2011年滝初め@2011年滝初めA丸神の滝へ
七つ釜五段の滝(西沢渓谷)



七つ釜五段の滝
冬の七つ釜五段の滝。
よく晴れた日だったが、
日陰になっていたためなのか、
見事にモノトーンの世界になった。
緑がないと、釜もブルー輝かない。


さすがに標高が高い。
七つ釜五段の滝のある標高は
約1300メートル。
岩盤についた雪もまったくとけない。


橋を渡ったあとの遊歩道から見ると、
最下段の滝は、けっこう岩盤から
離れて滝つぼに落下しているのがわかる。


よく見ると、滝つぼ付近には
見事な氷の造形がある。


滝の途中にも氷のオブジェ。


滝つぼを縁取る氷。




なれいの滝
なれい橋から上流を覗くと落ちている。
ちょっとだけ奥まっているので、
見落とす場合もあるかも。



大久保の滝
最初に出て来る階段の途中に
滝を見下ろす場所がある。
対岸に落ちている滝だ。


こーんな感じで凍ってました。



三重の滝
ミニ七つ釜五段の滝の上と言う感じの
釜の綺麗な小ぶりの滝だ。
この滝のすぐ下流に魚止めの滝というのも
あるのだが、滝見台から落ち口が
覗けるだけである。


氷のトンネルを水がくぐって行く。



竜神の滝
するりするりと二段に落ちる滝。
凍り具合は一番綺麗だったかも。
特に上段の右岸の岩壁も
見事に凍っていて、
巨大な氷瀑に見えた。


下段の凍りも綺麗。



沢の途中にも氷の造形美。


岩にのっかる雪も可愛らしい。



恋糸の滝
どうもこの滝ばかりは見えづらい。
肉眼ではけっこうな落差の滝が
対岸に落ちているのがわかるのだが。


これは帰り道に撮影した恋糸の滝。
水量が少ない分、凍っている部分も多い。



貞泉の滝
水流的には一番綺麗だったかも。
この水の流れを写し取ろうと
カメラマンが陣取っていたのも頷ける。


凍り具合もなかなか綺麗だった。

2011/1/2 七つ釜五段の滝(50M)  山梨県山梨市

2011年もめでたく明けて、滝初めの日となった。
毎年正月休みにはどこかの滝に出かけて、それを滝初めと称しているが、今年は年末からどこに行こうかかなり迷っていた。
というのも、年末年始にかけて大寒波が来るという。
雪が降られると、県内の滝はおおかた無理になる。県境は交通が困難になり、新潟脱出さえ不可能になる。
日帰りしか想定していないので、正確な年末年始の天候が分からないかぎり場所が決められない状況だった。
予報どおり、年末寒波はやって来て、主に中国地方が大変な大雪になったのだが、幸いなことに新潟県内はそれほどの雪にはならなかった。
となると、欲張ることができる。
どうせ行くなら、百選の滝が見たい。できれば詳しいレポのない滝がいいだろう。
候補には岐阜県の阿弥陀が滝があったが、ちょっと遠い。もう少し近いところで、埼玉県の丸神の滝は、どうだろう。
丸神の滝に行くのなら、雁坂トンネルで行くことができる七つ釜五段の滝まで行っちゃえるんじゃなかろうか。
そんなこんなで2011年の滝初めの行く先が決定した。

