んがお工房の桜めぐり


2021年桜追い@
長沼の桜たち(古舘の桜、長楽寺の桜、護真寺の桜
横田陣屋御殿桜、永泉寺のしだれ桜)、種まき桜

2021年の春は本当に駆け足でやって来た。
実はこの冬、新潟では大雪に見舞われ、交通障害なども起こったので、てっきり春も遅いと思っていたのだ。
しかし、実はそれは海水温が高いために起こった大雪で、冬全体を見れば暖冬だったのである。
新潟県ではあるまじき、3月中に桜が開花。その2日後のやっぱり3月の末日に満開になってしまった。
私が生まれて、けっこう長い年月たっているのだが、そんなことは多分今までにない。観測史上初である。
新潟でそれだから、日本全国とにかく桜は早かった。
3月中、のんびり雪割草を追ってしまい、慌てて今年見る桜を探し始めて、我々が遠征できる4月3日にちょうどいい桜たちの目星がついた。
福島県須賀川市長沼地区の桜たちである。
今年も昨年に引き続き、新型コロナウィルスの脅威が収まらず、感染予防のためにお花見の自粛が呼びかけられているのであるが、この長沼地区は桜めぐりのイベントを実施していた。
地区内の桜の名所9か所のうち5つのスタンプを集めて応募すると温泉の入浴券が当たるかもしれない、というもの。
ほのぼのするイベントだ。
どれほどの人が集まるのかは分からないが、イベント化するからには道案内もしてあるだろう。
桜をめぐるのに苦労はしないと思う。
須賀川市方面にはいくつか見事な桜の古木もあるのだが、今回は長沼の桜たちに絞って見に行くことにした。
ただ、須賀川市には日本の滝百選に選ばれた「乙字ケ滝」がある。これにはご挨拶しなくちゃ。
それほど早起きもせずに自宅を出発し、鏡石インターを下りて牧場通りの見事な桜並木の下をくぐって、乙字ケ滝に到着したのは午前11時過ぎ。滝を見て、さてどこでお昼にしようかと迷ったが、来る途中に鳥見山公園というのがあったので、そこにしよう、ということになった。
大きな気持ちのいい公園で、自宅から持ってきたおにぎりとカップラーメンを桜の花を見ながら食べることができた。
も、これでお花見終了でもいいや、と思うくらいのんびりとしたいい時間だった。(滝と公園のレポはこちら)
いや、待て。これで終わっちゃ桜めぐりではない。
鳥見山公園を出て、鏡石インターまで戻り、高速道路を通り越して国道118号をひた走れば長沼地区だ。
おお、思ったより、田舎だぞ(し、失礼)。




古舘の桜
福島県指定天然記念物。
樹齢約450年のエドヒガンシダレザクラ。
450年の樹齢にふさわしい風格のある姿だ。



こんなふうに、芝生の緑地の向こうに立っている。
桜の向こう側は川になっている。



まさに満開の状態。
びっしりと花をつけて、まだまだ若いと主張。



ただ、幹は補修などもしてあった。
足元にはたぶん不動明王。
なので、不動桜とも呼ばれているとか。
さらにこの花が咲く頃に苗代の準備をしたので、
種蒔き桜とも呼ばれているそうだ。



下から見上げてみる。
降るような花数である。


4月3日
長沼地区に入ると、思ったとおり桜の案内が出ていた。
ただ、道の左側に比較的小さな立て看板なので見落としかねない。
それをしっかり見つけて、@古舘の桜、A長楽寺の桜、と書いてあるのを見届ける。その案内どおりに左折。セブンイレブン長沼店の角である。
川を渡ってややカーブするあたりで、大きな桜の木が呼んでいた。
あれかしら。あれじゃなかったら、あの木にもご挨拶しなくちゃ、と思っていたら、その木に向かうように案内があった。
案内どおりに左折すると、すぐに古舘集会所という建物が左側にあり、その前にスペースがあったので、そこに駐車。
もう少し細い道を進むとちゃんと桜用の駐車スペースが右側にあった。
そこから左側の草地の踏み跡を歩く。
入り込んでいいのかしらんと迷うくらい、草地でしかない。
その先に桜の古木はスックと立っていた。
青空に映えて、なんとも風格のある立ち姿である。
古木の威厳がその黒々とした幹から感じとれる。
君は私を呼んでくれたね。


