んがお工房の桜めぐり


2009年群馬の桜めぐりA

2009年4月19日(日) 
2009年桜めぐりの三週目である。
実は前日にバス旅行で三春滝桜を見に行った私は渋滞にハマって自動車酔いし、ほぼゾンビと化して夜9時頃帰宅した。
翌日の日曜日の体調次第ではこの週の桜は諦めるかという状況だったのだが、一晩寝て復活。この日の予定のすべてをダンナに任せていたので、行けるか?行けますの呼吸で出発することになった。
今週は群馬である。
群馬でも標高の高い地方である沼田市郊外だ。
沼田市には御所桜という有名桜があるが、市内の桜のためそっちはもう終わってしまっている。
我々が目指すのは、玉原高原の少し手前にある発知という地区にある桜だ。
今回もETC割引の1000円の恩恵を受けて、関越自動車道を利用した。



山妻有の桜
市指定天然記念物のエドヒガン。
HPによれば、樹齢は200年くらい。
だが、戦国時代の桜との説もある。


太い幹はぽっかり空洞化しているが、
その真ん中に丸い石が置かれている。



赤い派手な屋根のある社が
桜に妙に似合っている。



幹が空洞化しているわりに、
花はびっしりとついていて、
豊かに咲いていた。
沼田市のHPによると、御所桜は終わってしまっているものの、まだ見ごろである市内の桜はいくつかある。
発知の桜に行く前に、まずそちらに行ってみることにした。
沼田市といえば滝好きはまず「吹割の滝」を思い出す。日本の滝百選にも選ばれている滝で、沼田に行ったらご挨拶しないわけにはいかない。(滝のレポは、こちら
幸いなことに、その吹割の滝のそばにも1本桜があった。
山妻有の桜という。
HPの実に丁寧な道案内の通りに、吹割の滝の手前の信号で左折する。右折して橋を渡るなり、道がかなり細くなって心配になったが、もうそろそろじゃないかという場所にしっかりと「山妻有の桜」と手書きの看板と矢印が出ていた。
その看板の通りに右に入る。
これまたかなり細い道だ。
細い道もほぼどん詰まりのあたりに利根コミュニティーセンターという建物が左手にあり、その向かい側に数台の駐車スペースがあった。
  
さらに奥にゲートボール場ほどの広さの小さなグラウンドがあり、桜の季節にはそこにも駐車できるようである。地元の人のそっちに入れていいよ、との仕草に、我々はグラウンドがわに駐車した。
そこからほんの数メートルで山妻有の桜である。
意外にも次から次に5,6人と見学者が来て、桜の前に人がいなくなることがない。それほど有名なのかしらん?
桜のそばまで行ってみると、古い商店街みたいな街灯と、真っ赤な社の屋根と燈籠とで、なんだか妙にレトロな感じがした。
  
今まさに満開で、どっしりとした幹からすぐに何本にも枝わかれしてこんもりと広がっている。
桜を通り過ぎてみると、それまで込み入った住宅街という印象だったのが、いきなりのどかな田園風景になった。
桜の裏手は田んぼか畑で、少し向こう側の山までずっと緑が広がっている。
さらに、桜のある道を奥に進んで行くと、ものすごく見事な茅葺屋根の民家があったりする。
桜の前の雰囲気といい、この裏手の雰囲気といい、タイムスリップしたような気分になるのだ。
桜は回り込んで裏手から撮影することもできるし、横がわから山を背景にすることもできる。
近づいてみれば、空洞化した幹の中心に丸々と磨かれた石がデンと置かれていて、これもまた不思議な感じだ。
桜を見学している人が樹齢800年だってさ、と言っていたが、市のHPの資料では樹齢は200年になっている。
家に帰った調べてみたら、戦国武将新田義貞の三男の妻子がこの地に滞在した時の形見という伝説が残っているそうで、だとしたら1300年代に植えられた桜ということになる。であるとしたら、樹齢700年以上ということになる。
どっちの樹齢でも、長い歴史を見てきた桜であることには変わりない。
それが今も豊かに咲き誇っていることを喜ぼう。