七つ釜五段の滝には過去2回行ったことがある。1回目は2002年の5月、2回目は2002年の8月で、いずれも沢の水の涼しさが気持ちのいい季節だ。
今回は冬。期待としては、うっすらと積もった冬景色の滝の図だった。
ところが、秩父をぬけ、大滝温泉を過ぎても、ちっとも雪が積もっていないのだ。今年はどうもメリハリの強い寒気のせいで、ものすごく寒くなったかと思えばものすごくあったかくなったりする冬だ。新潟で雪が少ないのと同じく、このあたりでも暖かい冬だったのだろうか。
だが、雁坂トンネルに近づくと、ようやく風景が冬らしくなってきた。
めちゃくちゃ通行料の高い(普通車710円)雁坂トンネルをぬけると、白い世界が広がっていた。
半ループの西沢大橋を下って、その橋げたの所にある西沢渓谷の駐車場に自動車を入れる。
シーズンにはここに自動車を入れるとなるとものすごい早朝でもないかぎり無理なのだが、こんな季節には5台ほどが止まっているだけだった。ってか、5台でも自動車が止まっていることにちょっとびっくりした。
国道140号をここまで走って来るのに、ものすごく遅い自動車の最後尾になってしまって、かなりの時間をロスしている。着いたのは午前11時すぎ。少し昼食が遅くなってもいいから、とにかく出発した。
ここで、我々はちょっと勘違いをしている。七つ釜五段の滝までは小一時間で着くと思い込んでいるのだ。11時に出れば午後1時には戻ってこられると思っている。いや、まあ、小一時間は間違いではないのだが、吊り橋からの時間であって、決して駐車場からの時間ではない。ちなみに、ガイドマップでは駐車場から七つ釜五段の滝までは110分かかることになっているので、時間配分には気をつけるように。
とにかく、駐車場を歩き出して、ハタ、と足を止めた。
なんと、入り口に2台もパトカーが止まっている。
何かしら、事故でもあったのかしら。
と、思いつつ近づくと、なんとパトカーから警察官が出てきて、止められてしまった。
「これから登るんですか」
「いえ、登るっていうか、七つ釜五段の滝まで行きたいんですが」
「その軽装じゃ行けないですよ」
「え、そんなにすごいんですか」
「冬用の装備が必要ですよ」
もう一台のパトカーからも警察官が出てきて、パンフレットを差し出した。冬山装備、OKですか?と書かれている。
「行けるだけ行ってみて、ダメだったら速攻で戻ってきますが」
というと、警察官はポケットをごそごそとして、
「これ、持って行きますか?」
と、なんと、ホイッスルをくれた。ご丁寧にダンナと私に一つずつである。
「さっきも軽装の人が行ったんだけど、まだ戻ってこないなぁ、心配だなぁ」
なんて言っている。
なんだ、なんだ?そんなにすごいのか、冬の西沢渓谷。
あとで調べてみたら、昨年の12月に死亡滑落事故があったそうなのだ。
それで山梨県警は警戒していたらしい。お正月は特に観光気分の何の気構えもない人が入渓しかねない。
でも、我々を見て軽装はないだろ〜。上下ガッチリ防寒具で足元はスパイク長靴だ。ただ、ストックは持っていなかったけど、むしろ邪魔だろうし。
ともあれ、警察官の黙認を得て、我々は歩き出した。
  
警察官さん、これだけくれました。

林道を少し歩くと、ナレイ沢を渡る橋になり、上流になれいの滝が落ちている。以前来た時には見た印象のない滝だ。緑が濃いと見えづらいのかもしれない。
そこから少し歩くと旧森林軌道(トロッコ道)との合流点のネトリ広場になる。ここにはトイレがあるので、利用しようと思ったら、冬季閉鎖中。もう少し先にある西沢山荘前のトイレを利用するように書かれてあった。
  
  
えーと、軽装と言われても仕方の無いピンクの毛糸の帽子のんがおRとネトリ広場のトイレ。
仕方がないので先を急ぎ、休業中の西沢山荘に。トイレはあったが、2つあるうちの一つは満タン使用禁止。もう一方も危ない状況だった。トイレは道の駅か、もしくは、国道沿いにあるトイレで済ませておいたほうがいいだろう。
西沢山荘の少し手前に甲武信ケ岳の登山道入り口の標識があり、そこで我々は初めてここが日本百名山の一つの山の登山口だと認識。あ、そっか、だからあの警察官は登るんですか、と訊いたのか〜、と見当違いの納得をしたりした。
西沢山荘の上のほうからにぎやかな声が聞こえて、どうやらその山から下山してきたらしい一行が来た。なるほど、山に入っている人も多いんだ。
  
とてもよい天気でした。

  
西沢山荘のトイレ。一応ペーパーはある。
西沢山荘から少し歩くと二俣吊り橋になる。
ここで、吊り橋を渡ってこちらに来る老ご夫妻とすれ違った。
七つ釜五段の滝まで行ったのかと尋ねてみると、足場が悪いので三重の滝で戻って来たとのこと。
見るとスノトレふうの靴でどう見てもスパイクつきではなかった。
警察官の言っていた軽装の人とは、この2人かしらん。確かに我々よりかなり軽装である。ならば警察官はこの2人が戻って行ったらほっとできるだろうな。
吊り橋には積雪もなく楽勝、と思いきや、最後の数メートルが凍っていて、しかも鉄板の上の氷が溶けかけていて、ズルーッと滑る。さらにそこから上に斜めにかけられている階段状の橋も鉄板にちょっとだけ滑り止めが施されているだけの代物で、それも凍っていてズルルルルーと滑る。
吊り橋もこちらの橋もてすりがあるから転ばずに済んだが、ものすごく怖かった。こりゃあスパイク付き長靴でも、もしかしたら軽アイゼンでも効かないぞ。
  
