日間だった。一週間前までは安定した高気圧に覆われるために、お天気に心配はまったくないはずだったので、一日目をちょっと我々にはハードな登山にあてる予定だった。
ところが、その予定の日の8月14日の前日になって、天気予報がガラリと変わった。なんと、お盆休みの殆どが雨というのである。
雨だと〜!?
そんなことは全く想定していなかった。
どうする、明日は登山するのか、しないのか。とにかく、明日になってみなくては分かるまい。
全行程12時間近い登山になる予定だったので、未明に出発することになっている。とにかく、朝の3時半には高速道路に乗って登山口、糸魚川市蓮華温泉に向かっていた。
駐車場までは、雨は落ちていなかった。
ネットで調べた天気予報でも、曇り。雨は朝と夜に残るだけだとあった。
ちょっとどんよりとした雲ゆきだし、駐車場から見える山のテッペンには雲がかかっているが、回復するのだと信じて仕度をする。仕度をしている最中にポツポツと雨が来たが、それでも3時間ほどかけてガソリン代と高速代を使ってやって来たのだから戻れないという気持ちもあって、登山を開始した。
だが、登り始めて10分ほどで雨が本格的になってきた。それほどきつくない登り始めの道でも足元が滑る。ダンナが引き返すことを提案。私も同意した。
まだ朝の7時前である。
糸魚川市に来て、どうやってこの一日をつぶそう。
そもそも雨の場合を想定していないので、代わりになるものは思いつかなかった。
すごすごと来た道を戻るしかない。
また3時間かけて、自宅に戻った。
うーむ、深夜割引を使って出発、朝の通勤割引を使って帰宅。笑えない。
むちゃくちゃ消化不良なので、家でパソコンを立ち上げ、今日明日の天気のいい地方を検索しまくった。
昼食をはさんで2時間、晴れそうな地域と見てみたいものと、それから距離的に宿泊できる場所と、全部ネットで探した。
そうこうして、腹立ち紛れに決めたのが、木曽御岳の百間滝を見に行く、というものだった。
その日の正午過ぎ、我々はバタバタと宿泊の準備をして、登山の準備をそのまま持ち込んで自動車に乗り込んだ。この時間では高速道路のETC割引が無いので、極力下道を利用する。
国道117号経由で、長野入りして、飯田市に入ったとたんに、とんでもない豪雨に見舞われた。雷はあちこちで落ちるし、ワイパーが利かないほどの雨量だ。
山の上でこんな雨に遭ったら我々山初心者は遭難してしまっていた所だ。引き返してよかったと思う反面、本当に晴れるのか、木曽のあたりは、と不安になる。
通勤割引のきく時間になったので高速道路に乗って、宿泊地の伊那市に着いたのは午後7時過ぎ。日帰り温泉に入って、北伊那駅近くのビジネスホテルに宿泊。翌朝、7時前に御岳に向かって出発した。

6合目へ
朝起きた時には、雨は降っていなかったが、晴れてもいなかった。遠くの山は、山頂のあたりが雲で覆われている感じである。
伊那から木曽は遠いように思われるが、権兵衛トンネルがぬけているので、意外に近いのだ。
だが、国道19号線中山道から御岳に向かう道がけっこう長い。いよいよ御岳霊場に入り、独特の霊神碑の間を通り抜けながらどんどんと標高をあげて行く。何度か来たことのある油木美林遊歩道の入り口である4合目の駐車場を通り過ぎ、さらに上に登る。この先は林道のようになり、霊神碑の姿も見られなくなる。ここから先がかなり長い。道もくねくねしていて細いので、注意が必要だ。
8時15分、広々とした6合目の駐車場に到着。自動車はここまでである。50台ほど止められそうな駐車場には30台ほどの自動車が。我々もその端に駐車して、仕度を整えた。雨は落ちていないが、御岳も見えない。山の上は厚い雲の中だ。もしかして雨が当たってくるかもしれないので、雨具も用意して出発した。午前8時20分である。

下るんかい
さて、ここからは油木美林遊歩道を歩いて行く。4合目から6合目まで通じている遊歩道で、4合目付近にはこもれびの滝や不易の滝などがある。
トイレの横にある道標は、御岳登山道と油木美林遊歩道に分かれていて、御岳の登山道はものすごく広い砂利道なのに対し(すぐ上に中の湯という温泉があるのだ)油木美林遊歩道の矢印の先は、げげ、道あるんかい、という感じの笹だらけの道になった。朝なだけに、朝露で笹が濡れていて、一歩踏み込んだだけですっかり濡れてしまう。
これは、この夏になって整備されていないな、というのがすぐに見てとれる。
たしか7月のはじめにこの道を整備かたがた百間滝の滝つぼまで行かれた方のブログを見たのだが、それ以降笹が繁茂したいだけ繁茂した感じである。
  