  
  集会所から歩く小径。見えづらいが、左手に看板があ、芝生に踏み跡がある。
  畑に侵入する感じでその踏み跡をたどる。


  
  畑にはハマダイコンが綺麗に咲いていた。

ところで、桜めぐりのスタンプラリー、どんな形でスタンプを押すのかと思っていたら、桜の近くに蓋つきのブラスチックケースがおかれていて、その中にパンフレットとスタンプ用紙、スタンプとインク台が入っていた。
近くにきっちりと除菌スプレーも置かれていて、不特定多数が触れるスタンプでも感染対策を怠っていない形になっていた。
最初の桜である古舘の桜のプラスチックケースからパンフレットをいただき、これからの道案内の資料にする。
さらに、ちゃっかりスタンプも押した。

  
  これは護真寺のスタンプ台。古舘の桜では地べたに置かれてましたよ。

最初誰もいなかった桜の前に一組二組と人がやって来た。
我々は入れ替わりに、Aの長楽寺の桜を目指そう。


  ちなみに、スタンプラリーのスタンプは全部で9か所。
@古舘の桜
A長楽寺の桜
B岩崎山史跡公園の桜
C護真寺の桜
D横田陣屋御殿桜
E兎内の桜
F長沼城址の桜
G永泉寺の桜
H藤沼湖の桜

九か所のうち、スタンプを5つ集めると地域内にある藤沼温泉「やまゆり荘」の温泉入浴券がペアで当たるかもしれない。500名に当たるというからけっこういい確率かもよ。
  





長楽寺の桜
樹齢は不明。
県指定や市指定の桜が多いスタンブラリーで、
数合わせに入れられた感が強い。
でも、樹齢はどうあれ、姿がよい。



本堂から振り返るとこう見える。
若い本堂の桜の枝ごしに見えるのだ。



こちらも満開。
重そうなくらいびっしりと花がついている。


国道の案内看板に従うのなら、長楽寺は古舘の桜へ左折した道をそのまま真っすぐ進む形になるのだろう。
細い道を道なりに進んで行くと、古そうな山門のあるお寺に出た。
山門にスタンプのプラスチックケースもおいてあるぞ。
かなり細い道ではあるが、山門に向かって左側にちゃんと駐車スペースもある。
山門からお寺が見えて、その前に綺麗な枝垂れ桜が揺れているのが見えた。おお、あれが長楽寺の桜か。

  
  山門をくぐる前。門の向こうに若い桜。

  
  山門をくぐった後。ほら、よく目立つでしょ、本堂前の桜。

  
  この桜に惹きつけられるのも仕方のない話。

喜んでその桜に向かって歩いて行く。
おやまあ、思ったより若い感じの桜じゃないの。と、思っていたら。
ダンナがこれじゃなくて、あっちじゃないか、と言った。
なんと、山門のすぐそばに形のよい枝垂れ桜が咲いていた。
私、完全にスルーしてしまった。
まさしく、あれこそが長楽寺の桜だ。パンフレットの桜も間違いない。
若い桜のもとから山門を振り返る形で長楽寺の桜を見ると、何とも言えず風情があって美しい。
小さな山門と、やはり樹木としてはそれほど大きいほうではないが形のいい桜と、うまく寄り添って絵になっている。
なるほど、若い桜は自分の元まで人をひきつけておいて、振り返る形で古木を見せようとしているわけか。
そんな意図を勝手に想像して、山門とベストマッチの桜を撮影した。
  





岩崎山史跡公園の桜
写真は、駐車場脇にある石碑から見上げた
供養塔前の桜。
おそらくこれがこの公園で一番古い桜
なんじゃないかなぁ。



供養塔まで登って撮影。
下から見上げた感じよりも
小さくて細い木だった。



右に供養塔。
桜の下は崖になっている。



細くて今にも枯れそうな木だったが、
花はびっしりと咲いていた。


公園には色々な種類の桜の木があり、
のんびりと探索するにはちょうどいい。
春を感じるにはもってこいの場所だ。



かわいい八重の枝垂れ桜もあった。

一本桜だけを狙っている我々なので、実はスタンプラリーのすべての桜を巡るつもりは毛頭なかった。
というワケで次に行きたいのは護真寺の桜だった。
が、道案内が番号順なもんで、三番目の岩崎山史跡公園に案内されてしまったのだ。
せっかく来たから自動車を降りて、桜はどんな塩梅かと見てみる。

