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幕滝 





幕滝
谷の一番奥まった場所に
白い流れが分岐して落ちている。
実に清々しく、美しい滝だ。



全体の感じはこんな感じ。
岩盤のあちこちから伏流した水が流れ出る。
どこを向いても湧き水の幕だ。
滝の右下に滝見台が見えてしまうのが、
ちょっと邪魔といえば邪魔。



やや下流の岩の上から撮影。
滝そのものを撮影するのは、
この位置が一番かも。



大きさ比較。
赤丸の中にダンナが立っている。
とはいえ、滝つぼや滝見台よりも
少し手前なので、
参考程度。



落ち口。


滝つぼ。
この水の美しさったら。
深そうだが、底のほうまで見通せる。



分岐部分。
この滝の美しさのポイントだ。



最初の滝つぼからもう一段下に落ちる。
これがまた、綺麗な水をさらに
綺麗に見せてくれる。



伏流した水が落ちる部分。
この湧き水の滝が、
実は幕滝の一番の見所だと思う。



滝見台から見た滝。
けっこう近づくことができる。
だが、近づきすぎたら滝全体は
写真撮影はできない。



滝の手前の岩に
こんもりとダイモンジソウ。



これ、ダイモンジソウですよ。


終わりかかっていたが、
ウメバチソウもチラホラ。









遊歩道には秋の花が咲いていた。
2008/9/14 幕滝 (落差24m)  福島県福島市
問題は、昨日が雨だった、ということだった。
連休の初日が雨で、それでも往生際悪く雨の中歩いて滝を見てきた。
だが、雨だったために、草花もそれほど撮影しなかったし、蝶に至ってはほぽゼロだった。
ああ、青空が見たい。青い空に白い滝。色とりどりの花と蝶。
そんな光景を夏以降、見ていない。
そうこうして、9月14日の日曜日、なんと起きたら晴れていた。
天気予報ものきなみ晴れマークが出ている。
この機会を逃したら、もしかしたら今年は二度と青空と滝という図を見られないかもしれない。
妙な強迫観念があった。
本当は出かけるつもりは全くなかったので、朝起きたのも遅い時間である。でかけるにしてもどこに行くかも決めていない。
えーい、面倒くさい、昨日大滝に行かないのであればそっちに変更するつもりになっていた磐梯吾妻スカイラインの近くの幕滝にしてしまえ。
よし、今からなら高速道路の割引の時間に間に合う。
ザックにとにかく手当たり次第つめこんで、昨日の雨で濡れたので干しておいた雨具もたたまずに突っ込んで、大慌てで自動車に飛び乗った。
ところが、なんと高速道路に乗ったとたんに雨になった。
おいおいおいおい、さっきまで晴れてたじゃないか〜っ。
しかし、高速に乗ってしまったらもったいなくて下りる気になれない。きっと福島は晴れている、そう信じて自動車を走らせた。
信じてよかった。雨は新潟県までで、福島にみごとに晴れ上がっていた。青空だ、青空だ。
しかし、前方に見える磐梯山は頂上付近に雲がかかっていてよく見えない。我々が向かう安達太良山は・・・なんだかドロドロとした黒い雲の中だぞ。
猪苗代磐梯高原ICで高速を下りて、国道115号で磐梯吾妻スカイラインを目指す。ただし、スカイラインには入らない。その入り口を通り過ぎてすぐに左折する幕川温泉への林道に入った。
このあたりで、だんだんと雲行きがおかしくなってきた。
霧というか、雲というか、あたりを覆いはじめたのである。安達太良山を包んでいたあのドロドロした黒い雲の中に入ってしまったようだ。雲の中でなければ下界が見下ろせるすばらしい眺望のはずなのに、なんだか暗いし寒い。
雨こそ降っていないが、これでは青空は無理である。
かなり長い時間林道を走って、ようやく左側に幕滝遊歩道の駐車場が見えた。案内看板があるのですぐにわかる。
  
駐車場。
その看板を見ると、この先に旅館があって、旅館の脇から遊歩道になっているらしい。
暗いし寒いが、行かないわけにはいかない。
滝前で昼食をとるつもりでザックを背負い、万全の仕度で出発。ただ、20分程度の行程ということで、ストックは持っていかなかった。
確かに、駐車場を出て、道を進むとすぐに旅館になった。正面が水戸屋、右側が吉倉屋、で、幕滝遊歩道はその間を行くことになる。水戸屋の横、吉倉屋の裏、といった感じだ。
  
正面が水戸屋。赤い矢印が遊歩道。

  
黄色い吉倉屋の看板の脇が入り口。

    
  
