2010年夏の滝めぐり@2010年夏の滝めぐりA桑の木沢探勝路(半分)
篠沢大滝
 





篠沢大滝
おもいっきり合成写真ですみません。
ワンフレームでは納まりませんでした。
それほど大きな滝なんだけど、
惜しいことに写真だと大きく感じません。
ついでに、岩盤ももっと白っぽかったけど、
写真だとなぜか白くないのよね。



上段。
分岐がなんともいえず美しい。
上段の岩盤の陰影の美と
水流の分岐の美が重なっている。



下段。
これは、尾根を右よりに移動して撮影したもの。
上段の滝つぼからするっと落ちた水が、
直後にえぐられた部分を通り、
大きくジャンプしているのが分かる。



大きさ比較@。
最初に滝を見た場所で。
矢印の先にダンナがいる。
大きさ比較というより、滝までは
このくらいの距離であるという図。



大きさ比較A。
尾根に出て行けるだけ左に寄って撮影。
この尾根は高さ的には
上段の滝つぼよりやや下くらいと思う。



落ち口。
意外と落ち口は狭い。



上段の滝つぼは見えなかった。
位置を尾根の右側に変えても、
ちょうど木の葉っぱで隠されて
見えなかった。



滝つぼ。
白濁して見えるかもしれないが、
水はものすごく綺麗だ。
白っぽく見えるのは、
底の石が白っぽいからである。



下段、ひょんぐり部分のアップ。
けっこう飛び出しているでしょう。



こちらは、尾根に出たら正面に見える
小沢の滝。
篠沢大滝の左岸である。




滝のずーっと左側にも水流がある。
写真の左端に水が落ちているの、
分かるかなぁ。





明るい林道歩きが多かったで、
たくさん蝶や花を見ることができた。


クサギにとまるミヤマカラスアゲハ。


すごいメタリックカラーでしょう。


フシグロセンノウ。


センニンソウ。


セセリがとまっている。


シデシャジン。


オオビランジ。


シラヒゲソウ。


アサギマダラ。


さすがに日本海側とは違った植物が
ありました。
2010/8/15 篠沢大滝(50M) 山梨県北杜市

夏休みになった。
この滝を見るために山梨に向かうつい前日まで、実はこの滝の存在さえよく知らなかった。では、なぜわざわざ新潟からこの滝を見に山梨まで行くことになったのか。
実は、夏休みの期間中、新潟はずっと大気の状態が不安定で雨がちだった。本来であれば、長い休みを利用した体力調整が必要な長丁場の登山をするはずだった。が、雨でどこの山も登れない。さりとて、晴れマークの出ている山までは我が家からは遠いうえに資料も無い。
県外の資料があるとしたら、滝しかないじゃん。って、我がサイトは滝のサイトである。夏山に浮気ばかりして、滝をおろそかにしているんじゃないの、最近。
そんなこんなで、最も近い晴れマークの県の山梨あたりはどうだろうと写真集をめくって見つけたのが黒戸噴水滝である。
山梨でも比較的新潟に近いほうの北杜市にある滝だし、落差70メートルもあるし、噴水滝なんて魅力的な名まえだし。
どうやら渡渉が何箇所かあるが遊歩道がついているので、それほど見るのに困難な滝じゃないだろう。多少林道歩きがあるらしいが、登山をするつもりだったからそれくらいどうってことないし。
と、ロクに調べもしないで黒戸噴水滝を見に行くことに決めてしまった。
で、篠沢大滝である。
この篠沢大滝、黒戸噴水滝と同じ林道を歩いてさらに先に行く。
どうせ同じ林道を歩くのなら、こっちの滝も見てしまおう、ということにしたのだった。
ついでみたいで、すみません。結果、素晴らしい滝を見ることができました。
ちなみに、ネタばらしをすると、黒戸噴水滝にはたどり着けなかった。そのAで詳しくレポするが、とんでもなく危険な渓谷だった。

