2009年秋の尾瀬国立公園
三条ケ滝、平滑の滝 

2009/9/21 三条ケ滝 (落差100m)
          平滑の滝  (全長500m) 福島県桧枝岐村  (レポをとばして三条ケ滝の写真を見たい方はこちら

秋にはシルバーウィークがある。特に今年はカレンダーの赤い日だけでも4日も連続してのお休みになる。これは、どこにも行かないわけにはいかない。と、いうことで、土曜日が休みではなかった我々は、9月20日の日曜日にデトノアイソメという、越後三山の三つの山の谷間に行ってみた。(レポはこちら) 予定では、一日おいて、火曜日に久しぶりの尾瀬、三条ケ滝に行ってみるつもりだった。しかし、デトノアイソメから帰ってみたら、天気予報が変わっていた。火曜日、水曜日と雨マークが登場してしまった。月曜日であれば晴れマーク。我々にとってみたら岩登りの連続であるハードな遡行だったデトノアイソメの翌日ではあるが、晴れと雨とでは雲泥の差。晴れた日に歩かずにどうしよう。と、いうことで急遽、9月21日に尾瀬に行くことにした。
予定であれば、だらだらと遅くまで寝ているはずだった21日の朝、午前4時に起床、5時出発。
我が家からであれば、実は関越自動車道の小出ICから銀山平を経由して奥只見湖畔を通って御池に行くのが一番近い。しかし、奥只見湖の湖畔をうねうねと走る道があまりにもうっとおしいために、今回は磐越自動車道を利用して、福島県がわから行くことにした。
が、どういうワケかナビを信じない行動をしてしまったばっかりに、道を誤り、少なくとも8時には着くはずだった桧枝岐に8時半くらいに到着。七入の駐車場で、もう御池の駐車場はいっぱいだということで、通してもらえず、七入からバスを利用して御池に行くハメになってしまった。
幸いなことに、バスはピストン状態で発車していたので、待つこともなく御池に行くことができたが、2人分の往復のバス代が1600円。御池の駐車場に入れられたとしたら駐車代が1000円だったので、600円のマイナスである。もちろん、時間もロスだ。
それにしても、連休の尾瀬にはびっくりだ。お花の季節も終わり、草もみじにはまた早い9月、そんなに混雑していないだろうと思っていたのに、次から次へと駐車場に自動車が入って来る。バスはあっという間に一杯になり、すぐに出発する。もちろん、ほとんどの人が御池より先である沼山峠まで行き、尾瀬沼をハイクする。我々のバスでも、我々ともう一組の夫婦だけが御池で下りた。
前回に三条ケ滝を訪問したのは、2002年の7月。実は、登山をほとんどしたことがなく、片道3時間歩くことなんて人間のすることじゃない、くらいに思っていた頃のことだ。(レポはこちら) しかし、今回はとりあえず修行を積んで、登山ウエアなんかも一人前になっている。修行の成果はいかばかりか、測りたいという思惑もあった。さて、7年ぶりの三条ケ滝、どうなることやら。 
   (写真の数が多いために今回は写真のサイズを小さくしています。ご了承ください。)

結局御池の駐車場にバスが到着したのは、午前9時過ぎ。予定から1時間も過ぎてしまっている。
9時10分 御池出発。
我々と一緒にバスを降りた夫婦は、どうやら燧ケ岳に登るらしい。
駐車場の奥の入り口からすぐの分岐で声が聞こえなくなった。
入り口からすぐの御池田代までは、車椅子でも入られるようになっている。
御池田代は、駐車場から近すぎてちょっと目立たないが、かなり広い田代である。

