んがお工房の桜めぐり


2015年あちこち桜追いB
狩宿の下馬桜

4月5日に埼玉県北本市の石戸蒲桜を見た翌週。
実は県内の桜がいい具合に咲いていた。しかし、桜めぐりのページで何度も書いているが、新潟県内に立派な1本桜は数少ない。見に行きたい桜がちょっとないのだ。
しかも、先週に引き続き、この週もほぼ全国的に雨がちの天気予報だった。
雨か。
だとすると、有名桜を見に行くチャンスだなぁ。
行くのであれば、長野か、福島か。
しかし、そのどちらもまだ満開には時間がかかりそうだった。(いや、南信州はもう散っていたし)
どこかいい有名桜はないかしらん。
あったのだ。
狩宿の下馬桜。
我が家でまだ見ていない五大桜の最後の一つである。
実は、この桜はきっと永遠に見られないんだろうな、と思っていた。なにせ、遠い。
しかも、静岡県というからには、けっこう早い開花の桜だと思い込んでいた。3月ちゅうに開花するのであれば、我が家では雪割草を優先してしまう時期なのだ。
ところが、調べてみたら、なんとジャストミートで満開らしい。それに、静岡県とはいえ、限りなく山梨に近い静岡である。
よし、行ける。
これで五大桜を見終えることができるぞ。
パズルの最後のピースをはめ込む気分で、狩宿の下馬桜を目指すことにした。




狩宿の下馬桜
国指定特別天然記念物。
樹齢800年以上の赤芽白花山桜。
かつては、日本最大の山桜と言われていたが、
何度も台風の被害に遭い、
現在の姿になったという。


盆栽に見えてしまう〜(失礼)。


赤目白花山桜というのは、
咲き始めはピンクでだんだんと白くなるそうだ。



根っ子の保護のため
木に近寄れなくするためには、
周りを取り囲む必要がある。
無粋な柵よりはマシかなぁ。



赤い葉っぱが花と一緒に出る。
いかにも日本情緒ある桜だ。
4月11日
中央道甲府南インターで下りて、国道358号を経て国道139号を南下して、山梨県に入る。道順的に手前にある白糸の滝にご挨拶して(レポはこちら)ナビの案内通りに狩宿の下馬桜に向かう。
今回調べて初めて知ったのだが、下馬桜と白糸の滝は本当にご近所だ。県道75号に入って進むと、しっかりと案内があって、迷わずに行くことができた。
さすがに満開の時期だけあって、臨時の駐車場が設けられている。
  
どんよりとした天候のためか、それほど並ぶこともなく、すんなりと駐車スペースに入られたのだが、臨時だけあって、どろどろの駐車場だった。かなりのぬかるみで、自動車は泥だらけになってしまった。雨だとこういう目にもあってしまう。
人の行く方向進んで行くと、小路が閉鎖されていて、そこになんとミニSLが走っていた。
何人も人を乗せて走っている。
  
おお、お祭りだ。
出店も出ていて、近所の家族連れなどが集まって楽しんでいるようだ。
さて、下馬桜。
まず菜の花が咲いている向こう側に背の高い1本の桜木がみえた。あれが下馬桜かと思ったが、そうではない。
菜の花と桜のさらに奥には古民家みたいな建物があるけど、あれは何かしらん。
あとで調べたら、下馬桜の名前のもととなった源頼朝が巻狩の時に本陣を置いた場所の井出家の門「高麗門」だそうである。
1193年の巻狩り際にこの本陣の前にある桜の木に頼朝が下馬して馬をつないだ、というのが狩宿の下馬桜の名前の由来なのだ。
その高麗門の前の広場では、下馬桜をモチーフにした俳句の入選者の表彰式が執り行われていて、入賞作品が読み上げられていたりした。小学生のほほえましい作品がなんともあたりをほのぼのとさせている。
  
目的の下馬桜は、高麗門からちょっと離れたドウダンツツジかなにかの低い庭木に縁どれらた一角にちんまりとあった。
あらまあ、これが五大桜?
というのが正直な感想である。
なにせ、でっかくない。
三春滝桜、根尾谷の薄墨桜、山高神代桜はどれも巨木だし、先週見た石戸蒲桜も想像よりずっと大きかった。
これで樹齢800年以上となると、盆栽だなぁ、なんて思ってしまったが、どうやら度重なる災害でほとんどの部分が失われて現在の姿になってしまったらしい。
桜の中で唯一、「特別」の文字がつく国の天然記念物なのだが、それに指定されたころは、かなり大きな樹木だったのだろう。
花と一緒に赤い葉っぱが出ていて、日本の古典桜の風情が漂っている。
桜の周りはぐるりと一周できるわけではないが、ほとんど全方向から見ることができる。
特に高麗門を背にすると、手前に黄色い菜の花の絨毯が広がり、ピンクの花を際立たせている。
その反対側から見ると、あまりにも整備された中に収められていて、それこそ盆栽に見えてしまう。
しかし、幾多の災害を潜り抜けて、小さくなってもなおたくさんの花をつけて、春を迎えている姿は、なかなか感動ものだ。
これからもずっと、高麗門の前で、馬をつないだ頼朝を思い出したりして花を咲かせつづけてほしいものである。

せっかく富士宮まで来たのだから、他の桜も拾って帰ることにした。
いつもわに塚の桜を見に来た時に立ち寄っては、まだつぼみも固い状態で残念に思っていた神田の大糸桜が見ごろなんじゃないか、という予想をたてたのだ。
ところが、実はこの週末になる少し前に全国的に寒の戻りがあって、山梨や長野でもまさかの積雪があった。
満開を迎えたわに塚の桜や山高神代桜も寒さのために満開をずっと維持し続けていてくれて、まだまだ見ごろだったのである。
と、いうことで、昨年2014年にも見に行った山梨の桜たちを今年も訪れた。




