2021年氷瀑を求めてC
二の滝氷瀑




二の滝
凍っていない場合は二条の滝である。
つい一週間前というか数日前までは
この二条の水流がガッチリ凍っていた。
自然が凍らせる滝である。
自然がとかしてしまうのも
仕方のないことだ。



でも、なんだか鳥居みたいに見えません?
妙に厳かな印象だ。



踏み跡はこの辺までだった。
あの氷に触れるくらいに近づけるほど
凍るんだよ。



向かって右側の水流。



つららも立派。



水流を受け止める氷。
グズグズになると、色が悪くてね〜。



でも、真ん中あたりは、青くてきれいだった。



しかも、奥行があって、
何重にもツララが重なっている。



向かって左側の水流。
前に来た時は、こっちがわがこんもり雪の中だった。






一の滝
木の枝が邪魔で。
クリアに見られる場所が無かった。



ちょっと引くとこんな感じ。
左側に滝見台に下る階段が見える。
あそこまで行けば
きっと綺麗に見えるんだろうけど。



滝の左岸に巨大なツララができていた。



滝の落ち口に氷が。
屏風のような形に残っていた。
2021/2/21  二の滝(25M) 一の滝(15M?)  山形県遊佐町

2021年は大雪に始まったので、きっと気温の低い寒い冬なのだと思っていた。
ところが、週ごとに2月じゃないぞ、こりゃ、というほどの暖かい日が来て、みるみる雪も解けてしまった。
春になって振り返ってみれば暖冬であったのだ、という結論が出るだろうというのは、2月の中旬の段階で分かっていた。
しかし、もう1本くらいは氷瀑見たいよね、見られるとしたらどこだろうね、という話しになった。
見られるとしたら、標高の高い場所、もしくは緯度の高い場所だ。
北か。
北であれば、二の滝という手がある。
2011年にお天気と地元のトレッキングツアーの直後というラッキーに恵まれて何の知識もなしに二の滝の氷瀑を見ることができた。(2011年のレポはこちら)
あの時行けたなら、今も行けるだろう。
調べてみれば、つい先週まで見事なまでの氷柱になって、水流がほとんど見えないくらいの氷瀑になっている。
ちょっとやそっとの暖気ではあの柱は崩れまい。
実は暖気はあった。我々が行った一週間前の週末はとてつもなく暖かかった。ほぼ桜の咲く気温である。
だが、その2日後にまた寒気がやって来て積雪した。新潟では除雪車も出るくらいの雪の量だったのだ。
それから一週間でガッチリ凍った滝が崩れるワケがない。新潟より北の山形だし。
ところが、我々が行くつもりの土曜日、イヤな天気予報になった。遊佐町は雨だという。
いやいや、遊佐町も海岸沿いが中心だろうから、雨だっていっても山は雪だろうさ。
でも、雨だろうが雪だろうが、お天気の悪い時に積雪した林道を歩いて滝に向かうのはちょっとイヤだ。
天気予報によれば翌日の日曜日であれば、曇りで時々晴れ間も望めるらしい。
では、土曜を家事にあてて、日曜日に滝に行こう。
その土曜日、新潟は気持ち悪いくらいの暖かい風の吹く土曜だった。
音をたてて積雪か減っていくかんじの気温である。春が着実に近づいるどころか、冬を追い越した感じさえする。

前回のレポを参考に、午前7時過ぎに家を出発。
行きゃあわかるだろうと酒田みなとのICを下りて、ナビに二の滝と入れたら案内できないと拒否された。ええーーーっ。
どうやら冬期通行止めの箇所はナビは案内しないらしい。
おいおいおいおい。山形の地図さえ持って来ていない。
いや、あれは鳥海山の滝だから鳥海山方向に進めば案内が出て来る。と、やみくもに走り出す。
結果、ちゃんと案内がありましたよ。危ない危ない。ちゃんと下調べはしないとね。
胴腹清水のちょっと先の除雪終了点に到着したのは10時30分過ぎ。
あとは写真で時間を追って説明いたします。

      
  10時35分、除雪終了点に到着。我々の先には4台の自動車。「インストラクターなしで事故等が起きた場合は責任を負いかねますので注意してください」と、遊佐町の注意喚起の看板が立っているゲートを超えて、踏み跡しかない雪道を歩き出す。

      
  杉林の中、ゆるゆるとした登り道だ。10時40分、@カーブミラー。変化のない道なので、カーブミラーで時刻を記録するが、カーブミラーは壊れたり撤去されたりするので、実はあまり信頼性のある情報ではない。カーブを曲がると、右手は杉林、左手が開ける。遠くにたぶん鳥海山のすそ野が見える。