7年前に来た時は、御池の駐車場から最初の田代まで登山道をひたすら登った記憶がある。
それが、幅の広い木の階段がとりつけられていて、登山道というよりは遊歩道のような感じになっている。
かなり歩きやすい。いや、むしろ歩幅が合わないと歩きづらい階段か?
この登りを田代坂というらしい。
9時23分 姫田代到着。
ところどころに紅葉した木々がある。
さすがに尾瀬だ。秋が早い。
ちなみに、草もみじといわれる足元の草たちの色づきは、もうちょっと先かもしれない。
姫田代を抜けて、また幅の広い木の階段に。
9時34分 上田代。
ここは広い田代だ。だれもいないように撮影しているが、実はポツポツと人が歩いている。
この道も連休ともなると、混雑するんだなぁ。
9時45分 ノメリ田代。ちっちゃな田代だ。
田代によっては、名まえの看板のない田代もある。上田代なんかは、大きな田代のわりに名前の看板がなかった気がする。
9時53分 西田代。
10時11分 田代をぬけて樹林帯に入ると、道標が。
ここを右に下って行くと渋沢温泉に出るそうだ。
おととしに行った渋沢大滝を思い出す。(レポはこちら
ここから先は、ずっと木道が続いてはいるのだが、ほぼゆるやかな下りだ。
帰りになると登りということで、ちょっと先が思いやられる。
10時20分 シボ沢を渡る吊り橋「裏燧橋」到着。
ここで小休止。凍らせたゼリーを食べる。
吊り橋の下のシボ沢は、石ころだらけで水が無い。もう一本の支流と合わさって下流で渋沢大滝になるらしい。
吊り橋を渡っても、まだまだ下る。どこまで下るんだろうなぁと、多少イヤになる。
11時00分 三条ケ滝の分岐到着。え、もうここまで来たの?というのが感想。
女性が一人、やっとの思いで登って来たという表情で休んでいた。
ほとんど覚えていなかったのだが、分岐から少し行くと、小さな田代があった。兎田代だ。
兎田代を抜けると、木の根っこがからまる下り道になる。
すぐに渋沢温泉小屋から只見川沿いに登って来る道との合流。
そこからまたしても木の根っこのひどいジグザグの下り道を行く。
やたら声の大きなオヤジがひどい道だ、帰りが大変だとボヤキまくりながら下っていた。
11時20分 右に行けば三条ケ滝、左に行けば平滑ノ滝の分岐に到着。たくさんの人が休憩中。
11時25分 展望台へ下って行く急な階段。写真ではそれほど急には見えないだろうが、1段の幅が足を縦におけないくらいしか無い。
これを下ると、三条の滝展望台と書かれている場所になるが、ここからだと滝は木々の向こう側に見えるだけだ。
展望台から少し先に行くと、さらに急なハシゴをちょっとだけ斜めにしてみました、程度の階段が出現する。両側にロープが垂れ下がっていて、これにつかまって下りろという。実際、何かにつかまらないとかなり怖い階段だ。
ここを下って初めて三条ケ滝と対面できる。
ちなみに、7年前に来た時は、私はホントーにハシゴを下るようにして後ろ向きで下った。
今回はロープをつかんで正面向きで下ったが、やっぱりハシゴだと思って後ろ向きにしたほうが安全だと思う。
三条ケ滝
ちなみに、山の地図等では、三条の滝となっている。
しかし、ここでは、展望台の説明看板に従って、三条ケ滝とあらわす。
で、秋の三条ケ滝は、水が少なかったです。
おお、水が少ないと分岐瀑と言えるんじゃなかろうか、と思われるほど、背後の岩盤がよく見えた。
意外なまでに滝の裏側はゴツゴツしているようだ。
ここまで水が少ないと、滝の表情がむしろ豊かに見える。渇水の時期に三条になるから三条ケ滝というという説があるが、さすがに三条ではなかった。
そこまで水が少なかったら、尾瀬沼が枯渇するくらいかも。
この真ん中の岩なんか、恐らくほとんど姿を見せることはないんだろう。
前に来た時は、水しぶきがもうもうと上がっていた滝つぼも、今日は静かにさえ見えた。
最初の展望台に戻って、ちょうどうまい具合にあった平らな岩の上にのって昼食。
木々の向こうで光っている三条ケ滝を見ながらのおにぎりは美味でした。
12時18分 展望台出発。
ここから平滑の滝を経て、尾瀬ケ原温泉休憩所まで行くつもりだ。
この道は、尾瀬ケ原の山荘に宿泊した人が滝を見にやって来る道でもある。そのため、けっこうな人とすれ違った。
それにしても、あまり記憶になかったのだが、平滑の滝までが長いし、険しい。ガッツリ登る。しかも、悪路だ。岩あり、泥あり、木の根っこあり。急な階段あり。
木道が懐かしくなってしまう。
平滑の滝
12時56分 平滑の滝展望台に到着。
ちょっと待て〜っと叫びたくなるくらい水がない。
いったいどれが滝?と、首を傾げたくなるくらいの穏やかな滑がはるか下方に流れているだけである。
「あの鬼の洗濯岩が滝?」と別の人が訪ねていた。
うーむ、水が無ければ、ナメた流れは、鬼の洗濯岩である。
ほとんど写真も撮影せずに先に進むことにした。
13時12分 段吉新道と三条ケ滝の道の分岐に到着。
すぐに尾瀬ケ原温泉休憩所になる。
ここには綺麗なトイレ→と売店、無料で休めるスペースがある。