二俣吊り橋。

  
ここから山道。
吊り橋を渡ると本格的な山道になる。
雪はうっすらと積もっている程度だし、アスピリンスノーで滑らないのでほとんど問題はない。
すぐにつづらになって登る階段が現れ、その途中から「大久保の滝」が見下ろせた。
わ、凍っている。
いや、結氷しているとは言えないが、滝の両側が氷に縁取られている感じだ。
実はこのあたりの標高を頭に入れていない私は、雪景色は期待していたが氷はまったく期待していなかった。縁だけでも凍っているのを見ることができて、ものすごく嬉しかった。
階段を上って、その同じ分だけ下るとその先に三重の滝の滝見台がある。この下りが急降下で雪になれない人は怖いと思う。だが、道自体は凍っていないので、長野の氷瀑(善五郎の滝とか番所大滝)の完全に氷の遊歩道よりは全然安全である。
滝見台まで行ってみると、三重の滝も氷のレースの裾をまとっていた。
しかし、周りに緑がなくて、雪の白さだけになってしまうと、エメラルドグリーンの水が印象的な三重の滝のつぼも水墨画の淡い灰色になってしまう。それはそれで、別の魅力を発している。
  
雪景色の渓谷を歩く。

  
人面淵にツララが下がる。
三重の滝をぬけ、川を左に見ながら進む。人面淵の透き通った青い水を通り過ぎると、竜神の滝に出た。
おお、ここも綺麗に凍りに縁取られている。
二段になった上段のほうは、すっぽりと氷の蓋をかぶせられたようにも見える。滝ではないが、滝の上のほうの岩盤も常に水が流れている岩盤なのか、すっかり凍っていた。
さらに進むと、対岸の岩盤に恋糸の滝が落ちているのだが、樹木の間から見る感じでよく見えない。そういえばこの滝は夏場でもさっぱりわからない滝だった。この葉っぱのない時でさえよく分からないんだから、たぶん綺麗に見える時は無いんじゃなかろうか。
このあたりで、我々よりもずっと重装備のアイゼン、ストック、すっかり冬山登山仕様の2人組みとすれ違う。そっか、あれくらいの装備なら警察官にも止められないだうろなぁ。
恋糸の滝まで上った分、かなりの急降下で下る。しかし、立派な鎖の手すりがついているので、あまり怖くない。下った先は貞泉の滝だ。ここは、坂から転がり落ちる危険があるのかないのか、ものすごく頑丈な手すりがついているのだが、路肩危険立ち入り禁止と、イヤというほど注意喚起されていた。
  
急降下すると貞泉の滝だ。
貞泉の滝も、美しく氷化粧している。水流が白く交差しているように見えて、滝の両側を縁取った氷の白さとあいまって、なかなか魅せてくれる。
ふと気づくと、三脚をしつらえて、この滝をじっくりと撮影しているカメラマンがいた。細い道の上に三脚を立てているので、通り過ぎる時に三脚を跨がないと通れない。声をかけて通らせてもらった。
貞泉の滝から上がちょっと凍った場所になる。しかし、常に鎖の手すりがあるので、怖い場合はこの手すりをつかみながら行けば問題はない。
  
このあたり、足もとも氷なので注意が必要。
母胎淵、カエル岩を通り過ぎて進むと、あれ、イヤな看板発見。なんと、方丈橋が工事中だという。方丈橋は七つ釜五段の滝のすぐ下流の橋で、この橋を通らなければあの綺麗な釜の連続を見ることができない。
ここまで来て、それはないだろう〜。
でも、特になにも書かれていなかったってことは、もしかして、工事はしていても通れるんじゃないの。と、とにかく先に進むことにした。
通れた。
なんと、仮設の橋がかけられていた。
おそらく、通常であればこれほど西沢の水面に近づけることは無いんじゃないか、というくらい川の近くまで下って仮設の橋を渡り、また仮設の階段を上って通常ルートに復帰する。
  
あっ、橋が工事中。

  
仮設橋へと仮設階段を下る。
そこからひと登りして、やっと七つ釜五段の滝の前まで来た。
そこでまたしてもハタと足を止めた。
七つ釜五段の滝の正面に橋が渡されていて、そこから見る滝が一番いいのだが、その橋が閉鎖されているのだ。大きく通行止めと看板が出ていて、これより先の迂回路は凍結のため通行不能、とある。
  
