んがお工房の桜めぐり
2009年群馬の桜めぐり@
2009年4月5日(日) 2009年の春は、早いんじゃないか、と誰もが予想していた。現に関東地方の桜の咲き始めはかなり早く、3月の終わりには満開になっていた。ところが、満開になってからが長かった。というのも、寒の戻りがあって、気温が下がったのだ。いつまでもいつまでも、お花見ができる状態だったらしい。 ところが、我々の住む新潟では、その寒の戻りのせいで、開花が昨年並みまで遅くなってしまった。いや、昨年も暖冬だったので、平年よりは早いのだが、今年はさらに少雪だったのでもっと早いんじゃないかと予想されていたのだ。 結局、あけてみれば、昨年と同じくらいの桜の見ごろになった。 つまり、4月5日は地元の桜が綺麗に咲きそろっていたのである。 しかし、惜しいかな、新潟県には1本桜の名木が少ない。地元の満開の桜を後ろに、我々は他県に目を向けていた。 数日前からどこにしようかと、一番いい時期の桜を探していて、前々から見たかった桜が満開になりそうな情報を見つけた。 群馬県安中市の細野の彼岸桜。 桜のムックの本の片隅に小さな写真で載っていた細野の彼岸桜は、とても濃いピンク色で、1度でいいから実物を見てみたいものだとずっと思っていたのだ。それが満開。 おりしも、高速道路のETC割引で乗り放題1000円が始まっていた。これを使わない手はない。 さらに、群馬にお住まいのだんべえさんから「オキナグサ」という可愛らしい花が咲いているということを聞いて、これは行ってみなくちゃと決意した。だんべえさんにその場所を聞くと、案内してくださるという。 願ってもない申し出に有難く乗っかって、日曜の朝、ETCカードを入れた自動車で高速道路に乗った。 |
白石稲荷山古墳の桜 桜の種類は不明。 100年以上はたっている古木という気がした。 ちょうど古墳の頂上に数本が固まっている。 古墳の花かんざしといった風情だ。 丘の大きさはこれくらい。 写真の左手にゴルフ練習場のフェンスがある。 |
だんべえさんと道の駅ららん藤岡で10時に待ち合わせ。合流して、自動車の停めやすい場所に移動して、ご好意でだんべえさんの自動車で案内していただくことになった。 実は、関越自動車道に乗っている間、かなり本格的な雨が降っていたので、群馬の空模様が心配だった。ただ、冬型の気圧配置、ということは、関越トンネルをぬけると晴れているパターンである。それを信じていたの。が、群馬は雨は降っていないが、うっすらと雲っているような空模様だった。 桜に青空が欲しいところだが、雨が降っていないだけありがたい。 だんべえさんがまず案内してくれたのは、だんべえさんが子供の頃によく遊んでいたという白石稲荷山古墳だった。 道路の脇のゴルフ練習場の後ろ側にこんもりと丘があって、その上に数本の桜がピンクのもりあがりを見せている。 足元にある紫は何だろう。何かの花が咲いている。 道路脇のちょっとしたスペースに自動車をとめて、丘の上に登って行った。 桜はまだ満開にはなっていずに、これからといった状況だ。 紫の花は、ハナダイコンというのだそうだ。 だが、古墳のこんもりとした緑と、ハナダイコンの紫、そして桜のピンク、これがなんとも言えず風情があっていい。 ああ、これで空が青かったらなぁ。 ちなみに、白石稲荷山古墳は、五世紀前半に作られた豪族の古墳だそうで、自然地形を利用した前方後円墳。 とりたてて何があるでもなく、ただ丘であるだけで、頂上に説明の看板と石碑があった。 恥ずかしいことに、私は群馬県に古墳があるなんて全く知らなかったし、前方後円墳は京都や奈良のもんだろ〜と思っていたので、かなり感動した。しかも、柵で囲われているでもなく、普通のただの丘で、この季節だけ花かんざしをつけるのだ。 ちょっぴり群馬を見る目が変わった。 |
七輿山古墳の桜 駐車場の反対側の桜。 この下には実はブルーシートが 広げられて宴会中(笑) 降るような桜花だ。 桜の木はかなりたくさんある。 古墳に桜は定番なのかしらん。 こちらは、駐車場近くの桜。 数種類の桜があるらしい。 |