ここでちょっとトイレ休憩。
たくさんの人が休んでいた。
7年前に来たときは、休憩所でカキ氷などを食べて一休みしたあとでそのまま戻ったが、今回は尾瀬ケ原を少し歩いてみようということになった。
温泉小屋をあとにすすむと、いきなり広い草原が広がる。
意外なことに、ウメバチソウが咲いていてびっくり。
どこまで行くか決めていなかったが、少し歩くと、見晴と東電小屋の分岐になった。
ここで地図を広げて、帰りの時間を考えて、東電小屋まで歩くことにする。
草原の中でワレモコウが揺れていた。
それにしても、広い。しかも、静かだ。
沢山の人が散策しているのだろうが、あまりに広くて行き会わない。
草原の中に、ときおり紫の花が咲いていると、リンドウかトリカブトだ。
13時54分 東電尾瀬橋。
おお、この橋の向こう側は新潟県だ。さんざん福島県を歩いて、ちょっとだけ新潟県に戻る形になる。
東電尾瀬橋の下を流れるのは、只見川。
そこから東電小屋が意外に長かった。いちいちテプコマークのついた木を使っている木道が原の端の林の中に通っていて、気持ちのいい道ではある。
とりあえず目標の東電小屋まで来て、もうそれほど時間がないのでとって返す。
帰り道の尾瀬ケ原は、とても綺麗な風景だった。原の向こうに見えるのは、燧ケ岳だ。
青い空と白い雲と、実に美しい。
これでもうちょっと遅ければ、紅葉が素晴らしかったのだろうけど、それは仕方のないことだ。
温泉休憩所に戻って、ちょっと疲れたので、コーヒーを入れて休憩。
どんどんと日が傾いて行く。秋の夕刻は短い。
15時ちょうど、段吉新道に入る。
ほとんど木道なので、歩くのは楽だ。なだらかな登りが続く。
15時30分 三条ケ滝の分岐。
15時58分 裏燧橋
16時10分 渋沢温泉分岐。
16時42分 上田代。
16時56分 姫田代。
17時08分 駐車場到着。
すっかり薄暗くなっている。
バス停に行ってみたら、なんと本日の最終バスは17時30分。危ないところだった。
最終バスの心配なんてちっともしていなかった。
売店そばのベンチでしばらく待って、最終のバスに乗り、七入の駐車場に。
その後、桧枝岐の日帰り温泉「駒の湯」に入って帰宅。(レポはこちら) 到着は、午後9時過ぎだった。
はてさて、結局バスの最終まで尾瀬にいてしまった。
日没が早い秋は、当然のことながらバスの最終便も早いのだ。そんなこと、頭のスミにもなかった。間に合ったからよかったものの、もし尾瀬ケ原でもう少しとよくばって歩いていたら、御池の駐車場から七入まで歩くハメになったかもしれない。
日没が早い、といえば、下山時のこと。裏燧橋を超えて、西田代と上田代の間くらいの場所だったと思う。時刻は16時過ぎくらいで、樹林帯に入っていたので、かなり薄暗く感じていた。
そこに、大学生らしき一団、6〜7人くらいの男女が登って来た。で、「すみません、まだ遠いですか」と訪ねて来る。「遠いって、どこまで?」渋沢温泉小屋への分岐がまだ彼らの先にあったので、一応訊いてみたら「見晴ってところです」。 どひゃ〜っ、見晴〜? 「え、2時間はかかりますよ」 「日没の時間はわかりますか」 「少なくとも5時半には暗くなります」
いや、まあ、この先は木道で、真っ暗闇になってもなんとかたどり着けるだろうけれど。
少なくとも、彼らが急ぎ足で行ってくれたら、温泉小屋くらいまではまだ薄明かりがあるだろう。
どうぞ、三条の滝の分岐で間違ってそっちに行かないように。段吉新道をサクサク歩くように。
とにかく足止めするのもはばかられたので、さっさと先に進めさせたが、考えてみれば、ライトは持っているのかどうか訪ねてみるべきだった。持っていなければ、我々の持っている100円ライトくらいあげられたし。
その後遭難のニュースも聞いていないので、無事にたどりついたことと思うが、いくらなんでも、無謀すぎる。どんな時間的不都合があったのかわからないが、秋の山の日没の早さをナメちゃいかん。
そう思いつつ、我々も下山を急いだが、なんと、駐車場のすぐそばでまた人とすれ違った。もう午後5時である。こちらの男性は慣れた様子だったので、暗くなることは想定済みなのだと思うが、本当にびっくりした。この先、目的地となる一番近い山小屋でも2時間以上ある。
尾瀬って、そういう所なの?いや、そうじゃないだろう。熊もいそうだし。
時間には余裕を持って行動をこころがけたいものである。
最終バスまでほっつき歩いていた我々が言っても、説得力ないだろうけど。
ところで、2002年に三条ケ滝に行った頃と我々のレベルは変わったのかどうか。
うーむ、あまり変化ない気がする。時間的にはほとんど変わりない。しかし、気持ち的に余裕はあった。もちろん、真夏の猛暑の頃と秋のやや涼しくなった頃の季節の違いもあるけれど。疲労の度合いは、比較できない。なにせ、前日にゴーロの川を遡行している。連チャンはさすがに疲れた。
それでも、やはり、気持ちの余裕は行動の余裕にもなる。
秋の空気や景色を堪能できた、気持ちのいい一日だった。