七つ釜五段の滝前の橋は通行止め。
いや、まあ、もとをただせば、我々が歩いて来た遊歩道だって、実は通行止めである。それをここでさらに通行止めと言われても止まるワケにはいかないだろう。
と、いうことで、ロープをくぐって橋の上に出た。
ああ、日本の滝百選の七つ釜五段の滝だよ〜。
しかも、真冬の姿だよ〜。
よくもこれほど白いというくらい、両側のきりたった岩盤も真っ白になっている。
想像していたよりもずっとずっと真冬の趣だ。
橋を渡って、もう少し上ると、上流の釜の連続が見られる。
ここもまた、静かな水墨画の世界になっていた。
しばらく写真撮影をしていたが、かなり空腹なのに気がついた。もう午後1時である。あらららら、これから自動車まで戻ると、2時を過ぎてしまうのね。
急いで帰ろう。
戻り道はほとんど下りだ。実は下りのほうが滑って怖いのだが、この道に関しては手すりが施されているのでそれほど怖くない。もうほとんど写真も撮らずに猛スピードで歩いた。
と、母胎淵のあたりで、貞泉の滝をじっくり撮影していたカメラマンとすれ違った。ええー、やっとここまで来たのぉ。どれだけじっくり撮影しているのかしらん。このあと、七つ釜五段の滝をさらにじっくり撮影するとなると、今度は日没を気にしないとならないだろうなぁ。
ともあれ、我々は空腹との戦いである。カメラマンのことは気にせずに先を急いだ。
二俣吊り橋のほんの手前で、ダンナがいきなり立ち止まった。何事かとおもったら、鹿がいるという。どこにいるのかさっぱり分からなかったが、よくよく見てみると、ほんの10メートルほどの近い距離に鹿がこちらの様子を伺っているのがわかった。
途中で色々な動物の足跡があったが、鹿もいたのね。
  
鹿。全然逃げない。
全行程ちゅう、もっとも怖い鉄板の氷の上を注意深く歩いて、凍った吊り橋をクリアして、林道に復帰。
いよいよ入り口になったら、あらまあ、あの警察官が男女2人組みと話している。どうやら若い男女はこれから西沢渓谷に行きたがっているらしい。
いきなり我々に
「どうですか、この靴で行けそうですか」
と、助けを求めるように訊いてきたる
警察官が示した女性の靴は細くて高いヒールのブーツ。
「無理です」
即答できた。
もうちょっとアウトドア仕様の格好の人なら、注意すれば大丈夫と訪問者側の味方になれたのだが、その靴では警察官がわの味方にならざるを得ない。
「道は氷です」
さすがにたった今戻って来た我々の言葉は効いたらしく、男女は訪問することを諦めた。私達はあとは七つ釜五段の滝まではカメラマン一人がいるだけで、その人はこれから七つ釜五段に向かおうとしていたことやアイゼンは履いていたという情報を警察官に話して駐車場に戻った。
駐車場に着いたのは、午後2時15分頃。そこから昼食を食べられる場所を探すのは時間のロスとみて、駐車場でバーナーに火をつけて、お湯を沸かして昼食にした。
もうかなり夕方に近づいている感じになってしまった。
2時45分、駐車場を出発。
雁坂トンネルの向こう側にある丸神の滝を目指すことにした。
ああ、また710円かかっちゃうよ〜。

              2011年滝初めそのA丸神の滝へ
交通
  西沢渓谷  我々は今回は関越自動車道から向かったので、最寄ICは、花園IC。(山梨市街からだと、中央自動車道勝沼IC) あとは、国道140号を雁坂トンネル方面に進めばよい。
途中、皆野寄居バイパス(普通車410円)を利用すれば、観光地長瀞をパスすることができる。
しかし、雁坂トンネルまではかなり時間がかかるので、そのつもりで。(パンフレレットには花園ICより130分と書いてある)
雁坂トンネル(普通車710円)を抜けると、半ループ橋の西沢大橋になる。それを下るとすぐに左がわに入り口がある。
国道140号のまま入り口を通り過ぎてややすると道の駅みとみがあるので、混雑時には拠点にするとよい。
国道140号沿い、西沢渓谷の入り口のすぐそばにもトイレがある。
駐車場から林道を15分でトイレのあるネトリ広場。ただし、ここのトイレは冬季閉鎖。そこからさらに10分で西沢山荘。さらに5分で二俣吊り橋。
吊り橋から先は本格的な山道になる。
ここから写真を撮影しながら1時間で七つ釜五段の滝だ。
なお、この遊歩道は12月1日から4月28日まで(平成22年度)冬季閉鎖である。
心得があるものには比較的安全な遊歩道ではあるが、気軽に入渓できる季節ではないことは肝に命じておいてほしい。

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