すっかりだんべえさんにお任せで次の場所に連れて行ってもらう。 白石稲荷山古墳から数分で、なんだか公園のような場所に来た。 駐車場の向こうには広々とした緑が広がり、立派なトイレもある。 七輿山古墳というらしい。 白石稲荷山古墳よりもかなり大きく、丘というより小山だ。樹木が繁っていて、その中に桜もある。 手前の芝生の広場には家族連れが敷物を敷いてお花見をしていた。 駐車場から左手に回り込んで古墳の入り口に来る。案内看板がこの古墳は6世紀の前方後円墳としては東日本最大級であると説明していた。 簡単なゲートのような門を通過するとすぐに、ちょっと引いてしまう光景が目に飛び込んだ。 ずらりと並んだお地蔵さんあるのだが、その全てが首が無いのである。 しかも、ちょうど椿の季節でもあるので、赤い花がぼたぼたと周辺に落ちている。 どうしてこんなことになったのか、説明するものは全くなかった。だんべえさんによると、ずっと前からそうだったそうだ。 ちょっと怖い光景をあとにして、古墳を登って行く。ちょうど駐車場とは反対側になるがわに斜面を覆うように桜が咲いていた。 枝垂桜ではないのだが、斜面にそって枝を伸ばしているので、花が目の高さにある。なかなか見事だ。 前方後円墳の前方の方が桜がたくさんあって、小山を登りながら桜の下を歩くことができる。 さすがにお墓だからなのか、前方後円墳そのものにはシートを広げる花見客はいなかったが、その周辺には数組みがお花見をしていた。 ぼんぼりやカラオケなんかの賑やかなお花見風景ではないが、花を愛でる和やかなお花見である。 古墳をぐるりとまわって、トイレの隣の展示室でパンフレットをもらって、次の目的地へ自動車を進めた。 |
続いては、自動車で491メートルの山頂まで行ける牛伏山に連れて行ってもらった。 山頂の展望台には、お城のような建物があり、桜が咲くとなかなかのマッチングらしい。 が、さすがに山。麓では桜がいい具合に咲いていたのに、だんだんと咲いている数が減っていき、五合目あたりですっかり蕾になってしまった。 山頂ではもちろん咲いていない。 ちょっぴり残念な結果になったが、藤岡市を上から眺められたので、それはそれで満足。 それほど長居せずに今度はオキナグサを見るために神成山に向かう。 神成山のレポは、別項目でどうぞ。 |
細野の彼岸桜 樹齢500年以上の江戸彼岸。 彼岸桜だけあって、ソメイヨシノがまだ蕾なのに 見事咲き誇っていた。 けっこうピンクが濃い。 こちらは、畑から見た図。 妙義山を背景にできるのだが、 鉄塔がたくさんあって、少し無粋。 これが全体像。 背後の竹のほうが背が低いのが分かる。 とにかく堂々とした桜だ。 ややねじれた感じの幹。 後ろに椿の木があり、花をつけている。 |
ちょっとした軽登山で昼食もすませ、かわいいオキナグサを見たあと、今度は我々が見たいと望んだ細野の彼岸桜に行ってみることにした。 あらかじめ、安中市のホームページで場所を調べておいて、指定された駐車場に自動車を入れる。 県道から細野の彼岸桜までは、とても細い農道を通るので、自動車では侵入しないほうがいいとかかれていたのだ。 徒歩で10分とあるので、危ない道なら入り込まないほうが無難である。 しかし、細野ふるさとセンターの駐車スペースからは、桜らしいものはまったく見えず、ここに大きな桜があることさえ信じられない静かな場所だった。 のどかな道を歩き、駐在所の脇の農道に入って行く。畑が広がる、本当にのどかな風景だ。 少し歩くと、遠くにピンクの塊が見えた。 おお、あれが、目指す彼岸桜か。 山並みを背景にイヤでも目立つ。が、道路からは離れているので、知らなければ近くに住んでいても見ることのない桜だろう。 農道の入り口には小さな看板がある。細野郵便局やJAの向かいの駐在所のすぐそばだ。 赤い矢印の下に桜。周りは畑だ。 近づくとこんな感じに見える。 たしかに農道は細いが、けっこう自動車が入り込んでいた。農作業の人が使うらしい畑の脇のわずかな駐車スペースに数台突っ込んでいる。でも、まあ、すれ違いが困難だし、農作業の邪魔になるなら、やっぱりふるさとセンターに駐車するのが無難だろう。さて、農道からだと桜はやや遠い。 矢印があり、桜に近づく細い道がついている。 桜へは、畑の間を少し下る感じだ。 行き着くと、杉に片面が囲われたくぼ地のような場所に、威風堂々と桜の古木は立っていた。 これは、見事だ。 うねるような黒々とした幹と枝、それを優しく覆うピンクの花々。 杉と、竹がまるで従者のように桜の下に並んでいる。 畑から一段下がっているので、なんとなく薄暗いのだが、花の咲いている上のほうは日が当たっていて、そこだけ明るく感じた。 くぼ地と言っても、けっこう広い広場なので、あちこち動き回って桜を撮影することができる。 すごい、すごいといいながら何枚も写真を撮影した。 |
