2008年夏の福島@2008年夏の福島A、幕滝へ
大滝、長滝 





大滝
大滝は、三段の滝である。
ところが、滝下まで行くと、
2段目がほとんど見えなくなってしまう。
三段の姿を見るには、かなり下流から
右岸の斜面に登って行く
遊歩道を進む必要がある。
本文にも書いたが、
我々は見事にそれを見落とした。




上の写真を撮影した場所。
けっこう深い淵があり、これより上には
行けなかった。
距離は離れているが、
大きさ比較写真。




上の写真よりもちょっと下流から撮影。
ここまで近づいてこれ以上は
進めないか、と思いながら、
がんばって前進すると
大きさ比較写真の場所まで行ける。



さらに下流からだと、
岩盤が両側から迫って、
滝の上部分しか見えなくなってしまう。





長滝
滝っぽく写っていない。
滝というよりは、キツい斜面を流れが削った
という感じに見える
見下ろす形なので、なおさらだ。




滝と遊歩道の距離感は
こんな感じ。




遊歩道をさらに進むと、
滝の下流が見える。




滝つぼに至る最後の段は
垂直に落ちている。
滝下から見ることができたら、
また、違った印象になるかもしれないが、
沢に下るルートが無かった。


2008/9/13 大滝(落差50m)  長滝(渓流瀑)  
                            福島県喜多方市
2008年の夏は、日本中が天候が不安定だった。
ゲリラ豪雨などという、とんでもない集中豪雨があったりして、天気予報はまったくあてにならない状態だ。
我々の住む新潟付近では、週末になると雨が降るというありがたくないパターンが続き、せっかくの三連休である9月13日から15日も思わしくない予報だ。
しかも、15日に私の仕事が入ってしまって、三連休さえつぶれてしまった。
いかん、夏のなごりが残るこの季節にどこにも出かけないで終わってしまっていいものか。
おりしも、ガソリン高騰で我が家の家計は大ピンチに陥っていて、県外禁止令が発令されていたのだが、県内の天候の思わしくない連休には特例として解除されることになっている。
ここはひとつ、お天気のよさそうな県外に逃れてはどうだろうか。
県外というと目的地に至るまでの時間が長いので、歩く時間が多い登山は無理。であるとしたら、滝に的を絞って出かけようではないか。
そんなこんなで、チョイスしたのが福島県だった。
福島は隣県のわりに太平洋まで通じていて、場所によっては日本海側とは違った天候になる。
とはいえ、それほど遠くにも行けないので、どこがいいかと探した結果、旧山都町から飯豊山に登る登山口から遊歩道が伸びている滝を発見した。
大滝という。
先月、飯豊連峰の北の端っこのえぶり差岳の手前に登ったこともあり、南の端っこ付近の三国岳への登山口から行く滝を見るのもいいじゃないか。
そんなこんなで磐越自動車道に乗った。
新潟県内ではどんよりとした雲ゆきで、途中では雨が落ちる天候だ。福島県との県境まで来ると雨は本格的になり、これはマズイんじゃないか、という感じになってきた。西会津のインターではかなりの降りで、渡渉もあるという山の中の滝はちょっと危険じゃないか、と車中で話した。ここは目的地を切り替えて、もっと手軽な滝にしてはどうだろうか。もう少し太平洋側に進んだ安達太良山方面にはまだ見たことのない滝が多いのだ。
さて、どうしよう、と悩んでいるうちにトンネルをぬけると、空が一変して明るくなっていた。なーんだ、やっぱり福島は晴れるんだ。
あっさりと最初の予定どおりに大滝に行くことに決めて、会津坂下のインターで下りた。
しかし、ここでよーく考えるべきだった。
我々が向かうのは飯豊山の登山ルートである。飯豊山っていうと、むしろ西会津の雨のたくさん降っていたあたりの山の中のほうが天候的には近いんじゃなかろうか。
インターから旧山都町に向かうまではよかったのだが、一の戸川沿いの県道に入るあたりから空が暗くなってきた。やがて小雨が降りだす。
どうする、戻って安達太良の滝にするか、というあたりでは、すでにかなりの時間が経過していて、その時間のロスがもったいなかった。
とりあえず、登山口であるキャンプ場まで行ってみることにした。
だが、行ったら行ったで、ここまで来たんだから滝まで行こう、ということになってしまった。
幸い雨は小雨程度でそれ以上強い降りにはならない様子だ。
ザックにカバーをつけて、雨具を着て出発した。
    
