2018年夏の蔵王



白龍の滝
落差は、見た感じだと15メートルあるかないか、
なのだが、垂直に落ちているわけではなく、
けっこう傾斜のある滝なので、
正確なものではない。


遊歩道から見た滝は、こんなもん。
木立のせいで、ほとんど見えない。


下流の流れとともに。
実はこの沢は、三階滝の上流にあたる。
方向的、標高的に嘘だろ〜と思って
空撮マップでたどってみたら、
三階滝の上流の沢の一つであるのに
間違いないようだった。
ロープウェイは標高1100メートルまで
連れて行ってくれるので、
標高750メートルにある三階滝よりも
かなり上にあるワケだ。


向かって左側からは別の沢が流れ込んでいる。
そっちがわに取水施設がある。


落ち口。
というか、沢の流れそのものが
急な傾斜に沿って流れてきている。


滝つぼはない。
そのまま沢になる。




不動滝
すみません、これくらいしか見えませんでした。


三階滝
こうなるともう、笑うしかないくらい、
ぼんやりとしか見えないのよ、三階滝。


で、これが右の不動滝と左の三階滝のツーショット。
真夏に見る滝ではないことは確かだわ。



不帰の滝
近い分だけ、百選の三階滝より見ごたえがある。


赤茶けた山の割れ目に落ちている滝は、
大地の力を感じさせられる。


振り子滝
こっちも、不帰の滝と違った趣がある。


今回のコマクサとのツーショットは、
振り子滝でした。


終わりかけであんまり咲いていなかったのよね。
ちなみに、2014年のツーショットは
こちらのレポートからどうぞ。


えぼしリゾート、
ロックガーデンの花たち


  
ヤマハハコと園芸種かなぁ、白ピンクのコマクサ。

    
今回我々をここに引き寄せた犯人、マツムシソウ。

    
フウロの仲間。レンゲショウマの実。

    
リンドウ。右のは、名前、忘れました。

    
すんごい背の高いウメバチソウもあった。

2018/8/13 三階滝(181M) 不動滝(54M) 不帰の滝(45M) 振り子滝  白龍の滝(15M?)

あらかじめ謝っておきます。概ね、山歩きのレポです。
例年になく長い夏休みになった2018年。しかし、んがお家ではとりたてて計画もなく、どこか山に登って、どこか滝に行こうくらいにしか考えていなかった。山のほうは、念願の標高3千メートル超えを山の日に果たし(乗鞍岳剣ケ峰のレポはこちら)無事終了。じゃあ、滝はどこに行こう。日帰りできる範囲でまだ行ったことのない滝で見ごたえのある滝で・・・
色々と希望ばかりが募って、なかなかどこに行くか決められない。
それで、どうして蔵王になったかなぁ。しかも、蔵王の滝たちの筆頭親分である三階滝をオマケ扱いする羽目になったかなぁ。
花である。
今年見ていない花の話題になり、そういえば今年はマツムシソウを見ていない、と気がついた。
よし、マツムシソウが簡単に見られる滝を探そう。と、ダンナがネットを探しまくって、見つけたのが白龍の滝なのである。
いや、そもそも滝とマツムシソウはセットにはならない代物だろう。それが一緒に見られる日帰りできるお手軽な場所なんて、見つかるほうが不思議である。
ところが、あったのだ。
もちろん、マツムシソウと並んで滝があるわけではない。
でも、マツムシソウを見てからちょっと歩けば滝に着くという場所があるのだ。
それが蔵王だった。
蔵王と言っても、お釜のある刈田岳やエコーラインのあるほうではない。ざっくり言うと南蔵王。宮城蔵王である。
実はそのマツムシソウも自然にあるものではなく、植栽ではあるらしいのだが、とりあえず咲いている姿を気軽に見ることができる。
奇跡のような条件を満たしてしまったのが、宮城県「みやぎ蔵王えぼしリゾート」というスキー場である。そうなったらもう、行くしかないでしょう。
もしうまいことマツムシソウが見られなくても、蔵王なら三階滝があるし、コマクサもあるし。ああ、百選の滝が保険扱い。バカな滝好きだなぁ。