咲いている。公園なので、桜がたくさん植えられていて、それがみんな見事に咲いている。
しかし、この公園の桜はこれだ、という代表的な木ってないのかしらん。
と、庚申塔のある場所の背後の丘の上になにやらたくさんの支柱に支えられている老木らしい桜を発見した。
と、いうか、呼ばれた。
あの桜はこっちに来いと言っているなぁ。
だいぶ高い場所に立っているんだけど、道はあるんだろうか。
などと悩んでいる間にダンナが身支度を始めてしまった。
道、あるんだ。登るんだ、山。
想定していなかった山歩きだ。まあ、見える場所にある桜だから、それほどハードな登りではあるまい。
軽トラでも通れそうな整備された緩い坂道を桜を見上げながら登って行く。
春の草花も咲いていて、気持ちのいい道だ。


  
  道沿いには桜が咲いている。

  
  松山城址という案内通りに進む。

  
  下から見た老木のあるだろう第二展望台へ行く。
  供養塔群、と案内には書かれている。


  
  キランソウ。

  キジムシロ。

  ミヤマセセリ。

桜を見に来たのやら、野の花を愛でに来たのやら、とにかくのんびりと歩く。
今日はやたらと気持ちがのんびりしている。
城址にはさらに登るようだったが、途中で目的の桜の方向に道が別れていた。
供養塔群、と書かれている。
その方向に歩いて行くと、ちゃんと桜は立っていた。
あら、下から見た感じよりずっと小さな桜だ。
かなり弱っていて、支柱がなければ崖から落ちてしまいそうだ。
だが、ちゃんと補修はされていて、大事にされているのが分かる。
供養塔を守るための桜の木なのだろう。
今も懸命に花を咲かせている。
ここまで登られなければ供養塔があることも知らずにいただろう。
よく呼んでくれたね。
ここは鎌倉時代からの霊地だった場所だそうで。
いくつもの供養塔があるそうです。




護真寺の桜
福島県指定天然記念物。
樹齢450年の枝垂れ桜。
妙な表現ではあるが、盆栽をそのまま大きく
したような計算されたような姿の桜だ。
これはやや本堂寄りから見た姿。



みっちりと花が咲き誇っている。



これが我々が最初に見た姿。
横から見てしまったが、
実は説明看板などは
こっち側についている。



見上げる。
450年が降って来る。



鐘撞堂を背景に。



計算された姿、と書いたが、実はかなり
いびつな形をした桜だ。
鐘撞堂とは反対側にびよーんと
1本だけ枝が伸びている。
昔はもっとたくさん枝があったのかもしれない。


次は県指定天然記念物の桜だ。
これはもう、最初から必須の桜で、逃してはならない桜だった。
史跡公園から案内看板は裏道っぽい道に自動車を導き、目の前に横田集会所という建物とC護真寺の桜、D横田陣屋御殿桜、駐車場と看板があった。
なるほど、ここに駐車して、徒歩で桜を見に行け、ということか。
単純にそう判断して、頑張れば10台ほど駐車できそうなスペースに自動車を入れる。
さて、護真寺はどっち?
矢印からすると、山のほうに進んで、坂を登るらしい。
見れば、そっちの方向はこんもりと桜が咲いていて、とんでもない量のピンクになっている。ああ、すごいぞ、すごいぞ。
結構な角度の坂を桜を餌におびき寄せられるように登って行く。
しかし、だ。
後ろから次々に自動車が我々を追い越して行く。
あれ?と思っている間に護真寺になってしまい、立派な駐車場が登場した。
舗装こそしていないが、こっちも10台くらいは楽にとめられるんじゃないかな。なんだか無駄に坂を登った気分だ。