行田の彼岸桜 おくなだ、と読む。ぎょうだではない。 樹齢400年の彼岸桜。 案内などは無く、道から少し奥まった場所に あるために、よく探さないと分からない。 生活のための細い道が 桜をぐるりと回れるようについている。 裏側へは坂を下っていく感じだ。 そのため、見上げることになる。 幹は空洞化している。 どこに生命のつながりがあるのかと 思うくらいに、薄く乾いて見える。 しかし、花は濃いピンクだ。 もっと旺盛に咲く姿が見たいものだ。 |
同じ安中市にもう一つ桜の古木がある。と、HPで紹介されていたので、そちらのほうにも行ってみることにした。 地理に明るいだんべえさんがサクサクと運転してくださって、近くまで行く。だが、はっきりした場所がわからないので、そのあたりで徐行していると、あったあった、道から空き地一つ隔てた向こう側にそれとおぼしき桜がある。 実は、その桜ではなくて、空き地に咲いている枝垂桜に目が行っていたのだが、行田の彼岸桜は枝垂ではないことが分かっていた。 綺麗な枝垂桜、と思って見てみたら、そのずっと向こう側に明らかに古木である桜が立っていたのである。 これが最初に目に止まった枝垂桜。道とは反対側、行田の彼岸桜がわから撮影している。 ものすごく細い民家と民家の間のような道を通らなければ桜の前にはいけないので、空き地に駐車させていただくことにした。 民家という民家の飼い犬に吠えられながら桜に近づく。 さすがに、細野の彼岸桜のあとではやや見劣りがした。 というのも、木そのものに勢いが無かった。昔は横に張り出していたらしい枝はもう無く、それを支えていた支柱だけが無用に立っていた。 花のつきも悪く、おそらく満開のなだが、ボリュームを感じることができなかった。 ただ、西日を浴びていたということもあるのか、花の色はかなり濃いピンクで、古い幹の黒さをひきたてている。 その幹は、根元で空洞化して、よくぞまだ花を咲かせている、と感心させられるほど痛々しかった。しかも、何か植物が生えているし。 この木はぜひともきちんとした樹医さんに診て、きちんとした処理をして欲しいなと思った。そうしたなら、きっとたくさん花をつけて、見事な濃いピンクの塊になるのだろうのに。 木の根元にちん、と並んでたっている祠も、きっとそう願っているだろう。 |
そろそろ日没も近づいて来たが、午前中に見た桜が気になった。 というのも、朝はまだ空が青くなく、桜もよく開いていなかった。日中の暖かさで、もう少し開花が進んだかもしれない。 どうせ帰りがけなので、ということで、白石稲荷山古墳に立ち寄ることにした。 |
再び 白石稲荷山古墳の桜 左端に月があるのが、わかりますか? 桜の向こうに白い月。 |
ほぼ日没で、ゴルフ練習場がわから見上げると、桜はシルエットになった。 人間の目で見ると、青いそらに淡いピンクの桜がとても綺麗なのだが、カメラの目では暗いらしい。 古墳を下からぐるりとまわって、桜たちを撮影した。 風が強く、我々を追い立てるようにも感じた。 桜を撮影するために、数人の人がいたが、風がすごくて長くとどまれない感じだった。 明るさを落とそうとしている空に月が昇っていた。 ゴルフ練習場も明かりを落とす頃になったら、今度は月が桜を照らすのだろう。 それはきっと、古墳がまだ古くなかった時代と同じ光景なんだろうなぁ。 そんなこんなで、すっかりだんべえさんにお世話になりっぱなして、藤岡市と安中市の桜をざっと見て一日を過ごした。 本当に不勉強だったのだが、妙義のあたりには枝垂桜が多い。今回はまだ早い時期だったので、そちらには行かなかったが、来年あたりは、枝垂桜に標準を当てて巡ってみてもいいかもしれない。 そうか、桜というと福島と長野、とばかり思っていたが、群馬もなかなか素晴らしいものがある。 これはといもいい発見になった。 帰りには道の駅ららん藤岡に戻り、地元の名産品の売り場でネギと「やよいひめ」という群馬のいちごを買ってなんだか豊かな気分になって帰宅しましたとさ。 白石稲荷山古墳、七輿山古墳については、藤岡市観光ガイド 細野の彼岸桜、行田の彼岸桜については、安中市のホームページ で場所を確認してください。 |