      
  植林のための看板が立っている。そのすぐそばに兎の足跡。他にも小動物の足跡はたくさんあった。
  Aカーブミラー10時54分。右手は杉の伐採後に植樹したらしい若木の山だ。

    
  少し進むと右手が開けて、遠くに日本海が見えた。道脇の木々にはドライフラワー化した花が。

      
  Bカーブミラー11時01分。左手に松林を見て歩く。杉林に突入して、右に国有林の区域図の看板、11時07分。

      
  うっそうとした杉林を抜けるとブナの林。Cカーブミラー11時19分。珍しく左側にDカーブミラー11時25分。

      
  これ、ホントに山の上かしらと思うくらいの直線の道。右は杉、左は松の林だ。11時36分、左手にフェンス。通り越すと、すぐにEカーブミラー。

      
  11時51分、やっと右手に鳥居が見えた。これが一の滝神社の鳥居。向かい側に駐車場と小屋とトイレのある場所がある。
そこには立ち寄らずに、道をさらに進む。しかし、今までより踏み跡がおぼつかなくなっている。どうも一の滝の駐車場あたりで戻った人もいるらしい。ここに至るまで、2人の人とすれ違った。一人は和かん、走って下っていた。もう一人は長靴。
雪の踏み跡は和かんと分かるものと、靴と分かるものと、もう一種類、スキーの跡もあった。
このスキー跡が、駐車場よりもさらに先に続いている。我々も後を追う。12時01分、おや、前方に人が立っているぞ。
あ、スキーの人だ。こんにちわと挨拶すると、二の滝には行けなかったと教えてくれた。ここから林道をそれて二の滝に下るのだが、下って行ったらロープの張ってある場所に出て、先には行けなかったとのこと。二の滝まで50メートルくらいかな、踏み跡もなかったよ、という。
そんなバカな。
ここまで頑張って、行けないではすまないじゃないの。
さすがに諦めがつかずに、そのロープの場所まで行ってみますと、彼と別れた。
三の滝、万助道、長坂道と書かれた看板より道をそれて雪の斜面を下る。とりあえずはスキーの跡があるのでそれを追う。
スキーの跡が続いている。ぐーっと上に向かっているが、実はそっちじゃないのは、歩いている我々にはよく分かった。踏み跡は右手に下っているのだ。確かにスキーの跡を目で追うと、ロープが横に張られていた。行き止まりを示している。もうちょっとよく目を凝らしていたら、踏み跡を見落とすこともなかっただろうに。12時17分。
さらに下ると、我々が進もうとしている踏み跡と、もう一つ川に向かっている踏み跡があったのだが、その川がわの踏み跡から男性が2人登って来た。
二の滝まで行けましたか、と訊いたら、行けたとのこと。そっちがわから行くんですかと訊いたら、いや、自分たちは一の滝に行こうとして途中から登って来たのだと言う。二の滝に行くのならそのまま進んだほうがよい、とのこと。
そうか、行けるのか。よし。

      
  しかし、ここから先がおっかない。右手は川。雪を踏み外して転げ落ちたら、そのまま川に転落だ。さらには上のほうから雪崩でも起きたら、もちろん雪に埋まって川の中だ。時折岩や枝につかまりながら慎重に進んで行く。

      
  頼りにしている岩盤が凍っている。12時25分、やっとコンクリート製の建物が見えた。何かの祠だ。前はこの中で休憩したが、今は網状のガードがついていて、中には入れない。屋根の積雪にちよっと引く。

     
  小屋を通り過ぎて、のぞき込むと、おお、二の滝があった。
  ああああ、氷の柱じゃなくなってるぅぅぅぅ。すっかり崩れてしまっている。
  いや、氷瀑っちゃあ氷瀑だが、柱ではない。柱状の二の滝を見に来たのに。残念無念。
  雪であまり移動もできず、ギリギリの踏み跡がある場所だけ選んで撮影。どこに足をおくと川なのか分からないのが怖い。
  つい一週間前の写真では、あの滝が氷の柱になっていて、それに触れるくらい近寄れたらしいのにな。
  仕方がないので、さっさと写真撮影して撤収。12時33分。
  滝前で昼食とも思ったが、雪だらけで無理。戻って一の滝の駐車場で食べることに。
  下る時も怖かったが、登る時はほぼ垂直の雪の斜面をズボッズボッと潜りながら進む羽目に。

      
  13時ちょうど、一の滝の駐車場到着。三角屋根のトイレには冬期用のトイレは裏手にあります、とあるので、裏手に回ると、三角屋根トイレの裏口みたいに入り口があって、2つの個室が。水洗ではなかったが、綺麗なペーパーもあるトイレだった。
ベンチもないってか、雪の下だろうので、座る場所もない。手前の滝見庵と書かれた建物の前の雪に腰掛けられるような段差を作ってそこで昼食。
お湯を沸かすのも雪の上。熱くなってひっくり返らないのかと尋ねると、ガスボンベはかえって冷たくなるんだってさ。