そんなこんなでそれほど早起きもせずに、自宅を出発したのが午前7時ころ。相変わらず高速道路を使わずに国道113号で山形入りして、山形蔵王から山形自動車道に乗り、蔵王の山々をぐるっと回って宮城県側に出る。ナビの案内どおりに進み、えぼしリゾートにたどり着いたのは、ほぼ正午だった。
けっこう山深い別荘地のような場所を走って来たのに、ギラギラと暑い日で、スキー場の入口には子供向けの遊具などが設置されているが、そこで遊ぶと汗まみれになりそうな気温だった。

  
駐車場から見たゴンドラハウス。

我々は建物内に入り、ゴンドラのチケットを買う。
これで標高1100メートルまで行くと、ロックガーデンがあり、そこにマツムシソウが咲いている。
チケット売り場で60歳以上は割引があると言われたが、惜しいかな、ダンナはこの日まだ58歳でしたとさ。
片道1300円のゴンドラは、ちょっとお高いかな、とも思ったが、乗ってみたら意外に長い距離を運んでくれて、これはこれでお得かも、と感じた。
途中には樹齢千年の杉があるらしく、矢印などがあったが、木々に隠れてどれがどれやらわからなかったけど。

   
  
ゴンドラ。当然エアコンは無く、うちわが用意されていた。

山頂駅に到着。ここからさらに「かもしかリフト」というリフトに乗ると、後烏帽子岳に90分で登れる7合目まで連れて行ってくれるらしい。そちらに向かって歩いて行く登山者もいたが、我々はまずロックガーデンに行って、ゴンドラに乗らずに徒歩で下り、途中にある白龍の滝を目指すコースである。つまり、登らない。楽だわ〜。

  
  
到着すると、トレッキングコースの案内がちゃんと書いてある。
  王様のキャラクター、「ざおうさま」もあちこちに書かれている。


  
  
山頂駅から山の方を見る。この先にかもしかリフトがある。

ロックガーデンへ行くと、きれいに並んだ花たちの中にありましたよ、マツムシソウ。写真を撮影したいところだが、お昼を大きく回ってしまったので、とりあえずウッドデッキのようになっている展望台でカップ麺とおにぎりの昼食だ。
時々夏休みの家族連れなどが来て、鐘をかんかん鳴らして行くが、かなり気持ちのいい場所にもかかわらず、ほとんど人が来ない。こりゃいいや。

  
  
展望台には「笑星(えぼし)の鐘」があり、子供がガンガン鳴らしていく。

このまんま昼寝でもして帰ってもいいか、と思うくらい気持ちいい。
昼食を食べ終えて、さあ、お花を見ましょうか。
ロックガーデンという名前だが、綺麗に整備されたいわゆる花壇の部分と、ワイルドに植物が植えられた部分がある。
マツムシソウをはじめとして、ウメバチソウやコマクサ、フウロの仲間などもあり、高山植物が手軽に見られる。

  
  
  
ロックガーデン。思った以上にたくさんの花が咲いていた。

しばらく花を愛でてから、さあ、滝に行こう、と歩き出した。
白龍の滝へ行くコースは、ロックガーデンの途中みたいな場所から入るらしい。ちょっと登る階段に矢印があった。
ここから綺麗に整備された遊歩道をちょっと歩くと滝だ、と信じていた。
が、階段を登っていきなり山の中に入り込んだ。
こ、これは、完全に登山道だ。
一応、小一時間歩くという情報はあったので、登山靴とストックは装備していた。が、こんなに見事な登山道とは思っていなかった。
下りなのでそれほどキツいことはないのだが、時々木の根を跨いだり岩を飛び越えたりする場所もある。思った以上にハードな道である。
夏休みの真ん中なのに、このうっそうとした樹林帯の登山道には誰も踏み入っていないようだ。
なんだか怖いので、サクサクと下って行くと、あら、人の声。
若い女の子2人と案内人らしい腕章をした若い男性の三人組が下山中。なんか、きゃっきゃ騒ぎながら楽しそうだ。いいなぁ、若いって。
ペースが我々の方が早いので追い越させてもらった。

    
  
山頂駅のすぐ近くの階段がコースの入口。思ったよりワイルドだ。
  13時20分、スタート。


    
  