上古語父の枝垂桜
樹齢150年くらいとHPに紹介されていた。
満開時なら、もう少しふっくらとしていたかも。
期待して行くと、ちょっと残念かも。
発知地区に行く前に、もう一つ今が見ごろの桜があった。
上古国父の枝垂桜。
これもまた沼田市のHPの詳しい案内記述に従って、国道120号の上古語父の交差点を北上する形で曲がる。3つ目の十字路を右折50メートルとある。うーむ、細かい。しかし、道も細い。どの程度の道を十字路とカウントするのかわからない。
とにかく進んで桜の花のピンクを探した。
すると、3つ目の十字路というのは、かなり広い十字路で、むしろ一番最初に止まれの標識が出てきた広い道との交差点、と書かれていたほうが分かりやすいかもしれない。
ぜったいこれに間違いないという樹高の高い桜の木があった。民家の庭にある木である。
が、しかし、それではなかった。目をちょっと先に移すと、しっかりと名まえの書いた杭が打たれている枝垂桜があった。
あらららら、小さい。
思っていたよりかなり小さな枝垂桜だった。
しかも、すでに満開を過ぎて葉っぱが出てきてしまっている。満開すぎた枝垂桜はみすばらしい。
3つ目の十字路を右折して右側の床屋さんの前だ。まるで床屋さんの庭木みたいな感じで立っている。杭には、「上古の枝垂桜」とある。
自動車を道端にとめて撮影していると、近所のおばさんが「桜の写真ですか」と訪ねてきた。そうだと答えると、向こうの池のそばの木にたくさんカメラマンがいたよ、と教えてくれた。向こうの池ってどこ?
ちょっと興味はあったが、深追いせずにその場を立ち去った。

あとは、本日のメインイベントである発知の桜、上発知の桜を訪ねるだけである。ナビに住所を入れて案内してもらった。
が、もうすでに正午を回っていて、どこかで昼食にしたかった。
どこでもいいので、カップラーメンがすすれる場所はないもんだろうか。
と、走っていると、あれ?ここは見覚えある場所だ、とダンナが言った。ここは、兜滝の近くじゃないか?
私にはまったく見覚えが無かったのだが、ダンナの記憶は確かだった。
昨年の1月に滝初めでやって来た兜滝のごく近くの県道を走っていたのである。
兜滝なら、入り口にあずまやがあって、昼食にはうってつけだ。
と、いうことで、そこまで行って、ただお昼をいただくためだけに兜滝を訪問した。滝つぼまで下りずに上から見下ろす。

つつがなく胃袋も満たされ、玉原高原方面に自動車を進めることができた。





発知の彼岸桜
県指定天然記念物。
樹齢約500年。
小高い塚の上に立っているうえに、
桜自体もこんもりと高いので、
とてもよく目立つ。


塚の麓から先には登れない。
そのため、花のアップも無い。
それにしても、本当に豊かに咲いている。


ズームで幹の根元を撮影。
コケかと思ったら蔦がからまっていた。
古い石の祠も傍らにある。
県道266号を玉原高原に向かって自動車を走らせる。
実際のところ発知の桜の正確な場所は分からなかったのだが、発知新田という交差点あたりに来たら、道路標識という感じでデカデカと案内が出ていた。
これなら迷わない。
その案内どおりに県道から左折。県道とほぼ平行しているらしいりんご畑の真ん中を通る道へと入って行った。
ところが、この道がけっこう長かった。
景色が殆ど変わらずにりんご畑と直売するらしい店しか無いのでなおのこと距離が長く感じられる。
いったいどこに発知の桜があるのか。発知、広いぞ。
しばらく走って、またしても大きく発知の桜と案内が登場。
左手の高台にあれが発知の桜でないわけがない、と断言できるほど立派な桜が立っていた。
どうやらりんご園の駐車場なんじゃないかなーという感じの広い道沿いの駐車スペースに自動車を入れて、農道とおぼしき道を歩き出した。
農道への入り口には石の門柱のようなものがあり、それはこの奥にある慶福寺のものらしい。
  
ビニールハウスの横を歩いて行くと、桜の周りにはどやどやとカメラマンがいた。おお、あっちこっちに立派な三脚が立てられている。
見上げると、だいぶ前から満開状態だったはずの発知の桜は、しかし、今日もしっかり満開で、花びらひとつ舞っていなかった。
こんもりとした塚の頂上に四方に枝を広げて立っている。
昔は根元まで登れたような痕跡があったが、今は土砂崩れの危険性があるので登らないでくれとの看板が立てられ、柵が施されていた。
右欄の桜のすぐそばの柵までも立ち入れない状況である。
しかし、もし入れたとしても、ぐるっとカメラマンが取り囲んでいるその桜の根元に行こうという勇気のある人はなかなかいないと思う。
塚は、山が迫った1方向だけ行けないが、あとはぐるりとまわることができて、色々な角度から桜を楽しむことができる。
また、塚の麓に真新しい観音様のような仏像が立っていらっしゃる。ついでに書けば、その仏像とほぼ並ぶ形でデーンと県の指定天然記念物であるという説明看板が立てられていて、いくらなんでもそこに立てるな〜、と言いたくなるくらい邪魔だったりする。
  