  
  集会所と案内の看板。どうしてもここに駐車したくなるわよね。

  
  護真寺をとりまく桜たち。


そして、こちら側からだと、お寺の脇から入って行くことになってしまう。
脇から入ると、速攻で桜が見えてしまう。
気分を盛り上げる演出も何もない。失敗だった。
実は公民館に自動車をとめて、D横田陣屋御殿屋敷桜方向に歩いて行くのが正解だったのだ。
その桜の手前に護真寺の門があり、そこから桜の並木の参道を通って階段を登って桜に対面することができる。これが演出的にもベストな桜との出会い方だと思う。
いや、しかし、我々は無駄に坂を徒歩で登って横から桜に出くわしてしまった。こりゃもう、仕方ないです。
さすがにこの桜の前にはたくさんの人がいて、桜を愛でていた。
桜の周りをぐるりと歩けるし、さらに階段を下って見上げることもできる。
桜から参道を振り返ると。
わあああ、桜並木が真っすぐに続いていて見事だ。
ここに至って、始めて来る方向を間違ったな、と悟る。
並木を通って振り返って見る。
意外にも並木と桜が一緒に写る場所が無かったのだが、並木がいい。
古い絵本の一ページを見ているような美しさだ。
しばらく歩くと道に出会い、門になった。こっちから来ればよかったなぁ。
門を出て右側に進めばすぐに横田陣屋だ。そっちの桜はどうかな。

  
  
  本堂がわから見下ろした参道の桜並木。


  
  こちらは、門から本堂側を見た桜並木。牧歌的だわ。





横田陣屋御殿桜
須賀川市指定天然記念物。
樹齢300年の枝垂れ桜。
横田地区を支配していた溝口氏の屋敷のあった
場所にあるので、御殿桜という。
護真寺の桜の子孫と言われている。

今調べたら、この溝口氏というのは、
新発田藩の溝口氏の分家なんだってさ。
意外にわが新潟と縁がありました。



近寄って撮影。
大きく広がった枝がわかる。



エドヒガンだそうだが、
ちょっととんがった花びらの小ぶりの花が
びっしりと着いていた。



古木には定番の祠も足元に。



花が重そうでさえある。


横田陣屋は本当にすぐ隣くらいにそばだった。
しかも、しっかりこちらにも10台以上とめられるような駐車スペースが完備されていた。
おまけに案内係のボランティアも数名いて、スタンプラリーの案内をしている。長沼地区的にはこの桜が一番売りの桜らしい力の入れようだ。
桜は駐車スペースから一つ農道に入って、畑ごしに咲いている姿を見ることができる。
日本昔話の世界のように農家屋敷の庭にぶわっと咲き誇る枝垂れ桜だ。

  
  駐車スペースからすぐに畑ごしに桜が見える。

最初、畑の向こうにある桜を遠望するだけかと思っていた。
なにせしっかり生活している民家の庭の桜なのである。
そうそう桜見学のために生活を乱されてはたまらないだろう。
いや、ちゃんと住んでいる民家かどうかは確認してないけど。
しかし、畑から先もどうやら行ってよさそうなのだ。
案内のおじさんは全く案内してくれないのだが、人がどんどん行っている。
よくよく見ると、桜の枝のたれている真下くらいに太い竹が横に倒されていて、その境界から先は行っちゃダメよ、という印らしい。
そうか、近づけるのか。
喜んで進む。
畑には菜の花なんかが咲いていて、実にのどかな風景だ。
とにかく樹勢が盛んで、自分の姿を見てほしくて仕方のない感じがした。
たくさんの人が見に来てくれているのだ。君も満足だろう。
ふと振り返ると、御殿桜と並んだ一段高い場所にもう一本桜の木があった。
こちらは御殿桜よりかなり小さいし細いのだが、枝垂れ具合が半端ない。
自分の根元よりも下になる下の段の地面まで枝を伸ばして咲いている。
観光客の一人などはその枝にくるまった感じの写真を撮影していた。
それ、いいアイディアかも。枝を傷つけないようにね。
この子も護真寺の桜の子孫かな。