大岩があったり、木の根っこだらけだったりする。

ゲレンデのすぐ脇を下っているので、時々ゲレンデを横切る。そこでようやくあ、ここは登山道というワケじゃないんだと確認できる。

    

    
  
途中、ゲレンデを横切る箇所あり。13時50分、55分、58分。
  日当たりのいいゲレンデにはアサギマダラの姿があった。

  
  
14時ちょうど、川に出る。これは取水施設の方を向いて撮影。

何度かゲレンデを横切って、ふいに取水用の管が通っているやや広い道に出た。すぐ目の前が川で、左側、川の上流に行くと、どうやら取水施設のようだった。順路は川の下流側に向かう。
川を左に見ながら、それほど歩かずにすぐに滝の姿を確認できた。
あ、あれが白龍の滝か。
って、木立の向こう側に落ちていて緑だらけで全く見えない。こんな見え方しかしない滝は滝好きにはストレスでしかない。
と、いうことで、もちろん、河原に出る道を探しましたとさ。
そのへんは慣れているので、下れそうな場所をすぐに見つける。河原は、3メートルも下らない場所にある。すぐに川ではなくて、岩などがある場所で、比較的斜面が緩やかで手掛かりになる樹木がある。
場所をバラすと、道の中で木にくくりつけられている動物とナンバーが書かれたプレートの「21ぎんやんま」の木のあたりである。
ここからちょっと泥っぽい斜面を木を頼りに川まで下り、滝を正面に見る場所に出た。
ほほお、綺麗な段瀑じゃありませんか。
末広がりに落ちているさまは、何かを編んで作ったような造形的に美しさがある。落差はそれほどではないけれど、ようやく滝にたどりついた感動があった。
さすがに撮影場所が限られているので、それほど滝前で長く撮影できず、また木を手掛かりに遊歩道に復活する。
心配だったのは、あの青春の三人組が下って来るのに出くわさないか、だった。さすがに遊歩道をはずれて斜面から登って来る姿はまずいでしょう、腕章つけているお兄ちゃんだったし。
幸い、三人の姿はなく、無事に遊歩道に復帰。
たぶん、ここから先は道も太いからなだらかな遊歩道だぞ。

    
  
14時15分。並行しているゲレンデに出ないようにする土嚢。
  そのすぐ先では、道が水没。

と、思ったら、やっぱり登山道でしたとさ。
しかも、途中ゲレンデに出ないように土嚢が積んであったり、さらには道自体が水没していたり。アドベンチャーだわ。
青春三人組についに追いついてしまい、不思議がられたけど、滝を見ていたんですよ〜と、嘘ではないけど細かく語らずにまた追い越させてもらった。
さらに下ると、あれ、なんだかすごい木があるぞ。
遊歩道の下側にプレートがついていた。
「名木、五本ナラ」とある。
おお、根元でつながっているぞ。1本枯死してしまっているが、数えるとちゃんと5本あった。

  

  
  
14時38分。五本ナラ。下の写真の端から端までが五本ナラ。

    

  
  
途中、タチギボウシやヤマジノホトトギスなどが時々咲いていた。

やがて、オオルリコースと書かれた分岐になり、道は広くなった。そこから先はオオルリコースの道標があり、出口が近いのが分かる。
散歩にちょうどよさそうななだらかで広い道は10分ほど続き、ついにゲレンデに出た。
どうやらゴンドラのチケットを買ったゴンドラハウスの裏手に出たらしい。
白龍の滝コース入口、とは書いてあるが、まずこの遊歩道の入口にたどりつく案内が少し少ない感じだ。
ゴンドラを使わないで白龍の滝を見る場合は、ゴンドラハウスに向かって右側に進み、キッズハウス方向に向かう。キッズハウスの裏手の林に遊歩道がある。キッズハウスに向かってやや左側で、看板があるので、それを手掛かりにするとよい。

    
  
14時40分、オオルリコースと合流後、14時53分、ゲレンデに出る。

  
  
分かりづらい白龍の滝コースへの案内看板。小さいよ。しかも、入口から遠いよ。
  右側に見えているのがキッズハウス。その裏の木立に入口がある。
  キッズハウスより左側だ。