トイレとその脇にある登山道。

    
  
道標のさす方向は左がわ。しかし、そっちを見てみると笹だらけ。
油木美林遊歩道は4合目と6合目を結んでいて、それを6合目から出発するのだから、もちろん下るのは当たり前なのだが、最初からとにかく下った。
滝見台というのがあるはずで、私としては、その滝見台はそれほど標高が下であるわけがない、だからそれほど下らないのだろう、と思っていた。
が、行けども行けども下る。
全体がじめじめした感じの道で、あちこちにキノコばかりが目立った。
  
前半は下る。階段上の横木が滑ること滑ること。

  
赤茶けた沢。この橋も滑ること滑ること。

    

  
きのこシリーズ。左は私の左足が写っている。巨大きのこ。
一応、歩きづらい場所には木の橋などがかけられているのだが、その橋が苔むしていて、しかも朝露に濡れていて滑る。かえって危ないのでわざわざ橋を避けて通らなければいけいな状態だった。
やがて、赤茶けた岩の上を白っぽく濁った水が流れている沢に出た。
ここばかりは橋を避けて通るわけにはいかない。
いつ滑るかわからない橋をへっぴり腰で渡って行く。
しかし、このあたりにはカニコウモリやタマガワホトトギスがたくさん咲いていて、ちょっとだけ癒される。
    
  
カニコウモリとタマガワホトトギスはとにかくたくさん咲いていた。
    
  
カニコウモリの中を歩き、滑る橋を渡り・・・
水の無い沢を一つ渡り、さらに下って行くと、トラロープが道とは外れた場所に無意味に渡されている、これまた水の無い沢に行きついた。岩が大きくて渡りづらいが、水が無いので怖くない。これを渡ると道が登りになった。
  
トラロープのある水のない沢を渡渉。ここが一番標高が低い。

  
ロープが張られた石のゴロゴロした沢状の道を行く。

やっぱり登るのね
下りはすべって怖かったのだが、登りは息が切れる。標高は高いので、それほど暑くないのだが、湿度が高い。ぜいぜい言いながらふと足元を見ると、ゴゼンタチバナが咲いていた。自動車から下りてずっと下っていたので、こんな高山植物を見るとは思ってもいなかった。そうか、やっぱりここは高山だ。
  
唯一咲き残っていたゴゼンタチバナ。
しばらく行くと、またトラロープが出現。大きな岩がゴロゴロした場所の手がかりとなるようにけっこう長い距離トラロープが張ってあった。
そこから10分ほど登ると、笹に埋もれそうになった道標が現れた。7合目まで登る道と百間滝の滝見台を通って油木美林に向かうコースに分かれている。
今までの道があまりにも笹藪がひどかったので、もし7合目まで登る道が整備されているのであれば、帰りはそちらに行ってもいいと思っていたが、見てみると道なんか無い状態だった。どう見ても笹薮だ。完全に放棄された道だ。(いや、実際に踏み込んだら、ちゃんと道はついているんだろうけど) 帰りも来た道を戻るしかなさそうだった。
  
埋もれる道標。

  
百間滝小屋。なんか出てきそう〜。
その道標から1分もしないうちに小屋が出現。なんか、気持ち悪い小屋だ。山小屋といった感じでは全くなく、何かの作業小屋のようだった。
そのあたりで遠くに水音が聞こえている。
今までものすごく静かな道だったので、ある意味ホッとする水音である。
小屋に向かっていくと反対側の開けたほうにストンと落ちる大きな滝が見えた。見えたぞ、あれが百間滝だ。
時刻は午前9時40分。油木美林遊歩道の案内によれば、6合目から滝見台までは70分とのことだが、我々は80分かけて到着である。

百間滝群
一番百間滝がよく見える小屋の手前あたりでとりあえず撮影。
しかし、他の滝が見えない。
恐らく滝見台というちゃんとしたものがあるはずである。
小屋を通り過ぎると、また笹で埋もれてしまいそうになっている道を笹を掻き分けて進む。
途中、百間滝が見えそうな場所で覗き込むと、おお、すぐ下流にも滝があるじゃないの。
道はさらに先にあるようなので、進んで行くと、うわっ、木が倒れていて道をふさいでいる。その枝と枝の間をくぐったり跨いだりしてなんとかクリアする。
すると、今度はさらに下流に立派な滝があるのが見てとれた。
木を通り過ぎると、左手に笹に覆われてしまって行くのもためらわれるあずまやがあり、その前は開けた広場になっていた。
鳥居と、剣をささげた女性の像が立っている。
百間滝も御岳信仰のご神体なのかもれない。この滝に打たれる行者もいるらしいし。
  