上発知の枝垂桜
樹齢などのデーターは無い。
ただ大きさから言ってかなりの古木であることは確か。
遠くに雪を頂いた山並みが見える。



我々が最初に目にした姿。
お地蔵様とは反対側から見たことになる。
杉の木を背景に風に揺れる姿は、
圧倒的な存在感があった。



がんばって背後のお墓が入らないようにした。
手前に立っているお地蔵さまの赤が
いやでも映える。
枝垂れた枝はお地蔵さまの上に
かぶさっているようだ。



逆光になった姿もまた神々しい。
発知地区はとにかく広い。
次の上発知に向かったのだが、どこまで行っても電信柱に書かれた地名は上発知だった。
これまた沼田市のHPの道案内に左手の田んぼの中にある、とかかれていたので、左を注意して進む。
ところが、左側に田んぼなんて無いのだ。民家や川ならある。でも田んぼは見当たらない。
右がわになら田んぼらしきものはあるんだけど。
しまいには迦葉山に向かう分岐まで来てしまった。
HPには迦葉山に向かって、と書かれていたので、ここで左折して迦葉山への道に入る。
げ、狭い。
両側から民家が迫っていて、桜なんかありそうもない。
ありそうも無いが、その民家の裏手は田んぼらしかった。しかも、家と家の間に遠くに枝垂桜の枝の揺らめく姿が見えた。
田んぼの中の枝垂桜。あれが上発知の枝垂桜でないわけがない。
名物のだんごだったか饅頭だったかのお店の駐車スペースを借りてUターンして、完全に農道といった感じの未舗装の道に突入し、その桜の木を目指した。
絶対に間違いない。あの迫力は目指す桜である。
農家の人以外で入っていいのか悪いのかさっぱり分からない道で桜に近づくと、先にこの道に入り込んだ人が駐車しているスペースがあった。なんとか3台くらいとめられるその場所の3台目になって、そこから歩いて行くことにした。
歩くと言っても大した距離ではない。数百メートルである。
近づくと、墓を守っている桜であることがわかった。さらに、桜の足元に赤い物体が見える。もっと近づくと、お地蔵さまの赤い頭巾であることがわかった。おいおい、赤すぎる。真新しいものに取り替えてもらったな。
しかも、桜の周りにはざっと見で15人以上のカメラマンがいた。
周りは田んぼなので、広さにまぎれてあまり大勢に見えないのだが、どこを向いてもカメラマンがいる状態である。
彼らは、我々の来た道ではなくて、別の下側の道から桜に近づいているらしかった。どこにあったんだ、そんな道。どっちみち、未舗装の農道には違いないのだけど。
さて、そのカメラマンに混ざって、我々も撮影である。
とにかく広くて、360度周囲を回れるし、距離も近づいたり遠のいたりできるので、撮影し甲斐のある桜だと思う。
ただ、墓守の桜なので、かならず墓がくっついてくる。それは仕方がない。HPによると、この桜は個人所有の桜だ。花の季節はカメラマンに墓がのっとられている形になるのを許してくれている所有者に感謝しなければならないだろう。
それにしても、その周りの田んぼにカメラマンの足跡がたくさんついているのが気になった。
あぜ道を通るのはいいだろう。
だが、いくら田植え前とはいえ、他人の田んぼにづかづかと入り込んで足跡をつけるのはどうだろうか。
マナーの悪いカメラマンが1人いるだけで、全てのカメラマンが嫌われる。どれほど芸術的な写真を撮影できたからって、あなたのマナーが悪ければ、全てが打ち消される。下手をすれば、桜を見ることさえ叶わなくなるかもしれない。
どうか、写真優先にならずに、桜と地域を優先して撮影して欲しいものである。

これにて、本日の桜めぐりは終了。
上発知の枝垂桜のそばには何本かの素晴らしい枝垂桜があったが、民家の敷地内なので近づいたり撮影したりするのは避けた。
あとは、玉原高原方面に向かって進むと道沿いにある強清水の滝を見て帰ろう。(滝のレポはこちら
今日は青空の下、素晴らしい桜を見ることができて大満足の一日だった。

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