我々の足で、ロックガーデンの入口から1時間40分でゲレンデに出た。えぼしリゾートのパンフレットには60分と書かれているが、それはたぶんものすごい健脚の出した数字だと思う。我々もゆっくり下るほうだが、案内人と女の子2人の青春三人組は、我々より早く下りはじめ、我々よりずっと遅い到着なにると思うので、2時間近くかかっていると思う。下りでこのタイムである。

さて、想定外の登山道で思った以上に時間がかかり、時刻はすでに午後3時。あとは駆け足でエコーラインの滝を見るだけくらいしかできない。
時間が押している、にもかかわらず、えぼしリゾートに来る途中で気になった2メートル以上もある巨大なトウモロコシの畑にあるトウモロコシ屋さんにひっかかってしまった。あのでっかいトウモロコシが売っているんだろうか、と見てみたら、あれは家畜の飼料用のトウモロコシなんだって。
別のちゃんとしたトウモロコシが売っているので、ゆでたやつを頼んだら、たった今売り切れてしまったから、すぐゆでるとのこと。時間ないんだけどなぁ、頼んじゃったしなぁ。ぐつぐつ煮えた鍋にたった1本トウモロコシを入れて、汗だくになってゆでてくれましたよ、超明るい外国から来たらしいおかあちゃんが。
そのトウモロコシをもって、エコーラインを登り、手前の滝から見て登って行く。
相変わらず、三階滝と不動滝は遠望の上にぼんやりとしか見えない。夏はなおのこと木々の葉っぱが茂っていて見通しが悪い。一応、ご挨拶しただけでさっさと退散。
あとは、コマクサ平の不帰の滝と振り子滝だ。あそこはちょっと広いのでトウモロコシを食べながら滝を愛でよう。
実はここのコマクサもちょっと期待していたんだけど、8月のなかばではもう遅い感じで、ほとんど咲き残りの状態だった。ああ、残念。
それでも、不帰の滝は近くで見ることができるので、三階滝でのストレスは解消された。
もう夕方近くになって、お釜まで行く時間はとてもない。コマクサ平でUターンして、遠刈田温泉の神の湯という共同浴場に入ってから新潟まで戻った。(余談だが、遠刈田温泉のいわれに、三階滝の大カニと不動滝の大ウナギの戦いに敗れた大ウナギの切られた尾びれが流れ着いた場所が遠刈田温泉で、そのため足腰に効能のある温泉と言われているんだってさ) 帰りついたのは午後10時過ぎ。猫たちにどっぷり怒られましたとさ。
交通
  白龍の滝  とりあえず、目指すのは、みやぎ蔵王えぼしリゾート
我々は新潟からなので、山形自動車道宮城川崎ICから遠刈田温泉に入り、国道457号を経てえぼしリゾートに入った。東北道からのアクセスもえぼしリゾートのHPに詳しい。
白龍の滝は、えぼしリゾートの3つあるトレッキングコースの一つ、白龍の滝コースのほぼ中間にある。
花目当ての我々はゴンドラで山頂まで行って下る手段を選んだが、滝だけが見たいのであれば、ゴンドラを使わずにスキー場から登って行くこともできる。本文にも書いたが、このコースの入口がやや分かりづらい。まずゴンドラハウスでパンフレットを入手すれば分かりやすいが、ゴンドラハウスに向かって立つと右側方向、キッズハウスと書かれた建物の向こう側である。
パンフレットによれば、登りは50分で白龍の滝に着くが、たぶんもうちょっとかかるはずだ。
さらに、途中にオオルリコースと分かれる場所などの分岐もあるのでよく案内を見るなどの注意が必要だ。白龍の滝コースと書かれたものもあるが、古い案内では、「石子遊歩道」となっている。5月にはシロヤシオツツジの見られるコースらしい。
道は完全に登山道と思ってよい。足回りはきちんとしたほうがいい。
遊歩道からは滝は木々に隠れて見えづらい。本文の通り、「21ぎんやんま」の木のあたりから下ると、川にダイブすることなく岩の上に下りることができる。が、川の水量にもよるので、これも注意すべし。

  

  
これが「21ぎんやんま」の木です。

  三階滝、不動滝、不帰の滝、振り子滝  エコーライン上にある。
アクセスについては、蔵王町観光物産協会のHPに詳しい。


んがお工房の日本百名滝めぐり  滝レポートトップ  掲示板