   
キャンプ場の駐車場には雨だが20台近くの自動車がとまっていた。
  
はじめは杉の中のなだらかな道。
最初道は自動車も通れる程度のなだらかな広い道だ。やや歩いて小さな橋で川を渡ると、分岐点になる。右に行くと飯豊山への登山道。左側が大滝への遊歩道だ。この時点では左側の大滝遊歩道の道のほうが広い。
分岐点には旧山都町の天然記念物の御沢の杉と栃が並んでいた。
  
橋を渡ると、すぐに分岐。

    
   
山都町の天然記念物の栃は2本、杉は4本ある。
分岐から5分程度歩くと堰堤に突き当たる。広い道はここまで。堰堤に向かって右側に遊歩道の入り口があり、軽登山の装備が必要などと注意書きがある。
数度の渡渉があると知っていたので、我々はスパイク付き長靴を履いて来ている。
堰堤を越えると、道は極端に細くなり、踏み跡くらいになってしまった。秋の草が両側から迫って来るようだ。
そこからまた5分ほど歩くと、橋の部品みたいなものが置かれている場所に来た。道なりに進むと川にむかって道がなくなっている。ここが第一の渡渉ポイントか?
だとすると、渡渉点がどこかにあるはずなのだが、どう見ても渡れそうな場所がない。川に沈みかけた岩をジャンプして飛び石状態で向こうに行けなくもない感じだが、そんなこと、この私ができるか〜っ。
こんな場所で諦めて戻るのか?それとも、長靴の中に水を入れてでも渡るのか?
かなり長いことあっちこっちうろうろした。
しかし、結局飛び石で渡るしか無い、という結論になった。
ダンナがすぐに渡ってしまう。
問題は私なのだ。はっきり言って渡渉は大キライだ。怖いったらありゃしない。この石は大丈夫?その岩は滑らない?と足をガクガクさせながら渡って行く。最後にはダンナにストックを差し出してもらい、ひっぱってもらう形で渡った。
でーーーい、渡れたぞ。
なんと、この渡渉に楽々10分費やしている。
    
   
赤い矢印方向に遊歩道の入り口がある。堰堤の先は草ぼうぼう。
    
    
どうも橋に使うらしい金属の板が見えると渡渉点。綺麗に行き止まり。
この第一の渡渉から先がちょっとした登りになる。おそらく遊歩道の中で一番登山っぽい登りなんじゃなかろうか。途中、謎の花を発見したりして、雨のなかがんばって登る。だが、高級な雨具じゃないので、気温は低いのに汗で体が蒸れて、不快この上ない。
    
   
アケボノシュスランという小さな花は初めて見た。
第一の渡渉から15分ほど登り、もういいかげんイヤになった頃、遊歩道の案内看板が壊れかけて道端に落ちていた。ふむふむ、もうそろそろ第二の渡渉らしい。だが、看板によるとそこには橋があるらしい。そうか、橋があるなら安心だ。
そう思いながら坂を川に向かって下っていくと、橋、無いじゃーーーんっ!
なんか、アルミの板みたいなのがあるのだが、川の向こう側にある。意味ない。
第一の渡渉よりも川幅が狭いので、渡渉は楽そうに見えたのだが、その分流れが激しくてちょっと踏み出せない。
ダンナが石をジャンプして渡って、向こう側にあるアルミ板を持ち上げ、こちらがわに渡してくれた。甚だ不安定ではあるが、飛び石よりも渡りやすい。ダンナにしっかり押さえていてもらって、こわごわ渡った。
この沢の上流は小さな滝になっていて、その上流にはさらに長い滝が流れ込んでいるのが見える。
    
   
第二の渡渉点。ダンナがかけてくれたアルミの板の橋(渡ったあとに撮影)
  