さて、8月15日。雨のために夏休みの2日を水に流してしまった我々は、午前4時に起床して高速道路に乗り、山梨県に向かった。出発時、新潟は雨。しかもけっこう激しかったりして。本当に山梨は晴れているのか。
ナビの案内どおりに小淵沢インターで下りて、篠沢大滝キャンプ場を通り越し、桑の木沢探勝路へと続く林道の入り口に着いたのは8時45分頃。この頃になると、かなり夏らしい晴れ空が広がっていた。天気予報、えらい。
篠沢橋を渡った先にある工事中のためにたくさん看板がとりつけられている場所に自動車が2台駐車してあった。我々もその隙間に駐車させてもらうが、なにやら自動車の外でカツンカツンとぶつかる音がする。
げげっ。アブが大量に自動車に向かって突進して来ている。しかも、普通のアブじゃない。巨大なウシアブだ。少なく見積もって100匹はいると思う。
これ、外に出られるのか〜?
自動車の熱に寄って来ているのだろうので、とりあえずエンジンを切って、中で朝ごはんがわりのパンを食べて時間を稼ぐ。
それでもアブは減らないので、できる限りの仕度を中で済ませて、せえのっと自動車の外に。速攻で日陰に逃げ込んで、自動車から遠ざかる。
それでも、登山靴とかは履きかえられなかったので、もう一度自動車に近寄って、せえのっと靴を取って、また日陰に逃げる。
虫除けスプレーを全身に吹きかけて、アブの餌食になっている自動車から離れた。
さて、と。篠沢大滝に行こう。
ゲートで閉じられた林道をさらに歩いて行くらしい。桑の木沢探勝路の分岐は橋の手前にあったので、この先に見えるゲートの林道を歩いて行けばいいんだな〜。
一度篠沢大滝に行かれた方は、ここで「おいおいっ」と突っ込みを入れているに違いない。そうなのだ。我々は見事に間違えているのだ。
桑の木沢探勝路の分岐は自動車で入れる場所の終点からさらに林道を30分歩いた向こうにある。つまり、橋の手前にあったのは、林道の入り口であって、探勝路の入り口ではないのである。
それをてっきり探勝路の入り口まで自動車で入れるようになったんじゃないか、なんて思いつつ、太い林道を歩き初めてしまったのだ。だって、ご丁寧にゲートが閉じられていたしさ。
  
篠沢橋を渡った先にある工事看板と、さらに先にあるゲート。こっち側に行ってはいけません。自動車はこの看板の裏に駐車した。
道はなだらかに登って行き、やがて人面ダムと名まえのある場所まで来た。おお、大規模な工事をやっているらしい。
さらに歩いて、なにやら石碑があるのを発見。「大武川第二砂防堰堤」とある。え、大武川?ちょっと待て。
明るい林道で蝶や花などがけっこう撮影できたので、気持ちよく歩いていたのだが、左に見える川が大武川だと判明した。
我々が目指す滝は、篠沢かもしくは桑の木沢なんじゃないのか?
20分ほど歩いて、引き返すことになってしまった。
自動車まで戻り、今度は登山靴じゃなくて長靴にしよう、ということになった。下手をすると、篠沢大滝よりも黒戸噴水滝のほうしか見られないかもしれない。だとすると渡渉の多い場所というので、長靴のほうがいいに決まっている。
自動車まで戻ると、さらに1台自動車が増えていて、釣りらしい人が支度中だった。「向こうに行って来たんですか」と聞かれたので、「道が分からずに戻って来ました。向こうは工事中の堰堤がありました」と言うと、「工事が入っているのか。じゃあ向こうじゃないな」などと納得していた。
あいかわらずアブが自動車にぶつかっているので、またしても速攻で自動車から長靴を取り出し、今度は昼食などが入っているリュックも背負って行くので、それも引っ張り出す。まだ支度中の釣り人をおいて、再スタートだ。
結局、40分ほどロスをして、9時半に篠沢橋をスタート。篠沢橋のたもとの林道入り口にはいつでも動かせるような侵入止めが立てられていた。そこから5分も歩かないで本格的なゲートが現れる。
本来ならここまで自動車で入ってこられるのかもしれない。だとすると、ゲートの脇あたりに2台くらい駐車はできそうだが。我々が行った時は工事中につき橋のたもとから侵入できないようにしていたのかもしれない。
    
  
左端に写っているガードレールが篠沢橋。侵入止めがおかれている小道が桑の木沢探勝路に続く林道だ。進むとすぐにしるたるさわ橋という石の橋を渡る。
  
これが正式なゲート。篠沢橋から5分弱。

赤松の林などを通り過ぎ、立派に自動車が通れるだろう林道を歩いて行く。時折、大規模な土砂崩れがあったような跡もあったが、それも片付けられていて、いつでも通行オッケーじゃないの?といった感じだった。
    