  
  隣の桜の見事なしだれっぷり。花に埋もれられる。

さて、集会所に戻ろう。道に戻って、護真寺の前を通って、意外にすぐに集会所になる。
我々がここで見なければならない桜はあとは永泉寺の桜だけである。
スタンプラリー的にはE兎内の桜、F長沼城址の桜、H藤沼湖の桜というのが残っているが、これらは一本桜でも古木でもないので割愛だ。
しかし、今まで小さい地域にきゅっという感じであった桜の場所がここから多少離れる。
案内が今までのようにちゃんとあると思うので迷わないだろうが。
横田陣屋のすぐ前の道を西に進めと案内看板。その通りに進んで行くと、この道、農道らしくてすれ違いが困難な道だ。
すぐ左手に国道118号が見えるのだが、どうしてそっちから行かせてくれないのかな。
案の定、長沼の中心地らしい場所になって道が込み入り、案内看板も見つけられずに迷う羽目になった。
手元にはスタンプラリーの案内地図があるのだが、今一つよく分からない。
いったん国道に出てみて、さらに旧道の市街地に入り込んで、ぐるぐると回って、やっとたどり着いたのが長沼城址だった。
一応写真を撮ったが、ここの桜は遠望する桜。山がピンクに染まっている姿は、市街をウロウロしている時に見てはいたが、撮影していない。失敗。
現在位置が分かったので、ナビを広範囲にして、永泉寺を探し当てた。
ここで道案内の看板が一番必要だったのに、ちっとも機能していなかった。
桜めぐり、やっぱり苦労はつきものなのね。


 

永泉寺の桜
須賀川市指定天然記念物。
樹齢300年の枝垂れ桜。
手元の資料の10年ほど前の写真と比べると
ますます樹勢が豊かになっているようだ。
桜三百歳は、まだまだ若造らしい。
と、思っていたら、2009年から
樹勢回復工事を施しているらしい。
手を加えてあげるとしっかり桜は応えるのね。




禅の文字とのツーショットは
いかにもお寺さんの桜らしい。




花はピンクが濃い感じだ
ふっくらと密に咲いている。




ぐるっと回ってちょっと下がった位置から撮影。
青空にピンクが映える。




これが本堂と同じ高さからの撮影。
意外と大きく見えないのが不思議。




ようやく探し当てた永泉寺。
これが意外に長沼城址から距離があった。
長沼小学校が目印なのだが、そこから細いながらも自動車の通りのありそうな道なりに進むと長沼城址になってしまう。そっちに進まず、Y字に道が別れたら細いほうの右側の道を選ぶ。そこからは道なりで家並みからすっと抜け出る。
すると左側に公衆トイレのある広場がある。
そこからもう、先に見える小山の中腹あたりに巨大な桜が見えてしまう。
ここまで来れば迷うわけがない。あれが永泉寺の桜だ。
この公衆トイレのある広場の駐車スペースが立派なので、もしかしたらここが駐車場かとも思ったが、お寺まで結構遠い。それに今までの例もあるので、そのまま自動車をお寺に向けて進める。
立派なお寺で、ちゃんと専用の駐車場がありましたよ。
どでかく「禅」と書かれた石碑が立っていて、お寺自体も大きそうだ。
駐車場から階段を上って桜に近づく。
下から見上げる形で近づいていくので、空を覆うようなピンクである。
階段を上り詰めると、あ、と思う。
右側に桜。
左側に三角錐の杉でも松でもない背の高い木が立っている。
吸い寄せられるようにその木に近づくと、「コウヨウザン」という木だと書いてあった。福島県の天然記念物だそうである。推定樹齢400年。枝垂れ桜より古木だ。もともと日本にはない植物だそうで、中国の南から持ち込まれたらしい、とのこと。
珍しいもの、見れたなぁ。

  これがコウヨウザン。


  
  面白い葉っぱとその先っぽにくっついている実。


桜は、360度ぐるりと見て回れる。
道がそのようについているのだ。
多少コウヨウザンに浮気したが、そのあとはぐるっと桜を堪能した。

  
  コウヨウザンと桜の400年ツーショット。

  
桜を見終えて、自動車に乗りこむ。
しかし、ずっと気になっていたので、来る時にあった公衆トイレのある駐車場に自動車を入れてもらった。
トイレに行きたいのもあったが、ここから見る桜の写真を撮影したかったのだ。
なぜなら、ここからの桜が一番大きく見えた。
実は左欄の一番上の写真は、この公衆トイレの位置から望遠で撮影した桜である。どこからこんな風に見えるんだ、という疑問の答えだ。
おそらく、長沼スタンプラリーのパンフレットの永泉寺の枝垂れ桜の写真もこの位置からの写真だと思う。