この流れの上流も滝。
ここを渡りきると、ロープが垂れ下がっていて、ちょっとファイトを出さないと登れない斜面になる。が、それほど長い斜面ではなので大丈夫。
ここから10分ほど歩くと、岩に「一服岩」と書かれている岩の前を通り、そこからさらに5分歩くと、「長滝」と書かれた杭が出て来る。
遊歩道から見下ろす感じで長滝が見える。
渓流瀑というふうに写真集で紹介されていたのだが、斜度は少しあるものの、最後は岩盤から離れて滝つぼにむかって落ちているので、立派な滝なんじゃないか、と思われる滝だ。
滝を左下に見ながら下流から上流に遊歩道が続いているので、角度を変えてみられるのだが、どこからでも見下ろす感じなので、ちょっとストレスが溜まる。
そこから5分ほど歩くと、沢全体が一枚の岩になり、ミニなめ滝風になる場所がある。ここでまた渡渉が必要だ。
岩なので、普通なら乾いた場所は滑らないだろうが、この日は雨。いったいどこが滑るのか滑らないのかさっぱり分からない状態で、またしてもびくびくしながら渡渉することになった。
渡りきるとこの岩を登ることになるのだが、ロープが垂れているので使える。ただし、濡れていて汚い。いや、雨だったからだろうけど。
ここから少し歩くと、前方にものすごく細い沢状の滝がかなり上方から落ちているのが見える。え、あれが大滝?えーっ、こんなもんのために、大騒ぎして何度も渡渉したのぉ、とガックリくる。いや、そんなわけが無い。
川はゆるやかに右に曲がっていて、曲がってから上のほうを見ると、大滝の頭が見えた。わ、これは大きな滝だ。こいつを見に来たのだ、私は。
    
   
一枚岩の渡渉点。ロープもある。
    
   
とても細い滝も流れ込んでいる。右の写真に実は上に登る遊歩道が写っているが、我々は沢を遡行した。
さて、目の前に滝が見えてしまったのが我々の失敗だった。
滝が見えてしまったら滝に近づきたいのが滝○かの習性なのだ。よほど無理でない限り滝が見えて、行けそうなら行ってしまう。
実は、上の滝の頭が見えている写真に遊歩道の続きが写っているの。遊歩道はここで沢を離れて上に続いている。
だっちゅうのに、我々は滝に向かって沢をばく進してしまった。
そういえば、この遊歩道のとりつき口にペンキで印があった。でも、その印がこっちがわの河原から滝に行きなさい、という印に見えてしまった。
ああ、ニンジンをぶら下げられた馬はニンジンしか見えないのである。
そんなわけで、遊歩道って言いながらちっとも遊歩道じゃないじゃない。あの印の先には一つも印が無いじゃない。なんて文句を言いながら、渡れる場所を選んで渡り、岩をよじ登り、滝に近づいて行った。
ここまでしか行けないじゃないか?とい場所で写真を撮り、もうちょっと進めるんじゃないか、という場所で滝を撮影し。
そしてついにかなり深い壷に出て、ここまでか、ということになった。
滝は三段の滝なのだが、この位置からだと2段目がよく見えない。しかし、大滝がどんな滝なのか、事前によく調べていないもんだから、これこそがベストポイントであると信じ込んでみっちり撮影した。いや、雨だったから、そそくさ撮影した。
遊歩道のほうからだと、上から見下ろす感じで三段の滝の全貌がよく見えるらしい。とほほ。
だが、河原から滝つぼまで歩いたおかげで、いくつか花が咲いているのを見ることができた。
      