30分ほど林道を歩くと、桑の木沢橋という橋になった。ということは、この下の沢が探勝路の沢なのね。そこから3分ほどで右側に探勝路の入り口があった。
ここで、探勝路、すなわち黒戸噴水滝に行くか、篠沢大滝に行くか検討。濡れる可能性が高い黒戸噴水滝を後にして先に篠沢大滝に行くことにした。
  
桑の木沢橋。

  
  
探勝路入り口。青が探勝路で赤が林道、すなわち篠沢大滝方面。でっかい落石がある。
と、いうことで、右側には行かずにそのまま林道を登って行く。探勝路の入り口を過ぎるとちょっと斜度が急な登りになるが、どういうワケか舗装されている箇所も出てきたりする。15分ほど登ると下りぎみになり、名まえのない橋を渡った。
この橋の下もかなり立派な滝状の流れで、そこらじゅうに滝があるような場所である。
    
橋を渡って数分で右側の草に隠れそうな感じで篠沢大滝の看板があった。
看板から草の斜面を見ると、ハシゴがかかっている。そーか、このハシゴを登れってか。
ちなみに、林道をそのまま進むと、どうやら堰堤でストップのようだ。その堰堤を高巻くためにハシゴを登り、斜面を登るのである。
    
  
赤い矢印の先に篠沢大滝の看板。そのすぐそばに草に埋もれたようなアルミのハシゴがある。
アルミのハシゴを登って行くと、黄色い看板があった。「篠沢大滝」、「赤い矢印」の下に「原村有志会」とある。どうやら篠沢大滝に行くこの道は原村有志会が作ってくれたらしい。
ハシゴが終わると、けっこうな斜度の斜面を登る。ちゃんと踏み跡程度の道がついていて、横木などが階段状になっている場所もある。
その踏み跡が分かりづらくなったらあたりを見回せば同じ黄色い看板かピンクのリボンがあるので、そっちに向かって行けばいい。
かなり急な階段を登って行くと、右下に大きな二段の堰堤が見えた。この堰堤を巻くためにこの苦労をさせられているのだ。
    

  
来る人も少ないだろうのによく整備された道。
10分ほどで一番高い場所に出て、今度は下り。これまたハシゴがある。ハシゴの隣には緑色に苔むしたロープがあったりして、かなり以前から開かれた道であるのが分かる。
ハシゴは何箇所かにあって、左下には堰堤が堰きとめている水が見える。
10分もかからずに、白い砂の印象的な川に出た。
    
  
登った分、下る。でもそんなに怖くないハシゴだ。
    
  
白い砂の河原。これを渡り、大岩にかけられたハシゴを登る。
浅いがけっこう幅のある川を渡った向こう側にまたしてもハシゴがある。ハシゴで岩の上に出て、さらに対岸の斜面まで橋がかかっているようだ。
この先、もう少し斜面を登る必要があると見て、この岩の上にリュックを置いていくことにした。滝を見終わって、戻ってきたら、白い砂の上で昼食にしよう。
自分の影さえ緑色になるような濃い緑の中を踏み跡を頼りに登って行く。少し不明瞭な場所もあったが必ずピンクのリボンがとりつけられているので迷わない。
    
  
河原の先も橋が渡されていたり、ハシゴがあったりする。
だが、ハタ、と足が止まった。
私のすぐ後ろでバサバサっとなにやら木の枝のようなものが滑り落ちる音がした。それに続いて、ゴロンゴロンと一抱えもあるような岩が落ちて行く。本当に5メートルほどの距離の場所で、落ちてくる岩を見ながらどこに逃げればいいのかと考えたが、体が動かなかった。ただ岩を見ているだけで5メートル後ろを岩が通り過ぎ、下に落ちて行った。
こ、怖い〜。
見ると、その斜面はずっと上のほうから崩落していた。
ところが、踏み跡はそちらに向かって続いている。
ヤバいんじゃないの、これは?
しかし、あと5分も登らないで滝が見えると分かっていて引き返すわけにもいかないし。
幸いなことに、崩落した土砂が押し流した木をくぐる場面はあったが、崩落した場所を登ることはしないで済んだ。ピンクのリボンがついた木も押し流されていたようだが、さらに先に目印があったので、道を見失うこともなかった。
    