水戸屋の脇、吉倉屋の裏を行き、矢印の通りに林の中に。
    
  
丁寧な案内どおりに進み、林の中に。
いちいち案内の矢印があるので、道が分岐していても間違うことはない。
旅館の裏手から林の中に入っていくと、道はゆるやかな下りになる。左手から温泉のような茶色い沢が流れ落ちているのが見え、すぐにそこを橋で渡る。
    
  
左手から赤茶色の川。橋を渡る。
さらに道は下りになり、意外と足場が悪いのだと分かる。この時点でストックを持ってこなかったことを後悔している。遊歩道とはいえ、登山道くらいに思ったほうがいい下りである。
ついでに、薮蚊が多くて、チクンとしたかと思ったらもう痒くなっている。お外で使うファンの回る虫除けを持っていたのだが、ちっとも効かないくらい薮蚊だらけだ。
茶色い沢を渡って5分ほどで、今度は綺麗な水の沢を渡る。
    
  
どんどんと下り、幕川の橋を渡る。
この橋を渡ると、なんだかものすごく硫黄臭くなる。岩の下から蒸気のようなものがのぼっていて、その臭いだとわかる。看板が出ていて、いわく、「気象条件等により蒸気が噴出することがあるのでご注意ください」。なんか、毒なんだろうか。
ここから少し登り、短いピッチで橋が出現する。幕滝のかかる幕川を右に左に渡っている感じだ。
    

    
  
右に左にと橋を渡って幕川を上流に向かう。
  
川には、細い滝も流れ込んでいる。
とても綺麗な水の沢で、すくって飲めるんじゃないかと思うくらいだ。ときおり滝状の流れが岩肌から流れ込んでいたりする。
いくつか橋を渡ると、深い淵のような場所に出た。岩盤にびっしり白い花が咲いている。何かと思ったらダイモンジソウだ。綺麗な水に白い花が清楚である。
その淵を右に見ながら、下がスケスケに見える網目状の橋を渡る。沢の向こう側には温泉っぽい滝が落ちている。
その滝を横に見て通過して、最後の滝見橋を渡ると前方に幕滝が現れた。
  
とても綺麗な淵と、岩盤にダイモンジソウ。

    
  