交通

三条ケ滝を目的とする尾瀬であれば、御池駐車場から歩くのがおそらく一番近いと思われる。
我々の足で2時間半で滝の展望台に着く。最初の田代坂以外は滝まではほぼ下りの木道で、最後の30分がかなり急な下り坂になる。
平滑の滝まで行くとすると、三条ケ滝からはかなり急な登りと悪路である。約40分かかる。それなりの覚悟と装備をもって行くべし。

我々は、今回は福島県がわから御池駐車場を目指した。が、途中で道を間違えてしまったために大幅に時間をロスしている。
分かりやすいのは、たぶん、磐越自動車道会津若松ICから国道121号で旧田島町に向かい、そこから国道289号で旧伊南村へ、さらに国道352号で桧枝岐を経て御池駐車場に向かうのが一番手っ取り早い。
一般的に新潟から行くのであれば、関越自動車道小出ICから奥只見湖を経由して行くのが一番早いだろう。
なお、我々は、帰り道は田子倉湖を経由して六十里越のルートを選んでみた。遠いかな、と思ったが、実は新潟がわに入ってしまえば、勝手知ったる道なので、かなり楽に通ることができた。ただ、あまり自動車が通らない道なので、真っ暗になると怖い。
関東圏からであれば、さらに色々なアプローチの方法があると思う。また、日帰りでなく山小屋泊であれば、群馬県がわからのアプローチも考えられる。
尾瀬を紹介したさまざまなサイトを調べて、最適な方法を考えよう。

今回の我々の場合は、午前8時半で御池の駐車場はいっぱいになってしまっていた。
七入の駐車場から沼山峠行きのバスが運行されていて、御池までは片道400円。15分弱かかる。ちなみに御池駐車場の駐車代は1000円。七入は駐車代は無料である。
また、御池からの帰りのバスは季節によって最終便の時刻が違うのでよく確認してから出発して、乗り遅れないようにしよう。

トイレはそれぞれの駐車場。温泉休憩所にある。三条ケ滝の展望台にはトイレは無いので注意。ちなみに、御池、温泉休憩所のトイレは協力金が必要だ。


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