   

  
滝に向かって踏み跡がついているので、そちらに行ってみると、百間滝の向かって左側にスッと斜めに落ちている滝が見えた。滝見台の方に向かって落ちている、というよりは、滝の横顔を見ている感じである。
その滝つぼは崩落したのか大量の土砂で埋まって、下流は土砂の上を流れる沢のような形になっていた。
さらに目を左側に動かすと、下草に阻まれがちながらも、末広がりに落ちる滝が見えた。これもかなりの落差があると思われる。
もっとよく見たかったのだが、滝見台が崖の上のような地形なうえに、下草の勢力が強くてどうしても見えなかった。遠望の滝を見るには、夏は不向きである。木の葉っぱが落ちた晩秋か、木が芽吹く前の早春でないと滝つぼまでは見通せない感じだ。(標高が高いので、早春はたぶん積雪のために来れないと思います)
ほんの80分の行程ではあるが、滑るのと笹を掻き分けるので思わぬ消耗をした。
とりあえず、クッキーで休憩。10時に滝見台を出発。

思ったよりも
さて、来る時にかなり下ったので、帰りはさぞ登り返しが辛かろうと思っていた。
だが、むしろ下りのほうが怖い。滑るのだ。
あれ〜、一番下になるトラロープの沢はこんなに遠かったっけ?と思うくらい歩いた。ただ、朝よりは少しは気温が上がって、濡れていた木が乾いた感じになってきていたので、来る時にはへっぴり腰で渡った橋もなんなく渡れた。
35分でトラロープの沢に到着。そこからは登りだ。
延々と下った印象が強かっただけに、ずっと登りだと思っていたが、意外にも平坦な場所が多く、思ったよりも登り返しは辛くなかった。
花だの実だのを撮影しながら登る。
    
  
実シリーズ。マイヅルソウ、タケシマラン。
    
  
ゴゼンタチバナ、ササユリ。ぷちぷちして美味しそう。
だれともすれ違わないと確信していたが、途中で軽装の男性一人とすれ違った。笹が覆いかぶさる場所ですれ違ったので、クマかと思った。
11時20分駐車場到着。あらまあ、帰りも80分かかっているわ。登りも下りも等しい分量だけあると思えば、納得の時間かもしれない。
駐車スペースにはバスなども止まっていて、朝より自動車の数が増えていた。ここから御岳山までは3時間半ほどで登れるという。
いつか登って、山頂付近の四の池から落ちる幻の巨大滝を見たいものだなぁと思ったが、今回は百間滝群で大満足だった。

   2008年夏の御岳A新滝、清滝へ
交通
  油木美林遊歩道  中山道国道19号の景勝地寝覚めの床を通り過ぎ、少しすると「元橋」という信号に出る。ここを左折すると県道20号になる。意外に小さな交差点なので注意が必要だ。県道20号に入ってややすると左側に道の駅「三岳」があるが、この道の駅も情報を得るのにあまり役にたたない。
道の駅を通り過ぎ、しばらく進むと百草丸のお土産屋さんのほうが先に目に入ってくるが、「太陽の丘公園」という大きな駐車場やトイレのある公園に着く。その公園を右に見ながらさらに進んで行くと、だんだんあたりが霊場らしくなってくる。途中、ロープウェイ乗り場へは右折するように案内があるがそこは直進。墓と石材店の間の道を山を登るように走って行く。
注意するのは、バス停の文字。
最初に左折(と、いうか、道なりに左にカーブ)すると「天昇殿」という場所に出るが、ここのバス停には「かんまん滝」とも書いてある。ここではむしろ細く見える直進の道を選ぶ。墓場に入っていくような道である。さらにつづら折で山を登って行く。「日の出滝」「松尾滝」というバス停がある。これはどうも山側にかかる滝らしい。「松尾滝」をすぎてやや開けた場所に出ると「百間滝」というバス停と駐車場がある。
油木美林遊歩道を下から登るには、ここが出発点になる。
ここから先は道は細くなり林道のようになる。途中、五合半、という場所が出て来るが、この道は油木美林遊歩道に通じていないので、無視。とにかく舗装道路が続く限り山を登って行くと、やがて中の湯の建物が上のほうにある大きな駐車場に到着する。
ここのトイレの横から登る御岳の登山道から脇にそれる感じで油木美林遊歩道の入り口がある。夏場は笹が繁って前に進めないほどである。
百間滝の滝見台までは、笹が繁っていなければここから70分で到着する。前半下り、後半登りのけっこうハードな道のりになる。

2008年夏の御岳A新滝、清滝へ


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