下がスケスケで怖い橋と、すぐそばの滝状の流れ。
    
  
滝見橋を渡ると、すぐに幕滝が見える。
おお、なんともいえず美しい滝だ。
綺麗に分岐した下段も素晴らしいが、それよりも何よりも滝の周りの岩盤から滴り落ちている湧水が素晴らしい。
そうか、幕滝は湧水の滝を従えた滝だったんだ。
だから、この幕川はこれほどまでに澄んだ水だったんだ。
滝のすぐ前まで遊歩道は伸びていて、滝のまん前に滝見台がある。これがかなり景観的にはよろしくないのだが、滝は間近に見ることができる。
ただ、どうだろう、ここまで近寄って見る必要もない気がするのだが。
それに、この滝見台まで行くのにけっこう滑る岩場を通る必要がある。むしろ無くてもいい滝見台という気がする。
滝見台よりは下流の岩の上のほうが滝全体の写真を撮影するのにちょうどよく、三脚をしつらえて撮影している女性2人組みがいた。
我々は邪魔にならないように滝を堪能し、彼女らが去ったあとにその岩から撮影したりした。
特記すべきは、この季節は幕滝はダイモンジソウに彩られる、ということだ。
滝の手前に小さな岩があり、その岩がこんもりとダイモンジソウで化粧していたりする。もう数日前であれば、もしかしたらウメバチソウもたくさん見られたかもしれない。
そうか、気にはしていなかったが、この滝自体、標高が1300メートルという高い位置にあるのである。高山性の植物があってもおかしくないのだ。
さて、滝前で昼食にするつもりだっだか、滝前は岩場で食事できるような場所はない。それにどうも観光地っぽい様子もあって、手軽な格好をした人たちが三々五々滝を見に来る。ここでお湯を沸かしてカップラーメン、というわけにもいかないだろう。
どこか下流の河原あたりで食べよう、ということになり、下り始めた。
途中、蒸気が噴出しているので注意してください、と書かれてあった硫黄臭い場所から、橋を渡らずに川の下流に向かう道があった。どこに続いているのやらわからないが、幕滝の遊歩道ではないから観光客は来ないだろう。河原に出られる場所もあるかもしれないし。
歩いて行くと、思ったとおり、幕川の岩場まで道は下りていた。ちょうどよく昼食が食べられそうな場所があったので、そこでお湯を沸かす。
道はまだ下流のほうまでずっと続いているようだ。いったいどこから出発している道なんだろう。
お湯が沸いて、カップラーメンに入れたところで、下流からキーンキーンという不思議な音がした。何だろうと思っているうちに、その音は近づいて来て、やがて長い竿を持った釣り人が現れた。キーンキーンというのは熊鈴の音だったのだ。
釣り人は仙人のようにキーンという音とともに現れて
「雨が降りそうだよ」
と言った。
ダンナも「降りそうですね」と返した。
仙人はそのままキーンという音とともに上流、つまり幕滝遊歩道のほうへ去って行った。
去って何秒もたっていなかった。
ぽつ、ぽつ、と雨が降り出したのである。しかも、大粒。直径2センチはあろうかというほどの大粒の雨が最初は間隔をおいて、しまいにバラパラバラっと降り出した。
きゃー。マズイ。
幸いにもザックには昨日着た雨具をグチャグチャに入れている。それを慌てて羽織る。ザーーーーッ。きゃー、土砂降り。
さっきまで敷いていたビニールシートをかぶり、荷物には予め持っていた撥水性の布をかぶせ、それでもカップラーメンは3分以上たっているもんだから、きゃーきゃー言いながらビニールシートの下で食べた。
コーヒーも入れていたのだが、直径2センチの雨粒が入るたびにコーヒーがビチャビチャと外に飛び出るほどひどいのだ。
とにかくきゃーきゃー言いながらラーメンを食べ終わると、なんとなく小降りになってきた。
昨日はごはんを食べている間だけ雨はやんでいてくれたが、今日はごはんの間だけ土砂降りになってくれた。
雨水で薄まったコーヒーを意地で飲んで、なんだかもう笑うしかなかった。
ただ、用意はよかったので、全身濡れねずみになることが無かったのが救いである。
ホントにもう、アウトドアは何があるかわからない。
そういえば、我々がわき道にそれる直前に滝に向かって短パンにサンダルで楽しそうに歩いていった女の子3人組みは雨にあたったんだろうなぁ。いかに観光遊歩道とはいえ、何があるか本当にわからないものである。
帰り道、びしょびしょの雨具で歩いていると、ものすごく気楽な格好をした観光らしい親子とすれ違った。なんか、私たちってものすごく場違い。えーい、気楽に思ってここに来た人たちは薮蚊にくわれてしまえ。
駐車場に戻る頃にはすっかり雨もやんでいた。
我々が仕度をほどいていると、自動車が1台止まり、滝までの道は大変かと聞いた。20分ほどの道のりだが、登山道くらいの覚悟がいります、と答えた。もう一人、もう駐車していた人が、自動車で行けるつもりでいたらしく、歩くんですか、と訊いてきた。自動車では行けません。
しっかり看板に書いてあるから、よく読んで行くように。
それにしても、知識も経験も全くない人たちが山奥の滝に行くようになってきた。
どんな危険があるやもしれないので、遊歩道の入り口あたりには注意を喚起する看板等は必ず必要だな、と思う。
また、滝を見に行くには、ある程度の予備知識を仕入れておいて欲しい。人のことは言えないんだけどさ、我々も。
それにしても、あの釣り人、本当に仙人だったのかもしれない。

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交通
  幕滝  最寄ICは磐越自動車道猪苗代磐梯高原IC。国道115号に出てひたすら北上。母成グリーンラインの入り口を右に通り過ぎ、磐梯吾妻レークラインへの道県道70号を左に通り過ぎ、とにかく進むと、立体交差でちょっとややこしいが、県道30号に下りる道になる。磐梯吾妻スカイラインの案内があるので、それに従って進むようにする。
県道30号に入り、横向温泉を通り過ぎて標高をどんどん上げて行くと、磐梯吾妻スカイラインの入り口が左側に見える。
ここは、スカイラインには入らずにそのまま直進。直進してすぐに左側に林道がある。幕川温泉の案内がある。
ここからはすれ違いの困難な林道なので注意して進むように。
思ったよりも長い間林道を走ると、やがて道の左側に自動車5、6台駐車できそうなスペースが出て来る。下のような案内看板があり、幕滝遊歩道駐車場とあるので、温泉目当てでなくて滝目当ての場合はここに駐車しよう。

ここから遊歩道入り口である幕滝の旅館二軒はほんの1分も歩かない。
遊歩道は二軒の旅館の間にある。そこから登山道的な遊歩道を前半下って行き、後半はいくつか橋を渡りながら少し登る感じである。
遊歩道とはいえ、足回りはきっちりしたほうがいいだろう。
夏場は蚊が多いので、虫除け対策などしたほうがよい。

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