  
左写真は崩落箇所。木が流されている。右、これを登り終えたら滝だ。
ちょっとしたハシゴを登り、もうひと登りしたら、おおおおお、滝が見えた。
これが、すごいんだ。
濃い緑のなかに、滝の岩盤は白く光って見えた。
滝の水自体も白く輝いているのだが、岩盤が明らかに他の場所と違って白っぽいのである。
しかも、想像した以上に大きな滝だった。
長い林道歩きも土砂崩れもぶっ飛んでしまうくらい、素晴らしい光景がいきなり現れたのだった。
我々が滝を最初に見た場所は、滝の落差の中ほどくらいの高さにある尾根のような場所で、滝からはかなり距離がある。左に行けば滝に近づけそうだし、踏み跡もあった。
浮石などもあって、少し危ない感じだったが、行けるだけ行ってみようと進んだ。
しかし、それほど先に行けずに行き止まり。
沢までは夏草が繁っていて、その下がどうなっているのかさっぱりわからないので、下りるのは危険だった。
仕方がないので、その場所で滝を堪能した。
よく見ると、滝はその右にも左にも湧き水なのか小沢なのか、水流を落としていた。滝見台ともいえる尾根から見える風景は、水と濃い緑と主役の白い篠沢大滝でまとめられた完結した空間に見えた。
さんざん滝を撮影して、今度は尾根を右側に行ってみた。
    
  
小尾根の右がわは、キノコが並ぶキノコ街道だ。
すると、滝を別の角度から見ることができた。
下段の水が跳ねだしている状態がこっちからだとよく鑑賞することができる。ただし滝からは遠ざかるけど。
こっちがわは行き止まりでどこにも通じていなかった。
想像以上に素晴らしい滝で、もう少し滝と対峙していたかったのだが、まだ黒戸噴水滝を見るつもりでいたので、滝をあとにすることにした。
土砂崩れの場所を慎重に通り過ぎ、リュックの待っている河原に戻る。
川を渡って、砂が出ている場所に陣取って昼食にした。
ものすごく暑い日だったのだが、この白い砂の河原は涼しくて、適度に日陰もあって、とても快適だった。
昼食を食べていると、テンかイタチか野生動物がすぐ対岸を走っていったりして。
実に気持ちのいい場所だった。
  
高巻きを強いた堰堤の上です。
さあ、この勢いで黒戸噴水滝にも行きましょう。
12時10分頃に河原を出発した。
  
下った分、登るのね。

     2010年夏の滝めぐりそのA 桑の木沢探勝路(半分)へ
交通
  篠沢大滝  新潟から向かう場合は、中央自動車道自動車道小淵沢ICをおりて国道20号に出て甲府方面に進む。サントリーの蒸留所などを通り過ぎ、少し進むと道の駅はくしゅうになる。この道の駅のある交差点で右折。県道614号に入る。この道は色々とキャンプ場のある道なので、小さく出ている道案内に注意したほうがいい。白州中学校の角で左折。あとは辻々にある案内を頼りに県道614号を詰めていくと篠沢大滝キャンプ場に出る。当面の目標はこのキャンプ場にするとよい。
キャンプ場を通り越すと道は未舗装になる。
我々が行った時は砂防ダムの工事が行われているらしく、すれ違い場所には目立つ旗が立っていたが、概ねすれ違いが困難な道である。
キャンプ場を通り越した先で注意するのは、「桑の木沢探勝路」の小さな看板だ。要所要所にとりつけられてあり、最後は篠沢橋(と、思うんですが名まえがうろ覚えです)の手前右側に入る林道に看板がある。
我々が行った時は、堰堤工事中であり、橋を渡ったすぐの場所に工事名が書かれた看板がたくさんあり、そこに3、4台ほどの駐車スペースがあった。その他は交通を確保しようと思うと駐車が困難である。
篠沢大滝キャンプ場から続く林道は、橋を渡った先にも続いているが、ゲートが閉められている。
篠沢大滝へは、橋の手前の「桑の木沢探勝路」と書かれた小さな道へ入って行く。
本文の通り、ここから徒歩でゆっくり歩いて1時間で入り口の看板。
入り口の看板からは踏み跡程度の急なまき道を登って下って約20分で河原。河原からさらに踏み跡程度の急な斜面を登って約10分で滝を見ることのできる場所に出る。
我々が行った時には、真新しい土砂崩れのあとがあり、本文にも書いたとおり、一抱えもある石がゴロゴロ落ちるのを目撃した。かなり危険を伴う状況なので、充分に注意して欲しい。
ハシゴが数多くあるので手袋はあったほうが安心。
沢に出たあと、我々の行った時の水量で足首ほどの水位の広い渡渉があるので、長靴のほうがいいだろう。


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