わに塚の桜
ほんのちょっと青空が見えました。


ちょっとだけ葉っぱが出ちゃって、
色があせてましたかね〜。



山高神代桜
樹齢約2000年のエドヒガンザクラ。
国指定天然記念物。
今回で3回目だと思うが、
一番見事に咲いていたと思う。


いつもながら感動ものの幹。


2000歳でこれくらい咲けたら
本当にすごいと思う。


枝を支える支柱や保護の布は
ちょっと痛々しいけれど。


神代桜の前の碑も「天然紀念物」
と、「記」ではなく「紀」の字になっていた。



神田の大糸桜
今までで一番咲いているんじゃないかな〜。
でも、3分咲きくらいだった。
しかも雨が降り始めて、空が暗く、
ちっとも映えない状態になってしまった。


只今樹勢回復中。


もっとこんもりと花が咲くようになるといい。
4月11日
まずはわに塚の桜桜から。
ナビに任せて走って行ったら、今までとは違う道を案内されてしまい、どう行ったかさっぱりわからない。
いつもは田んぼの中の仮設の駐車場に自動車を入れたのだが、さっぱり分からないまま武田八幡神社がわに連れていかれたら、公民館のような場所にちゃんとわに塚の桜用に開放された5、6台駐車できる場所があったので、そこに入れた。
ここからだと、わに塚の桜に向かって歩いて行くと、鉄塔がわから見下ろす形になる。
カーブを曲がると、ちょっと下がわの田んぼの向こう、存在を知っているのにハッとなるくらい巨大なわに塚の桜が見える。
  
ここからだと鉄塔がかなり無粋な存在ではあるのだが、それがあるから桜樹の大きさが分かる。
でっかい桜だ。
よく見ればすでに満開は少し過ぎてしまって、色がなんとなく褪せて見える。
それでも、盆栽みたいな下馬桜のあとに見たら、桜ってこうじゃなきゃダメだよな〜と思わせるくらい、大きな空間に大きな山々を背景にして見事に咲き誇っていた。
さすがに青空でない上に満開を過ぎているので、定番の撮影場所にはほとんどカメラマンの姿はない。おかげでゆるりと桜を見ることができた。
 

続いては山高神代桜。
こちらもたぶん満開を過ぎているんだろうな、と予想していた。
毎年駐車場に入るのに多少並んだりしたのだが、今年はかなり近い駐車場にすんなり入ることができた。
新潟ナンバーの我々を見て、駐車場のおじさんが新潟の桜はどうかと聞いてきたので、市内なら満開だと答える。娘さんが新潟に嫁いでいるらしい。また別のお兄ちゃんが今年は咲き始めてから雪が積もったので満開の時期が長いと教えてくれた。
まずは実相寺から入って行くが、おおおお、桜がすごいぞ。
実相寺の境内には日本のあちこちの桜が植えられているのだが、その桜たちがほぼ満開。今までこれほどどわっと咲いているのを見たことがないほど咲いていた。
積雪が幸いして、花時期が伸びたおかげかもしれない。
特に入ってすぐの身延山しだれ桜の子孫という桜は参道を覆うように咲いていて、本当に見事だった。
  

  

  

  

  
では、神代桜はどうだろう。
行ってみると、これまた今まさに満開状態。葉っぱも出ていないし、散ってもいない。2000歳のおばあちゃんが、なんともまあ見事に花を咲かせている。
過去なんどか見に来ているが、ここまでどんぴしゃで満開だったことはない。
ついつい拝みたくなるくらい素晴らしい姿だった。

さて、最後は神田の大糸桜。
この桜は、ちょっと標高の高い場所にあるので、他の有名桜と開花はまず合わない。いつも空振だ。
晴れていれば、遠くに富士山が見えるし、すぐそばにJR中央本線が通っているので鉄道カメラマンにも人気の桜なのだが、着いてから歩いているうちに雨になってしまった。
桜が咲く時期にはそばまで行けずに、少し離れた場所に臨時の駐車場ができているのだ。5分くらい歩いたかな。それまでなんとかもっていた空が桜にたどり着いたあたりからぽつぽつと雨が降ってきた。
写真を撮影していると、別にもあるらしい駐車場から団体さんがやって来た。
めいめいに写真を撮っている。
我々もまざってぐるりと写真撮影。
  
うーむ、さすがに小淵沢だ。標高が高いので桜の開花も遅い。ほかの桜たちが遅い積雪で満開の時期を伸ばしたとしたら、この桜は開花の時期を遅らせてしまったのかもしれない。
期待ほど咲いていないで、多めに見て五分咲き。公平に見たら3分咲きかしらね、といった感じだった。
少し経つと、中央線の踏切がカンカンと音を立てたので、見てみると、カラフルな電車が桜の向こうを通って行った。思ったより遠いんだなぁ。鉄道カメラマンたちはかなり技巧を凝らして撮影しているんだな。
  
雨つぶの量が多くなってきた。空もさらに暗くなってきている。
また5分歩いて駐車場まで行かなくてはならないので、桜をあとにした。
  

と、いうことで、2015年はこれにて桜巡りを終了、と思っていた。
いや、まだ桜はあるぞ。
続いては遅咲きの八重桜があるではないか。
GWになるまで桜追いを続けるとは思ってはいなかったんだけどね。


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