   
トリカブト、タマガワホトトギス、ウツボグサ、リンドウ。
    
   
ダイモンジソウ、薄いピンク色のツリフネは、堰堤の上流で撮影。
滝前ですでに正午を過ぎていたのだが、雨がいっこうに降り止まないし、湯を沸かして昼食にするスペースも無かったので戻って駐車場になっているキャンプ場で昼食にすることにした。
またしてもおっかなびっくりの渡渉の連続である。
ただ、行きよりもいくぶん慣れているので、行きにきゃーきゃー騒いだ場所も「怖くないもん」と強がって半分以下の時間で渡ることができた。
かなり戻って、堰堤のそばまで来たら、雨がやんだ。
堰堤のすぐ上流はやや広い河原になっているので、そこに下りて昼食にすることに。
うまい具合に食べている間だけ雨はやんでいてくれた。
昼食を終えて、キャンプ場に戻ったのは午後2時過ぎ。昼食、写真撮影を含んで、4時間ほどかかったことになる。晴れていれば、もう少し時間は短縮できたかもしれない。
今回は、滝の全貌を見ることができず、というか、見られる場所を見落としてしまい、帰って調べてみて愕然としてしまった。実はその写真集はしっかり自動車の中にあったのに、見ていなかったのである。
相変わらず後の祭りが多い我々だ。
だが、次は晴れた時に来よう、またちゃんと見ていないわけだし、という理由ができた。
いや、本当に、今度は晴れた時に、絶対に晴れた時に、来てみたいものだ。
               そのA 幕滝へ
交通
  大滝(飯豊山川入り登山口)  最寄ICは磐越自動車道会津坂下IC。インターを下りたら、国道49号線を少し会津坂下市街に向かって走り、左折で県道43号に入る。北上し、山都駅前を通り、国道459号に合流。国道を喜多方市街方面に走って行き、相川温泉の手前あたりで県道385号線へと左折する。ここからは一ノ戸川を左に見ながら進む。
民家を離れ、左側に日帰り温泉施設の「いいでのゆ」を通り過ぎると、道は極端に細くなる。
この先は、道路工事をしている。おそらくかなり長い間続けられ、飯豊山に向かう環境を整えているのだと思われる。これから先もずっと工事は続くのではなかろうか。
平日などは通行止めの時間帯があると思うので、充分に下調べしてから行くほうがよい。
あとは道は1本なので迷わないはずなのだが、途中、川入の民宿が並んでいる場所で、いったいどれが道でどれが民宿の庭に入る私道なのか分からなくなる場所がある。
まず、川入の民宿場に入る前に、工事中の道路を左に曲がる。この曲がる場所に道の路面に飯豊山と大きく書かれているので、そちらがわに曲がるのはたぶん間違えないと思う。
我々の時は、真っ直ぐ行くのは工事中でバリケードがあったので進めなかった。いやおうなく左折したら、ややこしい民宿場だった。
とにかく、これが道なんじゃないか、というものすごく細い家と家の間の道を通り抜けると正面に川が出てくる。
この川を右手に見ながら進むことになるが、果たして道があるんだろうか、というくらい細い。
だが、それが道なのだ。
ちゃんと進んで行くと道らしくなるので心配はない。
ただし、すれ違いは難しい。
ここからしばらく走ると、御沢キャンプ場の広い駐車場になる。
そこに駐車。
大滝遊歩道は、飯豊山への登山口と同じ方向に進み、少し歩いた分岐で飯豊山の登山道と分かれて左側に進む。
大きな渡渉は2箇所。秋の水の少ない季節で長靴と飛び石でやっと渡れるくらいだ。
増水時期、もしくは、大雨で増水が見込まれる時は行くのをひかえたほうがよい。
小さな渡渉はたくさんある。
案内板で分岐点から少し行った堰堤から大滝までは1時間半、とあった。我々も雨天で花などの撮影もしていないので、1時間半で行っている。
一枚岩の渡渉点を渡った先に白いペンキで丸印があり、そこから川を離れて上に登るのが遊歩道である。
我々はそれを勘違いして川を遡行している。
ま、それでも滝下には行けるが、なんども渡渉する必要がある。そのうえ、滝が三段であるのがよくわからない。
渡渉があるので、長靴は必携。さらに、若干ではあるがロープもあるので、手袋はあったほうがいいだろう。
ちなみに、「いいでのゆ」から御沢キャンプ場までの道は工事中で、我々が帰ろうとその道を走っていると、「土砂崩れがあって今は通れない」とストップをかけられた。「ユンボで片付けているから」
え、片付けている?ど、土砂崩れ?
見ると、工事している斜面の一部が崩れて道をふさぐくらい土砂が流れていた。
それを手際よくユンボで片付けている。あららら、まるでホウキをもった人が落ち葉を掃くように道の下に落としていく。大きな岩なんかも楽々片付ける。
あっという間に通れるようにしてくれた。
  

すごいなーと思いながら見ていたのだが、我々の時はちょうど工事の人がいて、ちょうどユンボが作業中だったからよかったものの、そうでなかったら足止めを喰らっていたところだ。
いや、それどころか、土砂崩れそのものに巻き込まれていた可能性もある。
なかなか怖い道である。
ついでながら、この工事中の道の途中に湧き水が汲める場所があって、しっかりそこで湧き水を汲んだ。これが飯豊のおみやげである。
  

帰りに「いいでのゆ」に立ち寄り、源泉の気持ちいいお湯で雨で冷えた体を温めた。(温泉のレポはこちら

2008年夏の福島そのA幕滝へ
2008年夏の福島そのB白糸の滝へ

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