      
  13時30分、昼食を終えてさて、次は一の滝。鳥居をくぐって行くのかと思ったが、踏み跡は鳥居がわにはなく、鳥居の手前、鳥居に向かって立つと左側の斜面をいったん登ってから下降している。我々もそれにならう。
  あ、スキーの跡がある。スキーの人、この斜面をスキーで下って、スキーで登って来たのか。すごいなぁ。
  すごいと思うほど、一の滝へ向かう斜面はとんでもない角度だった。途中、尻セードしたな前に行った人、という滑り台状の跡もあったくらいだ。
すぐそばが川というワケではないので恐怖もないが、斜面なのでとにかく潜る。きゃーきゃー騒ぎながら、しかし、比較的すぐに神社の屋根が見えたので、なんとかたどり着けた。

      
  13時40分、一の滝神社。
  スキーの跡は神社の建物の向かい側の雪の先端まで行って滝を観賞したらしい。しかし、その場所からはあまりよく滝が見えない。
  神社と隣の建物の間から観瀑台に行けるのでそっちに向かってみる。
  しかし、もちろん観瀑台への階段は積雪で下ることができず、その付近からの滝もまた樹木に阻まれてよく見えなかった。

  観瀑台から撮影中のダンナを撮ってみる。雪の先は崖である。
  雪もグズグズだし、危険も冒したくないので、すぐに退散。13時54分、鳥居まで戻る。あとは車道を下るだけだ。

    
  行く時にもたくさん動物の足跡を見つけたが、帰り道にはなぜか足跡の一部がひっこんでいるのでなく飛び出ていた。写真で分かるかなぁ。踏まれた部分が固まっていて、周りの雪が解け締ったせいかもしれない。
鳥の羽がちらばっていたりして、動物がたくさん生息している山域だと分かる。
  14時05分Eカーブミラー。14時18分Dカーブミラー。14時23分Cカーブミラー。14時35分、国有林の区域図の看板。
  14時40分Bカーブミラー。14時47分Aカーブミラー。15時ちょうど@カーブミラー。15時04分、ゲート到着。

当たり前だが、我々が出発する時にあった4台の自動車はもう無かった。ちゃんとその自動車のあるじにはこの道中に出会っている。数的に合致しているので納得だ。
その後、途中のコンビニであったかいものでも買おうとナビに帰宅と入れて出発したら、ついにコンビニがないまま日本海東北自動車道に乗ってしまった。日東道が途切れている温海のインターでやっとコンビニに入り、一般道へ。
新潟に入ってもう一度日東道に入る。早くつながってくれないかなぁ、この県境。
事故渋滞などにつかまりつつ、家にたどり着いたのは午後7時過ぎでしたとさ。
たっぷり遊んだ真冬の一日になった。
交通
  二の滝  最寄ICは、日本海東北自動車道遊佐比子IC。しかし、ここは昨年12月にできたばかりで、我が家のナビに入っていなくて、利用していない。
たぶんICを下りると二の滝もしくは一の滝方面へと案内が出ているはずである。きっと。(←こらこら)
とにかく県道60号に乗ろう。
これに乗って、外れないように終点まで進めば除雪の最終点の胴腹滝に着く。
胴腹滝(胴腹清水)の駐車場もしっかりとあるが、そこは湧き水を汲む人のための場所なので、さらに先の道端に駐車することになる。道路はけっこう広めに除雪してあるので大丈夫。
そこから雪の上の踏み跡を頼りに車道を1時間半、車道からそれて30分弱歩くと二の滝前になる。
もちろん我々の足なので多少遅い。
だが、天候や積雪によってはさらに時間がかかる場合もあるし、もっと危険が高まる場合もある。
雪崩などもあり得るので、必ず連絡が取れるツールを持ち、単独では行かないように心掛けたい。
また、車道をそれてからは案内は一切ないので、踏み跡などが見えなくなる降雪後はルートが分からなくなる恐れがある。
毎年2月に遊佐町でツアーを行うらしいので、早めに町のHP等で予約をして、同行するのが一番安全。
ちなみに、トイレは無いので注意。県道60号沿いにはコンビニも少ない。マックスバリュ遊佐店かそのそばのコンビニが一番近くて手軽に入れるトイレじゃなかろうか。ちゃんとお店も利用してね。
がんばって一の滝駐車場まで行けば冬期も使えるトイレはある。

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