  
こーんなに離れているのだ。山の中腹のピンクが永泉寺の桜です。

これにて長沼の桜めぐりは終了である。スタンプは5つ押したが、行った場所は7つ。どうせならみんな押しておけばよかった。
新型コロナウィルス流行中のご時世なので、他県の温泉入浴券は遠慮することにして、応募はせずに記念に持って帰った。
スタンプの絵柄は同じで場所の文字だけ違ったけど、せっかくなら違うスタンプにして、収集欲を煽ればいいのにとか思ったりして。


  
  旅の記念、スタンプ帳。

このまま帰宅する手もあるのだが、実は須賀川市にはどうしても見たい桜が1本あった。
帰り道、須賀川Cから高速道路に乗ればいいので帰りがけに寄ることができる。
さあ、最後に桜に向かおう。




 

桐陽高校の種まき桜
樹齢700年のエドヒガンザクラ。
手持ちの資料よりもさらに枝が切られ、
見るも無残な姿になってしまっている。
せっかくの樹齢700年の老木が、
あまりにも可哀そうな姿だ。



しかし、残された枝には花がしっかりと咲いていた。
樹木の生きようとする力を感じる。




ありゃ、ものすごく扁平に写ってしまった。
こんなに薄っぺらな桜じゃ
ないですよぉ。




こんな風に高校の敷地の法面に立っている。



足元には何やら石碑があるのだが、
何と書いてあるのかさえ
判別がつかなかった。




むしろ、老木なので枝が落ちる。
落下に注意してくれという看板のほうが
目だっていた。




花は枝ぶりのわりにたくさん咲いていた。



私が見たい桜は、桐陽高校の種蒔き桜という。
高校の敷地内にあるらしい。
須賀川市ではダントツに樹齢が高く、700年という。
市街地にある老木という設定は実は私的にとても好きな設定で、ずっと愛されている桜であるに決まっている。
桐陽高校は国道4号線のすぐそばにあり、4号線沿いには商業施設が並んでいる。
高校に一番近いコンビニに駐車して、コーヒーとスイーツを買って、ちょっとの間自動車を置かせてもらって桐陽高校に徒歩で向かった。
校門にズラッと桜が並んでいて、見事な並木を作っている。

  
  高校の桜並木。

あ、桜好きな学校。
それだけで種蒔き桜に期待する。
法面に沿って歩いて行くと、あれか?という太い木が見えた。
太い。
法面の斜面からにょっきりと出ている感じだ。

  
  法面からにょっきり出ている種蒔き桜。

太いが、しかし。
枝という枝が途中からぶっつりと切られてしまっている。
いや、老木だから、折れてしまったのかもしれない。
しかし、なんだか・・・
樹勢回復の措置がまったくされていないように見えた。
切られた枝の先も処理されているように見えない。
先の永泉寺の桜の回復措置以降の復活ぶりを見ると、この桜の扱いはあまりにも可哀そうに思える。
樹齢のわりに、しかも、種蒔き桜という名前まであるわりに県にも市にも天然記念部に指定されていないのは、高校の持ち物のせいなのだろうか。
このおじいちゃんにもうちょっと愛情を注いであげてよ。
がんばって咲いているじゃないの。
そばが道路でその上に覆いかぶさるような枝なのが悪いんだとは思うけど、道路のほうがおじいちゃんよりも後にできたんだから、むしろ道路のほうを避けろと、通りすがりの桜好きは思ってしまった。
時刻も夕暮れ時になり、なんだかうら悲しくなってしまった。
がんばれよ、じいちゃん。
いずれ、君を愛するこの高校の出身者が君を守ってくれる。
長く生きてきた時間は、それだけで力を持つのだ。
そう信じたい。
寒くなってきた風に襟を立てて、肩を落としてコンビニに戻る。
コンビニの隣に釈迦堂川という川が流れているのだが、この川沿いに綺麗に桜がならんでいた。若い桜の並木に、ちょっとだけ元気づけられた。
あとは、ちょっと冷めたコーヒーを飲みつつ、家に帰ろう。
お腹いっぱい桜を見た、いい桜めぐりだった。



  
  須賀川市のイベントで釈迦堂川には鯉のぼりなどがかけられるらしい。

 



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